身も心も全部、俺のものになっちまえ。

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あらすじ

繊細な美貌の持ち主・高遠奏音は高校二年生の冬に事故に遭い、その後九年間眠り続けた。奇跡的に目を覚ました高遠のそばにいたのは、かつての親友で、今は医師としても名声を馳せる東堂神威。東堂の過剰すぎる愛情表現に振り回されつつも、紆余曲折を経てふたりは恋人同士となる。だが東堂の愛情表現はとどまるところを知らず…!?

作品情報

作品名
悪い奴ほどよく嗤う
著者
篠崎一夜 
イラスト
香坂透 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
シリーズ
悪い奴ほどよく眠る
発売日
ISBN
9784344840089
3.2

(5)

(1)

萌々

(1)

(2)

中立

(0)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
1
得点
15
評価数
5
平均
3.2 / 5
神率
20%

レビュー投稿数1

シリーズ三作目

シリーズ3作目にあたるこの作品。
きれいな表紙に惹かれ読もうと思ったこの本。迂闊なことにシリーズ本だと気が付かず、読む寸前に気が付きました。
せっかくなので読みましたが、ほぼ予備知識無しで読んだので正確に話や性格が読み取れたかはわかりませんが、一応この作品だけでも話としては面白かったと思います。

雑誌掲載1編と書下ろしの1編の中編2編になります。

「セックスと嘘とビデオレター」
16歳で交通事故に遭い意識を取り戻したら10年経っていた高遠奏音(受け)は脳外科医となっていた親友の東堂神威(攻め)以下医療チームのおかげで順調にリハビリに励んでいます。筋力の無くなった奏音はリハビリで身体を起こせるまで回復していました。

前作で窮地に陥った奏音を助けるために舞踏会で奏音にキスをした動画がネットに拡散し、それを神威の母親に見られてしまいます。奏音は神威の名誉のために誤解を解こうとするのですが、神威が感情的になって話ができません。
奏音は自分のために神威が絶対になりたくないと言っていた医者になっていたことに責任を感じています。神威の人生をかけた結果、得られたのは奏音の命だけというまったく不釣り合いだと思う交換に重荷に感じていて、これ以上自分のために神威の負担になりたくないと思っています。介助がないと生活できない今は無理でもいつかは独り立ちして神威を自由にしなければと思っています。
こういう場合、得てして相手の話を聞かずに勝手に結論を出す主人公にはちょっとイライラします。二人のことを二人だけで決めるのはというのはわかるけれど、人生は誰のものでもなく自分のものなのだからはじめにちゃんと当事者同士で話し合うべきだと思いました。
最終的に、母親のの大きな愛を感じてちょっとぐっときました。

忙しくてあまり家にいられない神威との会話にビデオレターを送り合うというのは世話係の手嶋の言葉ではないけれど平安貴族の恋文のようでちょっと雅に感じました。ただ、内容が神威の赤裸々な恥ずかしい内容だったり、前日の激しいエッチに対する苦情だったりで可愛くないのがギャップがあっておもしろかったです。結局、それも即返事がこないという状況は眠っている自分に話しかけていた神威の状況を思い知ることになり、今生きている二人が会話することの意義を痛感し、普段ちょっとツンデレ気味な奏音のデレ?が見れて良かったです。
そしてその神威宛罵詈雑言のビデオレターを母親に見られ、絶叫ものの奏音のかわいそうな、でもこちらからするととても楽しい出来事もあって笑わせてくれました。


「悪い奴ほどよく嗤う」
理学療法士で奏音の担当をしてくれている同級生の多聞を中心に、目覚めた奏音のために学年全体の同窓会を開いてくれることになります。
その打ち合わせで、同級生たちが奏音が神威を追いかけ回して落としたと思われていることを受けショックを受けます。自分たちに疚しいことはなく親友だったと言い訳したいのですが勝手に盛り上がっている同級生たちは誰も話を聞いてくれません。
自分にとってはほんのちょっと前の高校時代が同級生たちには10年の歳月が流れており、身体は26歳心は16歳というちぐはぐな状態の自分は10年の年月を積み重ね大人として生活している同級生たちとの違いをまざまざと感じます。
同窓会が開かれるとなってから、自分にとってはついこの間の高校時代を思い出し、奏音が何故そんな誤解を受けるようになったかや、あの当時の神威の本心を今更ながらに気づきます。
奏音は高校時代からとても間の悪い子で、じゃれてるだけなのにどうみてもヤッてるようにしか見えない状況を母親や同級生に見られてしまいます。それもいつも奏音が上。誤解されるのも仕方ないですね。それでも、神威が奏音の真意を図ろうと発している言葉に対しての屈託ない返事や接触は神威にとって拷問に近かったかもしれません。だから今、優しいのに意地悪なのかな。
読んでる私は神威のもだもだが想像できて楽しかったです。
皆と一緒に卒業式ができなかった奏音のために尽力した多聞は本当に二人にとって心許せる存在なんだと思う反面、神威の暴走に付き合わされて人がいいだけにちょっと気の毒でした。多聞の努力を無にすることになるとは言え、二人だけの卒業式は感動でした。

同窓会で今度こそ誤解を解いてもらおうとするのですが、壇上でさらなる仰天発言をされるまで、高校時代から変わらず神威に振り回される奏音の声にならない叫び声が響き渡るオチで楽しめました。

もう出来上がったカップルなので絡みが多いのは大歓迎なのですがちょっと状況がいただけません。自分から離れると聞いて怒った神威によるお仕置きや同窓会で疲れていることに気付いてわざわざ会場を中座させたのにもかかわらずの保健室で行為は、神威の気持ちもわかるけど医者なんだから奏音の身体を気遣ってあげてほしかったです。保健室に関してはその前が感動モノだっただけに台無しになった気がしました。
残りのもちょっとした嫌がらせのような感じで始るので、せっかく両想いになったんだから二人で盛り上がってする心身ともに充実したものが読みたかったと思いました。

まだ続くかもという終わりでしたのでまだまだ神威は暴走はつづくようです。

3

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