電子限定おまけマンガ4P付
素晴らしかったです。
読み終わったあと涙が止まりませんでした。
誰が悪いわけでもないのにどうしようもなく切なくてとても暖かい気持ちになりました。
BLに女の子が出てくる作品(しかも女の子視点)は苦手だったのですが、全く嫌悪感がありませんでした。むしろ凪子の思いも痛いほど理解出来たので、女性が出てるなら……と考えてる方も大丈夫かと思います。
ちなみにハッピーエンドです。
是非読んでみてください。
この作品に会えてよかった。
私がトピ立てした「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews
で教えていただいたのがこちらの一冊。
以前からちょっと気になっていて、欲しい本登録はしていたけどずっと躊躇していました。
というのもタイトルから判るように女性・凪子が重要人物として描かれている。
そして電子の試し読みの段階で、その凪子は死んでいてもう三回忌を迎える、というところまで判る。
女性が絡む三角関係を描いているかもしれなくて、しかも死ネタが絡んでいる・・・
うわー、滅茶苦茶ハードルが高いなぁ・・・って怯んでましたが、せっかくの良い機会なので読んでみました。
最初は凪子・女性視点でお話が展開されます。
女性視点のBLって珍しいと思う。
ちなみに凪子はとてもいい子です。読んでいて苦々しくなるような性格ではありません。
だからこそ、辛くて切ない。彼女が嫌な女だったらここまでこの作品で泣く事はなかった。
三人ともみんながみんな他人の幸せをずっと考えているんですよね。
でも凪子だけ最後の最後に自分の気持ちを優先させたけど、限られた命の最後の切ない我儘だった訳で。誰も凪子を責められないと思います。
お話はハッピーエンドで終わるんだけど凪子は罪の意識を抱えたまま死んじゃってるし、かと言って生きていたらハッピーエンドは成立しないし、笑っている事が彼女への供養に繋がる訳だし、でも凪子のうえに成り立つ幸せみたいな構図がどうしても手放しでは喜べなくて・・・・と途中かなりグルグル考えされられました。
けれど最後に墓前に供えられた二つのバラのブーケ。
性差を超えた人間に対するの深い愛を感じられるこれ以上はない終わりでした。
凪子視点、和也視点、浩平視点と三人の視点で語られるので、全てどのように考えているか、考えていたかが良く判るので、どーしてそこでそういう選択をする?!といった置いてけぼり感が全くありません。
じっくり読ませてくれる作品でした。
この作品はタイトルから見て取れるように、女の子が主人公のような立ち位置です。
最近のBL漫画は一昔前と比べると、女の子が重要な立ち位置で出てくる作品が増えてきています。
でも、この作品ではいよいよ主人公になっているのです。
この時点で「BL」に女子は必要ないという考えの人は手に取らないでしょうが、この作品はそれだけではないのです。
本作の前半は少女漫画に毛を生やしたような展開です。このぐらいだったら普通の少女漫画レーベルでも出せるんではないかというほど
でも、それだけでは終わりません。
後半からは主人公『凪子』の存在によって心揺らめく2人が描かれています。
この展開はBLならではのものなのですが、新食感といいますか…すごい衝撃を受けましたね。
女の子1人いるだけでこんなにも変わるのかと
本当はもっと感想を書きたいのですが、あまり書くと感動がうすれてしまうので、私はこのぐらいにしておきます。
とにかく、「blに女はいらない派」の方以外はとても楽しめる作品だと思います。
とくに、腐女子歴が長い、色んな漫画を読み漁ったという方には新しい発見があって尚更楽しいかと
オススメの作品です。
bl 作品における女子(女性)は私は、パセリのようであってほしいと思ってます。率直に言って生々しい部分はノー!サンキュー、メインを引き立てるパセリ的存在なのが理想かなぁ。やっぱりbl は「男」たちが主役ですから。
その点ではこちらは異色のbl といえるかも。「凪子の話」のタイトルどおり、正に凪子という女子が中心、彼女抜きにはは成立しないbl です。以下、ネタバレするので一行開けます。
真面目で品行方正な和也と少し軽いところがある浩平、プロローグはもう男子ではない彼らのたわいもない会話でいて、凪子の不在が描かれています。凪子は既に亡くなっているんだな、それでも二人には大きな存在なんだと分かります。
そこからの「凪子の話」前・後編は凪子の視点。素朴風女子、凪子が和也と浩平に出会い、和也を好きになります。恋しながら二人の男子を見続ける凪子。大学も三人同じですが、そこで和也に彼女ができて思いを打ち明けぬままに失恋。
凪子の切なさが分かるのは意外にも浩平で、ある日凪子は浩平の和也に寄せる思いを知るのです。
後編は、社会人になった凪子ですがその体は病に侵されていて、「命の期限」を告知されます。
それで、凪子は和也と結婚するのです。浩平を裏切るような形になってしまっても。
続く「幼なじみ」前・後編は和也と浩平の視点で彼らの子供時代から繋がるキズナと凪子への思いが描かれます。
ラスト間際にbl 色が強くなりますが、やはり二人の間には凪子がいて、だからこその沁み入るようなエンディングです。三人の心理描写がしっかりしていて、どこか文芸作品を読んだときに通じる読後感がありました。
ダラダラとあらすじを書いてしまいましたが、これは素朴でいて果敢に攻めているように私は感じました。表紙見返しのカラーもね、和也たちではなく凪子一人なのですよ。
そして、私に映った凪子は普通の女子。目立たないけど周りに流されない強い子でもあります、手作りマドレーヌを和也にあげるとことか、ちょっとあざとさもあって、他の女子の反感なんか気にしない面もある。ウジウジしてないところは好感が持てました。
bl なのに敢えて「凪子」を貫いた作者、後藤さんは何となく独創的なものを見せてくれそうな・・・。期待大な方です。
もともとpixivの方で閲覧していて、大好きな作品でした。
書籍化されるにあたり、浩平、カズちゃんの過去の話、それぞれの視点を知ることができ、すべて読み終わった後に最初の凪子のカラーを見たときには全てが繋がりまた涙があふれてきました。
ずっと近くにいたいからこそ言えない浩平、同情だと分かり切っていても一度だけでも自分だけを見て欲しいと願った凪子。人間の狡さ、弱さ、優しさがギュッと詰まっており、胸が締め付けられる思いをしつつ読みました。
言ってもしょうがないことですが、凪子には生きている内に心から幸せになって欲しかった…。