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シリーズ1〜5巻までは文庫版で、始まりはコメディ調ともいえるライトなストーリーと思いきや、5巻から印象が変わってくる。6巻以降のハードカバー刊を手にする頃にはその世界に引き込まれて抜け出せなくなった。この作品、もっと評価が高くていい。
隠されていた全ての謎が明かされていく最終巻(本作)を読み終えて、愛とは人から人への想いなのだと改めて気付かされる。未読の長編を探している方に、是非手にしてほしいと思う。
柏枝真郷さんの「ホーリー・アップル」シリーズが大好きで、その後の「厄介な連中」の同人誌で16年後の攻めのドイルが登場するので、その関連同人誌も全て購入したのにずっと積読になってたのです。
私はこの「厄介な連中」シリーズはNYシリーズほどなかなかハマれなくて唯一、遼一郎のNY過去編で5巻の「イレギュラー・クリスマス」だけ秀逸だと思ってましたが、商業最終巻の今作でやっとそこに繋がり、過去の色々が全て解明されました。長かった!
柏枝さんはNYを舞台にした作品の方が、主要キャラも脇キャラも生き生きしていて魅力的に感じます。今シリーズは攻めの遼一郎も自殺未遂常習犯の受け・篤史もタイトル通り厄介な連中であまり好きになれなかったのです。しかし今回あの「BABY FOOD」の本が登場してあの本をずっと持っていたハリーを思い出して切なくなりました。
遼一郎はハリーより6歳も年下の攻めだったけど、頭が良くしっかりしていて、ハリーの純情を弄び、最後は年上のハリーに甘えさせてもらった、という認識だったのですが、美雪の出生の秘密やその母親の不憫さを知り、遼一郎も若いのに大変だったんだなと思いました。
遼一郎の伯父の友人が美雪と血縁関係だったんだけど、伯父さんも遼一郎もはっきり言って何の義理もないのに、遼一郎は医者の道を捨てて美雪の人生を救い、売れない作家となり廃墟のような洋館に自殺を繰り返す美青年と住んでいてなんの後悔もないようにみえる。冷酷に見えて実は不器用で1番優しい人なのかもしれない、と思いました。ハリーも当時は辛かったけど結果的にはドイルという素晴らしい恋人に出会えて幸せになった訳だし。