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うーん…電子書籍サイトのレビューがかなり高評価だったので読んでみましたが、私は何の感動もときめきも覚えませんでした。
前世ものもファンタジーも好きなんですが…。
主人公(受)→凛久。祓魔師。
攻→琉黎。天龍の皇子。500年もの間封印されていたが、凛久によって封印を解かれた。
葦耶姫→凛久の前世。
ストーリーは凝っていると思います。
ただ、BLとしてキャラクターに感情移入して読めるかと言われると微妙です。
根本的に、凛久と琉黎が惹かれ合った理由が最後までよくわからず、モヤモヤが残る。
凛久は「俺は姫じゃない」「俺と葦耶姫はたとえ生まれ変わりでも別人だ」と何度も言葉にするとおり、琉黎から「姫」と呼ばれること、あくまで葦耶姫の生まれ変わりとして接されることに抵抗を覚えていた訳です。
でも結局は、姫と自分の思いが一つとなった瞬間記憶が蘇り、とてつもない力が〜みたいな展開になるので、そこで戸惑ってしまいました。
自分と葦耶姫は別人だと言う割に、凛久の行動はほぼ葦耶姫の記憶や魂に影響を受けているとしか思えず。
攻の琉黎が凛久に惹かれた理由に至っては、やはり最後まで読んでも「惹かれたも何も、葦耶姫の生まれ変わりだから最初から好き」としか思えない。
「姫と呼ぶことで記憶を取り戻すきっかけになればと、凛久が嫌がっているとわかっていながら姫と呼び続けた」とか、あくまで凛久より葦耶姫重視な訳です。
最後まで「葦耶姫のことは関係ない。俺は凛久が好きだ」みたいな台詞はありませんでした。
周りの人も「前世とちっとも変わっておられませんな」みたいな。
むしろ「前世とは性格も全くの別人。完全に別人である凛久を、琉黎は好きになった」というパターンの方が良かった。
作者さんが文章で説き伏せてるような感じにしか読めず、読者としてはいやいや納得出来ませんよー…と。
また、琉黎の八方美人さというか、自分を慕う者に対して優しくし過ぎる点も気になりました。
皇子として悪いことではありませんが、凛久が可哀想。
琉黎としては相手に恋愛感情などはなく、同族として弟のような存在として可愛がっているに過ぎないのですが、慰めるためとはいえ凛久の目の前で他の人を抱き寄せたり。
抱き寄せられた方はうっとりと胸元に頬を寄せ。
琉黎は凛久の方に顔を向けもしない。
いやそれは、攻がやっちゃダメな行動だよー。
あくまで受を第一に考え、受だけを溺愛し大切にする攻が好きなので、琉黎についてはいくら容姿がイケメンでもときめきませんでした。
読んでいてモヤモヤするシーンが多く、ハッピーエンドではあったものの幸せな読後感もありませんでした。
前世で結ばれる事が叶わなかった天龍界の皇子と豪族の姫君。
人である故に転生を繰り返してきた葦耶(かや)姫の魂は五百年を経て生まれ変わり、祓魔師の凛久(りく)として封印から解き放たれた琉黎(りゅうれい)と再会を果たすものの、果たして今世で添い遂げる事ができるのか?
話のほうは、琉黎を慕う天龍界のキャラクター達の登場や、過去の葦耶姫の記録を探していく凛久の行動を通して、読み進めながらどういう経緯で二人が結ばれなかったのかを紐解いていく展開となっている。
薀蓄の織り込み具合も控えめなので読み辛くはないのだが、登場人物の名前に結構堅めな漢字が使われているのが多いせいか、キャラクター像に硬い印象を受けた。
全体的にしっかりした作りの話だと思うが、申し訳ない、個人的にはどうも前世ものが不得手なせいか物語にも攻め受けにも思いを込めにくかった。
感情移入し辛かった理由は、琉黎と凛久が互いに惹かれていく過程にいまいちグッとこなかったから。
凛久が琉黎に惹かれる感覚が、彼自身の感情というよりも葦耶姫の残っていた想いに動かされていた感があったし、琉黎にとっても葦耶姫に対する想いが一番強いんだなって印象を越える事ができなかった。
転生した凛久が祓魔師として生まれたのには意味があるし、彼が思い出せない五百年前の葦耶姫の記憶をどう埋めていくかって行動も頷けた。
終盤で上手くまとまったからこそ、そこにたどり着くまでに琉黎には過去の葦耶姫とは違う現世の凛久自身の魅力を見出してほしかったかなって惜しさを感じた。