特典ペーパー付限定版
デジタル処理の高細密画像が主流になりつつある今日この頃、
京山先生の、この、ビックリするくらいスッカスカな絵と、説明の省かれまくった訥々と不親切な展開は、コマの間からあふれ出してくる萌で潤され、満たされ、むしろこのお話にはこの絵でなくちゃ、この絵じゃなかったらこのお話、濃厚すぎるって思わせる。
「好き」の気持ちは、スカスカとお互いに行き違い、重なり合うことはなかなかないけど、それでも、ずっと延ばしていったその線の先には、いつか交差する日もやってくる。
そんなハッピーエンド。
一見地味なのにパーリーなカバー印刷もいいです。
読み終えて心地よいため息が出ました。
生まれて初めて、相手に愛されているって実感した…
そんな明るい幕引きに癒されまくり、心は晴れやかです。ラストのシーンに到達して最初のシーンを思い出してみると、そこまでまあまあ長い時が経過しているのですが、読み手としては一冊なのにもっとたくさん読んだような、同じ時を進んできた気にさせられます。
タイトルになっている「すのーふれーくす」について、作中でのレクチャーがステキなんです、ぜひたくさんの方に感じとってほしいなあ。
個人的に目下"京山あつき週間"につき、一冊増えるごとにからだの内側にできたLOVE層が重くなってすでにきついぐらいですが、もう「好きだーーーーーーー」と叫びたい気分!
色んな意味で唯一無二の作品でした。
震えました。
タイトルにも唯一無二の意味が込められていますが、
作品自体が唯一無二ですばらしい!
何より、登場人物達が唯一無二です!!
先生の地に足着いてる感じと、時折見せる「すき」が堪りませんでした。
タケルも、ときに大胆で、思春期故の後先見ずなあぶなっかしさがあって、エロくて、
ネガティブで、でもひょうひょうとしていて、
本当に魅力的だと思いました。
よくBLの作品傾向の分類において「リアル」という表現が使われますが、
この作品のリアルさは別格です。
かといってファンタジー要素や、エンターテイメント要素は、
決して失われていません。
バランスが絶妙です。
ダークな部分と軽快なやり取り。
純粋さとエロス。
だからこそ際立つのだと思います。
ストーリーのリアルさも、もちろんありますが、
登場人物達のセリフやしぐさ、表情に「ぐっ」と来るものがあり、必然性を感じる位しっくりきて、
ストーリーに引き込まれることでリアルに感じます。
可愛く繊細な絵の中に、
心をしめつけられるような感情の渦が見事に描かれていました。
好きな作家さんなのですが、この作品は雑誌連載中に第一話を読み、主人公の惨めな変態ぶりにちょっと引いてしまいました。単行本になっても購入を躊躇していました…そんな中、電子書籍で48時間限定1チケットになっていたのでチャンスとばかりにレンタル。読んでよかった!名作です!よくもまあ見事に1冊にお話をまとめてあるなと感嘆します。
特に胸をうたれたのは背景描写。この作家さんの過去作品と比べてもラフな絵や書き文字が実に効果的に、雰囲気ある映画のような流れを支えています。タイトルにもなっている雪片が降りしきる様子、雪が降り始めた冬の夜の空気感にジーンとさせられました。ハルジオンとヒメジョオンが咲く河原の景色もしかり。京山あつきさんの絵の表現力に酔わされます。
主人公はBLとしては惨めなほどに恥ずかしい面も余さず描かれているのに、景色が美しくて…その変態さを引き立てているのか中和させているのか?そのギャップにさえ感動してしまいました。
もちろん、電子書籍レンタルは追加料金払って無期限にしました。
これぞ京山イズム!
何気なく読み進めているうちに、気付いたらもう頭から作品の世界に入り込んじゃう感じ。
具体的にどこが萌えたのかピンポイントで答えろと言われても、このシーンがこうで!!ああで!!!と熱く語れる訳でもないのに、読んだ後に何故かその世界観が強烈に頭から離れない。
そもそもひとり「先生×生徒強化月間!」と銘打って色々漁っていたところ、評価も高いし京山先生だし大丈夫だろうと軽い気持ちで手を伸ばしたのですが。
最終的に設定とかエロとかどうでもいいと思わせる。
(そこが大事なんだよ!という方からすれば淡白すぎて物足りないかもしれませんが)
作品全体が持つ力で満足させちゃう、その手腕に脱帽です。
ストーリーの詳細はみなさんが語って下さっているのでさておき。
最終的にタケルくんがどこに辿り着くのか、うっかり先に知っちゃったって人も楽しめるのじゃないかと個人的には思いました。
実際私はそうで。(気になりすぎたら結末から先に見ちゃうタイプなので参考にならないかもしれませんが…)
正直サンプルを読んだときに、うわぁ~この受けの子無理だわ~私最後まで読めるかな~なんて心配してたのですが、要らぬ世話!
まんまと持っていかれてしまいましたよ!!
もう目が離せない。
この気持ちは何だと考えていたら、他の方もおっしゃっているように母性に近い。
ひとりでふらふらしててこの子迷子じゃないのかな~と思いつつ見ていたら誰かのところに行って、あぁお母さんみつかってよかったねーー…っと思ったら違うのかよ!と。
それを繰り返しながら本当のお母さんに辿り着くまでを見届けたくなるあの感じです。
はい、わかりづらいですね(笑)
まぁ兎にも角にもそんなほっとけないタケルくんを、下手に慰めるでもなく一定の距離感で見守る押間先生が教育者としても男としても本当にかっこいいのです!!
ここは声を大にして言いたい!
カッコイイーー!!!!
個人的には神とか萌とかとまた違う別の棚でちょっと寝かせておきたくなる作品なので評価が難しかったのですが。
物語を紡ぐ京山先生の暖かい眼差しに包まれたら、そうですよねと否応なく神のボタンを押してしまいます。