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俺と上司のささやかな日常(表題作 「TAKE」)

ore to joushi no sasayaka na nichijo

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表題作俺と上司のささやかな日常(表題作 「TAKE」)

草野,23歳,入社1年目のリーマン,受の部下
滝川,32歳,仕事のできる上司,性に奔放なゲイ

同時収録作品彼とわたしの日常のはじまり 前編 / 後編

マコト,電気屋さん,元ノンケの滝川の元カレ
タカコ(南貴史),百貨店の洋服店勤務,性同一性障害

同時収録作品彼とわたしの日常のはじまり 前編 / 後編

浜田,セール応援のために本店から来た社員
タカコ(南貴史),百貨店の洋服店勤務,性同一性障害

その他の収録作品

  • 誰も知らない彼のこと(描き下ろし)
  • カバー下:漫画

あらすじ

新入社員の草野は厳しいけど格好良くて仕事のできる、教育係の滝川さんに憧れている。ひょんなことから滝川さんがゲイだと知って付き合うことになったけど、本気になってくれなくて・・・?表題ほか、悩める女装子・タカコの恋愛を描いたスピンオフも収録!

作品情報

作品名
俺と上司のささやかな日常(表題作 「TAKE」)
著者
こめり 
媒体
漫画(コミック)
出版社
東京漫画社
発売日
ISBN
9784864422079
3.8

(83)

(22)

萌々

(35)

(20)

中立

(3)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
16
得点
313
評価数
83
平均
3.8 / 5
神率
26.5%

レビュー投稿数16

物語としては面白いけど。

どうも私はキャラクターに共感できず、
物語にのめり込むことが出来ず。
さらっと読む分には面白いのですけれどね。

萌えという点でも、
イマイチその域まで行かず。

どちらかというと、
タカコちゃんの話のほうが印象的。
それでもやはり、
萌えるかと問われればイマイチ。

どちらも根底に
重いシリアスな色を感じてしまう。

そういう意味では、
マコトくんの存在が救い。

どちらの物語も、
今後の展開に明るさを強く感じるので、
気持ち良く読み終われてそこも良き!

評価は、
萌えという所から見れば「萌☓1」で。

0

どこで萌えるか悩む

4人の登場人物が出て来ます。

昼は仕事をバリバリ、部下にも厳しいけどアメとムチを使い分けているデキる上司。ただアメが少なめなので部下はほぼ続かないし、周囲の評判も「デキるけど…」なひと。夜は誰とでも軽く寝てしまうビッチでございます。

100社以上不採用でやっと採用されたブラック企業で頑張る部下。上司は厳しいけれど、たまに缶コーヒーやのど飴をくれるので尊敬している。動物が好きで猫カフェやうさぎカフェに行くのが楽しみな眼鏡くん。

ノンケだけどたまたま居酒屋のトイレでばったり会ったゲイのビッチに食われてしまい、付き合うも度重なる浮気で破局。未練があるのでゲイバーに通っているけど、実は気遣いのできる優しいやつ。

性同一障害に悩むもホルモン治療に踏み出せない。からだは男だけどこころは女性という自分を受け入れてくれるひとに出会いたいのに、うまくいかない女装子。

という4人です。
表題作は上の2人、上司と部下の話ですが、どうしよう…。2人とも好きになれませんでした。
ビッチはあくまでビッチだし、部下も自分の趣味を押し付けることに躍起になっているし、「真っ直ぐでピュアな部下に絆されたビッチが更生」というふうには見えず、残念。

同時収録では上司いきつけのゲイバーの常連の女装子とビッチの元カレくん。
元カレくんは表題作だと適当に遊んでるゲイに見えたのですが、もともとノンケだからゲイ界隈や性同一性障害についてはよく知りません。
だからこそ女装子の悩みに対しておおらかでフラットな意見を言うし、女装子のピンチには一役買って出るような優しい面もある。

というわけで人間的にいいと思えたのがわりと脇役の元カレくんだったため、萌えきれず終了してしまいました。
表題作の2人がもっと魅力的に見えていたら…、と思えてなりません。

0

ささやかというよりは、ドラマチックな日常です

表題作、同時収録作ともに非常に素晴らしかったです!
2作品収録されているのですが、どちらも相互関係があります。

後輩リーマン・草野⇆先輩リーマン・滝川⇄友人・タカコ

この滝川の元カレが電気屋・マコトです。

前半、は草野と滝川の物語なのですが、タカコとマコトも登場します。
遊び人の滝川が真面目な草野にほだされて恋人になっていくのですが、描き下ろしですっかり毒気を抜かれた滝川の姿が見られてほっこりしました。

