• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作君と僕と夜の猫

綾部智明,32歳,幼馴染みの町医者
柳井夏生,30歳,京都で刃物店を営む

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

※2/26→3/18に発売日が変更となりました。

京都で小さな刃物店を営む夏生は幼馴染みの医者・智明に大切に扱われている。自分たちの間に流れる感情に名前をつけるならそれは?

作品情報

作品名
君と僕と夜の猫
著者
かわい有美子 
イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
ISBN
9784344836525
3.8

(53)

(17)

萌々

(20)

(9)

中立

(5)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
9
得点
197
評価数
53
平均
3.8 / 5
神率
32.1%

レビュー投稿数9

京オトコ×京オトコ

笠井先生の画集から辿りつきました。初・かわい先生です。
イラストとタイトルがとーても素敵だし、京都BL(そんなジャンルがあるのか…)ときて、買わずにはいられませんでした。
これ好きです。たぶん繰り返し読んでしまいそう。
幼馴染みの静かで優しいスローラブで、ゆるやか~にゆるやか~に進展するのですが、京都ガイドブック的な魅力もあって、独特の時間の流れや風情に、こちらの日常を忘れるような心地よいひと時を過ごせました。

刃物職人として自営している夏生と医者の智明は2つ違いの幼馴染み、ずっと一緒(一般的には”べったり”という)だった学生時代からそれぞれの仕事の都合で別れていた期間を経て、今はご近所さんで毎日のように顔を合わせている、、2つ違いっていいな!というのと、長年の付き合いゆえに醸し出されてしまっている、他人が入り込めないような親密さがありすぎる2人の挙動や会話に結構萌えました。いやもう、何も起こってなくても、こんなに仲良しすぎるとザワザワしますよ!

夏生の店のヘルプにきている、恩師の息子・宗近は夏生に好意を抱いているので、そんな2人の関係性に当然ザワザワしちゃうわけで、不器用ながらもアプローチをしていくのですが、、玉砕するんですよね。京オトコの塩対応、結構きっついな、と思ってしまいました。感じよく拒絶の意志表明されるのって、東の人間からするとかなりきつめのパンチです。いやもー、イメージ通りの京都の人がそこにいました。生々しい。個人的には、宗近っていい男だと思うので、どこかで救済されてほしいです。

そんなわけで、”僕が別の人とつきあっても、あなたいいんですか~?”的な攻撃をお互いに仕掛け合った挙句に、”そんなんいやや”(?)の展開になるという、あれ、もしかして、最初から最後まで京風にいちゃいちゃしてたのをみせつけられていただけでは?!と気づきます。京都行きたくなったよー。

ただ、、他の皆さんの指摘されているように、ラストシーンの名前違いは痛恨のミスすぎます。あそこまで、ビンビンだった心のtnkが一気に萎えました…。これ、めっちゃくすぶったため、すごく好きだったんですが、高めの評価をしづらいところです…。100%校正されつくした修正版が出たら必ず購入します。

2

幼馴染もの・本音を隠す京男×本音を隠す京男

京言葉いい……
身近にこんな喋りをしてくれる人がいてくれたらなぁ……。

お互いに相手が「特別枠」な両片思いなんだけど、あからさまな言動はしないし、本音ははぐらかしたまま……
だけど男二人で花見行って膝枕とかしちゃうんですね。
32歳と30歳で「仲良しこよしな幼馴染」というには無理があるんだけど、肝心なことははぐらかしたまま二人で浴衣着て祇園祭とか出かける。

腹に一物を隠したまま、ほのぼのとしたやり取りをする様子はさすが京男同士としか言えない。

攻めの智明も温厚で好ましかったけれど本音が見えなさすぎて……
それよりも当て馬の宗近のほうが好みでした。
こういう無骨で一途な年下キャラが大好物なので。
時折、許される可能な限りで宗近が距離を縮めてこようとするんだけど、それに対する夏生ときたら、いけずぅぅぅ〜……!!
京男、怖いわ。。。。と思いました。

私は宗近推しなので、宗近が不憫でならなかった……。
宗近の気持ちをのらくら交わしてきた挙句「血迷い」だと切り捨てた夏生が不誠実に感じました。
単なる「血迷い」で親父さんの目を盗みながらコツコツとスプーンを作らないって!
それから宗近を泊めることを智明に了解求めるくだり、察してちゃんぽくてちょい苦手……。

