学園祭で、男ばっかのバレエ――!?

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表題作少年はスワンを目指す

原宣広・無口で無表情なクラスメイト
櫛形直人・不機嫌オーラで誰も寄せつけない転校生

あらすじ

転校生の櫛形は、王子様な外見とはウラハラに、いつも不機嫌オーラで身を包んでいる。
他人を寄せつけない櫛形のことが、原はなぜか気になってしかたない。
そんな中、原のクラスは学園祭で「男子バレエ」を披露することになる。
バレエ経験者・櫛形のスパルタ指導が始まり、二人の距離も変化し…?
大幅加筆&書き下ろし、榎田尤利の青春ときめきボーイズ・ラブ傑作!!

作品情報

作品名
少年はスワンを目指す
著者
榎田尤利 
イラスト
黒井つむじ 
媒体
小説
出版社
リブレ
発売日
ISBN
9784799730355
4.2

(60)

(33)

萌々

(16)

(8)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
13
得点
254
評価数
60
平均
4.2 / 5
神率
55%

レビュー投稿数13

さすがの作品

榎田尤利さんの作品は、萌える萌えない、の差こそあれ、良い作品が多いです。

今回の作品も萌えるか?キュンキュンするか?というと、個人的な萌えポイントとしては、ズレてるのですが、彼らの時の流れというか、映画的なというか、読まされました。良い意味で。
ホントに映画化されてもおかしくない。

青春ですよね、そして青春を超えたところにある青年期にもまた試練があって…その試練を誰と越えるのか?孤独に生きるのか?葛藤の中に差し伸べられた手。
あの体育館で見たものが人生を左右していくような、大きなストーリーを描いているなって思いました。さらなる後日譚を読みたいです。

0

青春学園祭もの、ひねりがあってとても面白かった

学園祭でバレエの出し物に向けて個性的な男子学生5人で青春まっしぐら…な話でした。
男子学生でバレエがミソですよ。。しかもスワン。榎田先生らしく、一皮むけています。
いやー、青春瑞々しさにキュンとしつつも、笑ったり泣けたりと隠れた名作でした。
彼らと一緒にもう一度青春時代をなぞらえた気分になりました。
学園祭ものって古今東西の漫画家や小説家が描き尽くした感があるのに、こんなに楽しめるとは…。

もともとは2000年の初頭に出版されたものの新装版で、大幅加加筆され現代版にアレンジされているのか、古臭さがなく、今読んでも新鮮です。 表紙やイラストも新装版の方がイメージ通りで合っているように思います。何気ない日常をまるでポップ絵本の様に、生き生きと楽しく躍動感を持って表現できるのは榎田先生ならではですね!

ヒーローであり、ヒロインでもある櫛形王子はツンデレ度が◎だし、超硬派な原も良い味を出していてとても萌える凸凹カップリングでした。サブキャラも楽しいキャラクターばかりで、彼らの何気ない日常のやり取りが楽しめました。等身大の男子学生感が良かったです。

10年後の書き下ろしがなかなか洒落ていました。読者からすると「アレ?アレ?」とはてなマークで進むのですが、最後は大どんでん返しで鮮やかフィナーレが待っています。読み終えてとても爽快感がありました。 青春キラキラで終わらず、人生の苦味も残るところも良いです。
これからも王子と原には我が道を邁進して欲しいな。

流石に人気作家さんの作品は昔の作品でも、光るものがあるな…と感心しました。榎田先生はどう転んでも小説家になられる方だったんだろうなぁ。。高い文章表現力に加え多作で。ホント天職ですね!あとがきで一般ものでも大活躍されている先生のBLへの想いを再確認できて嬉しかったです。

0

先生のバレエ愛を盛り込まれた王子

ああ、高校生・・・可愛い。青春なんて全く遠----い彼方なおばはんだから、余計にそう思うのか?なんて可愛らしい青臭い高校生たち。+そこに先生のバレエ愛をてんこもりに盛り込まれたキレイ系毒舌王子です。おかしい。高校生なんて範疇外なはずなのに。色恋沙汰もきゅんきゅんするし、王子の魂にすり込まれたバレエ愛にも萌えに萌えたので神より萌2です。芸術のお話が好きな方にはオススメしたいー。王子好き。
お話は2003年に小説b-boyに掲載された3編+書き下ろし2編。旧版に書き下ろし1編を追加したという内容です。

