イラストあり
作家買いです。凪良さんの新刊ということで楽しみに待っていました。内容はすでに皆さま書いてくださっているので感想を。
さすが凪良さんというべきかストーリー展開がお上手で、そして「ニコ」に心を鷲掴みにされ、初っ端から一気に感情がピークまで持っていかれました。
いじめを苦に、自殺まで考えたまだ中学生だったニコ。
そんな彼が、精神的に榮に助けられ、そして『ニコール』という鎧を身にまとい切り抜けた学生時代。
榮だけを一途に思い続けたニコ。
ゲイであるというだけで差別され、心無いことを言われ続けたニコ。
可哀想で、健気で。でも、実は誰よりも優しく懐の広いニコが非常に男らしくカッコよかった。
高校を卒業するときに『ニコール』の鎧を脱ぎ捨てた彼だけれど、でも、ゲイバーでは『ニコール』の愛称を使っている。
自分を守るための鎧だったけれど、その『ニコール』をも愛し、自分の一部として認めているということなのかな、と思うのと同時に、そんなニコがなんだかとても素敵でした。
ニコはもちろん可愛いのだけれど、彼を取り巻く周囲の人たちもとても良かった。
彼を愛し、すべてを受け止めてくれている家族。
そして、ニコが、ゲイであることを引け目なく過ごせる2丁目のゲイバーのマスターや常連さんたち。
切ない片想いと、そしてゲイであることの葛藤を抱えるニコを優しく包んでくれる彼らの存在のおかげで、悲しいだけではなく心温まるストーリーになっていたのが凪良さんらしいと思いました。
一方の攻めの榮もとても好きです。
確かにニコに対してニブチンなところはあれど、ニコに心無いセリフを浴びせる周囲の人に対してびしっと言えるところとか、恋人に対して誠実なところとか、とても好感が持てました。
そして榮の恋人のエンドも。
榮から愛されすぎて自分の『幸せ』を見失ったり。
榮の、ニコへの想いを敏感に感じ取って嫉妬したり。
どうしてもニコサイドから彼を見てしまうのでいやな奴と思ってしまいがちだけれど、とても人間臭いキャラで、ある意味一番共感できたような気がします。
そして、終盤の『After four yeaes』がとても良かった。
本当にいろいろあってやっと結ばれた二人のその後のお話。
4年たった今でも、幸せな二人を見ることができて、こちらまで幸せな気持ちになれました。
『4年後』っていうのがまた何ともリアルでいい。
1年後でも、10年後、でもなく4年後。長いようで、短い時間。
これからもずっと二人幸せでいられますようにと願ってやみません。
個人的に、ゲイバーのマスターと、イケメンのオネエ口調のリーマンさんが気になって気になって…。どちらも男らしくてとってもカッコよかった。
彼らのスピンオフ作品を描いてほしいなと思ったりしました。
凪良さんはとても好きな作家さまですが、この作品は中でもとても好き。とにもかくにも、文句なく神評価です。
発売前にあらすじを読んで、「オネエキャラ!?どんな話だ?」と興味を引かれて楽しみにしていました。
設定が設定なのでコメディかシリアスかどちらに転ぶかなと思っていたら、早々にシリアス展開に突入。
ゲイであることでいじめられ、学校に居場所を確保するためにオネエキャラを偽っていることだけでもきついのに、片思いしている榮(攻)には惚気話を聞かされ…と気の毒でしょうがなかったです。
攻も実はゲイで、別の人に恋しているという設定は『散る散る、満ちる』と被っていますが、今回は榮と当て馬・エンドが付き合うところまでいっちゃっている上に6年越しの片思いなのでより重傷かな。
榮の魅力が今ひとつというレビューも少なからずありますが、ニコを守るために大人やクラスの大勢を相手に戦うのはなかなか出来ることではないし、逆に恋愛に関して鈍いところが人間くさくていいなと感じました。
スマートな大人のやり取りや気の利いたセリフは出てきませんが、メールの返信を待つドキドキ感や好きな人に振り向いて欲しくて焦る感覚など、等身大の駆け引きが表現されているのも良かったです。
後半、スニーカーを捨てた故郷の思い出の草むらの中で2人が抱き合うシーン。
"草の隙間から、高校生のニコが今の自分たちを見ていたらいいのにと思った。" という一文が切ないです。
実現することのない願いですが、ラストで榮とニコが中学生の直行に「楽しいこともあったし、楽しくないこともあった」けれども、「今はめっちゃ楽しい」と伝えた時に、別の形で願いは叶ったんだと思いました。
辛いことを経験してきたニコだからこそ直行への言葉は説得力がありますし、今のニコたちを見て救われる人間がいるのはニコにとっての救いにも繋がっている気がしたからです。
なにはともあれ、ハッピーエンドで良かった。
大好きな凪良さんの最新刊ということで、楽しみにしてました!
