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表題作その愛に終わりはあるか

鷲沢哲
指定暴力団組長で尚三の長年のパートナー45
南野尚三
警視庁捜査一課の事なかれ主義係長45

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

けれど、これはきっと、愛がなければできないセックスだ
警視庁捜査一課係長・南野の唯一の弱点は、暴力団組長・鷲沢と長年パートナー関係にあることだったが…。

事なかれ主義のなんでも流せる及び腰――警視庁捜査一課係長・南野の弱点は、指定暴力団組長・鷲沢と長年パートナー関係にあること。
少年時代を血の繋がらない兄弟として過ごし、再会した時には刑事とヤクザ、そこから始まった鷲沢の深すぎる求愛行動が今に至るのだが…。
南野の班が保護した事件の目撃者が鷲沢の若い頃に瓜二つ、しかも父親を捜しに来たことが判明し!? 
とんだ溺愛ヤクザと枯れた中間管理職カップル、いきなり別離の危機!?

作品情報

作品名
その愛に終わりはあるか
著者
谷崎泉 
イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
シリーズ
ダークホースの罠
発売日
ISBN
9784576180540
4.1

(26)

(15)

萌々

(6)

(2)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
6
得点
106
評価数
26
平均
4.1 / 5
神率
57.7%

レビュー投稿数6

スピンオフですよー

作品の情報を何も確認しないまま、谷崎さん作品という事で購入。イラストのyocoさんも大好きなので期待値、爆上がり。
読み進めると、受けの部下である「胡桃」の恋人の話がチラッと出てきたり、胡桃自体が脇とは思えぬ魅力を持った人だったので、あれ?と思い確認すると本作の前に胡桃がメインのお話があったー(*゚▽゚*)!(関連作にも、他の方のレビューにもバッチリ書かれているのに〜)
ちゃんと調べれば良かった…と思いながらも、前作未読でも十分楽しめました。

お話について(鷲沢×南野)
一般的なBLのセオリーを良い意味で無視した作品でした。
まず、主役の受け攻めは15歳で出会い、間に会わない期間はあるものの、現在お互い45歳。
最初の出会いや、再会時(25〜6歳)の過去編が話に組み込まれているとセオリー的に思いません?私は思いました。
2人の過去は、会話や、南野の思考の中で語られるだけで、実にあっさりしたもの。
過去の大筋は分かるものの深い部分は語られないまま!!(゚∀゚)
自分で想像するのも良し。
私は語られない事が2人の関係性にピッタリに思え、かなり萌えました。

鷲沢の生業がヤクザ屋さんであるに関わらず、それらしい描写がほぼ無い。
桁違いのお金持ちであったりとそれなりに感じる部分もあるのですが。
BLのセオリー的にそういう生業の方は、弁の立つ乱暴者だったり、無口だけど怒ると怖かったり、傲慢、鬼畜に描かれがち。
鷲沢さんは違います。南野の事が好き過ぎるただのストーカーです。笑
南野が警視庁に勤めている事もあり、事件メインにストーリーが進む為、ラブの描写は多くありません。でも、鷲沢が南野に向けた言葉一つ、行動一つ、それが愛に溢れとにかく愛しかったです。

受け攻め2人の関係もかなり独特です。
南野や胡桃は、南野に対する鷲沢を"マゾ""救いようのないバカ"と評するように、虐げられようが怒鳴られようが、南野が反応を示すだけで鷲沢は安心するし、喜びにもなる。
一見すると南野はそんな鷲沢の愛にあぐらをかいている感も否めないのですが…南野は気にするわけでも反省するわけでも無いのでいっそ清々しいです。笑
鷲沢もそんな南野を愛している。
そして、ただひたすらに、鷲沢はこれからも南野を愛し続けていくのだと思います。

8

「ダークホースの罠」のスピンオフ

絵師買い。yoco先生の挿絵は、作品内容のダイジェスト。

胡桃が主役の「ダークホースの罠」より先に、
スピンオフの「その愛に終わりはあるか」を読んでしまった。

胡桃の上司、係長の南野が主役。その部下が、胡桃。
この作品の中の胡桃の役割がとても面白かった。
そしてあの美貌のバンパイアとまだ同居して一緒にいるというので、
「ダークホースの罠」も読んでみようかな、と興味が沸きました。
ダークホースの罠は、表紙が無愛想な胡桃。
スピンオフでの胡桃は、無愛想だけど、思いやり深く、南野を上手にサポートする勘がいい部下。
順逆だけど、読了後「ダークホースの罠」も読んでみようかな、と思った。

南野は、部下の胡桃が言うように「自覚ない魔性」で、ゲイ受けよくてモテる。
南野の恋人鷲沢とそっくりの青年桐野と、事件の目撃者として南野は出会う。
南野の心は激揺れ。
「もし血縁関係があるなら、あいつと別れる」と決意する。

そして、訳不明の上司にも悩む南野。やり直しの書類のせいで四日徹夜。

伏線回収の結末で、事件も、南野の悩みも一気に解決。
南野に注がれる「その愛」には、終わりはなさそう、
ハピエン。

2

No Title

ヤクザ×刑事って司法が暴力に屈してる感じ?あって好き、なんか頭悪い文だけどヮラ

めっちゃ受けの子好みだったーなんか無気力系の男の人っていいよね、それでいて突っかかりにくいタイプじゃなくて見くびられるくらい柔和な人柄なのあまり居ないタイプで新鮮だった。
しかも美人系なのアツー
これは攻め然り他が追っかけんのも分からんでもないね
コレ3年前ぐらいに読んで何回も思い出す本だからまた近々読も〜、色々忘れてるだろうしめーちゃ楽しみ!!!

