イラスト付
旧版を持っているので購入を迷いましたが、凪良作品は作家買いしているのでやっぱり購入。旧版は小山田さんが挿絵を描かれていますが、新装版はyocoさんが絵師さんを担当されています。
うん。
どっちも素敵。
絵師さんが違うと、作品のイメージもちょっと変わるなあと思ったりしました。
内容は旧版の方で書いてくださっていますので、ちょびっとだけ。
光線過敏症という持病を抱えるニーナ。
その病のため、日光に当たることはできずクラスメイトとも一緒に遊べない。
そんなニーナを校庭に引っ張り出して遊んでくれたのは、小学校の担任の教師。ところが日光に当たったため皮膚が爛れ、そのせいで「つだ妖怪」というあだ名をつけられいじめられるように。
そのことをきっかけに心を閉ざし、学校にも通わなくなったニーナですが、18歳の時に7歳年下の陽光と出会い…。
というお話。
子どもならではの残酷さでニーナをからかう級友たち。
子どものみならず、大人なのにニーナを受け入れない大人たち。
他の子たちと同じように遊びたいのにそれもままならず、受け入れて貰えない。
そんな世界に絶望したニーナ。
初っ端からニーナの孤独と絶望に落涙。
ニーナの口癖の「死ね、ボケ」は、自分ではどうしても手に入れることができないものを、ニーナ自身が「諦める」ために自身への戒めとしてつぶやいているのではないかな、と思いました。まだ子どものニーナがそこまで追い詰められていて切ない…。
そんなニーナを、外の世界に引っ張り出してくれたのが7歳も年下の陽光。
出会いが11歳×18歳なので、序盤は全く持って健全な空気。陽光がニーナを必死に求める姿も可愛いものです。
けれど、陽光は7歳も年下だったからこそ、子どもらしい純真さとまっすぐさを持っている。
ニーナは妖怪じゃなくて、綺麗だから悪魔だ。
NINA MY ROVE
といった飾ることのない、けれど心のこもった陽光の言葉が、ニーナを救っていく。
そして、11歳で子どもだった陽光も、少しずつ大人になっていく。
子どもならではの根拠のない万能感。自信。そういったものが、少しずつ損なわれていき、その代わりに陽光が得ていくものとは。
この作品は単純に恋愛ものといったくくりではなく、ニーナと陽光の、二人の成長物語でもある。
時に勘違いし、時にすれ違い。
それでも相手への愛情とゆるぎない想いだけを持った彼らの恋を、全身で応援してしまう。
ニーナは最後まで致すことに恐怖心を抱いているので、触りっこはちょくちょくあるものの、エチシーンは最後にちょびっとあるだけ。
けれど、この濡れ場が、超絶に、エロいです…。
自分の気持ちと、相手への信頼感がMAXになった状態でのセックスシーンが、とても綺麗で、優しくて、そして萌えた。
新装版にあたっての書き下ろしは、本編終了後。
ニーナが東京へ引っ越しをした、その日のお話。
コニーナのご飯を買いに出たものの、ニーナ、迷子になり…。
という可愛らしいお話です。
光線過敏症ゆえに夜間しか外出できないニーナは完全に箱入り息子です。世間知らずです。
それがまた良い!
本編はシリアス一辺倒なので、この書き下ろしには爆笑してしまいました。
「東京なんて死ねばいい」
のセリフにも。
かつて、手に入らないものを「死ね、ボケ」という言葉とともに諦めてきたニーナにとってのこのセリフ。
ニーナにとって、「東京」という地もなかなか卸しづらい場所だったんだね。とほっこり。
でも、今は陽光がいるからね。安心です。
個人的に、凪良作品の中でも好きな作品の上位に位置している『真夜中~』ですが、書き下ろしも収録されていますし、yocoさんの挿絵も素敵だし、新装版が読めてよかった。
旧版持ってるしな、とためらっている腐姐さまがいらっしゃったら、全力でお勧めしたい、そんな新装版でした。
旧版、未読です。もっとずっと昔からある作品っぽいイメージでしたが、旧版が発売されて6年しかたってないのですね。
旧版を読んでないので確かではありませんが、本編の方に改稿・加筆は無さそうです。あったらすみませんm(__)m
新たに、あとがきと「NEW LIFE」と言う短編が書き下ろされています。
あとがきによると、「旧版で心底納得のいく終わり方が出来たので、連続する形で収録することはできませんでした」と言う事で、本編→あとがき→「NEW LIFE」となってます。それも納得の完成度の高さでした。
簡単な内容ですが、光線過敏症のソングライター・新名と、そんな新名と真夜中の公園で出会い、ずっと一途に想いを寄せる俳優・陽光とのラブストーリーです。「クロニクル」というタイトル通り、陽光は11才、新名は18才から、それぞれ19×26才までが年代記風に書かれてます。
なんかもう、プロローグから結構痛い展開です。「死ね、ボケ」というセリフが、無神経で卑怯な担任だけでは無く、自分自身や、この「世界」へ向けたものであるのがひどく切ない(´;ω;`)
この後、本格的に物語が始動しますが、本編では新名はかなり偏屈で臆病です。しかし、幼少期のこの経験が、彼の心に大きな傷を付け、悲観的な性格を形作ったんだろう事が読者側に強く印象づけられている為、本来ならちょっと鬱陶しいタイプの新名に悪印象を持ち辛く、ついつい共感しちゃうんじゃないでしょうか。