舞台はもうすぐ2年になる春休み。友人のタカアキと学校の体育館横を歩いていたハラセンは、体育館内の平均台の上にあったキレイな立ち姿に目が釘付けになります。そのキレイな王子は二人に気付くと、花のような唇で「じろじろみてんじゃねーよっ」と宣って(笑)・・・それがお約束、転校生でした! とお話は始まります。

登場人物は高校生5人に王子の姪っ子ぐらい。皆個性あり役どころをちゃんと果たしていて面白いし読みやすいし、最後の書下ろしで姪っ子ちゃんが効きていて、楽しい。
そして随所で小技が効いているから、あーいるいるとシンクロしやすいのかもしれません。委員長(タカアキ)が花粉症で「ぶえっくちょ」(漫画のくしゃみシーンが脳内に湧き上がる(笑))とくしゃみしたり、父親と仲悪くて殴り合いするのに父親は母親に諭されてすごすご引き下がったり、タトゥー入れたがるような双子なのに「ママに目覚まし買ってもらおう」って言ったり・・・。なんてことのない普通な人の普通な日常を書き込まれているから、皆の側を制服着て歩いているように感じられました。一日だけでいいから高校生に戻りたいわー

もう一つ大好きなのが、王子のバレエ魂。ある理由によりお休みしていたバレエを踊る羽目になるのですが、曲を聴いたら内面からバレエ愛があふれるあふれる。このシーンは何回読んでも、うっとりです。バレエの神様に魂持ってかれたんだよ、王子。あきらめて一生踊ってて、たまにでいいから地上に降りてきてハラセンに甘やかされようね(笑)

高校生らしい笑う箇所もあり、バレエ愛にうっとりするところもあり、二人の青臭い、でもお互いを大切に思う気持ちなど、素敵な本でした。読んでよかった。
最後に忘れてはいけない、必読★★カバー下!!!旧版は2000年代のため多分ないのでは。ハラセン、王子、委員長のLI〇Eです、爆笑ものなので絶対チェック!です!

0

口の悪い白鳥の王子

旧版未読です。
元は2004年刊行との事で、初期の榎田尤利さんの読みやすさだなぁというのが第一印象。(今が読みにくいという意味ではないですよ!)
題材が高校生、というのも関係あると思いますが、何しろクリーンで甘酸っぱい。
彼らはそれぞれ怪我で夢が断たれていたり、母親が深刻な病気を抱えてたり、父親とうまくいかない息子であったり、と問題はあるのですが、決して暗くない。年相応の明るさと未来と刹那性・今あるべき楽しさがちゃんとある。
あと、ハラセンが櫛形に初めてキスしそうになるファーストシーン。多分ここはハラセンの内面やらその場の情景やら、ハラセンの目に映る櫛形の魅力をあれこれ書く部分だと思うんです。でも、本作では余りくどくどと描写せず、逆に唐突気味に描いてる。そこに頭で考えるより衝動が勝る感じとか、大人がそうあるように求める高校生の性の感じ(ドロドロしない性欲)が読み取れるのかな。
2人の初体験が朝チュン気味なのもいいし。
ただ、新装版の書き下ろし「Happy ending?」が……
長い恋愛期間、色々あるよという事なんだろうけど、このミスリード的描写はあざとさを感じる。
Hで解決というのも安易なような。
どうせ良かったねで終わるなら「春を待つジゼル」でそのまま終わっても良かったかな、というのが私の感想です。
あと、イラストでハラセンと櫛形のフィッシュのポーズ場面がページの真ん中になっちゃってて残念!でした。

0

BL版カブキブ! ただしバレエ。

今度アニメ化される榎田さんの人気作「カブキブ!」がBLだったら? といった趣の青春小説(&LOVE)です。少し前の作品を今の時代に合うように修正しての復刊だそうです。(旧版は未読)

