おまえの手じゃないとイッた気しねえ

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表題作恋の足音が聞こえる

岩田修,リーマン,高校時代からの友人,35歳
加藤義明,別会社のリーマン,35歳

その他の収録作品

  • 足音のゆきさき(描き下ろし)
  • あとがき

あらすじ

サラリーマンの加藤と岩田の腐れ縁は高校の時から35歳になった今でもなくならず。
そんな二人は昔からやっていた流れで、定期的に会っては抜き合いをしていた。
お互い彼女がいた時期もあったり、お見合いをすすめられたりするものの結婚にはいたらず、この関係がまだまだ続くと思っていたが……。

作品情報

作品名
恋の足音が聞こえる
著者
野萩あき 
媒体
漫画(コミック)
出版社
KADOKAWA(エンターブレイン)
レーベル
B's‐LOVEY COMICS
発売日
ISBN
9784047344648
4.1

(94)

(43)

萌々

(34)

(11)

中立

(2)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
11
得点
386
評価数
94
平均
4.1 / 5
神率
45.7%

レビュー投稿数11

ゆっくり、心地よく、忍び寄ってくる恋

 実際の年齢的にもビジュアル的にも、ちょうど若者とおじさんの狭間くらいにいる同級生2人の物語。20代ほどの勢いもなく、かといって40代ほど落ち着いてもいない、30代って複雑な年代ですよね。お互い時々彼女はつくるけれど、しっくりこなくて結局別れてしまう。昔から互いを知り尽くしていて、気張らなくても隣にいるのが心地良い、そんな感情から発展していく恋の物語は、何度読んでもすっと心に入ってきます。義明の気持ちが追いつくまで、気長に待っていた修のゆったりした性格にも好感が持てました。リバも自然でしたね。

0

相手の幸せを願う

良いリバ作品でした。
ちるちるのキャラ属性欄見て35歳と知る。情報を見逃していたようだ。まだおじさんというには早いけど、さすがに20歳とは付き合えないかな〜。義明が冷静で良かった。

◾︎修×義明 リバ,高校の同級生
リバといいつつ、「ノンケたる義明を尊重して最初は義明が男役をやった」というのが正しいかな。
修目線が最後に収録されているのが強い!話全体は大人の恋愛らしく淡々と描かれているけど、修は達観しつつも熱い思いがあったんだろう。表面だけじゃなく、本気で義明が幸せならそれでいいと思ってたんだろうな〜
修には義明とは別に、恋愛感情を持てる相手と出会う未来もあったかもしれないけれど、こういう形でこういう出会いがあって、義明と収まるところに収まれたのもまた一興。

0

もっと評価されるべき!

最ッ高でした!リバ好きにはたまらない一冊です。もう、一日でも早く出会いたかった…。もっともっと評価されるべき!!

高校からの腐れ縁が続く35歳のおじさん達のお話。

二人の身体の繋がりは、最初、タチ寄りのゲイである義明が、ノンケの修の気持ちを組んで、ウケに回ります。この絡み、私はとても好きです。
「逆はあまり得意じゃないんだよなあ」と言いながら、修を受け入れる義明の深くて大きな愛が最高に格好いいです。慣れないので上手く感じることができず少し無理をしている義明と、それに気づいて義明を気持ちよくしようとする修。上手く言えませんが、男同士だからこそって感じでグッとくるシーンでした。

女役に抵抗があった義明が「今日、逆でいいぞ」と、自ら受け入れることを選び、二人は心から結ばれます。
この作品は、身体の繋がりの変化の描写がとても上手く、二人が互いを思いやり、一歩ずつ関係を深めていくのが印象的でした。

4

二度、三度と読み返すにつれて味わいが増していくお話。

あらすじの「〜35歳になった今でもなくならず。そんな二人は昔からやっていた流れで、定期的に会っては抜き合いをしていた。」という箇所。
35歳にもなって未だに抜き合いって何やってんのよ、おーい…と思ったけど、「リバ」があるみたいなので読んでみました。

二人ともゲイってわけではなくお互い彼女がいた時期があったりしつつも、気づけば35歳になってもお互い未だ独身で腐れ縁…
だと思ってたのは片方の義明だけで、もう片方の修は実は途中からゲイな自分に気づいて、義明を高3の頃から意識し始めて、長すぎる片思いをしていた、というのが途中で判明するんです。

上司から20歳の子を紹介されデートすることになった義明に対して、夜に「どうだったのかなー思って ピチピチの20歳」と電話をかけてくる修。
抜き合いも「やっぱお前の手、気持ちいいわ。」とさらっと深い意味もないように言う修。
初読み時にはさらーっと読み過ごしていた義明の言動すべてに意味があるんだなと。

ずっとノンケの義明視点でお話が進んで行くので切なさはかなり控えめだけど、もし義明視点で描かれていたら、もう涙なくしては読めないくらいめーーーーっっちゃめっちゃ切ないお話だったはず。

だって17年近い片思いなんですよ!