もう一作は、タカコの物語です。
本名はタカシで、性同一性障害であることを悩んでいます。
職場で出会った浜田はクソ野郎でしたが、後に恋人になるマコトはとてもいい子でした。
治療を受けようか悩むタカコをしっかり支えて、幸せにしてあげて欲しいです。

どちらもとてもいいお話で、読んで良かったと思える作品でした。

0

キャラの魅力にハマりきれず

◆俺と上司のささやかな日常(表題作)
 テンポも良く読みやすかったのですが、上司の滝川を完全に好きにはなれませんでした。貞操観念が緩いのは全然構わないんです。どちらかというと職場での態度が、あまり良い上司とは思えず苦手に感じました。部下が終電帰りになるのも構わず仕事を投げたり、休出を気軽に頼んだり、機嫌のコントロールができなかったり…。ブラックな会社や人間に過剰になり過ぎているのかもしれないけれど、社会人としてどうしても部下に感情移入してしまって、自分はこの上司についていきたいか?と考えてしまいますね…。それらをカバーする可愛らしいギャップがあればいいのだけど、そこまで可愛さを感じる瞬間もなく。部下の草野も好意の伝え方にあまり変化がないので、2人のやり取りに萌えを感じることができませんでした。

◆彼とわたしの日常のはじまり
 表題作で滝川の友人として登場した、オネエのタカコの物語。こちらもストーリー自体は良かったんですが、やはりBL漫画に収録されているとなると話は変わってくるわけで。BLが多様化したっていいじゃないという意見も理解はできるのですが、私個人としては、これがBLではなくNL作品に収録される世の中になって欲しいと願います。追い出したいのではなく、彼女の心の性を認めてあげて欲しいのです。これがBLであり続ける限り、真にLGBTに優しい社会にはなれない気がします。私にとって、男の体だけど心が女性という方は、女性以外の何者でもないんです。

 ここからは単純に腐女子としての感想。まだ彼女が攻めならば、そんな人でも雄になる瞬間があるというギャップを感じて萌える可能性もあるんですが、受けだと男女ものの作品にしか感じられず。だったらせめて、マコトとの愛し愛される幸せな日々をたくさん描いて欲しかったけど、それも最後の最後でしか見られなかったので、消化不良になってしまいました。

0

頑張りました

こめりさんのコミックスを読むのはこれが2冊目です。
表題作シリーズの他に表題作とリンクしているカップルのお話が収録されています。
タイトルの通り、新卒の草野君と草野君の上司である滝川の日常がささやかに描かれていました。
2人とも同じ会社に勤めているので、会社でのシーンも多いです。
仕事は出来るが他の人にも厳しい滝川を尊敬している草野君が夜の街で滝川が男性とキスしようとしている所を目撃してから気持ちが落ち着かなくなって…というお話です。
滝川が正に相手をとっかえひっかえしているというタチが悪い男なのですが、純な草野君がかなり頑張りました。
どうにか滝川を自分に本気にさせようと努力する様子が健気です。

同時収録の作品は表題作に脇役として登場したマコト君とタカコさんのお話。
2人とも真面目で真摯にお互いの事を考えているのに好感を持ちました。
特にマコト君は元々ノンケなので、タカコさんを受け入れて器が大きいなぁ~と思います。

0

読後感よし!

ブラックな会社で飴とムチで草野は滝川にすっかり洗脳されてますね。
尊敬から好きに。でも滝川はクズで男をとっかえひっかえで。

ふたりの攻防が続きますが草野の粘りと愛のちからで滝川が変わりましたね。
正直滝川が何を考えてて草野とどうしたいのかわかりませんでした。

最後に出てくる滝川は仔猫を抱いて◯印のパーカーを着るキャラへ変貌。草野とうまくいって良かったです。

彼とわたしの日常のはじまり
滝川や滝川の元カレマコトの知り合いの性同一性障害のタカコのお話ですね。
女の子になりたくて苦しむのが痛くて切なくて。職場のイケメンはゲイでタカコをセフレとしか思ってなかったのかな?どんどんつれなくなっていって。
自分を受け入れてくれたとタカコが喜んだのに悲しかったです。

タカコの窮地を滝川とマコトの連携プレーで助けてくれます。なんだかんだでタカコのことをわかってくれる二人ですものね。
タカコを可愛いって付き合うことになったマコト、良かったね!マコトにはタカコは可愛い女の子なんですね。