1冊で終わるみたいだし、まぁ試しに…とあまり期待せずに読んでみたのですが、面白かったです。さすが、榎田さんはキャラ造形が上手いですよね。みんなとっても魅力的なんです。文章からフワッとビジュアルもイメージ出来るし、今すぐにでもアニメ化出来そう!って思うようなキャッチーさがありますね。
この作品では、高校生BLものならではのキュンキュンドキドキと、青春小説ならではのワクワクが同時に味わせます。ほんと楽しかったなー。

カブキブ!で榎田さんを知った若い人が、「BLも…」とドキドキしながら最初に手を出してみるには、ちょうど良い一冊だと思います。Hシーンはありますが、控えめ描写になっておりますので。

ラストの描き下ろしエピは、途中どうなることかと心配させつつ、きちんとハッピーエンドに着地しました。よかった!
気負わず読んでみてください。

1

恋と夢と友情で、輝いている青春の1ページ

櫛形(通称王子)はバレエダンサーを目指し海外留学までしたのに、大きなコンクールの予選を通過した時に怪我を負い、夢と希望を失い帰国して入学した高校で出会ったのが個性豊かなクラスメイトでした。
何もかも失くしてヤケになっていた王子が恋を見つけて夢に向かって再び歩いていこうと思えるまでの1学期の間の出来事です。

幼い頃からダンス漬けの日々を送りプロになることだけを考えていた少年が失意の中で恋と友情を得て立ち上がってくる日々が眩しかったです。
外見は王子様だけど口も態度も悪い櫛形に一目惚れしてしまったガタイのいい見た目はハードボイルド系の原が、心の中で櫛形を可愛いと思ったり抱きしめたいと思ったりキスしたくなって必死に抑えている想いが可笑しくて可愛かったです。

ほかのメンバーも個性豊かです。
ヒップホップ系ダンスに夢中でマザコンの双子の兄弟。喧嘩っ早そうだけど案外素直で単純な子達。
優等生な委員長は、子供を言いなりにさせようとする関白な父親に時に殴られても負けない。
学校生活になんの期待もしていなかった櫛形が、学園祭にバレエ公演を上演することを決めてから巻き込まれるように5人が中心になって練習していくうちに芽生えていく友情や、ダンスへの情熱を再確認していく姿に応援したくなりました。

今回、新たに加筆修正された新装版でスマホやLINEでの連絡が追加されたようですが、内容に時代感はなく高校生同士の恋の芽生えや遠恋の焦ったさにくすぐったような気持ちで読みました。

今回書き下ろされた最終章で10年後の彼らの姿をみせてもらえました。
旧版がきっともう一度ダンサーとしてチャレンジしていくんだろうなと思わせるような終わり方だったので、やっぱりと思いながら、そしたら遠恋でどうなっちゃうんだろうと思ったその先が読めてすごくよかったです。
旧版で感動した方にも、未読の方にも是非この新装版を読むことをお勧めします。

寿さんのかわいいイラストも好きですが、黒田さんのイラストも合っていてとてもよかったです。
目次で5人のメンバーが揃って顔を見せてくれたのもよかった。読んでいて場面のイメージが頭に浮かぶようでした。

5

男子高生の、眩しいほどにキラキラな青春。

どう考えても神でした………( ; ; )素敵な時間をありがとう………( ; ; )