こちらのレビューを読んだ後、本を読んだので大まかな内容は把握していたもののやっぱり切なかったです。
ニコが片思いの苦しみや、田舎暮らしならではの周囲の目、様々な苦難を笑いながら過ごした少年時代を思うと、こっちまで辛い。
榮のことなんか、さっさと諦めてしまえば楽になれたのに。上京した後も忘れられず、田舎から持ち出して来てしまったスニーカーとTシャツと恋する気持ち。一生懸命で健気なニコは、私から見ても愛しくて仕方なかったです。
一方の榮は、良くも悪くもフツーの人でした。ただ恋愛の対象が同性ってだけで。ヒーローではあるけど、ニコの想いに気付かず、意図せずしてニコを傷つけ続けてた彼が恋人と別れた後すぐ告白するのに、少し違和感が。
榮を好きだった十代の頃は、楽しいことよりも圧倒的に辛いことの方が多かったはずなのに、ニコはよそ見する事なく、貞操も守り続けてきたわけで。榮はエンドのときといい、ニコのときといい、拍子抜けするくらいアッサリものにしちゃってるし。
でも、ニコが幸せになれたならそれが一番ですね。
ちなみに私は、『たけのこの里』派ですが『大人のきのこ(の山)』は美味しかったです。お菓子の話です。
表紙を一目見た瞬間、引き寄せられました。 田舎の壮大な自然の中に儚げに笑いながら立つ少年...頭にはリボン、制鞄にも可愛いキーホルダー。そしてよく見ると涙を溜めている... 迷わず購入しました。凪良ゆう先生の作品は何冊か読みましたが、『美しい人』と並ぶくらい好きな表紙です。yoco先生、ありがとうございます。
表紙だけ見ると、オネエ系の少年のお話に見えなくも無いですが、違います。田舎の生真面目で可愛いニコという青年の長い片思いのお話でした。ニコは、田舎でいじめられないようにオネエキャラを演じていただけで、実際にそういう話し方をしているシーンは殆どありません。
彼が中学の時から片思いしている相手は、エンドという恋人のいる榮。ニコといい、榮といい、今時の名前っぽくて現代感が溢れ出ていました。笑 ニコは榮のことが好きで、ずっと恋していて、でもそんな片鱗も見せず榮と友達として付き合います。高校時代のニコは、本当に救いがなくて可哀想で、涙が出そうでした。榮も鈍感すぎますが、友達想いでいい奴なので憎めませんでした。
高校を卒業して、上京した後もニコは榮に片思いし続けます。渡せなかったプレゼントと、思い出のTシャツを部屋に飾るニコが不憫でした。涙
そんなニコは、ある事件をきっかけにその想いに区切りをつけようと決心します。好きな人、好きな物でも、ある瞬間から好きな気持ちが薄くなり、今も好きだけど前ほど好きじゃなくなる。そんな気持ち、すごく理解できます。そしてそんな段階まで来てしまったニコの片思いに悲しくなりました。
そしてついに榮はニコのことを好きな自分の気持ちに気づきます。タイミングが悪い奴ですね...そこからは逆転劇で、榮の片思いが始まります。ここからは、榮の視点になるので、ニコの可愛らしい姿や素振りの表現が増えます。笑
そんな二人が同じベッドで寝るシーンは萌えました。榮はニコにキスしたい欲求と戦いますが、必死で堪えます。ニコが何年も想ってくれていた気持ちを蔑ろにして、ケダモノになってしまうところだった、と反省する榮にニコを大切にしてるという想いが伝わってきました。
そんなこんなで至れり尽くせりの榮に、ついにニコが彼の想いを受け入れます。長かった片思い!やっと成就した時には涙が出ました。そしてその後の初エッチ。ヴァージンのニコに興奮してしまいました。笑 それまでの切ない雰囲気から一転、コミカルに逃げたような濡れ場でした。それも彼ららしくていいんじゃないかと思います。笑
後書きにもあったように榮は普通の男の子で
ニコだって片思いする普通の男の子で、。
榮がニコのことを好きになって、でもニコはもう榮のことを好きでなくなっててっていうのが切なかったです。私はニコ推しで読んでたので、後半は榮目線になって、少し物足りなかったかなぁ。
ニコの気持ちの動きが分からないのにパッパッとくっついちゃったように感じました。
けど、、前半はほんとに神でした。
高校でニコールを演じるニコがなんだか哀しくて、。
だけど本心を隠してキャラを演じてるっていうのがわたしのタイプど真ん中なので美味しかったです。
キャラだと知っててニコールもニコも受け入れてくれる榮も友人としてはすごくいい人だった。
高校卒業のときにニコールからニコに戻るところが1番素敵でした!
高校卒業と共にニコも榮も上京するんだけど、上京あるあると田舎あるあるを喋ってるシーンがあって、上京した私もわかる〜って共感しました(笑)