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半裸の男と万札だらけのベッドの上――!?
ハルイチ先生の初単行本を拝読させて頂くのがとても楽しみでした。
個人的、各項目5段階で
切ない 4
エロ 2
不憫 2
女 1
な感じだと思います。
今作は表題作が5話分と短編が1作品同時収録されています。
借金持ち大学生×元小説家のカプです。大学生のゆうきくんは、クズな父親の所為で500万の借金を抱え込まされてしまった。自棄になって飲んでいたら、いつの間にか飲み屋で知り合った男とベッドの上で、更にはベッドに散らばっていたお金もあげると言われてしまい…。
借金の所為で自棄になったり、就活での度重なるお祈りメール、ゆうきくんの荒んだ心は元小説家の直さんの言動で気が楽になり救われます。借金の問題も直さんから貰ったお金で無事解決。そのお金は肉体労働という体で身体で返してと、直さんと身体を重ねますが、その後はゆうきくんがちゃんと働いたお金を直さんに返済しております。
そして次は直さんの方。元小説家で実はゲイ。何故小説家を辞めてしまったのか。それはゲイであったことが原因で、周りの他者からの辛辣な言葉が心苦しいです。直さんの心の傷にゆうきくんはどんな言葉を掛けるのか必見です。
そして表題作より、個人的に好きだったのは同時収録の短編です。
物語りは2304年で、人口は減少の一途を辿ってしまい、男の人口は2割に満たない世界。その為、世界では同性愛禁止法という法律が定められた。そして人類の存続の為、様々な女を抱いて遺伝子を残していかなければならない。そして法律を破ると矯正施設に入れられ、一生精子を搾取される。それがこのねじれた世界での正しいこと。
BL作品ではありますが、物語りの設定上、女性との絡みが少し描かれています。
同い年の泉水くんと誠くん。いつも一緒にいる2人だけど…。正直、言動からどういう心情なのか分かってしまうのですが、だからこそ切なくて辛い。「好きだよ」と想いを伝えた後に続く言葉が「ごめん」なんて…。読んでいて目に涙が溜まります。家族や友人とかじゃなく、世界から否定された命懸けの想い。物語りのその後を考えしまうと更に切ない余韻に引き摺られますが、凄く好きな作風です。
めちゃくちゃ明るくて、楽しいハッピーエンドな雰囲気ではないですが、2作品とも切なくも繊細で美しい物語りです。是非とも読んでほしいです。
もう一歩〜
もう少しで神評価でした。
内容としてはとても良かったんですが、色々な伏線が回収しきれないまま終わってしまっています。
まず、借金を残したゆうきの父親の事。
それから、直の元編集に対する今の気持ちと、その元編集自身の直に対する気持ちがどういうものだったのか…。
ただ、最後の描き下ろしはとてもよかったです。
同時収録作の「ENDLESS WORLD」は最高でした。
同性愛禁止法とは…斬新です。
とても切なかったし、読後の余韻がたまらなかったです。
このあと2人がどうなるのか?それを考えると胸が苦しくなります。
こちらの作品は以前ちるちるさんのインタビューを読んで気になっていたので購入してみました。
大学生の上条が突然父親の借金500万を背負うことになり、少しやけくそで居酒屋で1人で飲んでいたところに小野寺が居合わせ自分の身の上を話すと、笑って聴いてくれる、とにかく愚痴をうんうんと聴いてくれる。
おもわず泣いちゃう上条。朝起きたら大金と隣で半裸で寝ている小野寺。
500万持って行っていいというけど、そんなわけにもいかず帰るのですが、また小野寺に会ってまた一緒に過ごします。
小野寺がなぜこんなに大金をもっているかというと、小説家で以前描いた小説がヒットしてその印税らしいけど、自分は使わないからと借金返済に貸してもらうことに。体で返してくれたらいいからと、関係を持ちます。
小野寺はいつも笑顔で上条を励ましてくれるので、本当に色々うまくいくんじゃないかと思わせてくれる大切な人に徐々になってきて。
最初は体の関係から始まった二人だけど、徐々にお互いのことがわかってきて、好きになっていきます。小野寺は昔元担当者とのことが好きだったけどキス写真を撮られてしまったせいで小説家をやめてしまった過去があって、自分のせいで元担当者が別の部署に異動になったり心にトラウマを抱えています。
今度は上条のおかげで前向きな気持ちになれる小野寺。お互い立場は違うけど支えあえる相手がいるのは良いなと思えたし、足りない部分を補いあえる関係に萌えました。
デビューコミックスとのことですが、絵が綺麗だしお話も好みでした。
また、次回作があるようでしたら、追いかけたい作家さんです。
父親がカジノで作った500万の借金を背負わされた就活生攻めが、ヤケ酒中に出会った元小説家受けに愛人契約を持ちかけられるお話です。
年下攻めで、攻め視点のお話。
「借金をかたに愛人契約」モノは、金を出す方が攻めで借金持ちが受けというのが王道だと思うのですが、この話は逆でした。個人的な好みから言えば王道の方が好みではあるものの、まあ新鮮さはあったと思います。
受けも攻めも、あまり好きなタイプではなかったです。受けは明るい割に卑屈だし、攻めはなんか綺麗事ばっかり言ってるし。でもお互いがお互いに救われて、前を向くことができて、とても良いカップルだったと思うし、読後感は心地よいものでした。
同時収録の短編が1本、近未来の人口が激減した世界が舞台の高校生同士のお話でした。
同性愛が禁止されているという設定で、個性的でよかったです。
特筆すべき点は絵の美しさ。好みはあると思いますが、ちょっとのところにも手を抜かず丁寧に作画されている印象がありました。この本がデビュー作のようでしたが、このままのクオリティで小説の挿絵なんかもされたら素敵なんじゃないかな〜と思ったりしました。
収録されている2作とも余韻が残る作品でした。
「可不可幸福論」では、現実は綺麗なものだけで成り立っていないけどその中にも綺麗なものがあるという物語でした。
衝動的な行動や間違いをおこしたりしても、素直に向き合うことの大切さをしみじみ感じました。
勢いで購入しましたが、想像以上に絵が安定して綺麗でしたので満足です。
どのぐらい綺麗かというと、体液ですら綺麗さを感じるぐらいです。
個人的には、直さんが髪を耳にかけているのがすごく可愛くて好きでした。
可不可幸福論のラブラブなシーンは巻末に数ページありますが、アニメイトの特典ペーパーのも可愛らしいシーンでしたので、特典も見るほうがおすすめです。
2作品目は、正しいことや守りたいものも自分で決められない世界で意思を持って決意する話でした。
歪んだことが正しい世界で普通でいられないことへの葛藤は底知れないんだろうなと思いました。
決意後は行動に移すシーンがあるわけではないのでその後どうなるか分かりませんが、なるべくいい方向にいってほしいと願うばかりです。