イラスト入り
古代ローマ(あくまでその辺りなイメージ)
剣闘士 グラディエーター
魅惑的なタイトルに、円陣先生の美麗な表紙
読みたいなとずっと惹かれていて、ようやく読むことができました。
これまで読んできた英田先生の作品の中で、いちばん安心してあまあまを楽しむことができたかもしれません。
思った以上に糖度高めで、最強の剣士が美人で気位の高い受けを守り抜くという、王道なストーリーも良きです。
あまあまの中でも、もちろん色んなピンチはあるのですが、わりと波風が大きく立つことはなく進んでいきます。
自分であちこちコレは危険フラグでは?とか、この掟が枷になるのかな?とか、予想をしながら読んでいましたが、心配しているようなことは起きませんでした。
ルキアノスは貴族のおぼっちゃんで、世間にも恋愛にも全く揉まれておらず、それゆえに素直で汚れを知らず、まっすぐで初心そのもの。
ですがドミナトスに恋をして、不安や嫉妬で自己嫌悪に陥ったり、思っていることと反対のことを言って意地を張ったり、衝動的に飛び出してみたりして、どんどん感情的になっていくところにすごく共感しました。
ユリアナとの会話を実地で辿っていくように、まさに恋に落ちたルキアノス。
ドミナトスも最初はかなり手強い(恋愛的に)かと思いましたが、ルキアノスには一目惚れに近いかたちだったようですね。
恋愛初心者なルキアノスの何手も上手で、ルキアノスが隠しているつもりの恋情をちゃんと読み取っていて、余裕のあるところがカッコよかった。
もちろん彼も、いざ付き合ってみれば不器用な面が出てくるのですが。
恋愛することで、お互いに思ってもいなかった自分を見せ合うこと、きれいなことばかりじゃないけど、それが恋であり愛なのだと、改めて思わされます。
特に後半の逃亡劇のところでは、愛し合っているはずなのにささいな言葉や態度でのすれ違いにやきもきしましたが、愛しているからこそ相手が許せないって思ってしまうことあるよね。わかるわかる。と共感しすぎてなんだか嬉しくなってしまいました。
総じてお話は面白かったけれど、少し物足りないとすれば、ルキアノス自身が強くなって事態を好転させるというより、人頼みで待っているだけ、だったところかな。
ドミナトスとグルコスの一騎打ちの戦いのときもだし、最後の皇帝を倒しに行ったところもだし。
もちろん、ルキアノスがいきなり力を持つことは
出来ないので、そういうルキアノスを望むならもっと長編で描かれなければいけないだろうけど。
これから新しい治世で、ルキアノスの博識が政治に生かされ強くなり、時には頭脳でドミナトスを守る力もつけていくのだろうと想像しています。
個人的には、はじめに大金を出して助けた奴隷の子供や、娼館のライファの人生もどんなものか気になりました。
美しい表紙ですね。円陣闇丸さんの美しい絵、ちょっとはみ出す構図、素晴らしい肉体美のドミナトスがルキアノスの、膝上を唇でハムっとしてて。
って表紙で何行使うつもり?ですよね。
剣闘士と貴族のお坊っちゃま。まあこのお坊っちゃまが美しいのに学問しかしてこなかったので、剣闘士ドミナトスのことが気になって気になって仕方ないことを探究するのに明後日の方へ突っ走って。
ああ!セーフ?いやいやどうなるの?なところでドミナトスに助けられ。
千載一遇のチャンス!なのに意地っ張りのルキアノスの口が…。
なんとかドミナトスを男娼として買うことができても、ルキアノスが強がって可愛げのないことばかり言って…。
ここで実は初めてなんだとバレればいいのに…。
はぁ〜。ルキアノスのツンツン意地っ張りぶりに見てられません。素直になれ!!!
初恋ですもんね、これが恋だ!とわかったばかりで巡ってきたチャンスがいきなりエッチだもんね。だからって…。
このツンツンとすれ違いに萌えられるかが分かれ目でしょうか。
BL界になくてはならないお2人、英田サキさんと円陣闇丸さんの最強タッグです。買わずにいられない麗しい表紙。最初脚フェチの人の話かと思ったらちゃんと受けの美形顔も右の方にありました。
今回の英田さんは警察もヤクザも出てこない、古代ローマ風の架空の国のお話。美しくてウブで意地っ張りのルキアノスが可愛いったらなかった。22歳だけど初めて恋したので攻め・ドミナトスの過去の女性に嫉妬したり、酒場でちょっとしゃべってた女性にもヤキモチ焼いたりそれを後で反省したり。ツンデレ受けのカワイコちゃんを堪能できます。
終盤で想い合ってるのに心がすれ違っている所はドキドキしましたが、最後は花火が打ち上げられたみたいな、どハッピーエンドでスッキリ。受けの従兄弟のお姉さんがカッコよくて頼りになりました。受けと攻めの恩人なので2人は充分に感謝した方がいいと思います。
ツンツンしてしまう自分に自己嫌悪な受け。
だったらもっと素直に……と思うのだけど、出来ないのがツンデレの性ですね。
ツンツンの裏側を、攻めが結構読み取ってくれるので何とかお話が展開するけれど、リアルだったら「なんだこいつ?」で終わってしまうだろうなぁ、ツンデレでも許されるのは、あくまで創作の中だけだなと読んでて思っちゃいました。
なんか壮大な映画・超大作を二時間ドラマにまとめたような感じというんでしょうか。
二時間にまとめるために、攻めと宿敵の戦いは丸っとカットしちゃった……みたいな。
そこ、見せ場だと思うんだけど、そこを丁寧に書いたらこのボリュームでは収まらないからカットするしかないのか?
と思ったら、雑誌掲載分と知って納得。
そりゃ省くしかないわ……と。
攻めが剣闘士ではありますが、「戦うこと」に主眼を置いてるのではなく、あくまで剣闘士とツンデレ美人受けによる不器用なラブの行く末を見守るって感じでしょうか。
挿絵が綺麗、小説の内容とマッチしていて、素敵です。
美貌の貴族・ルキアノスは恋など無駄と、生涯恋をしないと誓っていた。
奴隷上がりの人気剣闘士・ドミナトスと出会い、恋をする。
最初は、金を渡してドミナトス抱かれていた。
事件に巻き込まれたドミナトスを助けようと、ルキアノスは女装をしたり、山越えをしたり、必死になっていく。
終盤のハッピーエンドまで、色々山があって、ハラハラ。
英田サキ先生の作品の中で、「メメントモリ」と並んで好きな作品。
色々な要素がバランスよく含まれていて、読みやすい。