恋人モードになってからの智明のほうが好き。
「なっちゃん、こんな声出すんやなぁ」ってところが萌えた。
そして欲がないように見える人なのに、夏生に関しては仄暗い欲を秘めてたとか、結構ムッツリとかその方が人間臭くて好き。

「猫」がタイトルに含まれているわりには、猫感が薄い……
確かに時折登場するんだけど、猫を期待して読んだ私からすると、肩透かしでした。

電子:挿絵なし がっくり。

3

京都舞台

先生おっかけで購入。中盤まで「しっとりよろしいなあ~」だったのですが、少し焦れったかったので萌にしました。あと一押し欲しいような、いやこれが先生のテイストというべきなのか京都という町の持っている味なのか・・本編260P弱+あとがき+後日談2P。祇園さんも出てくるので、京都の雰囲気を楽しみたい方におススメどす。

二年前から京都、麩屋町通で刃物専門店を営む夏生(なつき)。昔、交通事故にあって足に後遺症あるため、毎日自転車通勤です。自転車を出すとき、毎朝顔を合わせるのは、斜め前の自宅で町医者をしている幼馴染の智明。両親とも亡いこともあり家族ぐるみで夏生を気遣ってくれていて・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
宗近(受けの師匠である包丁職人さんの息子、イケメン、1歳年下)、攻め母、兄、ナツキ(智明に懐いている野良猫、表紙の子)ぐらいかな。

++攻め受けについて

まーまどろっこしい。本音をなかなか言わん京都人とよく言われますが、よう無事に思いが通じたこと!読んでるこっちは最後の方まで「これどないなんねん?」とジレッタイことこの上無かったです。
幼馴染の関係やったらこんなもんかな・・?じれったいお話が大丈夫な方でないとツライかも。

事故後遺症で足が不自由やし、父親がやっていた老舗の刃物専門店の暖簾を叔父に譲ることになって、父も母も亡くなりと薄幸な受け、でも健気という感触はないです。凹んでいることもありますが、凹んでいる様子を見せないように強気に踏ん張っていて、読んでるこっちもそれを守らなきゃというようには思わないでした。なんでかな?女々しい、女性っぽい箇所をあまり感じなかったからかな。

そんな受けを町医者ということもあって、なんも言わんとただ温かく温かく見守る攻め。イケメンに朝な夕な見守られるのは破壊力大です。冷えて足が辛くなっている受けを足湯に入れるシーンは読んでるこっちがなんだか照れます。

攻めの側にいたいけど、そんなこと言える訳もなく、攻めに持ち込まれる見合い話やら、受けに思いをつげてくる宗近やらで、ぱっと見、「どろんどろん!詰んでるやん!」という状況なんですけど、淡々と書かれている印象です。しなやかに強かにすり抜け、躱し、最後の最後にというお話なので、もうちょっと盛り上がりたかったんですけど、現代日本京都やし、ぬるっとするっとゆるやかに二人でずっと一緒に、という終わり方で良かったのかも。と思ったお話でした。

2

なんちゃって大長編

良く言えば丁寧に描かれた、京情緒のしっとり穏やかな作品だけど、悪く言えばダラダラして盛り上がりに欠ける作品、という感じでした。
端的に言えば、京都に住む30がらみの幼なじみ同士が結ばれる話なのですが、これを263ページの長編単行本にする意義があまり感じられなかった。

箇条書きにすると、幼なじみが大人になっても近所に住んでいて、偶然を装って毎日顔を合わせている。受けはかつて大事故に遭い、足を少し引きずっている。攻めは事故現場に居合わせたせいで事故に罪悪感を抱いている。受けには言い寄ってくる年下の男がいる。その年下男のせいで長年絶妙な距離を保っていた受け攻めのあいだにぎこちなさが生じ、幼なじみの関係が変化する…という話なのですが、ここに受けの仕事、家庭の事情、京都情緒、遊びに来る猫、攻めの家族などの描写を盛って長編にしています。
でも個人的には、そこまで盛るほど楽しい要素でもなかった。何ていうか、通常のページ数のBL作品に、舞台背景やらの要素を増やして大長編にしたような感じ。不必要な要素ではないのですが、必ずしも必要な要素でもなく、結果的にダラダラした印象でした。