0

全く、ささやかでは無い日常と。心に響く重めなストーリーに驚かされる。

こめり先生のホワンホワンとした柔らかい線の絵柄からちょっと想像していたのとは違う展開でビックリしてしまいました‼︎ もっとフンワリした物語だと思っていたのです。ブラック企業でこき使われて、会社と家の往復で終わる毎日。仕事の出来る上司の滝川にほんのちょっと労われただけで、浮上する草野。カッコよくて人たらしな滝川にまんまと使われていて、それでも嬉しい。この思い込み激しめの草野にゲイである事がバレちゃってからの、猛攻たるや。押しの一手でとうとう落とされてしまう。…と、ここまでならフツーに楽しい執着攻めなのだ。
物語は同時収録の「彼と私の日常のはじまり」で、グッと趣を変える。滝川がよく行くゲイバーでつるむ友人、女装のゲイで性同一性障害のタカコと名乗る青年を中心に物語は展開していく。タカコのこれまでのキツイ恋愛や家族との葛藤。日中は自分を偽って男性らしく仕事をしていることなど。つぶさに描かれていて、その健気な姿に涙します。え⁈ まさか泣かされるとは⁈ という驚き。そして、仕事に忙殺される(ブラック企業だからね。)日常のせいか、ワンナイトスタンドでやり過ごして来た滝川が友人であるタカコを思い遣っていて、とっても優しいこと。タカコは滝川のことを、いつも違う男を連れて来てどうしようもないクズだと思ってはいるが、綺麗で「誰にも流されないそんな生き方が、私は羨ましかったのかもしれない。」と思うのだ。このモテる滝川のちょっと魔性な感じも後半で描かれているので、滝川という男の背景や厚みも増していて。この優しい線でホワンと描かれているのに関わらず、ちょっとした流し目や表情が色っぽいのもこめり先生の凄いところ。表題作だけでは語りきれていなかった魅力が表れてもいる。結局、色々辛い経験の後、滝川の元彼と付き合う、というビックリ展開になるのだが、その頃には滝川も草野と安定したお付き合いをしていて、ラブラブカップルが2組出来上がっているのが微笑ましいし。何より、荒れていたと思われた滝川の恋愛遍歴にもマコトくんの様なステキな恋人もいた、って言うのは、ちょっといいなと思うのだ。ビターだけど。
他のレビュアーさんも触れてらっしゃる様に。性同一性障害を真っ向から取り組んだ作品はBLにはまだまだ少ないと思います。思いもよらず出逢ってしまい、戸惑いましたが、優しい結末まで運んでくれて嬉しかった。そして、沢山涙を流しました。

0

タイトルから想像される内容に納まっていない出来でした。

嬉しい誤算的な良作でした。表題作も素敵なのですが、なんと言っても同時収録のスピンオフが素敵。

まずは表題作。これはビッチでゲイのクール系上司とまっすぐな部下(ノンケ)の恋愛物語。一生懸命な部下くんに振り回されつつ惹かれていく上司の姿がいいです。「俺、ずっと軽いつきあいしかしてこなかったから…」と戸惑うところなんて「うんうん、あなたの気持ちよくわかるよ!」って感じでした。ちゃんとマジメな恋愛よりその場限りの関係の方が簡単だもんね。恋愛スキルは無駄に上がっていくような気がしつつ、真っ直ぐな相手に出会っちゃうと戸惑うよね。(ちょっと私情入りすぎた…)

次に同時収録作。これがねー、まさかこんなコミックスの中で読めるとは思わなかった意欲作でした。性同一性障害を持つ人のストーリーって、「BL」のジャンルではあまりないですよね。いま「BL」ジャンルは、ちょっとカテゴリづけとかなんだかんだ約束事がうるさすぎるきらいがあると思うのです。いろいろ囚われずに幅広い作品がもっと読みたい。そんな気持ちからも高評価。おすすめです。

3

2つの関連作品入り

大きく分けて2つのストーリー入り。
この2つは、丸っきり違う話ではなく、出ている人物が関連していました。

初めて読んだ作家さん。
絵は軽い感じで、見易かったです♪

草野くんと滝川さんは一応上司と部下。
部下の草野くんが滝川さんに翻弄される様子がとってもオモシロイ!
それにその草野くんが、翻弄されてモジモジオロオロだったのが
どんどん強気に変わって行く様子なんかが、面白くって楽しめました。

2つ目のお話のメインは、1つ目の主人公と少々絡んでいた人物。
こちらは、ちょっぴり辛い目にあっている2人の
とってもかわいいお話でした。

0

滝川さん…!