0

大人はみんな狡いのかも

『ダークホースの罠』は未読ですが、こちらだけでも楽しめました。
ただ、主人公南野とその部下、胡桃の会話がちょっと素敵だったので「あちらも読んでみようかな」という気になりましたよ。

警視庁捜査一課係長、南野尚三は連続強盗犯の事件と、管理官である古沢の書類提出に絡む嫌がらせに疲れ切って、二週間ぶり自宅に帰ります。泥の様に眠りこける尚三に卑猥なちょっかいをかけてセックスになだれ込もうとするのは広域暴力団組長の鷲沢哲。一時期、両親が結婚していたことで義理の兄弟であった鷲沢とは、両親の離婚で家族関係が切れた後、互いに26歳の時に刑事と暴力団員として再会します。初めてあった時に尚三に一目惚れしたという鷲沢の熱烈かつ、勝手な求愛に流されて関係を持ったまま、もう19年。闇の世界では飛ぶ鳥をも落とすほどの鷲沢は、尚三だけには頭が上がらないという関係を続けながらも尚三は「鷲沢に人生を狂わされた」「鷲沢さえいなければ結婚もして子どももいたかも知れない」と数少ない二人の関係を知る部下、胡桃に愚痴をこぼしています。そんな中、新たに起きた殺人事件の目撃者、桐本は若かりし頃の鷲沢に瓜二つ。尚三は「桐本が鷲沢の子どもではないか」と疑念を持ち、嫌がっていた関係のはずなのに心が乱れていきます。薬がらみの殺人事件、少しだけ反抗的な態度をとった後に尚三への対応が変化した古沢管理官との関係、桐本と鷲沢は親子なのか、様々な事態の混乱の中、45歳同士、捜査一課と組長という禁断の熟年カップルの未来は如何に?

尚三は狡い男です。
作中、何度も鷲沢にそう言われるのですが、私が最も狡いと思ったのは「鷲沢がいなければ」と何度か思う所なのですよ。本当にそう考えている訳ではないのに、相手の所為にして自分の気持ちに向き合わない所。相手が自分に惚れている、自分を決してないがしろにしない自信があるからこそそう思えることを知っていながら、そう考えちゃう。これは狡いよね。
でも同時に「45歳位になっちゃえばそういう風に思うこともあるよね」とも思うんです。
また、熱血刑事じゃないくせに、実は「仕事が一番」なんですよ、この人。捜査のために、鷲沢を『足』として使っちゃったりする。そんな所もちゃっかりしているというか、狡い大人なんです。

でも、本当に追い詰められた時に、尚三が何を選んだのか。
そして、尚三に一番として選ばれる事を19年間待ち続けた鷲沢が、どういう対応をしたのか。
これがこのお話の最高の読みどころ。
大きいお姐さん方には「ああー、こういう夫婦(『夫夫』だけどね)っていいわぁ~」と、思わずため息が出る方も少なくないのではないかと。

谷崎さんの語り口は、あいかわらずとぼけていてコメディなのかシリアスなのか解らないし、細部まできちんと展開してくれません。
でも、私はそこが好き。
リアル人生なんて、事細かに解るものではないですから。
『解らない部分、話されない事実があって、その中で、叶うかも知れず、叶わないまま終わってしまうかも知れない願いをちらちら垣間見せながら、沢山の人たちの恋や仕事が明日も続いて行く』そんなお話を、愛おしいと思ったのでありました。

10

執着も馴れ合いも「愛」であることに変わりはない。

『ダークホースの罠』は未読です。

40歳は不惑の年といわれますが、惑いまくっている40オーバーの男性二人の恋物語でした。
警視庁捜査一課の係長の南野と鷺沢組組長の鷺沢。
二人は10代の頃に親の再婚で義兄弟となり、再び親が離婚したために一時期は縁の切れた間柄。
再会してからは何だかんだとパートナーとして続いています。
物語としては殺人事件と鷺沢の隠し子騒動、南野が上司から受ける求愛といったいくつかの枝葉が絡まりあってひとつのストーリーとなっています。
鷺沢は南野のことを無条件に愛していて、常に南野を心身ともに求めてやみませんが、南野の方は根本的にこの関係は間違っているという認識があり、鷺沢を受け入れつつも拒むという捉え方によっては狡くて身勝手にも思える状態。
個人的に気が強くて自立している(美人)受けは大好きですが、南野については「いい大人なんだから肝を据えて向き合って!」と思う場面がしばしば。
攻めの大型ワンコ(南野限定で)も好みのタイプなのですが「もうちょっと強く出ようよ!大人なんだから!」と思うことしばしば(笑)
でも、このカップルの破れ鍋に綴じ蓋的な関係性は長い年月をかけて出来上がったもので、二人にはベストな形なんだろうなぁ、と。



二人の関係性に終始するのはBL本の醍醐味の一つだと思うのですが、ラブだけではなく仕事描写や二人以外の他者とのやり取りを楽しみたい方にお勧めです。
ちなみに、表紙から受けるシリアス一辺倒な感じではなく、とぼけたというかピントがずれているというか、そんな笑いがそこかしこにある小説でした。

8

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