しっぽを握るのは交尾のお誘い!? 白狐と異郷で奥方修行!

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表題作白狐と狐姻。

稲守、お稲荷様の眷属の白狐、200年以上生きる
七緒、24歳

あらすじ

幼い頃、事故に遭ってから妖が見えてしまう七緒。人目を避けるように田舎の古民家へ引っ越したが、突然大量の妖に襲われてしまう。絶体絶命の七緒の前に現れたのは、狐面をつけたお稲荷様の眷属・稲守。七緒は必死の思いで稲守に縋り、もふもふのしっぽを掴んでしまう。すると稲守は「尾に触れるとは、ふしだらな! 」となぜか激怒。さらには狐面の中の素顔を見た七緒を「奥方にする」といきなり言い放ち、稲守と仔狐の弟子が住む千本鳥居の奥の異郷へと強引に連れていって…! ?

作品情報

作品名
白狐と狐姻。
著者
鴇六連 
イラスト
鈴倉温 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
角川ルビー文庫
発売日
ISBN
9784041035443
4.1

(49)

(21)

萌々

(16)

(11)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
5
得点
203
評価数
49
平均
4.1 / 5
神率
42.9%

レビュー投稿数5

昭和の夫婦と可愛い仔狐たち

初読み作家さん。文章のリズムがとても好きだった。良いタイミングで読点を抜いてくれるので、呼吸にぴったり合う心地良さがある。和風な詰所内の描写が凝っていて、単語を目で楽しむ要素もあって良かった。

孤独に過ごした都会から逃げるように田舎に引っ越して来た七緒と、白狐の稲守のお話。
しきたりを盾に強引に連れて来られた七緒は、稲守の奥方として過ごす日々が始まる。ここで七緒が強制される役割は、まるで昭和の嫁のようで萌えなかった。
敷地から出ることを禁じられ、見送り・出迎えはもちろん、旦那が脱いだ服を受け取るのは当然みたいな。七緒も反応の全てが女子のようで、なおさら貞淑な妻といった様相。そこに賑やかな仔狐たちの子育てが加わり、母であり妻であって男要素ゼロになってしまった。

ストーリーは稲守の初恋が実は七緒だったという王道系。早い段階で恋愛的盛り上がりが終わり、後半は過去の種明かしがくるのを待っている状態。稲守の一途さが分かりやすく、恋愛面は安心感を持って読めた。
だが各所の詰めが甘く、行動原理が一言書いてあれば良い方に変わるのになあと惜しく思う点が多々ある。ただ「帰りたい」と言われても共感できず、帰りたい理由は必要な一言。些細なことだが作品への信頼度に関わり、先への期待値や没頭度合、読む心持ちも変わってくるところだと思う。

ずっと一途に七緒だけを思い続けていた稲守の好感度は抜群。特に好きだったのが、卵を食べる七緒へのお願いのセリフ。純粋にいいなあとしみじみ思える。七緒に対するときだけ、たまにキャラ崩壊してるところも可愛くて好き。
仔狐たちは無邪気で癒されたし、モフモフも楽しめて良かった。
七緒は女子設定の方が違和感なく読めるキャラ。視点主だが内面描写が薄く魅力を感じなかった。

読後感は良い。

0

戦うお狐さま

攻めは「白朱番狐衆」の頭目、白地金襴の陣羽織を羽織り、大太刀を持って戦う最強の白狐。本当ならば、百を超える番狐衆を率いているはずなのに、なぜか館にはちびっこたちしかおらず、日々一人で戦っている。
力という面だけではなく、精神的にも強い人。でもその強さが、弱くなる瞬間があるのがとても萌える。そんなキャラ。

対する受けは、異形のモノが見える以外は至って普通の、孤独な青年。でも真面目で真っ当なので、読んでいて苦痛がないです。するっと入っていける感じ。

嫌なキャラクターが一人もいない、けれどストーリーがちゃんと展開していて、二人の過去に繋がっていく。鴇先生の作品を読んだのは初めてでしたが、他の作品も読みたいなと思わせてくれたお話でした。

3

獣姦あり

狐とかお稲荷様モノが大好きなので、王道でオチは予想できてもやっぱり萌えますね。

子供の頃に犬を事故から救って以来不思議な力を持つようになった七緒。彼は、そのことがきっかけで人と関わることを避けるようになる。
田舎の古民家へ引っ越し、妖に襲われそうになっているところを救ってくれたのは、狐面をつけた男だった。