前々から気になっていた作家さま。地味系(ごめんなさい。)な良作を発掘する喜びよ…。BLをやめられない所以であります。こういった日常の中での何気ない関係から進んでいくお話がとても好きです。

ブラック気味の会社に勤める入社一年目の動物好き草食系・草野と、そのデキる上司・滝川(ゲイ)の物語。リーマンの上司部下モノです。といっても職場でヤっちゃうとか男のスーツ姿を愛でるとかじゃなくて、日々の生活から相手の魅力を見出して惹かれていく感じ。尊敬している相手と少しずつ距離を縮めていく様子がね、いいんですよ。わたしはカンペキ草野視点で読んでいました。(滝川さんが単にツボだったっていうのもあるかも。)

同時収録の「彼とわたしの日常のはじまり」は表題作のはずの「TAKE」のスピンオフ。滝川が通っていたゲイバーの常連さんで性の同一性に悩みを抱える貴史(タカコ)の物語。男として女装をすることと、心も身体も女性と認められたいという違いを的確に伝えてくれる、とても胸を打つお話でした。こちらのお話も非常に印象的で、きっと何度も読み返す作品になるだろうなと思い、レビューを挙げさせていただきました。

登場する人物達が人間臭くも優しくて、読後とっても心があたたかくなる作品です。

2

軽いビッチ上司モノかと思いきや、深いです

やばい!ちょう良かった。
小動物好きノンケリーマン×ビッチ上司の、「TAKE」も良かったけど、同時収録作品の、性同一性障害もの「彼とわたしの日常のはじまり」も、凄く良かった!

ビッチ上司・滝川の行きつけのバーの常連・タカコ(タカシ)が、「彼とわたしの~」の主人公。
傾向の違う二作品だけど、同じ世界を、二方向からじっくり読めます。タカコがくっつくのは、滝川の元カレだしね。

最後の書き下ろしがまた良い。
みんな幸せになって良かったね。人生に仲間って大事だな~と、つくづく思います。

0

読めて良かった

むちゃむちゃ良かったです!!!
たまたま読む機会があって、
ふわ〜っとさらーっと読めちゃう短編集?
みたいな気分で読み始めたんですけど、
なんなんでしょう。
ふわ〜っとさらーっと読めちゃうんですけど、
むちゃむちゃむちゃむちゃ良かったです!!
最後泣きました。本当に涙がつーっと…泣きました。
まったく押し付けがないお話。
こんなにはまると思わなかったです。

2つのお話が入ってます。
1つ目は入社1年目の先輩「滝川」と後輩「草野」のお話。
滝川先輩はゲイなんですけど、
深く恋愛するタイプではなく、はっきり言って遊び人。
とっかえひっかえ、約束は守らないし、嫌な奴。
いるよなー、そういう奴。
仕事出来るんだかなんなんだか知らないけどさー、
別にいいけどさー、
あんた人の気持ちって考えた事あんの?みたいな。
そんな感じに書かれてます。
よく書かれちゃう
「仕事が出来て、カッコ良くて、眼鏡キリーッ!」とか、
「普段こうだけど、ふとした瞬間むっちゃ色気が…」みたいな
こういうキャラです☆って感じじゃないんです。
いるよねーそういう奴、別にいいけどさー位なんです。
なので、すーっと読めるし、そこまで気にも留まんない。
(主役なんですけど)
正直なんでもなくでとどまってるんです。
その具合が丁度良くて…
2話目のお話があって、書き下ろしが最後あるんですけど、
その時になんかいい具合に滝川先輩の事が出てきて、
「誰にも流されない生き方をしている人」っていうのが、
妙にストンとこっちに落ちました。
「そこだけ」カッコよく見えました(笑)
その感じが妙に好き、ハマりました。

2話目は、性同一障害を持つ男の話です。
性同一障害を題材にしたお話って
映画でも小説でも漫画でも見た事あるし、読んだ事ありますが、
もっと深く入り込んでるし、現実は大変な事がたくさんあると思う。
この作品を読んで「甘い!」っていう感想もあるかも。
大感動のシーンがある訳でもない。
ただ、私はそういうのを読んだ時、
逆にそういう事が目立ち過ぎて、
「心揺さぶられました!泣きました!!!」となるのですが、
(そういうの嫌いじゃないし、むしろ号泣する派ですが)
今回の作品みたいに、特に大きな事件がある訳でもなく、
「私、女の子になれるかな…なる…なれる」と
自分に言い聞かせながら、一生懸命頑張ってる姿に、
なんか泣けてきてしまいました。
最後、お父さんに「幸せだよ」と言う所、
本当良かったと思います。
お父さんに会いに行って良かった。

