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表題作目を閉じればいつかの海

嘉悦政秀
エリートサラリーマン
藤木聖司
カフェレストラン店長

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

抗いながらも溺れていくしかできない……狂おしい大人の恋!学生時代、無理矢理別れを告げた恋人・嘉悦に、偶然再会してしまったカフェレストランの雇われ店長・藤木。「もう一度やり直そう」と言う嘉悦の言葉に動揺するが、彼の左手に指輪を見つけてしまい……。

作品情報

作品名
目を閉じればいつかの海
著者
崎谷はるひ 
イラスト
おおや和美 
媒体
小説
出版社
角川書店
レーベル
角川ルビー文庫
シリーズ
目を閉じればいつかの海
発売日
ISBN
9784044468071
3.9

(60)

(22)

萌々

(18)

(15)

中立

(3)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
11
得点
230
評価数
60
平均
3.9 / 5
神率
36.7%

レビュー投稿数11

まさに「王道」なストーリーでした。

崎谷さんは個人的に当たり外れがある作家さまなのですが、切なそうなあらすじに惹かれ購入してみました。

湘南に位置するバーレストラン『ブルーサウンド』を舞台にした一連のシリーズの1作目です。

なんというか、非常に崎谷さんらしいストーリーでした。
相手を想い、身を切られる思いで身を引いた藤木(受け)。
ハイスペックで、受けの事が大好きなのに言葉が足りず誤解させてしまう攻めの嘉悦。
そんな二人が10年という時を超えて『ブルーサウンド』でレストランの店長と客という立場で再会し…。

というお話です。

一度は別れを決意するも、再会し、嘉悦に「お前が好きだ」と言われ、既婚者と知りつつ愛人でいいと割り切り関係を復活させてしまう藤木。

なんというか、王道なお話というか良くあるストーリーで、二人を待ち受ける結末は早々に見えてきてしまうのですが、さすが崎谷さんというべきか、ストーリー展開がお上手でぐっと引き込まれました。

周りを固めるキャラも非常にいい味を出してます。
大智、真雪、そして瀬里。個性的で、気持ちのいい仲間たち。この彼らが数多くのスピンオフの主役になっていくのも納得な優しい仲間たちでした。

ただ、そこまで相手に固執する二人の歴史の部分をもう少し描いてほしかったなと思いました。特に嘉悦に至っては彼のバックボーンがわからないのでそこまで良い男なの?と思ってしまう。

「不倫」て地雷なのですが、それでもそこで藤木が葛藤し、悩むその姿には思わずウルッと来ました。

たくさんあるスピンオフ作品も読んでみようと思います。



4

今にも聴こえてきそうなサザンのメロディー

始まりが別れのシーン。
嫌いになったわけではないのに、簡単に言えば
「好きだからこそ相手の為を思って別れる・・・」ような感じ?
あれから、10年・・・
そこから、メインストーリーが始まります。

舞台は湘南、鎌倉、江の島、茅ヶ崎、烏帽子岩・・・・
私の地元のよく見る風景がたくさん出てきて
今にも聞こえてきそうな、サザンのメロディー「いとしのエリー」
読み始めたきっかけは、そんな単純なものでした。

エリートサラリーマン嘉悦とブルーサウンド店長の藤木。
10年の時が流れ、忘れられる人ではないけど
少しづつ時間が忘れさせてくれ始めていた・・・矢先の再会。
左手薬指の結婚指輪、動揺する藤木、
お前をずっと探していたという嘉悦・・・
展開としてはありがちですが、でもドキドキさせられる。
そこまでに藤木の10年は説明されていますが、嘉悦の10年は謎のまま。
そこから再び燃え上がった恋は勘違いの始まりで
今まで以上に藤木を苦しませていきます。

一度は諦めた恋だけど、やっぱり忘れることなんかできなかった。
嘉悦以外に本当に愛せる人は現れなかった藤木。
たとえ愛人としてでも嘉悦の傍にいたいと思う藤木ですが
苦しみの果てに、今まで隠してきた本心を吐き出すことで
嘉悦との間の勘違いと二人の間にできた溝を埋めることができます。
私が一番好きなシーンは、この藤木がまるで壊れたかのように
嘉悦に対し、今まで我慢してきたことを一気に吐き出すところ。
10年分の嘉悦に対する気持ちと、この数か月の間の愛人としての気持ち
「やっと言えたね・・・やっと言えた」
読んでいるこっちが、何か胸のつかえがとれたようにスッキリしました。
まあ、そこで話が終わるわけではないので、
さらにドキドキしながら先を読み進めました。
結果的に、愛人・・・というのは藤木の勝手な思い違いで
すべての勘違いが始まったのは、10年前の別れから・・・
でも、10年も離れていたのにお互いに気持ちは変わっていなかったなんて
考えてみると、すごいお話。
主人公のキャラ設定も、私は好きです。
藤木の嘉悦の将来を思えばこそ自分が身を引く・・・考え方
王道だけどやっぱり愛を感じます。
だけど忘れられない・・・本当は愛している
本当は一緒に居たい、本当は自分だけを愛してほしい
自分の本心を隠しながら生きてきた藤木の10年を思うと泣けてきました。

そして脇キャラも濃いですね~
でも、確かに湘南あたりにいそうな人たち。
碧い海と(実際あまり綺麗ではありませんが・・・)波の音
潮の香りとBGMのサザン、遠くに見えるサーファー
すべてが、身近なものなのですごくリアルに感じました。
次はこの人の話を読みたい・・という気持ちを裏切らず
ブルーサウンドシリーズは続きます。

4

『ブルーサウンド』シリーズ第1作目。

崎谷さんのシリーズものの中ではとてもわかりやすく読みやすい王道シリーズだと思います。

他の濃過ぎるシリーズと違って読むのに疲れるということがないんですが、あっさり読める分思い入れも薄めかな(私の)。

悪くはない、どちらかというなら間違いなく好きなシリーズではあるんですが・・・(シリーズ中には堪らなく好き!な作品もあるし)

こちらは、そのシリーズ中でもあまり好みじゃないです。

ストーリーとしては『十年愛』とでもいうのかな。

大学生のときに、嘉悦(攻)の将来を思って別れた(身を引いた)藤木(受)ですが、その後結婚して渡米したと聞いていた嘉悦と十年後に再会してからの、一見切ない、でもよく考えるとなんともアホらしい誤解・すれ違いからのぐるぐるです。ゴメンナサイ、そうとしか思えませんでした。

う~ん、設定もキャラクターも別に苦手じゃないんですよ。まあ、まったく好みでもないんですが。

ただ、嘉悦はハイスペックな男前という設定以上の魅力を感じないし、藤木は29歳の店長とは信じられないほど幼稚さが鼻につく(仕事中にグダグダが出ないのはいいんだけど)。

まあ、10年愛の時点でそれはあり得ないんでしょうが、たとえば藤木が20歳の学生だったらまったく別の捉え方になったとは思います。たぶん、↑で書いたような『幼稚さ』なんかは問題なく流せたでしょうね。

ストーリーで大きなポイントになる誤解のネタは、あまりにも他愛なさ過ぎるというか読み手はもちろんわかってるというお約束ですが、それはもういいんです。『王道』のよさはあるんですよ。

ただ、作中キャラクターが(身も蓋もない言い方ですが、ひとことで解ける誤解なのに)見事にすれ違ってる様子に『アンタたち、そんなに意思疎通なくてホントに大丈夫なのか?』と余計なお世話ですが気になってシラケてしまいました。これも、いい年の大人同士だからですよ。

それでも決してキライじゃないんですよ。つまらないとも思わない。
実際、ここまで文句言わせながらもきちんと最後まで逸らせずに読ませるのはさすがに上手いんですよ。

ここからシリーズは、メインキャラクターを変えて続いて行きます。

0

大人になったら良さが分かるのか?

作品自体は良かったですけど、自分がまだガキで大人の恋愛っていうのを分かってないってことなのかなぁ・・・・色々と突っ込みたい!!
藤木は別れた恋人である嘉悦と予期せぬ再開をするんですが、その後大人らしさは何処にいったんだろうか子供っぽいところが出始めます。これは10年近く自分の感情を抑えてた反動なのか?あと、指輪を外してきたのを見て「愛人に気を使ってる」って昼ドラ?昼ドラだったら十中八九修羅場になるな・・・嘉悦は相手が誤解してるって何で気づかなかったのか??「こいつ、何か誤解してるんじゃないか?」と匂わせるセリフいっぱいあったじゃん!!
っとツッコんできましたが背中に傷がつかないよう、爪を立てないよう手を握りしめて抱きつくとこや、周りの人々のキャラや対応とか良く印象に残るところのほうが多かったかなあ。多分もっと大人になったらこの作品に対する印象も変わってくるんだろうなあ・・・。

1

時々子どもっぽくなる藤木が残念すぎる

ブルーサウンドシリーズ1作目。
湘南のカフェレストラン「ブルーサウンド」の店長、藤木と大学生の時に別れた恋人、嘉悦の再会物語。
互いに嫌いになって別れたわけではなく、それぞれに思いを相手に残していたという・・・最初からオチの見えるお話でした。
嘉悦の指輪にまつわる行き違いすれ違いがなんだかバカバカしかったですが一気に読ませる面白さがありました。
ただ一つ、嘉悦が絡むと藤木が子どもっぽくなってしまうのがちょっと残念。
別れた頃に気持ちがシフトしてしまうのかも知れないけれど、いい年の大人なんだから最後まで大人の恋を表現して欲しかった。

1

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