しかもそこまで盛った割に最後が駆け足で、説明すべき事柄が省かれていて、ダラダラ描き込んでる割には説明が足りないという最悪の状況に。起承転結の割合が、起承7割、転結3割みたいな…。
説明すべき事柄というのは、結果的に恋に破れた年下男・宗近の去就であったり、あれだけ描写した攻めの母親や兄の存在がラストはオールスルーだったりということです。攻めに早く結婚しろと母親に言わせたり、受けに攻めの恋愛話を振って不安にさせたり、兄に見合いの話を持ってこさせたり、都合よく使っておいて、いざ受けと攻めがくっついたあとは母も兄も存在抹消。カミングアウトしろとまでは言わないけど、最低限の説明は必要だと思います。

そして個人的には、攻めよりも失恋男の宗近のほうが断然好みだった。年下の無骨な職人男で、時間や技を注ぎ込んでティースプーンのセットを作り、バレンタインにドキドキしながらも平静を装って受けに渡し…そのそっと差し出される愛情を、攻めのことが好きな受けにするっとかわされて…不憫でなりませんでした。私が受けなら絶対宗ちゃんを選んだなー。
あと、皆さん書かれているように誤字が…。気づいたのは二箇所、夏生が自分で「なっちゃん」って言ってるのと、攻めの名前が宗近になってるの。どっちもずっこけましたよ。いちばんあってはならない間違いですよ…。

5

寄り添う心

京都の町屋で、冬のある日目覚める夏生の冒頭から
雪国とは違う厳しく刺さるような寒さだろうなと
想像しながら読み進めさせていただきました。
しかも事故での足の痕の痛みまでツラそうで
亡くなった両親や老舗の刃物専門店“佐用”の跡継ぎのこと、
夏生が不憫でなりませんでした。
ただ、自分で出来る努力を惜しまず
“柳井”という小さいながらも今風の店を構えたのが
芯の強さと負けん気の強さを感じました。

幼馴染の町医者である二歳上の智明がいつも夏生を案じて
声をかけたり夕飯に呼んでくれたりと
優しくて夏生を包んでくれる懐の深さが
とてもお似合いだと思いました。
弓道をやっていた姿も
惹かれない人はいないだろうと思うほど凛々しかったですし
普段の物腰のやわらかさとのギャップはたまりませんでした。

その二人が結ばれて当然なのお話ですが
私はどうしても夏生を想う宗近に気持ちを持っていかれたのです!!
夏生の師である藤原宗義の息子で
夏生より年はひとつ下であっても
職人としては10年先輩というにも関わらず
威張る様なところもなく堺から手伝いに来てくれていて…。
硬派なたたずまいと誠実さが滲み出て
当て馬なのにものすごく応援したくなってしまいました。

夏生へと、心を込めて作ったであろうティースプーンも
親父さんに見つかったら殴られかねないくらいなのに
夏生が欲しがっていたからだなんて健気で…!!!
こっちに引っ越して毎日手伝いたいとか
アプローチも頑張っていて
夏生が程よい距離感でいたいがために
のらりくらりかわしていて、
宗ちゃん、ファイト!!って何度言いたくなった事かww

祇園祭を案内してもらって飲んだ時の告白!!!!
普段言えない口説き文句にうっとりですよ!!!
夏生は宗近を〝お前〟って言うし
宗近は夏生を〝あんた〟って呼ぶし
酔ってるからこそのこの……ああもだもだする!!!

それなのに後日智明にお見合いの話があるって聞いて
いくら気が立ってるにしても
これ以上は宗近に気をもたすような態度じゃいけないにしても
「三十路の男に血迷いな」って言い方は無いと思う……。
夏生だって、宗近がただ一時の気の迷いだとか
そういう恋愛をするような男じゃないとわかってるはずなのに。
冷たく突き放す事が夏生の情だったのかな……。
それにしても宗近が気の毒すぎました…。

京都弁のしっとりした感じも
かわいさん特有の言い回しも
とても楽しませていただいたんですが
私は宗近に気をとられすぎですねww

ただ、智明がむっつりなのは大歓迎です←

7

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP