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表題作いたいけな彼氏

湊郁, 大学一年生, 18歳
薙野優人, 大学四年生, 21歳

その他の収録作品

  • いばら姫と新参王子
  • あとがき

あらすじ

ベンチで熱心に本を読んでいる男は、本好きそうだし、イケメンだ──。出版系サークルの後輩に、新入生の勧誘を頼まれ、構内を物色していた大学四年生の優人。貴重な人材確保だ!!と思ったら、口を開けば無愛想だし、コミュ障気味で空気も読まない。案の定、その一年生・郁は部内で浮いてしまう。俺が責任取って面倒見るか──溜息を隠して構ううち、人馴れしていない郁に全力で懐かれていき!?

作品情報

作品名
いたいけな彼氏
著者
菅野彰 
イラスト
湖水きよ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199008306
2.7

(14)

(0)

萌々

(3)

(6)

中立

(4)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
3
得点
34
評価数
14
平均
2.7 / 5
神率
0%

レビュー投稿数3

大学生同士の手探りの恋

大学四年生の優人(受け)は、サークルのメンバーから新入生の勧誘を頼まれ、1人ベンチで座って本を読んでいた郁(攻め)に目をつける。なかば無理やり誘ってサークルに押し込んだものの、郁は対人スキルが壊滅的で、サークルから浮きまくってしまう。仕方なく郁が部に馴染むまで面倒を見ることになったのだが、無愛想ながら純粋な郁に予想外に懐かれることになって…。


ピュアピュアな大学一年生の攻めと、ビッチな大学四年生の受けの話です。
あとがきで作者さんがビッチだと書かれていましたが、セフレはいるけど根は真面目で、それほどビッチ感はありません。高校生の頃、ノンケと付き合って捨てられたトラウマで、恋愛に関して深入りしないよう、軽い付き合いを繰り返しています。
一方攻めは、問題のある家庭環境に育ったため、対人スキルに問題があります。人と付き合わず、付き合うことに意義を感じていません。そんなコミュ障が、よく言えば人当たりの良い、悪く言えば軽い受けに出会って、欲しかった言葉をもらったりして急速に懐いていきます。

丁寧に描かれた、読みごたえのあるしっかりした話でした。
ですが、受けの初恋のトラウマが、それほど引きずるようなものかなぁ、とは少し思いました。誰にも普通にある失恋程度な気がします。しかも受けの誤解によるところが大きかったし、初恋の相手を含め、セフレ氏やいろんな人に気遣われていたというオチで、ちょっと受けがひとりよがりでした。1人で勝手にぐるぐるしてる受けに、恋愛経験皆無の童貞攻めが振り回されている印象が強かったです。

攻めの成長が著しく、小さい頃のトラウマから抜け出したり、人と付き合うのが嫌なのに受けを好きになって、頑張って気持ちを伝えようとする姿が健気で、とても好感の持てるキャラでした。攻めのほうが大人だというか、今後いい男に育ちそうな気がします。

11

ひな鳥の刷り込み恋

タイトルの「いたいけな」ってどういうイメージあります?
辞書的な意味で言えば「幼気」で、幼くていじましいさま。
読んでみれば確かにその通りの内容なんだけど、なんかタイトルと内容の乖離を感じてしまう。
そのことが結局本作の評価にもなってしまうような気がする。

まず思うのが、郁(かおる)が可哀想すぎる。
可哀想なんていう上っ面な感情も受け付けないような壮絶な郁のこれまで。
「郁」という名前にこめられた呪いのような何か。
名前とは一生逃れられない枷。だからずっと苦しんできた郁が、初めてその名の美しい意味を調べてくれた先輩に傾倒してしまうのはある意味必然。
だから、この恋物語はひな鳥の刷り込み行動に似て、必然であると同時に陳腐なものでもあって。
視点は寄りかかられる側の優人。
優人はゲイで、しかし誰かと深く愛し合いたいとは思ってない。
それは優人の初恋の苦い思い出からくる諦念だけど。

読んでみて感じるのは、やはり優人の薄さ。
もちろん初恋の重みに押しつぶされる心の弱さを全否定するわけじゃないけど、ここまで引きずるほどの絶望に思えなかったし。
一方郁もやはり「優人でなければ!」という部分が弱い。孤独な郁に踏み込んでくる誰か、それが今回は優人だっただけで、これは他の誰かだったら別のストーリーがありえたと思う。そこがこの作品の最大の弱さだと感じる。

書き下ろしの「いばら姫と新参王子」では、本編でクールな存在感を見せていたサークルの部長・平野の視点が重要になってきます。
が、結局平野も優人が好きだった…という話で、ここからあぶり出されるのは優人の無神経さであったり鈍感さ。
結局のところ優人のフラつき具合、そしてそんな優人を中心に、郁・健・平野がユラユラと漂う…そんなイメージが浮かびました。
ただ一つ願うのは、郁が自分の殻を破って欲しいということ。
本の要塞から出て優人の隣で生きる、そこで終わるんじゃなくて、もっと広い世界に踏み出して行って欲しい。

1

確かにタイトルどおりではありましたが…

大学四年の優人は、内定ももらって
所属しているフリーペ―パーを作るサークルには
締切間近が壮絶な事も知っていて
あまり顔を出さないようにしていました。
荷物を取りに行って後輩に捕まってしまい、
泣き付かれ、使えそうな1年生を探す事を
安請け合いします。
ベンチで本を読む男に近づいて
何を読んでいるのか興味をむけるのですが…。

優人の、人たらしっぷりが私にはよくわからなくて…。
ちょうどサークルで使えそうな1年を探してたから、
随分本を読んでいそうなヤツだったから郁に構い始めて
懐かれたら重くなるのは
なんだか身勝手な気がしてしまいました。
人ってそういうとこもあるかもしれませんが。
郁を他人と関わらせたい気持ちは
それが郁の為を思ってのことでしょうけれど
最初のあの頑なな感じを見ると
放っておいてやって…になっちゃいました…。
(そうじゃないと進まないのはわかりつつ)

セフレっぽい健さんとの事もちゃんと本当は好きだったのが
良いんだか良くないんだか複雑でした。
それよりは一番最初の恋人の広大との事があったから
誰もちゃんと好きになれなくて
でも郁だけは…っていうのが好みでした…すみません…。

嫌いな自分の名前のことで、
郁が優人を他の誰とも違うと好きになってしまうのも
そうだろうなぁとわからなくもないんですが
私がなんだか優人に入り込めなくて
モヤついちゃったんです。
優人は面倒見が良いところもありましたけど…。

フリーペーパーみたいに
一回読んだら用は無いものを作りたいと思ってたのに
内定をけってしまうあたりは
郁絡みで熱意に火がついたようで嬉しくなりましたよ。
でもその前に郁を傷付けたのが悲しい…。
郁が可哀想じゃないか、と
ちゃんと最後は恋人同士になるのに
心が晴れないまま読み終えてしまいました。
後輩の平野も気の毒でしたし。
健さんもなんだかんだで優人に振り回されていた感じ…。

こういうふうに思ってしまったのは私だけかもしれません。
申し訳ありませんが中立とさせていただきます…。

6

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