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愛のカタチは言葉にできない

ai no katachi wa kotoba ni dekinai

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表題作愛のカタチは言葉にできない

李煌(リーファン),8年前慧の実家へホームステイしていた青年,26歳
樋口慧,通信社の香港支局特派調査員,26歳

あらすじ

通信社の香港支部で特派調査員として働く樋口慧は高校時代、ある事情から香港の留学生・李煌に逆らえず性的調教をされていた。だが李煌はしだいに慧に惹かれていき、慧もまた李煌に想いをよせていく。そんな折、突然、李煌は自国に帰り音信不通になってしまう。決死の覚悟で「好きだ」と告げた慧の唇を貪るだけ貪り「大っ嫌いだよ」と告げて……。それから8年、七夕の日にふたりは再会を果たすのだが──。

作品情報

作品名
愛のカタチは言葉にできない
著者
廣瀬航 
イラスト
奈良千春 
媒体
小説
出版社
大洋図書
レーベル
SHY文庫
発売日
ISBN
9784813041405
3.3

(58)

(15)

萌々

(16)

(11)

中立

(5)

趣味じゃない

(11)

レビュー数
11
得点
177
評価数
58
平均
3.3 / 5
神率
25.9%

レビュー投稿数11

香港マフィア×通信社特派員の純愛

奈良千春先生の挿絵に惹かれ購入しましたが、内容もとても良く、お勧めしたいものだったので簡単に書かせていただきます。

自分は恥ずかしながら存じ上げなかったのですが、著者の廣瀬航先生は一般小説も出されている方のようで、文章は危なげなく安定しておりとても読みやすく感じました。

主人公の慧と李煌の二人は高校生の頃、李煌が香港からの留学生として日本の慧の家にホームステイした事で出会い恋に落ちますが、マフィアの家系の事情から李煌は慧の想いを望まずも冷たくあしらい、その後音信不通になってしまいます。
それから八年経ち、通信社の海外特派員として香港で勤務していた慧が李煌と偶然再会する事から物語が展開していきます。


裏社会ものですが、目を背けたくなるような暴力的なシーン等は無いので、そういった物が苦手な方も楽しめると思います。
又エロの密度が濃く(後半まで挿入無しにも関わらず)濃厚な描写は垂涎ものです!

廣瀬先生には是非是非これからもBL作品を執筆して頂きたい……という願いも込めての神評価で!

12

美人攻めと追いかける受け

・ツンデレ
・焼きもち焼き
・ちょっとダーク
が好きな方にお勧めです!
ストーリー構成もしっかりしていて読み応えもバッチリ。初めは受けの視線で物語は進みますが、途中から攻めからのアングルもあり。ゲロ甘というほどでもなく、好き故に苦しい切ないという登場人物の心境にキュンとします♡

賞を獲っただけのことはあるな!というかんじ。ただイチャツクのとは違って物語重視なところも。
これからもっとたくさんの作品を読んでいきたいな、と思わせる作家さんです!

10

泣きました

奈良千春さんのイラストに惹かれて購入しました。
舞台は夏の香港、七夕で再会とくれば、てっきり甘い展開かと思いきゃ、これがまったく甘くない。またそこがいいんですが。

悪魔猫・李煌は美形ドS攻め。予測不能な気まぐれ気質で、素直で一途なワンコ体質の受け・慧を翻弄するんですが、この2人のやり取りが7年ぶりなわりには非常にそっけない。それでも7年も探し求めた想い人との再会に、期待と不安が入り混じる慧の心情に素直に共感できました。

受け攻めともにお互いに一筋縄ではいかない事情を抱えているだけに、どちらかといえば抱えているものゆえに色々と重い。
それでいて読みやすく、世界にぐんぐん入り込めるのは、作者の語り口が淡々と感情に走りすぎることなく無駄がないせいだと感じました。

途中の焼け残った短冊の文字列を読んだ瞬間、胸がギュッと切なくなりました。まさかBLでこれほど泣くとは。
他にも随所に切ないシーンがあり、タイトル通り言葉にならない切なさにページをめくる手を止められませんでした。

読み進むにつれ、受け攻め双方の言動の理由に気がつき、一読したときには気がつかなかった思いの深さを後になって感じることができます。再読おススメ。二度美味しいです。

奈良さんのイラストもいい雰囲気が出ていていい感じです。
エロなシーンももちろんすごくいいですが、口絵のセクシーさもいい!ですね。個人的には枕抱きしめた煌に萌えました。

他にも香港の地名、土地柄、マフィアについての知識の深さ、実際に現地へ行った経験があればこその、細やかな描写であり・空気感・リアルさだと感じました。慧とともにむっとするような、じっとりした香港の夏を感じることができます。

ストーリーはすべての謎が解けたとき、「そうだったんだ!」と思うと同時に、人を想うこと、恋すること、誰かの幸せを自信の幸せをなげうってでも願うって、こんなに切なくて、素敵で、幸せなことなんだなぁと胸が熱くなりました。

タイトル画とタイトルの意味もラストまで読めばわかるので、このあたりも実に巧いです。これ以外ない!と感じる納得のタイトルです。

李煌がデレる姿は、それまでを知ってるだけに非常に萌えました。エロなシーンも濃厚でよかったです。美形鬼畜ドSな攻めもいいですが、素直になって想いをぶつけあう濃厚エロがとても好きなシーンです。枕抱きしめた煌と、素直な告白がたまりませんでした。このCP大好きです!

