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表題作君のいる世界

堂島龍
サッカー部のレギュラー、高校生、18歳
今井涼介
サッカー部マネージャー、高校生、18歳

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

サッカー部のエースだった涼介は怪我のため競技生活を諦めなくてはならなくなる。傷心の涼介をマネジャーに誘ったのは部長でキーパーの龍だった。いつしか涼介の心に淡い恋心が芽生えるが、その想いを胸の奥に閉じ込めるしかなかった。
高校三年の夏休み、龍は涼介の目の前で事故により急逝する。龍の死を受け入れられない涼介は、龍の運命を変えるためタイムリープを繰り返す。

作品情報

作品名
君のいる世界
著者
櫛野ゆい 
イラスト
あおいれびん 
媒体
小説
出版社
講談社
レーベル
X文庫ホワイトハート
発売日
ISBN
9784062869515
3.5

(16)

(3)

萌々

(5)

(6)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
4
得点
54
評価数
16
平均
3.5 / 5
神率
18.8%

レビュー投稿数4

未来は自分で勝ち取らなきゃね!

心に響く、感動のストーリーでした。長編アニメ映画をみたような読後感です。

内容なんですが、タイムリープものです。
元サッカー部エースで今はマネージャーをしている涼介は、親友でサッカー部部長の龍に淡い恋心を抱く日々。しかし、夏休みのある日、龍が目の前で交通事故により亡くなってしまいます。現実を受け入れられずにいる涼介は、龍の形見の腕時計でタイムリープ出来る事に気付き、運命を変えようとしますがー・・・というお話です。

タイムリープものでありがちなのですが、何度タイムリープを繰り返しても、運命を変える事が出来ないのです。実はそこには、涼介の知らない別の事実があったりするんですね。わりと早い段階で、この事実が明らかにはなるのですが、そのへんはネタバレなしで。

何度も死を繰り返すというと重く切ないストーリーに思えますが、このあたりは涼介の回想という形でさらりと書かれているので、多分そこまで辛い印象は受けないと思います。
心を動かされたのが、二人一緒に「生きよう」と、精一杯足掻く事。
何回も繰り返してもう駄目だと弱気になったりしながらも、二人で生きる世界を諦めないのです。互いを想い合う気持ちが、何よりのパワーになるんだなぁ(T-T)
愛する人の為を思うなら、「死ぬ」んじゃなく「共に生き」なきゃね!

ラブの方ですが、こちらは高校生同士の初々しいピュアな恋愛が楽しめました。真面目で堅物っぽいのに意外とグイグイ来る龍に、強気なのに恋愛面に置いては初心な反応を見せる涼介。もう、初々しいキスシーンにキュンとします。
ところで、「ホワイトハート」さんでは高校生同士はーという制約があり、エッチシーンはギリギリ本番直前まででした。
作者さんの熱意で、「三年後」という章がねじ込まれており、こちらで(最後までの)エッチは読めます!先生、ありがとうございます!!( 〃▽〃)

6

タイムリープBL

両片想いのサッカー部の男子高校生2人が、とある超常現象に巻き込まれる中、想いを確認し合って結ばれるお話です。


とある超常現象というのがタイムリープ。タイムスリップとは違い、何度も同じ時を繰り返すタイムリープです。
マネージャーの受けと部長の攻めで、攻めが初っぱなに事故で亡くなってしまいます。その後想いを寄せる親友の死に絶望する受けがタイムリープに陥り、何度も攻めの死を経験することになる展開。

タイムリープによって攻めの死を回避できるかもしれないという希望と、でもどう行動しても回避できず何度も攻めの死を経験する絶望とで焦燥していく受け。そんな中、攻めもまたタイムリープをしていることが判明します。
攻めか受け、あるいは攻めの妹いずれかが死ぬ以外のルートが見つけられないまま、同じ1日を延々繰り返す攻めと受けですが、そんな追い詰められた状況で両想いに。精神的極限状態に、キスしたり照れたりエロいことしたいと迫ったり、そんなほのぼのとした萌えがぶっ込まれてきます。シリアス一辺倒じゃなく、やっぱり男子高校生だなぁという感じが可愛かった。