そして本編ですが、名前そのまま、太陽みたいに朗らかで温かい陽光との出会いです。
ざっくり言うと、一途なワンコに臆病な美人受けがほだされ、心を開いていくというお話になるのですが、とにかくエピソードや文章一つ一つが秀逸です。ガツンと胸に刺さるとでも言うのでしょうか・・・。
幼少期の経験から、自分が酷く醜いと思い込んでいる新名に、「きれい」だと言い続ける陽光。日光により酷く炎症を起こして水膨れだらけの新名に、陽光がキスするシーンには心を動かされました。
そんな陽光の揺るぎない想いを注ぎ続けられ、新名が少しずつ変わっていく姿にも感動しました。簡単では無いけど、愛する人の為なら一歩踏み出す事が出来るんだよね。゚(゚´ω`゚)゚。
ずっとここに二人で隠れていたいけど、それは出来ないから尚更今を大切にしたいー。
みたいな一文がありますが、それが強く印象に残りました。他にもこんな感じの、ハッと印象に残る素敵な文章がたくさんちりばめられてます。
書き下ろしの短編ですが、こちらはコメディ色が強いです。
本編から一年後、新名が東京に引っ越した当日、都会の洗礼を受ける話。
ちゃんとコニーナの餌をダンボールに詰めたハズが見つからず、おなかを空かせたコニーナの為にキャットフードを買いに出掛けますが-・・・という内容です。
ここでの新名は、世間知らずでやや天然な部分が前面に押し出されていて笑えます。キャットフードを買いに出ただけなのに、都会の街を延々とさまよい続ける羽目になる新名。頑張れー。
その後は部屋を訪れた陽光とのイチャイチャです。自然にキスをして、恋人同士の親密な会話。ラストにはジンワリ心があたたかくなりました。
今まで辛い思いをしてきた分、これからは二人で幸せになって欲しいものです。
とても素敵なお話だったので、私のように未読の方も、これを機会にお手にとられてはいかがでしょうか。
初めて読んだ時、衝撃を受けました。
BLを読んだ後に、このカップルは死ぬまで一緒にいるんだろうかとか、おじいさんになっても一緒にいるのかな、とか考えてしまうのですが、この二人は最後までいるんだろうなと思えました。陽光がニーナに初めてキスするところ…あれは良かったです!!陽光が何をするにしても全部ニーナのためっていうのがブレてなくて、ニーナはゆっくり陽光を受け入れてる感じで、このカップルは最高です。凪良先生やっぱりすごい!!
病を抱えて生きている少年が、夜の公園で出会った小学生の少年と共に成長していく姿を描く感動作品でした。
お気に入りの作品をたくさん描いてくださっている作家さんですが、旧版で7歳差の年下攻め、それも出会いは11歳と18歳っていうのが微妙で、読んでいませんでした。
新名(ニーナ)は病気のため他の子供ができることができなくて、いじめや仲間はずれに苦しんできました。
ニーナがどんなに突き放し不機嫌でも諦めず近寄ってくる陽光ですが、明るく元気でみんなに好かれてるだろうと思った陽光の心の影を知ることになります。
絶望していたニーナが音楽と出会い成功していくところや陽光が努力の末花開いていくのが楽しかったです。
昔ニーナをいじめていたリーダーだった子と街で出会った時「あの時はごめん」と何に対して悪いと思っているのかわからない態度でついでのように言われた時のニーナの気持ちが痛々しかったです。
たくさんあった辛い思い出のどれに対してか、加害者側は大したことのないちょっとしたイタズ程度の記憶でしかないこと。
俺は絶対忘れないという脅し文句(ニーナは脅しのつもりじゃなく客観的な気持ち)に惚れ惚れしました。有名になったニーナの顔をテレビやネットや雑誌で見るたびに怯えたらいいのにと思ってしまいました。
旧版の小山田さんのイラストもとても素敵ですが、yocoさんのもファンタジックな感じて好きです。
すごく良かったです。
何でもない場面でも心揺さぶられ、涙が溢れてしまうのは凪良先生の文章だけです。
それだけ登場人物の感情表現が豊かで、描写が詳細だということ。キャラに感情移入して読んでいるということだと思います。
光線過敏症で日光に当たれず引きこもりになってしまったニーナと、そんなニーナを太陽の様に明るく照らす陽光。
正反対に見えて共通点が多い二人ですが、傷を舐め合うのではなく、共に成長していく事を選んだところに大きな意味がある作品だと思う。
虐められて傷付けられ、自分に自信がなくコンプレックスの塊みたいなニーナ。
人と関わる事を恐れて引きこもっていたニーナが、陽光のために太陽の下へ出ていく場面は涙が止まりませんでした。
そしてなにより、陽光の一途で大きな愛に胸打たれた。
この愛があってこその関係だったと思う。
11歳から8年間もニーナだけを想って、ニーナに青春の……人生の全てを捧げてきた陽光。
この人に出会えたことは、ニーナにとっての奇跡だよね。
たった250ページの中で描かれるニーナの成長ですが、ここに全く無理を感じませんでした。
正直、読み終わりたくなかった。
もっとずっと二人の成長を見守りたい……そういう気持ちにさせられました。
ニーナが歌ったラブソング──Rove songかな?
どんな歌詞だったんだろう。
聞いてみたいなあ。