こういうふわ〜っとさらーっとみたいなお話って、
正直、読む時の体調だったり、気分だったりによる事多いと思います。
私も違う時に読んだら、全然違う感想を持ったかも。
でも…いや…良かったです。
後からもじわじわきます。
人によっての評価の時は「中立」評価かもしれませんが、
正直好みは分かれるかもなーとは思いますが、
私は本当読めて良かったなーと思う作品だったので、
この評価にしました。
本当いい作品だと思います。
良かったら是非読んでみて下さい!

7

あい、らしきもの

娑婆の日常にもひょいと潜んでいそうな
組み合わせで展開された表題作の一連を
愛がどうこうで押し切られたら多分評者は
黙って本を閉じてそのままにしていたでしょう。
愛がどうこうの先のあれこれがあるからこそ、
ささやかな日常は区切りを刻みつつ続いて行く
訳でして。
書題と表題作のタイトルの差異は気になる所ですが、
併録作の世界観も引っ括めての総タイトルと
解釈しておきます。

併録作は果たしてBLの括りで良いのかどうか

暫し考えましたが、現時点ではこの範疇で語る
物語かと一応納得しました。
いつかまた、別の流れの中で再評価されて欲しいと
願いつつ。

2

ブラック(上司)がセミスウィート(彼氏)に変わるまで。

好きになったらしょうがない。
たまにしか甘くないのが恋の味。

ノンケをからめた同性の恋愛、相手にされないシチュは描かれ方によっては重くなってしまうのですが、とにかくめげない草野クンのポジティブさが、こめりさんの力の抜けた描線でコミカルに描かれています。
猫がぬこぬこしてたりウサギがうさうさしてたり、草野クンがジタバタしています。

【俺と上司のささやかな日常】
新入社員:草野クン(ノンケ)が上司:滝川(ゲイ)の仕事っぷりに憧れ、男っぷりに惚れる日常がドタバタと積み重ねられている話です。
男っぷりといっても私生活は乱れまくりのビッチ系の滝川(笑)

初読時はとにかく上司:滝川が草野クンの求愛をスルーする具合にモヤっとイラっとしてしまい眉間にシワを寄せながら読んでいました。

でも再読すると『ん?』と思うことが随所にあり【滝川さんのほだされ探し】みたいな読み方になっていました。

流れで寝てしまったものの、なかった事にしたい滝川vs怒涛のloveアタック草野クンの攻防戦が笑えます。

滝川が押されて、つきあうことになってからも重荷感が透けて見えるのが、いかにも大人のビッチさん。
仕事上の飴と鞭の使いわけはいいんですが(草野クンのしくじりをサラッとフォローしてくれるし)、寝坊してデートすっぽかすは家に押しかければ布団をポンポンして誘ってくるタチの悪さ…肩透かしと誘惑の積み重ねの毎日。

いきつけのゲイバーに連れてこられた草野クンがいつになくガンガン滝川に文句を言えるようになっているのが頼もしく思えました。
そもそもいきつけのゲイバーに連れていく時点で滝川も少しずつ開襟してるんだな~という感じがリアルでとても面白かったです。

草野クンも叫んでましたが滝川は32才。
それなりに過去もあるでしょうから素直になれないテレ隠しなのはわかります、わかりますが、わかりづれぇよ…ツンデレww

【彼とわたしの日常のはじまり】
同時収録は性同一障害のタカコが主人公。
彼は気持ちが女性なため、BLとしてはどうなんだろう?と思ったんですが表題作より断然、こちらの方が好みでした。
BLって、ありのまま『男』として『男』を愛し、『男』として愛されることを望むものとして捉えているのですが、彼は『女』として愛されたいんですよね。

表題作の滝川の行きつけのバーの常連:タカコはアパレルで働く男性ですが、バーには女装して来ています。
住みづらい田舎を出て都会に出てきたけれど日々は劇的に変わることもなく好きになった同僚とは、うまくいくかにみえたものの『男は好きでもオカマは勘弁』と言われてひどく落ち込みます。
偽らない自分を肯定したくて実家を捨てたのに、場所を変えても否定されてしまうタカコ。
タカコを傷つけた男は性根こそクソですが普段、私が読むBLはこの男のように『女はダメ』な人は当たり前のように出てきます。

