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血の繋がってない兄弟の恋の話です。
小さいときに生き別れてたんだけど、あるきっかけでまた一緒に暮らすことになります。
幼馴染みモノに共通する、ストイックに痩せ我慢をする二人の心理描写が、私の好みでツボにきました。
好きな人と一つ屋根の下で二人きりで暮らしてて、チンコ勃ってこないほうが不思議だよ。限界を迎えるまでの道のりが切なくて心地よいです。
予想外の展開とかそういうのはないのだけど、とにかく二人の心の軌跡といったものをじっくり読ませてくれます。
血の繋がりがない兄弟がくっついた→途中で兄(受け)が別れを突きつけた→すったもんだの末、無事元サヤに収まるというお話を筆力のある作家さんが描くと、これだけ読ませるものになるんだなぁと思いました。
愛を自ら手放してしまった兄が、自分をひとりきりで卵を産みづけているセキセイインコになぞらえ、弟への愛を孵らない卵だと思い込み一度は温めることを放棄してしまったけれど、それは間違っていたと気づく箇所が本当〜に痺れました。
こんな表現は読んだことない。
ただただ凄いなと思いました。
お話そのものは萌萌くらいなんだけど、この表現が自分にとっては神だ!!と思ったので、神にします。
今年から本格的に小説読み始めて、英田サキさんといったら「DEADLOCK」だなと思ってとりあえず買っているのだけど、どうもFBIとか裏社会とかヤクザものとか刑事ものって組織とか関係性を覚えるのがめんどい……と思ってしまう性でして積み本中……。
それら有名シリーズものはとりあえず積んでおいて、普通の設定のお話を色々読んでみようかなと思いました。
父親が亡くなり一人になってしまった静一。
母の死後、離れて暮らしていた弟の亮介。
冒頭から、全体の展開の予感がする。
番がいない青い小鳥が卵を産んだ。「孵ら ない 卵 を 抱くセキセインコ」。
・・番の片割れを求める独りぼっちのお話。
挿絵が物語にピッタリなので、展開の盛り上がりと深みを添えてます。
二人は、似ていない兄弟。
冒頭は、喘息の為、祖母に預けたと書いている。
でもそれだけが理由じゃないと、徐々にわかってくる。
恋愛の対象にするには、お互い抵抗があった。
エロス度低。揺れる心理を楽しむ作品。悩みどころ、二人の「こだわり」について描写が上手い。
弟の亮介は、兄の清一が大好き。優しい兄が居たから、
「お前が死ねばよかった」と言われても、「愛人の子」と言われても、耐えて生きていけた。
亮介が兄を呼ぶとき、幼少時は清ちゃん、再会してからは、あんた、
大好きな清一を兄さんと呼べない訳は、恋慕の対象として見ていたからだった。
さりげない所に、著者の思い入れがあって、面白かった。
こんなに一直線に恋愛ONLYなお話、英田さんの作品では珍しいのでは?
英田さんのお話はヤクザやらFBIやらに恋愛が絡んでくる、「恋はスリル・ショック・サスペンス」な感じが醍醐味なんだと思っていました。
卓越した筆力はもちろんですが、先の読めない展開が更に上手さを引き立てているんだと思っていたんです。
こんな風に、しっかりしっとり恋愛オンリーのお話を読むと、改めて、「本当に本当に筆力のある方なんだなぁ」と再認識します。
ハードボイルドもの特有の意外性やスピード感をまるっきり排除して、人間関係と感情だけを主軸にして。
誤魔化しのきかない素材の味で勝負をするような、そんな実力主義を感じます。
ちょっと執着系の攻めを、「怖い」と感じる一歩手前で「可愛い」「健気」と思わせる。
グルグル系の受けを、「ウザい」と感じるギリギリ一歩手前で「切ない」と思わせる。
英田さんが凄いのは、どっちも「一歩手前」ってところです。
うんと手前だと「可愛い」とも「切ない」とも思わないし、「0歩目」だと「怖い」で「ウザい」んです。
内容については展開の見える設定ではあるんだけど、そんなことは関係ない。
このお話は、展開を楽しむというよりも、そこに行き着くまでの心の動きを辿るような作品でした。
そして、攻めがずっと一人で抱えてきた思いを知ったとき、私も受けと一緒に胸を痛めるのです。
すごく久しぶりにこの作品を読み直したんですが、やっぱりちっとも色あせず、初読のときと同じように切なくなりました。
兄弟モノ・弟攻めの、切なめBLです。
個人的に、兄弟モノなら弟攻め!なタイプなので、大変楽しく読めました~。
英田サキさんのかかれるお話というと、ハードボイルド系なイメージがあるのですが(ヤクザものとか……)、こういう、しっとりしたお話もいいですね。
実際、血が繋がってなくても、「兄弟として過ごした時期がある」というのは、やはり美味しい設定だよなあと思います。
リアルでは、血の繋がらない、途中で疎遠になった兄弟、というのは色々複雑なのかもしれませんが、BL設定で言えば好みです!
静一が、亮介をいったん突き放した後、亮介にまつわる過去の事を知って、もう一度やり直そうとする展開がよかったです。
まさに、雨降って地固まる、という感じで、ほっとしました。
ところでこの表紙の装丁。
文字配列が、ぱっとみ、「にう のめこ 君た泣」に見えなくも無い。
タイトルはもうちょっと詰めて表示してよかったんじゃなかいかなあ。