榎田さんのリブレ大版、エロティカ、スリーサムに続いて3冊目です。普段は電車などでディアプラスとか片手に収まる大きさの本をよく読むので、重くて少し不便でした。270ページほどで、1Pの行数も文庫版より多いですが、あっという間に読み終えてしまいました。
メインは、無口で大柄な原×王子のようなルックスなのに口が悪い櫛形。さらに、クラスで委員長を務める孝明と、仲良しでヒップホップダンスが得意な金髪双子・ロクッパチを加えた5人が中心人物です。はじめの3章は櫛形が転校してきてから文化祭を経てバレエを再開し、母親の病の関係で転校を余儀なくされた原との遠距離恋愛、高校を卒業するまでが原・櫛形視点と切り替わりながら描かれます。
BLでないものも含めて青春小説がとっても好きなのですが、本当に、男子高生のキラキラしたパワーと一体感は女子のコミュニティでは絶対に味わえないし、だからこそ魅力的に見えると感じます。文化祭のシーンは、本当に、みんなが高校生として鈴鳴高校で生きて、青春しているのだと思わずにはいられません………。大人になって失われたものの存在を思い出します(笑)
もっとすごいのは何と言っても後半40ページ。2人が付き合い始めて10年後の話です。直前までのラブラブシーンからすっ飛んで突然櫛形との別れ話、しかも原は結婚式の前日って話になってるのでどうしたことかと思いますが(笑)、読み進めていくうちに少しずつそこに至る経緯と今の状況が種明かしされていきます。この辺は本当に文が上手い人にしか出来ないギミックで、流石榎田尤利という感じ。ゆっくり謎が解かれていって、最後の結婚式シーンで入場する時、読者がずっと気になっていた部分の種明かしがなされます。ネタバレありにしてるんですが、これは実際に読んでほしいので伏せます!感嘆したので是非ご自身で読んでください!(笑)(といっても他の人のレビューには答えあるんですが………笑 事前知識なく読むと、本当に見事な伏線回収でどきっとしました。)

榎田さんの作品、どれも心理描写が丁寧で展開もスムーズなので安心して読めます。厚くて重い割にはあっという間に読み終えてしまって、もったいない気持ちにすらなりました(笑)1400円と少しお高めですが、青春モノ好きなら損はないかと!エグさもないので、BL読まない人や初心者さんでも入りやすいのではないでしょうか。とても完成度の高い一冊でした。

6

切なさあり笑いありで楽しめました

怪我でバレエを諦めていた櫛形が転校先の高校で自分の殻をやぶり再び踊る道を選ぶ青春もの。
見た目は王子なのに口が悪い櫛形をはじめ
登場するクラスメイトもキャラがすごくいいです。
どでかい身体をしているのに真面目で直球な原の不器用さも大好きでした。

学際での男子バレエ披露に向けて取り組む姿や衣装を決める掛け合いには笑ってしまいました。
そして、櫛形と原の高校生らしいじれじれした関係もよかったです。(青春ですね)

原が転校することを告げる屋上のシーン
原お母さんの入院する病院の屋上のシーン
切なさと優しさがあってうるっと来ました。
そして委員長の結婚式直前に復縁した二人の切羽詰まったラブは最高でした(^^)

3

面白かったけれど。

旧版は未読。非常に榎田さんらしい作品だったな、というのが読後の感想です。

5歳のころからバレエ一筋。美しいビジュアルに才能もあり、努力家の櫛形くん。けれどひざを故障してしまい失意のうちにバレエから離れることに。

という、喪失感を持つ受けくんが、通学する高校の学園祭を通し徐々に前向きになっていくお話。

その展開を軸に、櫛形くん(受け)、櫛形くんに恋しちゃった原くん(攻め)、二人の友達のタカアキくん視点で話が進むので登場人物たちの気持ちが分かりやすく、また『バレエ』に関しては妥協を許さない…、のだけれどコミカルでギャグ要素も入りつつ進んでいくストーリー展開で、さすが榎田さんというべきかとても読みやすかった。

ただ、榎田さんの初期の作品だからなのか、展開が急すぎるところが非常に気になりました。

原くんが櫛形くんに急にキスをするシーン。
1章目は原くん視点で話が進むので、彼が櫛形くんに行為を持っているのはわかるんです。が、櫛形くんがそれを受け入れたのがちょっと急すぎた、というか。それまで「いいお友達」だったのに、あれ、いつの間に櫛形くんはそんなに原くんのことが好きになってたの?と思ってしまった。

それと終盤の別れ話のところも。
別れ話が出るのは別にいい。櫛形くんの葛藤や気持ちは理解できる。
高校生の時に晴れて両想いになって、ラブ度がぐっと上がった後、急に10年後になってて、別れ話になってて…、という展開に一瞬ついていけなかった。その、10年という月日があっての櫛形くんの葛藤がうまれるんであって、10年間の二人の軌跡がまったく書かれていないので感情移入しづらかった。

榎田さんらしくリズムよく進むストーリーに、好感度の高いキャラたち。
面白かったですが、榎田さん作品という事で個人的にハードルが上がっちゃってる部分があって。なのでごめんなさい、評価は『萌え』で。

