イラスト付
シリーズ第一作目。
ラブ展開としては決着しておらず、Hシーンもありませんが、そんなことは全く気にならない面白さでした!
あらすじ:
怪異を封じる拝み屋一家の長男・周(受け・23歳)は、いきなり訪ねてきた分家の親戚・西門(攻め・35歳)と、マンション管理の仕事をすることに。
マンションや人家に頻発する謎の霊『黒い手』の正体を、西門と共に追うことに…
除霊をテーマとする作品で、オリジナリティある設定として『呼児』と『戻児』という対の役割が登場します。
霊の取り憑いた人や場所から、霊を引きはがす『呼児』と、その霊を彼岸へと送る『戻児』。
『呼児』の周は、双子の妹で『戻児』の薫とコンビを組んでおり、平凡な周に対して薫は天才と名高い能力者でした。
その薫が6年前、除霊中に周を庇って死亡。
周は罪悪感から引きこもり、最近ようやく実家の所有するマンションの管理業務を手伝い始めたという状態です。
そんな周となりゆきでコンビを組むことになる西門は、周とは対照的に陽気で社交的な関西弁キャラ。
周からよく「オッサン」と言われていますが、それほどオヤジ臭い印象はなく、関西ノリの明るい兄ちゃんという感じです。
実は強力な『戻児』でもある西門。
彼のパートナーであった六巳は既に亡くなっているらしく、西門は自分と似た境遇の周を何かと気にかけ、助けてくれます。
陽と陰の凹凸コンビのテンポの良いやり取りが楽しく、次第に西門に心を開いていく周のデレにも萌萌。
説教臭いことは殆ど言わず、さりげなく周を支える西門が大変カッコいいです。
やがて西門への恋心を自覚し、彼に告白する周。
しかし、恋人でもあった六巳のことを忘れられない西門は、周の気持ちには応えられず…
ということで、ラブ展開は次巻に持ち越しです。
側にいられるだけでいい、と食い下がるラストの周の姿が印象的。妹の死を乗り越え一回り成長したようで、物語序盤との変化にグッとくるものがあります。
あとがきによると、次巻は恋愛パートが本格的に始まると共に、西門の六巳との過去のエピソードも描かれるようで、非常に楽しみ。
35歳オッサンの揺れる繊細な恋心にギャップ萌できる展開となりそうです。
キャラクターの魅力だけでなく、『黒い手』の正体を追うミステリ的なストーリー展開や、大切な人を失う辛さといった人間ドラマ的要素も丁寧に描かれており、大変読み応えある一冊。
事件により起こる二次被害の苦しさも端々に描かれており、リアリティあるドラマ作品に仕上がっています。
今のところ、続編が待ち遠しい2017年発売作品ナンバーワンのシリーズです。
凪良さんの新刊。楽しみに待っていました。ネタバレ含んでます。苦手な方はご注意を。
拝み屋の本家に生まれた周(あまね)と薫(かおる)。周が兄、薫が妹の双子。
妹の薫は明るい性格であるのに対し周のほうはボッチくんでいじめられっ子。けれどこの二人は仲良し。
そして何より彼らは拝み屋の本家を継ぐ能力を持っていて、周は霊をその場所から引き離す力を持つ「呼児」、薫は引き離された霊を本来いくべき場所へと封じる「戻児」として、常にともにある存在でした。
ところがある日、彼らは大きな過ちをおかし薫が亡くなるという事故が起きて。以来、周は自分を責め続けているのですが、そんな彼のもとに現れたのが親戚筋の西門で…。
というお話。
除霊とか拝み屋とか、ホラー要素満載。満載なのですが、すごく淡々とした文章なんですね。なので、より一層怖さが増す、というか。さすが凪良さんというべきか、文章の端々に撒かれている伏線を回収しつつ謎が少しずつ明らかになっていく展開で、ぐっとストーリーに引き込まれてページを捲る手が止められませんでした。
ボッチで、拝み屋としての能力もさほど高くない周。
そんな自分を私生活の面でも、除霊の面でも常に自分を支え助けてくれていた薫を失った周の孤独と贖罪の想いがなんとも切なかった。
そして西門も。
一見飄々としていてだらしないように見えて、実は懐の広い包容力のある男性って凪良作品によく出てくる気がしますが、西門さんもそのタイプの男性。
周の孤独を理解し、さりげなく、そしてしっかりとサポートしてくれる西門さんがめっちゃカッコよかった。のだけれど、実は西門さんにも悲しい過去があって。
同じ孤独と後悔を胸の内に抱える彼らが、少しずつ距離を縮めていく様に激萌え。
しかし、最後まで西門さんが周の気持ちに応えることはない。
ええ、そういう終わり?
と思ったら、この作品はこのシリーズの1作目だそうな。
この1冊でもめっちゃ面白かったのに、シリーズものとは…!
嬉しくて、思わず悶えた。
濡れ場はないし、二人の恋愛という軸はまだまだの二人ですが、とにかくストーリーが面白い。
凪良作品によくみられる、ヒューマンストーリーという点もなかなか趣があって良かった。
「正しい事」って、人それぞれなんだなって。
端から見たら奇怪なことでも、それをその人が良しと思ったら、それはそれでOKなんだ、と。それで人を傷つけちゃダメなんだけどね。そうでないのなら、人がとやかく言う事ではないんだな、と。
薫の存在。
西門さんの過去と、彼の恋。
そして周の恋のゆくえは。
次巻が楽しみです。
とっても良かったです。一気読みしちゃいました。異能力一族に生まれ対の存在である妹を亡くした受けは、実家の所有するマンションを管理しながら地味に生きている。そんな彼に父親が連れてきたのは一見だらしなく見えるおっさん攻め。二人が組んで対峙する事件の推移が面白く引き込まれました。BL要素は少なめですが読み応えがあります。受けと攻めの心情の揺らぎや変化の表現で最終的にこれから2人が惹かれあうの続編を楽しみにしています。
個人的には とっても読みやすく 好きな作品でした。改めて凪良先生の文章って好きだなぁ~
と心から思う作品でした。
ストーリーの好みは人それぞれだと思いますが
早く 次作が読みたいです。
私、夜寝る前に真っ暗な部屋で(電子書籍なので)1人で読んでいたのですが、背筋がゾゾゾ…としたり気配が気になったり(めちゃくちゃ気のせい)するので、明るい場所で読むことをお勧めします笑
ホラーが苦手でなんとなく避けてた作品。でも気になって、続編と一緒に購入しました。怪奇ミステリーだけではない、成長や物語が楽しめる作品です。そして、ほんのりと恋愛も。
周と西門。2人とも、除霊にまつわる一族で、除霊において対となる役割をそれぞれ担っています。そして、その対であり、大切な人を亡くした者同士。西門にひっぱられながら閉じこもった殻から少しずつ出て成長していく周と、周を見守りながらも自身も救われていく西門の関係性が素敵です。
また、周の恋を自覚したときの、熱や積極性も可愛かった。事故にあった17歳から止まってしまった心。恋に向かう姿も少し幼くも一生懸命で、庇護欲を掻き立てられます。
西門もズルい大人で、懐が深くて周を大事に守りたいと情を持ってしまっているのに、恋を受け止めるわけにはいかないと逃げる姿もズルくて、でも気持ちもわかってしまう。戸惑うおじさんも良いです。