受けの七緒も不憫で健気で初心で、もちろん可愛いのですが、攻めの稲守が年齢のわりに恋愛面ではとても純粋なんですよ。シッポを握られただけで騒いだり、顔を見られたといっては焦ったり。位の高い眷属様なんだから「ちょっと落ち着け」と言いたくなりますw子狐ちゃんたちもいっぱい出てきて愛らしいです。

二人とも長い間孤独に耐えてきたから、これから先はいっぱい家族が増えるといいですね。

3

異界で白狐の花嫁になりました

稲荷の神域を護る白狐×妖や霊が見える24歳。

受けは幼い頃の事故が元で、髪と瞳の色が変わり、妖が見えるようになった。気持ち悪がられて親や親戚に疎外され、親の死を機に家も追い出されたため、インターネットで見つけた山村の民家に移り住むことになる。
引っ越し当日、妖の大群に襲われた受けは、狐面をかぶり狐耳としっぽを生やした、白狐だという人外の男に助けられる。テンパったままその男の尻尾を掴み、狐面の下の素顔を見てしまった受け。実は尻尾を掴まれることは白狐にとって性的な意味を持つ行為で、素顔を見られることはその人間を嫁にしなくてはならない行為だった…という展開です。

白狐の住む結界内の屋敷にとらわれた受けは、その屋敷に住む眷族のチビ狐(人型和服ケモミミ)たちと仲良くなり、お菓子を作ってやったり手をつないで敷地内を見回ったりするようになります。幼い頃から迫害され続けてきたのに、心根の優しい受けがすごくいい子だと思ったし、チビ狐たちの面倒を見る姿が保母さんかお母さんみたいで、読んでてニコニコしちゃうくらい微笑ましい。
夜だけ帰ってくる攻めとの関係は本番なしで、無理に連れてきたくせにちゃんと受けの気持ちを尊重する攻めに萌えました。生真面目なのに天然ボケ気質な攻めが面白い。いろいろ起こる大小の事件が、すべて受けと攻めの絆を深める要素になっていて、じれじれとした2人の進展を楽しめました。

攻めは人型にも大狐姿にもなれて、途中獣○もあります。
苦手な方はお気をつけください。

6

白狐の純愛

「もふもふ」と「花嫁」の、大好き設定が詰まった和風ファンタジーな1冊でした。おまけに、攻めの白狐の稲守が健気で、受けの七緒を溺愛してるのが萌えました。

七緒は、4歳の時に犬(と思っている)を助けた際に大事故に遭って生死の境をさまよってから、妖が見えるようになります。それだけでなく、髪の色や瞳の色も変わってしまって。
そんな七緒に親も不気味がり、友人もできずに孤独のまま、父親の死をキッカケに田舎の古民家に引っ越します。そして、妖がいないから購入を決めた家なのに、夜中大勢の妖に襲われます。

絶体絶命に陥った時に現れたのは、お面を付けた白狐の稲守でした。助けてもらった七緒は、稲守に懐かしさを感じて離れがたくなって、つい尻尾を掴んでしまいます。
でも、白狐の尻尾を握ることは、交尾をねだることと同じ意味で。
おまけに、稲守にお礼を言いに会いに行った時に、稲守のお面がはずれて素顔を見てしまいます。実は、素顔を人間に見せたら、娶るのがしきたりだったのです。

だから、あれよあれよという間に、七緒は奥方認定されて。
最初は、いきなりの展開に家に帰ることばかり考えていた七緒だったけど、修行中の子狐たちは可愛いし、稲守は優しいし、気付けば寂しさや孤独を忘れていて居心地のイイ毎日で…。
だけど、稲守の寿命があと50年ほどしかないことを七緒は知ります。
なぜ稲守の寿命が縮まったのか、過去に起こした禁忌の秘密とは…。

と進むんだけど、結構早めに2人の関係が想像できちゃいます。
それでも、2人の不器用な関係が可愛くて、最後まで楽しく読めました。
七緒は苦労してきたのに明るいし、稲守は紳士で無理強いしないのが好感持てるし、2人のジェネレーションギャップのような会話は微笑ましかったです。
ちなみに、一度だけ白狐姿の稲守とのエッチシーンがあるんだけど、幸せそうでキュンとなりました。ただ、欲を言えば、2人の赤ちゃんも見てみたかったです。
最後にあとがきを読んで、2人のその後を想像してニヤニヤが倍増しました。

12

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