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いつか、愛されてみたかった。
コミック

非常に異色なアンソロジー。7作品収録。
以下、収録順にざっと。(作者様敬称略)
でん蔵「かわいいピエロ」
いつもなら超がつくドエロ描写を読ませてくれるでん蔵先生。今回は控えめ。
お気に入りのゲイデリヘルボーイがまさか自分の事を好き⁉︎
いや、やっぱりまさかでした。という寂しいお話。
筧じゅう「真夜中の明星」
バス停で会うキレイな子に催眠術をかけて…
ところが、それは彼の苦しい思い出の再現となってしまった。それでもこれで彼は新しい一歩を踏み出す事ができたのかな。
三井博士「UNLOCK」
出世を諦めた42才、容姿も能力も全て平均以下の鈴木。一方同期の綾瀬は自分とは正反対。
そんな毎日の唯一の癒しは、電車で一緒になる美少年だ。妄想しすぎて勃起してたらなんと話しかけられて…
このおじは感情はともかく美味しい思いができちゃったと思う。
今日もみぞれ「スパイス オブ ドラゴン」
モブというよりデブ。デブおじさんが犬の散歩繋がりで美青年とお近づきになるというお話。
で、もちろん当て馬にすらならずの日常に戻ります。
西のえこ「隣の男」
マンションの隣室から毎日喘ぎが聞こえる。
ある火曜日、外に男がいてなんとなく会話をするようになるが…
DVを受けているらしい彼に段々感情移入していくが、やっぱり彼は酷い男の方が好きなのね。
束井めつ「夢見る海辺」
息子が男を好きになった。絶対認めないという父と、応援するという母。
だが認めないという頑なさは、昔自分の恋が認められずに壊れた経験があったから。
しかも息子の彼氏の父親は…⁉︎
あずみつな「雨に隠れて」
いつも半額シールのお弁当を競って買う2人を生暖かく見守るスーパー店員たち。
店長さんは悪気なく「彼女作らないと」と声をかけるが…
片方の叶わぬ想いを知り、自分の無神経さを恥じてしまう店長さんです。
全てテーマそのもののモブおじさん揃い。そういう意味で非常に特徴のあるアンソロなんだけど、何しろ視点は全部モブおじさんだからイケメンはいない。どころかルックスは相当にヒドい部類で目の保養感は皆無、全く無し。
そして恋愛にかすりもしないから、ハッピーエンドでもない。読後感はもや〜。
こういうアンソロジーを出すというふゅーじょんぷろだくとのヤル気は買います。
読む前は、モブおじさんだった攻めが愛する受けちゃんと結ばれてハッピーエンドのお話、、、?と思っていました。
が、モブおじさんはモブおじさんのままなのです。そう、タイトルこそ全て。
どのお話もテイストは暗い感じですし、モブおじさん自身は両想いにはならないけれど、誰かのために今日も生きているんだと、このBLという世界観の中で生を送っている当て馬・かませ犬・そしてモブの皆さんにエールを送りたくなりました。
胸糞な要素が含まれているお話もあるので要注意ですが、いつものBLには飽きた!何か、新しいものが読みたいんじゃ!という方に良いかと思います。
私は結構、好きな感じでした。
タイトルを忠実に守っています、モブおじさんはあくまで「モブ」おじさんのまま、主人公になってしまったらモブでは無くなってしまう。例えるなら、一つのBL作品があり、それをモブおじさんと言う別な視点から見たような本です。
結論から申し上げますと、モブおじさんがBLとしてのハッピーエンドを迎えるお話は一つもありません。
例外もありますがざっくり分けると二通りで
①モブおじさんが主人公に恋をするも
自分では気付かずに当て馬やキューピットの役割になる
②サブキャラクターの一人として主人公二人の恋を見守る
冴えなさや枯れ具合がいい雰囲気を出しているおじさんもいれば、太っちょで頭の薄いおじさんもいます。
後味の悪い話が多く、私は正直あまり読み返したい本ではありませんでした。でも中には、主人公二人がBLとしてハッピーエンドを迎えるのを密かに祝福するような話や、悲しみに暮れる主人公をモブおじさんのおかげで少し楽にしてあげられた話もあったので、まだ救いがありました。
ストレートにBL的な萌えを求めて読む本では無いと思われます。本当に「モブ」の一人としてのモブおじさんを堪能したい方や、「ひと味違う」ものが読みたい方は楽しめるかも。ハピエン厨ならばハッピーエンドの尊さを改めて噛み締める結果となるでしょう。他があまりやらないコアな物を出す姿勢には好感が持てました。
