電子限定かきおろし付
受けが吃音という普通の設定の一つかと思いきや、奥が深くて凄く良かったです!
吃音に対する知識が全くなかったのですが、焦って言葉が出ないのではなく、言葉が出ないから焦るといったこと、水中で息をするような苦しさ、考えただけでも辛いだろうなと思ってしまいました。
感受性が豊かだからこそ、伝えられない歯痒さと戦いながら、それでも一生懸命で伝えることを諦めない受けは本当に偉い!!
そんな受けだからこそ攻めの心を開くことができたのだと思います。
対する攻めは、言葉は使えるけれど、言葉足らずで無自覚に人を傷つけてしまったり、凄く対照的な2人でした。
吃音が治る治らないですれ違ってしまうくだりは、安易に大丈夫という攻めにイラッとさせられ、受けの気持ちを思うと胸が痛かったです。。
でも攻めもちゃんと向き合おうとしていたんだなと思って、溜飲を下げましたが。
人に想い伝えようとする気持ちの大切さのようなものを感じさせられました。
そしてなんと言っても受けが本当に健気で可愛い!!
清掃員をやっていて綺麗好きだからか、USBを渡す時や雨の日に攻めの手をふきふきしてあげてるのが可愛くて仕方なかったです。
口元も可愛くて、攻めがふにふにしたくなる気持ちが分かります!
作者様も会社員なのかお仕事風景もリアルな感じで良かったです。
ミーティングをミーテと略していたのはちょっと面白かったです。
ただ、お互い「好き」と直接的な言葉では言い合っていなくて、それが敢えてなのか、たまたまなのか。。
もっと続きが読みたいと思うような心に響く良作でした!
初読みの作者さんでしたが、先ずタイトルで惹かれました。そしてあらすじで「人の気持ちが分からないエリート×吃音コンプレックスの清掃員」との一文を読んで更に興味を持ちました!
よくある格差BLで、結ばれることで受けのコンプレックスが満たされるという単純な話では決してなくて
テーマとなる吃音について、当人や周囲の人の感情がとても丁寧に描かれてすごく良かったです!解りやすかったです。
高科さんが瑠莉くんのコンプレックスを理解しようと勉強して 一緒に治そう!と持ちかけて険悪になってしまうところ、
高科さんの行動や気持ちはコンプレックスの根本を履き違えて理解してしまったからで 優しさ以外のなにものでもないんだけれど、
障がいやコンプレックスを持った人に対してやってしまうありがちな言動なのかなと思ったりしました。瑠莉くんも高科さんも、ちゃんと想いを伝えられて、互いを理解できて、仲直りできて良かったです。
コンプレックスをテーマにして、
瑠莉くんが内向的な性格になってしまうの仕方ないとして、高科さんも高科さんに好意を抱く女の子も突飛な性悪部分が社会人としてどうかなと思う所がありましたが(笑)
高科さんが瑠莉くんに言葉の意味はちゃんと伝わると言ってくれたり、
すみませんじゃなくてありがとうと、同じ五文字だからと教えてくれたり、バイオリンも諦めなくて良いと促してくれたり、
女の子は瑠莉くんの吃音を知って貶したけれど、勇気を出した瑠莉くんに歩み寄って声をかけて背中をさすってくれたり、
と、優しい部分を存分に見せてくれました!
きっとコンプレックス改善には至っていないだろうけども、明るい未来と優しいがいっぱい詰まっている一冊です。
タ行が言いにくいという瑠莉くんに名前を呼んでもらいたい高科さんが可愛かったです(*´꒳`*)
ちみ先生の作品は、透明感のあるすっきりとした風合いで大好きです。
優しく柔らかいものが積み重なって、しっかりと重みのあるようなイメージのお話。
涙がポロポロと止まりませんでした。
ある意味コミュ障同士の恋で、応援したくなります。
ルリ君が高階に憧れたきっかけは語られていますが、高階がなぜルリ君を好きになったのか、理由が描かれていればよかったかなぁ、と思います。
高階目線のお話が読みたいです。
吃音でうまく人と話せないため、人と距離を置いて生きてきた受けの瑠莉。
清掃員として働いている会社で攻めのUSBを拾ったことにより、2人は出会います。
攻めの亨は、瑠莉に自信を持って欲しいと思い、「落ち着いて話せば大丈夫」と吃音についてアドバイスをしたり、励ましたりしますが、実際瑠莉は、焦るから話せないのではなく、話せないから焦ってしまうので、その言葉に傷つきます。
吃音の人が感じている感覚を、表紙が物語っています。
読み終わってから再度表紙を見ると、涙が溢れました。
これはきっと先のレビュアー様方のレビューが目に留まっていなかったら食わず嫌いして素通りしていただろうなと思います。
攻めがエリート設定ではあるんだけど、完ぺきなスーパー攻め様じゃないところが良かったです。
知識不足で程よく受けの子を傷付けてしまうような攻めだから、読む意味のあるお話に仕上がっているというか、攻めと一緒に読者も立ち止まれるというか。
“相手を思ってこそ”が裏目に出ることの方が実際は多いと思うんだけど、自分は相手を思って相手をちゃんと理解しているつもりだから見当違いなことを言っていたり押し付けになっていたりしても気付けなかったり。
人はそんなふうに“貴方を思ってこそ”を盾に暴走しがちなところがあるから。
本作は「吃音」という題材を使って、そこら辺のもどかしさに踏み込んでいるお話だったかなと思います。
言葉がすらすら出てきても難しいのに、言葉がどんどん消えていくような焦りを感じながらなんとか伝えたいと頑張る瑠璃を見ていると、こっちまで水の中でもがくような気分でした。
自分の吃音を気にしない高科に出会えて瑠璃はすごく嬉しかっただろうなと思うし、だからこそ高科が他の人達と同じように吃音について誤解をして自分に言ってくる言葉が余計に辛かっただろうなと思うし、高科に瑠璃の伝えたい言葉が伝わるまで本当にもどかしかったです。
自分だったらもういいやって逆ギレしてそうだなと思いながら読みました。
瑠璃だからこそ、高科にちゃんと伝わったんだろうなと思えます。
仕事はできるけど人間的にどーよ?って感じの高科のことを、高科の同僚や上司たちが気にかけて見守っている感じもあったかくて良かったなと思います。
完ぺきな人なんていなくて、誰しもが持ちつ持たれつですよね。
そういうお話が私は好きです。
真摯な印象の良作でした。
瑠璃が本当に可愛いので、私みたいに食わず嫌いしかけた人達にも是非一人でも多く読まれるといいなと思います!
あとこれは個人的な萌えポイントなんですが、敬語同士な二人が可愛くって萌えでした♡
【電子】ひかりTVブック版:修正-(描かれていない)、カバー下○、裏表紙×、電子限定描き下ろし(1p)付き