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高緒の願いがタイトルに強く表れている表題作。
年齢差という努力しても縮めることはできないものの前で、自分の中にある確かな気持ちを時間をかけてカタチにしていくような…そんなあたたかいお話だったなと思いました。
告白された時に高緒の気持ちをすんなり受け取ることができなかった薫も、離れていた時間で色々なことを見つめ直すことができたのかなと感じていたので、再会したときの「好きだよ」の言葉がすごくしみました。
そしてとっても幸せそうなラストシーンがすごく素敵でした。
3作品収録されているなかで唯一報われない恋だった「レット・ゼア・ビー・ラブ」が一番好きでした。
浩太と充のその後はわからないので、報われないと決めつけるのは良くないかもしれませんが。
きっと充は気持ちを伝えることはないんだろうな…と、その涙を見てとても切なくなりました。
どのお話も突飛な設定ではなかったのですごく読みやすかったです。
エロ度低めな作風と紹介文にありましたけど、ダイレクトな描写ではなく、溜息とか熱を感じるシーンや、襟足の美など画像が醸す間接的なエロスは濃いと思います。
個展を控えた陶工作家、薫。
薫が作るお椀の手なじみが好きだと言う高校生の隆緒。隆緒は、実は家庭が不安定。食事を一緒にとって、縁側で寝てしぶしぶ帰宅していく。
二人とも襟足が綺麗な男性。
「誰かと一緒にご飯を取ることって一番大事なことだと思うんだ」という隆緒に薫は不器用で、上手く言葉を返せない。
冬が来て、薫の家に入り浸りの高緒を同級生が訪ねてくる。
「親が離婚して親父にひきとられることになったから、俺、もうここにいられないんだ」
ここのシーンの表現は、親権の奪いあいがあったのか、押し付け合いがあったのか、離婚する親にとって未成年の子はまるでペットと同様の扱い、寂しい。
隆緒が引っ越した後、薫からは連絡をしない。隆緒から便りはあるが返信していない。薫は、大人とは?おとなになるとは?の自問を続けて、悶々としている。
隆緒の同級生の女の子が訪問してきた。
隆緒の父親も訪問してきた。
二人とも、隆緒を探している。隆緒は、家を出たまま自宅に戻ってきていないらしい。実は、隆緒は大学に合格した後の二週間、自動車免許を取りに行っていた。
薫の家を訪ねてきた隆緒。
顔を見て帰ろうとする隆緒に隆緒に薫は「ゴメンおれも子供だったんだ」と引き留める。
隆緒は、抱き着いて近況を報告するとそのまま縁側で寝落ちてしまう。
「まだまだガキだなあ」で〆。
あとがきの前の短編で、免許取り立ての隆緒が運転する車で二人は車で買い物に。
キスしようとして運転中だとNGされて「ケチ」と隆緒がむくれて終話。
この作品で言う「おとな」ってどんなだろう?読後、今も考えてます。
上手く文章にまとまんない。子供=寂しがり、という意味あいがありそう。
綺麗な御話でした。
始まり方が粋でした。
3ページほど現在のシーンがあってから♯1の表紙が入って話が続く。この表紙の入り方が絶妙で、冒頭シーンがあってからタイトルコールみたいな感じがして、ショートフィルムを観ているような気分になりました。
陶芸家と高校生の話です。
田舎の一軒家に窯を構えて陶芸をしている薫。
そこに毎日ごはんを作りにやってくる近所の高校生・隆緒。
年も違う、価値観も違う、だけど毎日一緒にごはんを食べる。
隆緒が無邪気なわんこ。どんなに憎まれ口を叩かれても「このひと!」と決めた飼い主に尻尾を振ってついていくようなまっすぐな子で、表情もくるくる変わって可愛いのです。
頼んだわけでもないのにやって来る隆緒を疎ましいと思いながらも、何だかんだと積極的に遠ざけはしない薫はまあ、素直じゃないです。捻くれてます。「先生に会いたいからに決まってんじゃん」と臆面もなくあっけらかんと言う隆緒に面食らいつつも、だんだん隆緒のいる生活が当たり前になってきているのに認めようとしない。意地っ張りだなあ。
だけどグループ展の出品作を製作するにあたって師匠の目を意識しすぎて我を忘れたとき、「先生は誰のためにお皿つくってんの?」と隆緒に言われてハッとするんですよね。そこから作品も変わるし、少しずつ素直になっていく。計算のない真っ直ぐな言葉の力ってしみじみ偉大ですね。
この後はつらさのオンパレードでした。