それがようやく成就した修はほんとはタチ専に近いゲイなんだけど、ノンケの義明に萎えられては困るからと最初は受け役に回るんです。

修の言う「幸せ」という意味が味わい深かった。
冒頭で35にもなれば周りは子供もいて…昔は当たり前に自分もそういう幸せがくると思ってたのに…とぼやく義明に対して、「幸せとは人それぞれ己の心の中にある」と酔っぱらいながらもそんな言葉を送ってた修。
後に、「義明の幸せを一番近くの友人として見守り続けようと決意していて、それはそれで俺なりに幸せだったから…」と義明に語るのだけど、冒頭の「幸せとは〜」とはという言葉がそんな諦めと哀しみと切なさが入り混じった境地の言葉だとは思ってもいなかったので、読み返すとじんわりきます。

そして、そんな修の気持ちを全部知った義明が修の全てを受け入れようと、受け側に回ることを提案する形のリバ。これは本当にいいリバでした〜。まさに身も心も受け入れてもらってのリバで理想的。

最後の描き下ろしがこれまた良かった。
本編はずっと義明視点だったけど、描き下ろしでは初めて修視点で描かれています。
恋人として義明のそばにいる修の慣れない喜びと長年の片思い故の染み付いてしまった不安が繊細に描かれていて、短いお話ではあるけれどどれだけ好きだったのかというのが伝わってきて良い描き下ろしでした。

リバ目的で読んだけど、リバ部分だけではなく全体通して読み返すにつれて味わいが増して、リバ部分の意味も浮き上がってくる良作だと思います。

7

妙齢の二人の恋模様。

リバを求めて辿り着いた漫画。
個人的な好みは役割の固定しない流動的なリバなので読む前に期待していた関係性とは違ったのだけど、とても素敵な物語でした。

大人の真摯で誠実な恋模様。
10代の情熱と行動力で突き進む恋愛物語も良いけれど、抑えて秘めていた恋心が大人(30代)で成就する様がピュアな雰囲気を醸し出していて読了後は温かな気持ちになりました。


高校生のときから続けていた抜き合い。
それは性への好奇心であり、自慰の延長。大人になってもそうしたことを続けていたのは習慣であり単なるボディタッチ。
そんな風に思っていたのはノンケの義明だけで、ひっそり恋心を隠していたのはゲイの修。
ある日、修がゲイであることを偶然知ってしまったことから関係性に変化が起こります。
修はゲイであることを義明に知られることをずっと恐れて「親友」ポジションで側に居たけれど、義明は修がゲイだと知っても全く態度を変えず普段通りに向き合います。
このリアクションは修にとって想定外であり、それと共に拒否されなかった事実にとても心救われます。
そこで(いっそのこと?)修は義明を口説く方向に軌道修正。
口説かれてもフラットに接し続ける義明は偏見がなくていいなぁ、と私の中で好感度急上昇!
修は「バレて引かれないなら押すしかないだろ? 嫌なら振ってくれ そしたらおまえの前から消えるしさ」と。
そんな風に言われて義明はものすごく思い悩みますが、修を切ることなど到底考えられず・・・。
そして義明は考え抜いた上で、心が追い付くかわからないけどセックスしたいと申し出ます。
ただし、義明は受ける側は踏ん切りつかないからタチを望み、修はネコは苦手だけれどその役割を受け入れます。
この辺りのやり取りがものすごくリアルで納得の流れでした。
抜き合いをしていた間柄といえ、いきなり受け入れる側はハードルが高いのは頷けます。
そして、修はいつもは攻めだけど義明の気持ちを最優先にして受けを担う健気さ。

その後、心がもっと近付いて本当の意味で想いが通じあったときセックスの立場が逆転します。
それも義明の方から「・・・逆でいいぞ」と言い出す様子が堪らなくよい!

一冊を通して丁寧に描かれた物語は大きな事件があるわけではなく、あくまで二人の関係性の変遷を読者に見せてくれました。
純度の高い大人の恋愛は、時に若い子のそれより初々しさを感じられるものなのだな、と。

6

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