個人的にはぜひ続編・サンパウロ編を!と思ってしまいます。
本当に読んでよかった。ぜひ腐印な友人たちにも薦めたいです。

9

一ヶ月早い七夕BL

一ヶ月早く、七夕blのレビューを書きます。この作品は昨年に読んでいたのですが、何となく時期を逸してしまったので。 (追記です)ネタバレにチェックしましたが、本当に大事なところには触れないようにしましたので、未読の方でも大丈夫かと思います。
「愛のカタチは言葉にできない」、これには日本と香港の七夕がとてもドラマチックに描かれます。
主人公は樋口慧、通信社の香港支部所属の特派調査員(要するに、海外で記事を書く記者さんですね)。
樋口は密かにモテるのですが、彼の心の中には忘れられない男、李煌がいます。
8年前に李煌から「大っ嫌いだよ」と告げられて別れ、一度も会えずにいましたが、七夕の夜に二人は香港の街で再会するのです。
怪しい匂いがする李煌とは何者なのか、二人はやっぱり結ばれずに終わってしまうのか!?という、ゾクゾクするストーリーです。
作者の廣瀬航さんは香港を知っている方なのでしょう、香港の街と、日本とは違う七夕が非常に魅力的に描かれています。かといって妙な気負いのない文章であり、冒頭からもうすんなり惹きつけられました。
奈良千春先生のイラストがまた素晴らしい!口絵の李煌のハダカときたら・・・慧が入れ墨に見入る場面の絵なので後ろ姿にシャワーなのですが、ゾクッとくる色気があります。
で、いきなりネタバレに触れますが李煌は香港マフィアの後継ぎのような立場です。
そんな人と日本の一記者が上手くいくとは思えませんが、ちゃんとハッピーエンドに収まります。ここが無理がなくて、巧みだと思いました。
浩字という脇役が出てきまして、ストーリーを丸く収めるキーマンとなるのが実はこの男です。李煌でなく、もう一人の兄さんではなく、第三のキャラに担わせたのは見事だな、と。
この作品はエブリスタと大洋図書の「BL文庫大賞受賞作」で、廣瀬さんもBL以外で著作のあるプロとのことで、もしかしたらこの作品は当初はもっとシリアスになるものだったのかもしれませんね。投稿中に読者の反応をみて、甘めに変更されたのかも、とこれは私の勝手な推測ですが、硬軟自在に書けるような力量を感じました。
昨年、これを読む前に別の方のデビュー作を読みましたが、作者の息切れを感じてしまうようだったんです。続けてこれを読んで、あとがきにまで余裕のある感じに、小説ってこういうのだよなあ、としみじみ思いました。
長くなりましたが、七夕blを読みたい!と思われましたらこの作品もぜひリストに♩

6

紙切れ一枚が彼らにとっては宝物

奈良先生のイラスト買いです。

濃いイラスト満載で大満足でした。
首輪に手首を縄で縛られての騎乗位とか、怒りにかられ無理やり攻める李煌(リーファン)の荒々しさと初めての挿入に痛がる慧の全身の様子とか鳥肌ものでした。

肝心のストーリーの方ですが、
18歳のときに香港から日本にホームステイにやってきた李煌と慧の物語です。1年かかってやっとお互いの気持ちが通いかけたときに李煌がいなくなり8年後、七夕の日に香港のスターフェリーで偶然再会するというところから物語がスタートします。

健気なヘタレ受けの慧にとっては、ツンデレな李煌はいろいろ人生経験を積んでいてセックスもやたら上手く得体が知れない完璧な男に見えるのですが、読み手から見ると(慧の章と李煌の章と交互に入れ替わるので)、李煌のもろさがチラチラチラチラ透けて見えてなんか可哀想なんです。

もの凄いセックスで経験のない慧を調教しますが、これはもうセックスではなく執着の現れのような感じがしました。

また李煌は家庭環境がかなり辛いものなので、自分がこれだけ不幸なら相手も道連れにしてしまえという感じで慧をいたぶります。しかし最初は耐える一辺倒の慧はヘタレであっても男気があるので人の心を失いかけている李煌を癒していきます。

すごくいいのが、慧が李煌を癒そうと思って献身的に尽くすのではなくちょっとした行動で示すこと。要所要所であるのですがかなりきゅんときます。

そして李煌も他人のために生きなければいけないと思い込んでいる慧を救おうとしたわけではないんだけど結果的に慧の殻を破ることになります。

出会うべくして出会った二人という感じがしました。

またこの物語はとある小道具がかなり重要な役割をしています。そこに伏線が張ってあって楽しめました。髄所で切なさを感じさせます。その小道具とはとある紙切れで、それを8年間ずっと大切にしていた慧と、そこに書かれた言葉に救われた李煌にとっては紙切れ一枚が宝物でちょっとうるっときます。そしてその小道具が最後、『ええっ?』という使われ方をしてかなり意表をつかれます。

また内面の書き方がとても上手に感じました。

メンタル破壊され十代で精神年齢が止まったかのような無邪気さを見せることのある李煌や兄の尊厳を持ったままなんとか手に入れようとする李シウ、そして物語を動かすキーとなる部下など様々な登場人物が愛を手に入れようともがいている感じがつぶさに伝わってきました。

惜しいと思ったのは、前半が濃く長かった割には山場が急すぎたこと。
もう少しページ数とひねりが欲しかったような気がします。

エロはとても濃厚で、潮吹きのシーンが二回もあるのですが、初めての潮吹きに怖がる慧と容赦ない李煌がかなりよかったです。














10

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