あまり細かく書くと未読の方がもったいないので思ったことだけを。
素直にぶつかってくる、怖くてもぶつかっていけるのって若さ持つ力なんですよね。大人になって経験が増えていくと、ぶつかったら痛いことを知っているし、砕けたら死ぬほどつらいことも知っている。痛いのも死ぬような思いも避けて通れるならしたくない。
自分の心を守ることだけに必死で、薫は素直に気持ちを伝えることができないまま、「忘れてくれたらいい」なんて言うけれど、隆緒の幼馴染がいじわるだけどgood jobだったおかげで、ぶつかる勇気を取り戻した場面は感動しました。
ラストも本当に良かった。この2人はずっとずーっとこんな感じでいてほしいなあ。好きだー。
他に短編が2つ収録されていました。
発表年はそんなに変わらないのに「追い風1.5m」だけ画風がずいぶん違う印象でした。
陸上部の先輩に目をつけられたフォームが綺麗な同級生と、親しいわけでもないのにその子をかばった子の話。画風のせいか、あまり何も思うことがなく…。
もうひとつの「let there be love」は一方通行の想いの話。ずっと好きな幼馴染が見ていたのは自分とそっくりな姉だった。自分が女だったら…、という切ない話でした。
言える距離だからこそ言えない、自分じゃないひとを見続ける相手の横顔を見るつらさ、胸に沁みました。
表題作(全3話)と読み切り短編が二つ、計3つのお話が収録されています。
表題作は、年下わんこ攻め×ツン?クール?デレの陶芸家。
子供扱いにむくれて早く大人になりたい!と願う年下わんこ攻めらしいお話だけど、正直あまり印象に残ってません….わんこ大好きなんだけどなぁ…。
一番印象に残るのが【レット・ゼア・ビー・ラブ】
みつが片思いしてきた幼馴染の浩太。だけど浩太が好きなのは自分の姉。そんな姉が結婚することになり…。
みつの恋心に気づきもしない浩太が残した「俺たちはこれからもずっと親友だから」というメッセージ。
自分に恋してるとはまったく思っていない相手に振り回されてしまう残酷さや、土俵にも上がらせてもらえない片恋の切なさ。そういうものを描くのがお上手だなぁって思います。
デビュー作「僕のかわいいストーカー」の収録作にも【はなむけのうたを、】という成就しなかった恋を描いた作品があるのだけど、この作家さんは交差する事のない想いを描くのがお好きなのかな?
私は基本ハッピーエンド・成就するお話が好きなのだけど、こういうのもいいなぁって思います。
【追い風1.5M】
恋愛未満の初々しい二人が可愛らしくて好きだぁ。
皆と一緒にではなく、部活をさぼってこっそり二人で練習しちゃうとかいい。
で、最後におまじないと称してオデコにチューしちゃうのがかわいい。
はぁ、可愛い。「オデコに」がいいよねー。
前作の、可愛らしい男子高校生のストーカーものが面白かったので購入しました。
今回も可愛らしいお話が揃っていました。
表題作は、高校生×陶芸家というカップリングの年下攻め。ツンデレとクーデレのちょうど中間みたいな感じの陶芸家の元に、近所に住む男子高校生が入り浸るように、というお話です。
攻めと書きましたが、エロはなし。インタビューで作者さんが「高校生×陶芸家」とおっしゃっていたので上下は確かですが、攻めがまったく男くさい感じじゃなく、天真爛漫なキャラだったので、何となくダブル受けな雰囲気がありました。
受けは大人ぶってはいるけれど、小柄で大人げない陶芸家。食にあまり執着がないので、それを心配した攻めがせっせとご飯を作っては食べさせています。
ラブな雰囲気は薄いのですが、ほのぼのとした空気感にとても癒されました。タイトルのとおり、攻めは早く大人になりたくて、それは家庭の事情だったり、受けに早く追いつきたいという気持ちだったり。その気持ちが健気で、車の免許にこだわるくだりなんかがすごく可愛かった。
他に2作品入っていました。
1つは陸上部で孤立している高校生2人のお話。仲良くて可愛くて、キャラもとてもよかったのですが、ラブが始まるかな〜というところで終わってしまいました。この先が読みたいんじゃ! …という気持ちになりました。
もう1つは、自分の姉に片思いしている幼なじみのことを好きな男子のお話でした。綺麗な顔の男の子で、姉にそっくりなのになぜ自分は対象外なんだろう、と悲しんでいるのが切なかった。幼なじみにムカムカしました。