想い人の背中を押す男の、どうしようもない恋物語 幼馴染みは俺の隣で、あいつのために綺麗になっていく――…

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表題作髪と罅

国良 大学生
倉内大志 浪人

あらすじ

「バラされたくなかったら言う事聞けよ」
咄嗟に口をついて出た言葉は、優しい脅迫――

高校1年・宿泊学習の夜、小学校からの幼馴染みである大志に同級生の”松田 正”が好きだと打ち明けられた国良。密かに大志に想いを寄せていた国良は内心狼狽えたものの、その恋を応援するために傍で見守り続けていた。
しかし卒業を控えた高校3年の冬、松田の好みが「髪の長い人」と聞かされ動揺した大志は受験に失敗してしまう。不安定な大志を目にした国良が取った行動は、”髪を伸ばして松田に告白しろ”というもので――?

作品情報

作品名
髪と罅
著者
7区 
媒体
漫画(コミック)
出版社
海王社
レーベル
&.Emo comics
発売日
電子発売日
ISBN
9784796415873
4.6

(36)

(27)

萌々

(5)

(3)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
7
得点
165
評価数
36
平均
4.6 / 5
神率
75%

レビュー投稿数7

苦しい片想い

国良×大志


全体的に素朴で優しい雰囲気があって、
純粋で健気な片想いが痛くて切ない。
偉大で一途な想いが熱くて痛いくらい。
こんな大きな想いを抱えてる2人に、
心を打たれ、胸がキュッと締め付けられました。


国良は幼馴染の大志に一途な恋心を抱いていたが、
高校1年生の時に、
大志は同級生の松田に恋をしていると国良に打ち明けた。
お互いに想いを伝えられないまま
高校を卒業してしまったが、
ある日、松田の好みが「髪の長い人」だと分かって、
国良が「髪を伸ばして告白しろ」という
優しい脅迫をかけてーーという始まり。

国良は、
大学生になった。
普通に男前で、三白眼でまあまあかっこいい。
大志のためなら何でも犠牲にしてしまう、偉大な男。
素直になれないクーデレ属性かな。

大志は、
松田への動揺で受験に失敗して浪人になってしまった。
ちょっと騙されやすくて天然な感じがする。
恋する真剣な表情や憂いを見せる姿は、
本当に純粋で健気で、
泣き顔を見せられたら、
心をがっちりつかまれてしまうのだ。
国良と一緒にいると楽しいし、彼を信頼している。

そんな2人が、
切なくも、どうしようもない恋物語に発展していく。

大志が髪を伸ばして松田に告白するまでの過程で、

大志の抑えきれない松田への片想いに苦しみ、
叶えられない想いが抱え込む痛みがリアルで胸に刺さる。
女の子になりたいという切ない願いも
全部心に痛いほど迫る!
存分甘えさせてくれる国良に
少しずつ惹かれていっているかもの姿も胸キュン。

松田のせいでダメになりそうな
大志の人生を救うために、
国良は全力で支えている。
大志の恋を応援しながら、
自分の気持ちを抑える国良の献身度は、
他の追随を許さないほど素晴らしい。
大志の髪が徐々に伸びていくたびに、
国良の恋心も同じように大きくなっていく様子が、
とてもかわいらしい。

2人が友達以上恋人未満の距離感が生まれていくの中で
旅館で、
大志が国良に向かって、
泣きながら頑張ると松田への想いを諦めない決意を固めつつも、
国良にありがとうと伝える場面は、
酸っぱさや苦さが漂っている。
大志にとって、松田への想いをしながらも、
国良は心強くなる存在でしょう。
そして、国良の心の寂しさも感じました。

大志が松田に告白する日、
国良は大志を傷つけないように守ってくれている。
大志が涙を流しながら
松田に対する想いを爆発させるセリフにがまた胸が痛くなる。
「恋にしてたのかもしれない」という発言は、
不確かさや疑問が含まれているから、
松田=恋 が大志の中で頑固で、
それまでの松田への想いが、
ただの妄想だったのかもしれない。
そのタイミングを見極めて、
国良が大志に「恋する相手、俺にしてよ」と伝えた瞬間は大感動だった。
国良の偉大で優しい愛情がはっきりと伝わってきて、
大志もきっと、国良の愛情に救われたのだろう。

大志の心が弱いところを国良がそばで支えて、
自信がついてきたのは絆が生んだ証。
国良もやっと大志の笑顔を守れたと気づいて、
ほんわかした気持ちになった。
2人が遂に片思いから脱却して、
お互いを守り合う関係になって
心から嬉しいです。

2人のセックス、
大志がまた涙を見せたけど、
暖かい感動は格別。
国良も愛情溢れるテンションで、
ただの肉体的な関係ではなくて、
心も繋がった感じで
胸の奥がキュンとしました。