個人的にSF小説やラノベなんかも読んだりするので、タイムリープ設定は読み慣れているのですが、結構きっちり作り込まれていました。BLだからとこういう箇所がおざなりにならないのは高評価ポイントでした。
初エッチが暴発で、まあ経験なしの高校生らしくて微笑ましかったことは微笑ましかったんですが、暴発後の再チャレンジがなかったのは残念でした。その理由が作者さんのあとがきにて判明しまして、まあそれなら仕方ないか、いや高校生物のBL出すからには腹くくれや、などと色々思うところもありました。まあ、そのおかげで三年後の2人の様子(エロ含む)が見られて、結果オーライな面もありましたけど。

2

時をかける少年

純愛とかタイムリープもの大好きです。
内容は、ほぼ『時をかける少◯』(アニメ版)だと思います。あ、でもどちらかが遠い未来からやって来たとかではないです。

そう簡単に未来は変えられないと知りつつ、何度も何度も時間を巻き戻す二人がものすごーく健気です。途中で、相手の命をもう諦めようかと迷ったりもするのですが、それは自分の為ではなく、相手に辛くて痛い思いをこれ以上させたくない、という優しい心からでした。

ほぼ神評価に近かったとはいえ、個人的にはもう少し泣かせて欲しかったような気もします。さほど緊迫したシーンがなかったので。タイムリープする前の攻め視点とか、何度巻き戻しても同じ事を繰り返す苛立ちとか、タイムリープの回数制限とかあっても良かったかな、と思ったり?

1

好きな子が目の前で何度も何度も死んじゃうストレス

初読み作家さん。
刊行当時「読みたい!」と思いつつ、ついつい後回しになってしまっていたお話なんです。
多分、タイムリープものだから気になっていたんだと思います。
時間や記憶を弄ってしまうお話って、そうなってしまった原因に関わる切なさと、いつか正常な時間軸に戻っていかざるを得ないことから来る切なさがダブルで襲って来ることが多いので好きなんですよ。
あと、個人的にベストスポーツ(観戦のみ)であるサッカー部が舞台ですしね(キーパーだし!)。

怪我でサッカー選手になる夢を絶たれた涼介を力づけ、マネージャーとして部に残るよう説得してくれた龍に友情以上のものを感じていることに気づいた矢先、龍は涼介を庇って事故に遭い亡くなってしまいます。
龍のロッカーに残された時計で時間を戻すことに気づいた涼介は、龍を助けるべくタイムリープを行うのですが、龍を現場に行かせないと彼の妹が代わりに事故で死んでしまうという結果に。
実は事故で死ぬはずだったのは涼介だったんですね。
龍も涼介に恋愛感情を抱いていて、涼介を殺したくないばかりに、自分が身代わりになろうと決意していたんです。
互いの気持ちを確認した2人は誰も死なない未来にしようとタイムリープを繰り返すのですが……

『大好きな相手が目の前で何度も死ぬ』おまけに『いつ、やり直しが出来なくなるか解らない』っていうのはかなりストレスが溜まる様な気がします。
この緊迫感はとてもグイグイ来ました。涼介がこれに疲れてしまってメンタルをやられそうになるのも解りますよ。

惜しむらくは、2人が互いに惹かれ合った部分の描写の量が少ないこと。
惹かれ合ったきっかけは書かれているんですけれども、どうも『このタイムリープを終わらせるためにどうするか』という『工夫』の方に重点が置かれている様な感じなんです。
個人的にはもう少し『キュン』が欲しかったなぁ。

ただ『誰も死なずにタイムリープを終わらせる方法』はとても面白かったです。
なーるほどねー……これ、よく考えられていると思いましたですよ。
これは間違いなく『時をかける姐さま』方を唸らせる解決方法です。
SF好きの方は面白く読めるのではないかと(バタフライ効果については目を瞑って欲しい)。

1

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