0

旧版と比較しながら読んでも面白い

旧版のノベルズも持っていますが、榎田先生の作品、しかも加筆修正+書き下ろし付とあっては買わないわけにはいきませんでした。
結果、買ってよかったです!!
旧ノベルズ版は、「青春小説にちょっと恋愛」って感じでしたが、こちらはLOVE度が上がって、「青春恋愛小説」になっていました。大満足です!!
挫折してしまったことで周囲を拒絶する櫛形とそんな彼が気になって仕方ない無骨な原。
この二人を改めて、その後日談付で読めたのが嬉しかったです。

2

青春ものは良いのですが。。

個人的に昔の作品を改稿したものはあまり当たりがない印象なのですが、榎田先生の作品なので、期待して購入!
読み応え抜群のボリュームです。
青春もの大好きなので、この世代特有の青臭さを楽しむことができます。
BLメインというより、挫折して周りを拒絶していた受けの再生物語といった印象です。
何より残念だったのが後日談。
せっかく高校時代の甘酸っぱい青春話が急に色褪せたかのような別れる別れないの話に展開していて残念に感じました。。

2

貫け!LOVE!

結構なボリュームのお値段それなりの単行本ですが、楽しくってぐんぐん読めた。
榎田ユウリ名義で刊行中の高校カブキ部に通じる、芸道蘊蓄と青春物の楽しさに、
とにかく「恋に落ちてしまった」、それだけで10年以上、それ以上の恋愛関係を貫く、これぞBLな恋の物語、プラス、ちゃんとドキドキのお初エッチも、久々のがっつきエッチももりもりで、
そして、最終章。
ちゃんと話し合って誤解を解いて、大あわてで仲直りエチ。
みんなが幸せな最後のオチ!
カバー下のオマケも、今現在の高校生だからこそのオマケ。
イラストも二重丸。

7

青春とLOVEのハーフ&ハーフ

「(タイツなんてはいて)チャラチャラ躍って」「男のくせにバレエなんて」
そんな馬鹿げた偏見を軽やかにとびこえていく彼らを、爽快に思ったのが旧ノベルズ版でのこと。LOVEよりも『青春』小説という印象が強く残っていました。
今作はというと、付き合って10年後の彼らが登場する書き下ろし付きで、萌えが増量。大幅加筆もあって、青春とLOVEのバランスのとれた作品となっています。

王子様のような容姿とは裏腹に、勝ち気で口の悪い櫛形。
(弱さや不安をひた隠し、プライドを持ってがんばる姿は私のドストライク!)
一方、我慢強く男気タイプの原。
(硬派そうでいて、頭のなかで櫛形のことを何回、可愛いと言っているのか!?)

無骨な攻めがひっぱっていくとか、可愛い受けが甘やかされるという図式ではなく、前に進んでいく要所要所で手をとったりとられたり、攻受の対等性が強く伝わってきます。
それは改稿されたHシーンにもちらりとあらわれていて、人生に1回しかない初体験のきらめきがハンパないです…
(しいていうなら、幸せMAXすぎて、私はエロい気持ちになれなかったという欠点がありますが、この先も彼らはお互いのカラダしか知らないのかも、と思うと激萌えますし、書き下ろしでエロは補充)

そして、彼らの会話に安易な慰めや気休めの言葉はありません。
久しぶりに踊る櫛形に原は「大丈夫だ」と声をかけます。
それは「きっとできる、大丈夫」ということではなく、「失敗してもいいんだ。みんなうけとめてくれる、大丈夫」の意味だと思うのです。

「高校生って、キラキラまぶしい!」という高揚感に身をまかせたあとに、一歩ひいて彼らに目を向けてみると、冷静かつシビアに現実と向き合っていることに驚きます。
軽快でコミカルな印象が表立ってはいますが、どちらかというと奇抜な設定のない、地に足のついた作品ではないかと思っています。

どのシーンが変わっているかを読むことで、榎田先生の意識したポイントやバレエ愛も伝わってきて、ファンとしては非常に面白いです。新旧を比べたことで感じた完成度の高さから、神評価にしました。

カバーも忘れずに外してね。

16

この作品が収納されている本棚

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