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表題作おまえが望む世界の終わりは

久賀孔太・25才・操演の親方の弟子
阿川佳人・31才・映画監督兼俳優

あらすじ

佳人は8年ぶりに映画を撮ろうとしてスタッフの孔太と出会う。
やむない事情で同居し始めた彼には、傷ついた子どものようなところがあって……。

作品情報

作品名
おまえが望む世界の終わりは
著者
菅野彰 
イラスト
草間さかえ 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
ISBN
9784403524288
3.3

(21)

(5)

萌々

(6)

(5)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
8
得点
66
評価数
21
平均
3.3 / 5
神率
23.8%

レビュー投稿数8

萌えた!というより 響いた!!

2人の出会いとはじまりを描くことが当たり前になっているBL作品の中で、終わりと別れに真摯に向き合った稀有な作品です。

もちろん、メインの2人がくっつくまでをしっかり描いているので、そこは安心して読んでください!

ですが、この作品の主題は、受けと攻めがそれぞれ、自分の今までの恋人と向き合うこと、そして自分の過去と向き合うことにあると思いました。
そのことによってメインの2人の関係は少しも色あせていません。1人ではできなかったことが2人ならできた、という一際特別な関係にあります。

濡れ場のシーンは多くありません。なかなか進展しない2人にじれることもあるかもしれません。登場人物の心情も、すべてを語らずに読者に委ねる部分もあります。
王道のBL作品ではないと思います。しかし、この作品によって、BLというジャンルはまた1つ広がったと思います。

じっくりと深く、心に響く作品を読みたい方にオススメします。

3

甘くない

あえて同性同士でなくても良い、のか? いやー、異性じゃアレか。
人間としてどう相手や社会や自分の人生と向き合っていくのか?
誰かが上手に解決してくれることはなく、末長く幸せに暮らしましたには当然ならない生きていくことを書かせると上手な作家さんですね。
きっと何度も読み返すでしょうし、その度新しい読みかたをしそうです。
萌っていうのとは違うのですが、評価の順番的にこの評価になりました。

3

軽くは読み飛ばせない、内容の濃さ

この作品を、萌で評価するのは非常に難しいです。
色々、たくさんの内容が盛り込まれていて、そのどれもが、しっかりと練り上げられ、書き込まれていて、
引き込まれて、凄く集中して読んだ。
そして、とっても疲れた。
大きくまとめると、時の流れを理解することのお話なのかなと思う。
佳人の心の動きというか、考えや思いが変化していく様がよくわかるように描かれているのだけれど、それは、佳人が、迷い、揺れ動き、自分自身で、自分の中の揺れや迷いを理解していくことを、佳人と一緒に体験しているようなもので、そりゃあ、疲れるわけだ。
甘さのない草間さんのイラストも、この作品に似合っている。
とりあえず、この作品は、体力に余力があるときに読んだ方がいいと思うよ。

3

別れと出逢い

草間さんのイラストがとても雰囲気あって
年下ワンコの情熱に年上美人が絆されるんだと予想して購入させていただきました。
ところが主人公にも脇にも予想より重い設定があったりして
色々と考えさせられました。

俳優もしているゲイの佳人は、
自身が監督を務める作品の操演(火や火薬を扱う演出)を
以前も頼んだベテランの瀧川に任せたかったのですが
打ち合わせに一緒にいた若者・孔太にやらせたいと瀧川に言われ、
更には仕事が終わるまで孔太の面倒見てくれとまで…。

一緒に暮らしているうちにきっと襲われちゃうんでしょ、
早く絆されないかなぁなんて呑気に読んでいたら
そんなに簡単に結ばれるお話ではありませんでした。
佳人からの別れの理由を告げられない元カレ・一哉、
別れを告げた佳人、
ずっと付き合っていてこれからも一緒に生きていくんだと信じていた折
急に突き放された孔太、
突き放した元カノ・繭子。
それぞれの想いに、シンクロとまでは言いませんが
そういう気持ちわかるかもしれない…となって
私は萌えるというよりツラさが感じられました。
でも、いくら好きになった相手でもどうしようもないことってあるし
新しく出逢った事でそこから見える先もあるんだろうな。

こどもは嫌いな佳人が、年下の男なんて無理だと言っていたのに
顔が一哉に似てる理由じゃなくて
遠慮なくあれこれ聞いてくるくせに、ふと核心をつく事を言ってのけたりとか
向き合わずにいられない孔太に自分を顧みる機会をもらったりとか。
自分は大人になっていたつもりがそうじゃなかった佳人、
悲しい過去をちゃんと受け止められたのはきっと孔太だったから。
年下の頼りなさと時折見せる頼もしさが共存していて
年下攻めの醍醐味を味わわせていただき
読後はとても心地よかったです。

操演、今はCGが主流になってしまったそうですが
(そうですよね、危険もありませんし、ちゃちゃっと爆発とかさせられますもんね)
瀧川親方と孔太の職人魂にグッときました…。
怖いと思うことが大事だとか、それでもプロだからやるんだとかいうのって
その世界にいなければ味わえない達成感等あるんでしょうね。
某アーティストのMVの青い焰をつい思い出し
確かに惹き付けられるものがあります。
今作で出て来た廃校舎を燃やす撮影、私も見てみたかったです。
親方の人情も素敵でした。

3

お話がとてもよくできている

暗い暗い雰囲気のお話。BLとしてじゃなくても映画化したら映えるような良く出来た話です。暗すぎるので私は見には行かなそうだけど。ハッピーエンドではありますがそれまでの過程が重すぎるのです。攻めも受けもその元カノも元彼もそれぞれ色んなものを背負っている。人間って生まれた場所や環境で心も体も早く大人になってしまう事は確かにあるなあと考えさせられました。15で不良と…の歌は世代なので私もよく知っています。今聴いてもキャッチーな歌詞だと思います。物語みたいな。

というわけで物語としては面白かったけど、BLとしての萌えは今ひとつだったので神評価にはなりませんでした。ちょっとこの暗さが純文学みたいな感じだったので。でも菅野先生はこういう作風だなって他の作品でも感じた事があります。実力者だとは思います。

2

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