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廣瀬航先生の作品は初めてなので、拝読させて頂くのがとても楽しみでした。
個人的、各項目5段階で
痛々しい 3
シリアス 3
切ない 3
エロ 3
な感じだと思います。
龍の刺青を背負う男×通信社の派遣調査員のカプです。舞台は香港で、攻めに龍の刺青ということで香港マフィア物の作品です。通信社の香港支部で働く慧は、高校生時代にホームステイに来た李煌(リーファン)と1年間過ごす内、想いを寄せるようになった。しかし香港に帰ってしまった李煌と音信不通になり、それから8年間李煌を探し求め…。
まず、舞台が香港と言うこともあり、キャラクター名や地名、香港にまつわる出来事や行事などが漢字で表記されているので、個人的に、読み仮名何だっけ?どう言う意味だっけ?と前のページを読み返したりして、物語りとは別で少し読み辛かったです。実際の地名なのかも知識が無い私には馴染みが無かったですが、様々な事柄が細かく書かれていました。
香港で再会を果たした慧と李煌ですが、慧は李煌への想いが明らかに分かりますが、李煌の方は少し天邪鬼な言動をしており、よく言えばツンデレなキャラです。なので、李煌も慧のことが好きなんだろうけど、2人の甘い雰囲気は少なめだと思います。
再会した後も高校生時代も挿入無しの絡みで、慧を調教するようなイかせ方をしています。他にも李煌自身が掻きむしった傷や膿だらけの背中を慧が舐めてあげたり、罠に嵌められた慧が、未遂ですが他の男に犯されかけたり、李煌が慧を手酷く抱いたり、兄の李暁が弟に異常な愛を抱いていたりと、登場人物達の複雑な愛や思惑が絡み合ってハードな内容となっております。
天邪鬼な言動をする李煌ですが、李煌視点で書かれた慧への想いが切なくて痛々しくて、そんな李煌と慧に幸せは訪れるのか、是非とも読んでほしいです。
香港が舞台の初恋+再会モノ、マフィアと記者の組み合わせ。肉体的にも痛いが、それ以上に精神的な痛さが半端なかった。相手を想い合う二人が表面上は加害者と被害者になり、交互視点でお互いの辛すぎる心理描写が続く。
一番の山場だけがとても不思議なことになっていた。
慧は複雑な生い立ちで気胸を患っており、何度も日本から香港まで消えた初恋の人を探しに行く執着心を持つ。李煌は事情が複雑なうえに内面まで歪みまくりで難儀だなあという感じ。口調のせいかちょっと黒猫っぽいと思った(動物の)。
悪役である暁の煌への仕打ちは確かに酷いが、慧に誰よりも丁寧に状況を説明したりと、都合の良い立ち回りをしてくれる良き悪役。
後半はむしろ人の話を聞かなさすぎる煌へのもどかしさが大きい。仕方ないのも分かるが、疑心暗鬼でいっぱいの人間を見続けるのはしんどい。
ところどころで出てくる違和感や疑問は、思わぬ回収のされ方に驚かされることが多く、とても面白かった。
暁が真実を知った瞬間から煌への態度を変えたのは、血のつながりがなければ物理的につながないと不安で焦ったってことなのかな。愛の形が一瞬で変化したのも驚きだった。
山場はもう少し緊迫感が欲しかった。慧のセリフが三文芝居のようだし、あの場面で紙吹雪とは。しかも慧の見せ場だったはずなのに、事前に脇キャラに教えられた通りに行動しただけという。ただの操り人形状態で情けない。
メインカプが感情的な執着で進んでいくのに対し、もう一組のカプ(?)は策略を練り頭脳戦で進んでいて、後者の方が山場の印象を持って行ってしまった。自分で考えて行動する主人公が好きなので、慧には物足りなさを感じた。
ダークな雰囲気の中、エロシーンは回数多め。そのエロの中でBのLが始まったり動いたり、キャラの内面が掘り下げられたりするので、読み飛ばせない。気楽に読めるのはラストの甘々エロくらい。
香港描写が魅力的で読み応えがあった。ストーリーが勢いよく進み、飛ばし気味に書いたっぽいテンポが好き。
新作読めたらいいな。
一ヶ月早く、七夕blのレビューを書きます。この作品は昨年に読んでいたのですが、何となく時期を逸してしまったので。 (追記です)ネタバレにチェックしましたが、本当に大事なところには触れないようにしましたので、未読の方でも大丈夫かと思います。
「愛のカタチは言葉にできない」、これには日本と香港の七夕がとてもドラマチックに描かれます。
主人公は樋口慧、通信社の香港支部所属の特派調査員(要するに、海外で記事を書く記者さんですね)。
樋口は密かにモテるのですが、彼の心の中には忘れられない男、李煌がいます。
8年前に李煌から「大っ嫌いだよ」と告げられて別れ、一度も会えずにいましたが、七夕の夜に二人は香港の街で再会するのです。
怪しい匂いがする李煌とは何者なのか、二人はやっぱり結ばれずに終わってしまうのか!?という、ゾクゾクするストーリーです。
作者の廣瀬航さんは香港を知っている方なのでしょう、香港の街と、日本とは違う七夕が非常に魅力的に描かれています。かといって妙な気負いのない文章であり、冒頭からもうすんなり惹きつけられました。
奈良千春先生のイラストがまた素晴らしい!口絵の李煌のハダカときたら・・・慧が入れ墨に見入る場面の絵なので後ろ姿にシャワーなのですが、ゾクッとくる色気があります。
で、いきなりネタバレに触れますが李煌は香港マフィアの後継ぎのような立場です。
そんな人と日本の一記者が上手くいくとは思えませんが、ちゃんとハッピーエンドに収まります。ここが無理がなくて、巧みだと思いました。
浩字という脇役が出てきまして、ストーリーを丸く収めるキーマンとなるのが実はこの男です。李煌でなく、もう一人の兄さんではなく、第三のキャラに担わせたのは見事だな、と。
この作品はエブリスタと大洋図書の「BL文庫大賞受賞作」で、廣瀬さんもBL以外で著作のあるプロとのことで、もしかしたらこの作品は当初はもっとシリアスになるものだったのかもしれませんね。投稿中に読者の反応をみて、甘めに変更されたのかも、とこれは私の勝手な推測ですが、硬軟自在に書けるような力量を感じました。
昨年、これを読む前に別の方のデビュー作を読みましたが、作者の息切れを感じてしまうようだったんです。続けてこれを読んで、あとがきにまで余裕のある感じに、小説ってこういうのだよなあ、としみじみ思いました。
長くなりましたが、七夕blを読みたい!と思われましたらこの作品もぜひリストに♩
あらすじは皆様が上手に書かれているので読んだ感想を。
攻めの李煌の口では嫌いと言いながらも短冊に慧の幸せを願う事を書いたり、マフィアの跡継ぎにさせないように身代わりになったりして慧を大切にしているところにとても惹かれます。このツンツン具合が絶妙で、こんな攻め探してた!という攻めに出会えました。
受けの慧もたびたひ香港を訪れては李煌を探す健気で一途なところが良いです。
視点がころころ変わる進め方は苦手だったのですがこの本は上手く書かれていて苦手意識が出ませんでした。逆に相手のことをどう思っているのかが知れてどちらにも感情移入できます。
そして萌えの山場、李煌が慧と兄が寝てると勘違いして無理やりする場面は奈良さんの挿絵の効果もあってとても扇情的。嫉妬で理性が押さえられなくて余裕のない行動がいい!翻弄される慧も可愛いです。
いいマフィアものに出会えました。次回作も期待。