2人の恋物語を見てから、
恋は、
目が見えなくなるよりも、
目を開いたままで、
好きでいてくれる人の方がずっと幸せで、
その人を好きになることは、
真の幸せへの近道だと思います。
そして、普通かどうかなんて関係なく、
自分らしくいられることが一番大事です。

2人の視点で展開されるから、
共感しながら読むと、
彼らの必死で熱く切ない恋する姿や
片想いの痛みが倍増します。
読み終えた後も余韻が残るような作品でした。

4

優しい脅迫

すごいすごい。
これがデビュー作って本当なんでしょうか?
別名義でも他に出されているのかな?ってくらいにうまいんです。

決して派手さはないけれど、じわりじわりと浸透してゆく。
まるで文学のような、静かで繊細な表現力に囚われてしまいます。

ある日、親友の大志から同級生の松田への恋心を打ち明けられた国良。
それでも大志への想いは何ら変わらず「頑張れ」と応援し続けてきた
国良ですが、高校卒業と同時に松田への恋を諦めようとする大志に
「バラされたくなかったら言う事聞けよ」と脅迫してしまい…。

松田の好みという“髪の長い子”に近づくため、その日から髪を伸ばし始めた大志。

大志の髪が伸びる度、大きくなってゆく国良の気持ちが切なかったです。
伝えたくても、親友だから伝えることのできなかった秘密の恋。

一途で献身的で、これのどこが脅迫関係なのだろう?

国良に髪を切られながら大志が口にした「国とさいごまで恋愛してみたい」。
そうだ、これって最初から最後まで恋のお話だったんだ。

2

切なくて、それ以上に幸せなお話。

髪と罅。罅の部分が読めなくて、ヒビと読むことができてもこの色気のある表紙とタイトルでどんな話なんだろうと気になって購入しました。要するに衝動買いです。
読み進めているうちに切なくて国が表に出さない気持ちや大志の松田への気持ちにしんみりとしましたが、それ以上のハッピーエンドが待っていて大満足でした。

結末まで読んでみれば最初から両片想いのすれ違い物語ではあるのですが、国を失わないために恋をするために好きになった(と勘違いした?)松田のために努力していた大志を大志が好きだと自覚がありながら側で応援して見守り続けた国があっぱれでした。理由をつけて手を出したり、でも最後まではできないという背徳感とか臆病さもとてもよかったです。

1

いろんな角度から君を見てきた

シーモアで試し読み増量になってまして(1話が無料)読んだら買わずにはいられなかったです。第一印象→大志(受け)と国良(攻め)の会話が自然で心地よい。幼馴染みの拗らせきった片思いに決着をつけさせるため悪役を買ってでる、そんな国良の人柄に私は強く惹かれました。モノローグで国良の内面が吐き出されるたび『10代後半にして着々と健気攻めのスキルが上がっていくなぁ』と彼の不憫さに同情し、密かに悶える私がいました。
そう、国良の心情は始めから終わりまでブレていないので 共感もできるし思わず応援してしまう。

大志の人柄が いまいち理解しづらかった。だって知恵の輪みたいな思考回路してるんだもの。
大志の恋と 国良の恋心、この二つを読み手が納得する着地点へ どんな風に導いてくれるのか。途中までスゴく面白くて【神評価だ】とワクワクして読んでたのですが、大志の過去のモノローグが始まって『えっ?』『はっ!?』と失速。
大志、思ってたより すっっっっっごく拗らせてた。闇を見たよ。
そりゃあ、ひっぱり上げてくれる国良の手が必要だわ。
でも、二人が…っていうか 国良が幸せなら、私の気がかりなど取るに足らない事なのです。攻めの幸福に勝るものなし。

1

じっくりネタバレなしで読みたい作品

帯の「幼なじみは俺の隣で、あいつのために綺麗になっていくーー」というのを見て購入しました。

この作品はじっくりとネタバレなしで読むのがいいと思います。
国良はどうして脅したのに協力をするのか、大志はどうして松田が好きで国良に相談したのか、さらっと読むとわかりにくいと思うこともあるかもしれません。
読み終わったら、もう一度、言葉や行動の裏を確認するために再読したくなります。これはやっぱりそういうことだよね、と二度目はニヤニヤしながら読みました。

初恋、片想い、理想の相手、思春期の男子たちの不安定で臆病な揺れる想いがよく表現されている物語でした。

タイトルの「髪と罅」罅はひびなんですね。読めなかったので調べました。
髪と罅に象徴される国良と大志のふたりの恋する想いと年月と努力に友情がぐちゃぐちゃになっているのを感じて、爽やかなアオハルじゃないけど、やっぱり青春だなと思いました。
切なくて優しい物語になっています。

ほぼ登場人物はふたりだけです。少し過去の話も出てきますが、ふたりの一年間がゆっくりと語られています。その為、物足りない感じもなく満足の一冊になっています。

0

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