人の子が憎かった時期もあった。だが今は、ただお前が愛しくて―――。

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表題作狗神様と初恋の花嫁

時雨 狗神
咲哉 ペットサロンをクビになり…

あらすじ

「犬に異常に好かれる体質」を持つ咲哉は、ある日崖下に蹲っていた犬を助けようとして自ら崖から落ちてしまう。しかし、目が覚めるとそこは見知らぬ屋敷。おまけに犬耳をつけた屋敷の主・時雨がいて…!?

作品情報

作品名
狗神様と初恋の花嫁
著者
天野かづき 
イラスト
陸裕千景子 
媒体
小説
出版社
KADOKAWA
レーベル
角川ルビー文庫
発売日
ISBN
9784041055717
3.5

(7)

(1)

萌々

(2)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
25
評価数
7
平均
3.5 / 5
神率
14.3%

レビュー投稿数3

軽く読める異世界トリップ溺愛もの

異世界トリップといえば天野かづき先生!
と思うくらい、天野かづき先生のトリップファンタジーのお話が好きなので今回の新作も楽しみに待っていました(^^)
今作はすごーくライトな異世界トリップだったような…特に大きな揉め事もなく、淡々と進んだ展開だったので、気負わずに溺愛ファンタジーが読みたい方にはオススメな1冊です。

受けさんの咲哉は、ある事情から崖から落ち気付いたら純和風の家で寝ていた…といきなり始まる展開でしたが、特に難しい設定なども無く、抵抗なく物語に入れていました。
そんな崖から落ちた咲哉を拾ったのが、攻めさんでもある時雨。
最初はいきなり咲哉を襲うし「なんだこの攻!」と、溺愛甘々を期待していただけに受けの感情関係なく事に及んだ時雨にムカムカしましたが、それは本当に最初の数ページだけでした笑。
後々に分かっていく時雨の一途さや可愛さといったら…!
じわじわやられるこの感じ、大好きでした(∗•ω•∗)
途中、2人の気持ちが行き違うある事実が発覚して、咲哉は黙って消えるのかな…?とか想像しながら読み進めるワクワク感もあり、読後感としては満足した1冊でした。

いつかは同胞の仲間たちと打ち解けて楽しくポリマー生活してる咲哉を見たいものです(*˙︶˙*)☆*°

4

犬耳の狗神様

昔から異様に犬に好かれる受け。かつて両親が事故で亡くなった山にお参りに来たところ、崖に仔犬が取り残されているのを発見し、助けようとして崖から落ちる。大怪我を覚悟したが、気づくと犬耳の狗神様の屋敷で保護されていて…。


狗神様攻め、元トリマーの人間受けというカップリングです。
崖で受けが助けようとした仔犬が、攻めである狗神の眷属だった、という展開。

受けは、小さい頃に事故で両親を亡くし、親戚中をたらい回しにされて育った苦労人。その割にはひねくれることなく心優しく育ち、昔から犬にやたらと好かれるのでトリマーになったけれど、好かれすぎてクビになったため現在無職。
そんな受けを保護したのが、山の神様である狗神攻め。犬耳犬しっぽで和服姿で、口調は物々しいけど根はワンコです。
意識を取り戻したら犬耳の狗神様がいて、でもあまり取り乱さない受けの態度を気に入り、攻めが「つがいにする」と宣言して大騒ぎに、という流れ。

流れだけ書けばほのぼのな展開みたいですが、色々とヘビーな設定てんこ盛りです。なのにぽややんと流されるままの受けが、大物なのか抜けてるのか謎です。
攻めとの恋愛も、つがい宣言されても犯されても抵抗せず流されるまま。そのうち恋愛感情が芽生えたときも、「なぜ芽生えた?」と不思議でした。
受けと攻めのやり取りも基本穏やかなので、何となく見合い結婚した夫婦に愛が芽生えた的な印象を受けてしまいました。くっつく際のドラマティックさには欠けていた感じです。

受けが犬に異様に好かれるという設定だったので、狗神様が受けのゴールドフィンガーでメロメロに、とかいう展開を期待していたのですが、その設定があっさり流されていたのも残念。お付きの仔犬とか、攻めが庇護している狗一族? などが、抗いたいのに受けのフェロモンで容赦なくメロメロ、とか読んでみたかったな。

2

犬好きトリマーの嫁入り


本編と後日談のSS

トリマーの咲哉(受け)は事故死した両親の事故現場に来た際、崖下で木に引っかかって動けなくなっている子犬を見つけます。
助けようとして足を踏み外し、気が付いたら大きな日本家屋の部屋で寝かされていました。その家の主を時雨(攻め)といい、助けようとした犬(小弥太)は狗神・時雨の眷属で、咲哉は落ちた際に瀕死だったため眷属として延命したと告げられます。
そして、咲哉を気に入った時雨は咲哉を番にすると宣言するのです。

咲哉は両親を早くに事故で亡くし、親戚中をたらいまわしにされ、派遣社員をしながらトリマーの資格をとった苦労人です。昔から犬に好かれやすく、また咲哉も犬が大好きだったので犬にかかわる仕事がしたいとトリマーになったのですが、犬に懐かれすぎてほかのトリマーの邪魔になってしまい、仕事をクビになってしまいます。思いがけず暇ができてしまった咲哉は両親の命日を前に事故現場を訪れトラブルに見舞われるのです。

助けられたのはいいのですが、神域の神気に慣れず体調が悪い咲哉は時雨に神気になじませるためだといって半ば無理やり抱かれてしまいます。

咲哉は今まで辛いことが多かったせいか肝が据わっていて、人間としてはほぼ生きてはおらず眷属として延命させられたと聞いても、いきなり襲われても、自分に犬耳尻尾が生えてしまってもあまり動揺することがありません。
はじめは無理やり番にさせられた感じでしたが、今まで親戚中をたらいまわしにされ邪見にされていたこともあり、「安心してここにいろ」という時雨の言葉が殊の外うれしく思うのです。

ストーリーはそれほどトラブルがあるわけでもなく、二人で過ごすうちに咲哉が時雨を好きになり本当の番となるまでになります。
はじめは翻意させようとする同胞たちもいて、咲哉に突っかかてくる女性もいますが、時雨の一言で退散してしまうのでそれほど深刻なことにはなりません。
時雨の亡くなった婚約者の話、咲哉の両親の事故の原因などでせっかくできた居場所がなくなるのではと少しすれ違うのですが、時雨の優しさに咲哉もそれほどかたくなになることなくあっさり解決します。

絡みのシーンは、はじめは神域になじませるためと言って半分無理やりですが、その後はなんだかんだで咲哉の発情に合わせてなので無理やりは一度のみで、回数は多めです。
終始甘々でエロエロな話でした。

咲哉の住む寝殿は時雨が許可したお世話係の小弥太しかいないため、小弥太を除いてほぼ時雨と咲哉の二人だけで話が進んでいくので他の眷属との関わりがほぼないのが少し物足りなかったです。
トリマーの仕事も時雨が嫉妬して時雨と小弥太にしかさせないし、もっといろんな眷属とのもふもふが見たかったです。
後日談ではもっと他の人たちとも打ち解けたいと決意する咲哉が見られましたので、そのあたりも読みたかったです。

大きなヤマはなくそれほど切なくもなく、さらっと読めるモフモフの話だったと思います。

2

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