SS付き電子限定版
三十路目前にして、 12歳年下のお友達ができました――!?
この作家さんの作品の雰囲気が大好きで、中でも一番好きな作品です。
お互いに同じくらいの年だと思っている書店員・和久(29)とラーメン屋バイトの知花。
傷だらけの知花が書店に駆け込んで来たことで、ふたりの距離はぐっと縮まるが…。
という感じで始まりますが、食事に行ったときから年齢が判明するまでの会話のちぐはぐさやモノローグが面白い!読者は両方の考えが見えるのでタネが分かっているだけに、「これ、どうやって分かるんだろう。分かったときどうするんだろう」という期待感が膨らんでいくのです。
あくまでおとなの付き合いの流れを踏む和久と、好きな人とのデートに有頂天の知花のコントラストが面白くて、初めてのえちぃのシーンは最高です。
このあとからはもうひたすら切なくてもどかしい。
自分のつらい過去や社会の常識などの経験や知識で武装して、社会人としての壁をつくって、踏み込ませないようにする和久と、何とかつながりを持ちたい知花が目指す関係が両極端すぎて、和久のおとなとしての立場もわかるけど、どうしても知花を応援してしまう。
もともと好きになりかけていた相手を理性で忘れるなんて無理な話なのに。
露骨なんですよね、壁の作り方が。頭ではいろいろ考えても、嫌味なほどおとなの正解しか言わない。でもそれって、「ここに壁があるんだよ」って自分自身に言い聞かせてる行為でもあって、もうもどかしい。切ない。たまりません。
あまりネタバレするともったいないので、ぜひ読んでいただきたいのです。
感情の揺れや秘めた想いの強さに、全身に鳥肌が立つような気持ちを味わっていただきたい。
どうしたって縮まることのない年の差という歯痒さ。
年齢が上だからってすべての正解を分かっているわけではないこと。
話さなければ分かり得ないことがあること。
逃げたら逃げた分、自分に何も残らないどころか伝えなかった気持ちが行き場もなく残り続けること。
いろんなことを感じながら、最後は手放しで「よかったー!おしあわせに!」と思える作品です。
ただ、和久の性格に一瞬でもイラッときたら楽しめない作品なのかな、とも思いました。
描き下ろしもカバー裏もかわいい。
何度読んでも定期的に読み返したくなります。
ところどころでいい仕事しているマスター。
美人でイケメンなマスターを170ページほど眺めていたいので、マスターと彼の話も描いてほしいものです。
この作者さんの『恋の微熱がさめなくて』に収録されている「キミとひみつの夏休み」という作品が好きで、話の運び方が個性的だなと気になっており、こちらを購入しました。
5話+描き下ろし番外編で構成されていますが、5話は4話の三年後という設定です。「○年後と 話がトぶのは好みじゃないな…」と言う方は気をつけて下さい。
スーツよりエプロンが似合う童顔書店員・柊さん(受け)と、彼より一回り年下の夜間校に通う、老け…オトナっぽい知花君(攻め)のお話です。描き下ろし以外、全て柊さん視点で物語が進んでいくのですが、彼の心の声・モノローグが知花君への気遣いと思いやりに溢れていて、切なくて温かいんです。
柊さんのオンとオフでの二面性も魅力的だし、その両方の彼を知ってしまった知花君が繋がりを断ちたくなくて「友達になって下さい」と提案してしまう気持ちが凄く良く分かる。
「友達づきあい」が続いている間も知花君の行動は年相応で紳士的なのに、柊さんが思わず「それは友人を見る瞳じゃないよ」と(心の中で)こぼしてしまう程、好き好きオーラが止まらないのです。
一つ一つのエピソードから登場人物の人柄が押しつけがましくなく伝わってくるし、二人の出会いが柊さんの勤める書店だった事に絡めての「本」を重要アイテムとした終盤の展開が鮮やかだなぁ…と思いました。
「萌×2評価かな・・」と揺れていた気持ちを、ピタっと神評価に着地させてくれた描き下ろしがとても愛しいです。
老け顔年下攻めと童顔年上受けの、可愛いカップルでほのぼのします♪
童顔で可愛いルックスの三十路の受け・柊さん、メガネで大人しくてウブそうなルックスなんですが、結構遊び慣れていてエロくて、割と大人っぽくて(酒とかタバコも吸ったりで)…ギャップ萌えでした。
見た目、ほんと中学生っぽいロリさですが、良い意味で社会人で大人っぽく、悪い意味で臆病で色々考え過ぎな性格で、攻めの知花くんをリードしてます。
攻めの知花さんは、見た目はアラサー?ぐらいで確かに老け顔なんですが、中身は年相応で、若さ故に直情径行で勢いがあります。
しっかりしてて良い子ですが、年下らしい可愛い一面もあります。
体の関係から始まりますが、ピュアで可愛らしいお話でした。
末長く爆発しろ。
干支が一回り違うという年齢差がテーマのお話です。
片や社会人、片や高校生。片や童顔、片や老け顔。本屋の店員と常連客の関係。