失恋でふっきれたのか、タカコは心だけでなく体も『女』に近づけるべく性同一障害の診療をうけます。
あれだけ熱望していたことだから、もっと簡単に決心するかと思ったんですがタカコは悩みます。
10年がかりの治療…とこちらも鉛を飲んだような気分になりました。

そんなある日、父親が倒れ帰省したタカコは最後に和解します。
とつとつと会話する親子に涙がとまらなかった。
綺麗、というのは姿かたちだけの話ではなく内面も含めてのことであって、もがきながら自分をさらし始めたタカコには何よりの誉め言葉だったと思います。
いちばん素を認めて欲しかった父親に自分を肯定してもらえて良かったなぁ、と。

人は懸命に生きるために自分を偽ることがあります。
その偽りを真実にするためのタカコの前向きな決断は心にズドンと残ります。

父親に会いに行くのを躊躇うタカコに会いに行くよう手助けした滝川の元彼(笑)マコトが、ところどころ友だちとして、いい距離感でタカコを支えています。
今後は彼氏として支えるんでしょうね~。

そして滝川が本編よりめっちゃイイ男です。
タカコの息苦しさを見ていると滝川もいろいろあったんだな~という側面があります。
タカコの父親の件でタカコの里帰りを促す場面はなんだよ~イイやつじゃないか、カッケーじゃないか!!

【誰も知らない彼のこと】
草野クンの新居に招かれたタカコとマコトが見たものは…!!
草野クン恐るべし(笑)
カバー下でもですが、滝川さんは愛されて草野クンにすっかり懐柔されています。
一生懸命+ポジティブ=おバカさんな草野クンのloveパワー侮れない。
猫はなつかないが滝川はなついていました…。
あ~も~滝川ァァァァ!!可愛いんじゃない、アナタ!!という気分になります。

とぼけた線の手や足の描き方が可愛くて好きです。
水中メガネプレイも楽しそうで何よりです。

5

かなりお買い得。


腰乃先生のご推薦作品ということで、エロか日常系かのどちらかだろうと思い購入。内容としては後者でした。
ですが、ただの日常系で終わらないのがこの作品。コミック一冊分の密度が非常に高かったです。

前半に収録されている表題作はがっつり日常系の職場恋愛モノ。近づきつつもなかなかくっつかない距離感がたまりません。攻めの押せ押せもかわいい。

後半に収録されている作品はこれまたスゴイ。萌える、という表現は適さないと感じる作品ではありますが、物語として非常に素敵な作品です。よくありそうな物語、という感想もあるかもしれませんが、その物語の見せ方が秀逸。コメディー系かな?という表紙からの予想をいい意味で裏切られました。

幸せな気持ちで寝たい夜にまた手に取りたくなる一冊です。

8

意外とやるな、草野

腰乃さん推薦(推薦帯付です)ということで、エロエロを想像してたんですが、標準どころか少な目で。
そこはちょっと拍子抜けだったんですが、上司:滝川が新入社員:草野に絆されていく様がなかなか面白かったです。

新入社員の草野は、厳しいけど仕事のできる上司の滝川に憧れているんですが、たまたま男といちゃこらしてる滝川と遭遇!
なんだかんだで滝川と寝ちゃった草野は滝川への恋心が開花☆
そこから草野の猛アタックが始まる!というお話です。

誰もが童貞と信じて疑わないような地味メンの草野ですが、なんのなんのスイッチが入るとなかなかの肉食で、恋に本気になれずのらりくらりな滝川を最後には陥落させてしまうとは、やるな草野!といった感じ。
しかもかなり滝川を自分色に染めてるからねぇ草野くん。
その心は!書き下ろし参照です(笑)

同時収録のタカコちゃんのスピンオフは、萌えるとかそういう概念ではなかなか語れない、切なくてシリアスなお話でした。

小さな頃からずっと女の子になりたかったタカコちゃん。
自分を偽らずに生きていきたいと考えたタカコは、高校卒業後に都会に出ますが、そこでもいろんな困難がつきまといます。
男が好きだけどオカマは嫌と言われたり、言い寄って来た男に妻子がいたり、女の子になりたいけど実際に治療を始めるとなると踏み切れなかったり、より悩みが複雑で…。

とにかくタカコには幸せになってもらいたいという気持ちになりました。
男とか女とか関係なく、タカコ自身を好きになってくれた彼とうまくいきますように…。

3

この作品が収納されている本棚

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