そんな二人が少しずつ近付いて、気持ちを伝えて、お互いにお互いの年齢を確かめずに同年代だと思い込んで一線を越えたら……彼の学生証を見つけてしまいました。
これが第1話、ここからが始まりです。
高校生の琉くんは社会人の柊さんのことが大好き。柊さんも琉くんに惹かれていたし、身体の相性も良く「これから付き合うんだろうなぁ」と夢見心地だった。その直後に発見してしまった琉くんの学生証。
柊さんは「これは大人である俺の責任です」と琉くんに謝罪し、今まで通りの店員と客の関係に戻ることを決めます。琉くんに本気になりかけていた胸の痛みを抑え込みながら。琉くんはもちろん食い下がるけれど、柊さんはきっぱりと拒否して取り付く島もない。そのときに柊さんが発した言葉で、琉くんは傷付き、柊さん自身も傷付いた。そうするしかないと納得できてしまうだけに、余計に辛かったです。
それから一日が経ち、考えて考えて琉くんが出した結論は、「柊さんと友達になること」でした。
柊さんも琉くんも、それぞれに抱えている過去や背景があり、それが今の決断や行動に影響しているので、「こうすればいいのに」と簡単に思えないのが苦しいです。けれど、友達として一緒にいるときの二人が穏やかで楽しそうなので、読んでいて温かい気持ちになります。
柊さんも琉くんもあきちゃんも登場人物みんなが魅力的です。
柊さんはちょっとスレた大人を演じているけれど、責任感が強くてしっかり弁えている。まあ、大人の責任を盾に臆病な自分を正当化しているとも言えるけれど、その気持ちよくわかります。自分の想いからも逃げ腰になってしまう気持ち。
それでも、琉くんに惹かれていくことからは逃げられなくて。物理的に離れても、結局逃げ切れなかった。
物理的に離れて3年。若い琉くんが心変わりしても仕方ないと自分自身を納得させられるだけの環境を整えて。心変わりをしていても深い傷を負わずに済むと思えていたのに、疑いだけの時点で傷付くことを避けられなかった。「君が好きだ」と改めて自覚する。
好意を寄せてくれた琉くんを拒んで突き放したのは自分なのに、傷付く柊さんは自分勝手とも言えるかもしれません。けれど、突き放してしまう気持ちがわかるので、柊さんの痛みも伝わってきます。物理的に離れる前の「あの子の心のきれいな所に 消えない痣にならなりたい」という柊さんの言葉が胸に突き刺さりました。そんなことを言ったら叱られる、と自覚しているところもまた。
そんな柊さんを一途に想い続け、離れてからじっくり攻めることを覚えた琉くん。早々に挫折しましたが(笑)
高校生の頃の好き好きオーラ全開でどんどん攻める琉くんも可愛くて好きですが、再会後の少し大人になって控えめにじっくり攻めることにした琉くんも健気でいじらしくて好きです。
離れるときに、黙って持ち去った柊さんの本。下巻の方を選んだ理由に胸がぎゅっと掴まれました。柊さんも、続きが気になるのなら買い直せば済むことなのに、それをしなかった。あああ、もう、二人とも好き!幸せになってくれて本当に良かった!
再会のきっかけとなったのが、その本が原作の映画というのがまた素敵!
その後の二人の甘々でほのぼの幸せな日々も読めて大満足です♪
そして、忘れちゃいけないのがBarのマスターのあきちゃん。
あきちゃんがいなければ二人の再会も一歩を踏み出すこともできなかったかもしれません。あきちゃん、GJ!いい人!あきちゃんも幸せになってくれて嬉しいです♪ありがとう!
「年下センチメントの恋」は、柊さん視点の恋物語。
童顔だけど29才、物語の中で30才になった美人の柊さんは、ゲイがカミングアウトして親に勘当されて、恋愛相手には女性と結婚すると捨てられた・・踏んだり蹴ったりの痛い過去を持つ人。
二人が出会った時は、柊さんは29才。大人びて見える彼は17歳の高校生だった。
知らなかったとはいえ、未成年と知り悩む柊さん。
悩んだ末、年下の相手の立場を思いやって身を引く柊さん。
でも柊さんは、思いやりが行き過ぎて、気持ちのすれ違いを起こしていたみたい。
相談相手のバーのママのアドバイスを聞いても柊さんは頑な。
転勤で一旦縁が切れて、新しい街で再会したとき、知花君は天涯孤独になっていた。それでやっと柊さんが知花君に歩みよる気持ちになりました。知花君の止まり木になろうと思ったんですね。
「それからアンセンチメンタル」は、知花君目線の物語。
「誰かが居る家に帰りたかった」知花君。一緒に暮らし始めて、園芸好きになった柊さん。 「諦めずに居てよかった」と思う知花君は、幸せで泣き上戸になった。
「ハッピーバカンス」
二人で旅行。バーの元まま、アキちゃんにお土産を渡しに行く二人。みんな、幸せそう。
話の展開が上手で、絵が綺麗で丁寧だと惹きこまれます。だから、すぐ読み切れちゃう。癒されたいときにお勧め。
神評価。