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表題作愛しい犬に舐められたい

赤羽根直人、迷い犬を捜す怪しい探偵
片貝広、犬に好かれる会社員

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

犬しか愛せないし欲情できない。そんな異常性癖を隠して地味に生きる片貝は、会社帰りに迷い犬を捜す怪しい探偵・赤羽根に出会い、犬の保護を手伝う。数日後、どういうわけか片貝は赤羽根の事務所に出向を言い渡され、いわくありげな〈犬捜し〉を手伝うことになっていた。赤羽根はグレーの髪に琥珀色の瞳、モデル並みの容貌のくせに物好きにも片貝を口説いてくる。犬以外に好かれても迷惑だったが、赤羽根の瞳はなぜか、かつて恋した飼い犬を思い出させ――。

作品情報

作品名
愛しい犬に舐められたい
著者
一滴しぃ(Si) 
イラスト
亜樹良のりかず 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778125110
3.4

(19)

(2)

萌々

(7)

(8)

中立

(1)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
1
得点
63
評価数
19
平均
3.4 / 5
神率
10.5%

レビュー投稿数1

なかなか刺激的!!

デビュー作との事で、おめでとうございます。

こちら、怪しい探偵×犬しか愛せない地味な会社員による、推理サスペンス要素ありのケモファンタジーです。
これだけBLを読み漁ってると、何となく先の展開は読めちゃったりするものですが、今作ではことごとく読みは外れました。
ほのぼのしていてハラハラドキドキ、そしてちょっぴり切なくほろ苦い・・・。不器用な両片思いを楽しめました。


内容です。
犬しか愛せない異常性癖の持ち主で地味な会社員・片貝。
犬を捜す怪しい探偵・赤羽根と出会い、犬に懐かれる自身の体質を生かして犬の保護を手伝います。
その後、何故か出向を命じられたのが赤羽根の探偵事務所。
事務員なのに犬捜しを手伝わされますが、同時に赤羽根から甘く真摯に口説かれー・・・と言うものです。
ウェアウルフ(狼男)が社会に溶け込み、人間と共存してと言う世界感です。


こちら、あらすじではぼかしてありますが、帯にはしっかり赤羽根の正体が書かれちゃってるんですよね。
あと、最初から赤羽根の正体は匂わせてあり、鈍い私でも早々に想像が付きます。
で、主人公である会社員・片貝が異常性癖(ガチで犬に欲情)持ちで、過去に飼い犬で思い人(犬?)・ジャックとの手痛い別れを経験していたりします。

と、設定だったり世界感がなかなか複雑なのですが、更にストーリー自体もしっかり練られています。
片貝がボランティアとして参加しているアニマルシェルターから、盗まれた保護犬とデータの謎。
ウェアウルフが集団で暮らすW地区。
そして片貝を襲ったウェアウルフの目的-。
次々と起こる驚きの展開で読ませてくれます。

また、平行して語られる、赤羽根と片貝の焦れったくも不器用な恋愛も見所。
ウェアウルフに襲われて危険だと、かなり強引に赤羽根が片貝を保護するのです。
そんなワケで、赤羽根の自宅で二人は同居。
犬にしか(恋愛面)で興味が無い片貝。そんな彼を溺愛と言っていい程大切に扱い、真摯なセリフで口説く赤羽根。
徐々に片貝が心を許していく様子が丁寧に描写され、「犬にしか興味が無い」と言いつつ照れて意識し始める彼の態度だったりが、大変可愛くてほのぼのさせてくれます。

一応、赤羽根の正体はネタバレ無しにしときますが、バレバレの正体以外に、もう一つ隠している事が彼にはあります。
個人的にはこの事実に、イラッときたりして・・・。

あと、片貝の「ジャック」に対する手痛い失恋。
ホント、ガチで片貝はジャックを愛してたんですよ。
最初はこの片貝の性癖に若干引いたのですが、作者さんがふざけていたりするのでは無く、あくまで真摯にジャックとの恋愛が語られます。
そのため、かなり痛々しいし切ないのです。
拒絶された形になる片貝も切ないのですが、寝たふりをするしか無かった、ジャックも切ない・・・(´;ω;`)
察しのよい姐さんはジャックの正体にピンと来てるでしょうが、彼には幸せになって貰いたかった・・・。

ところで、片貝の犬に性愛を感じる異常性癖ですが、普段からそこらの犬を見て性的興奮を覚えたりはしてません。
ジャックの正体を思うと、あくまでジャックが特別であり、本当の意味で彼は異常性癖では無いんじゃ無いかと思ったりして。
逆に、犬だからジャックに惹かれたのではちょっと嫌だ・・・。

主人公である片貝が、犬の形を模したディルドでアナニーしていたり、獣姦があったり。あと、シンジケートに監禁。
なかなか刺激的なデビュー作ですが、文章としてはどこかトボけていて、プッとさせてくれてと全体的にはほのぼのもしてます。

攻めである赤羽根が若干ヘタレな上に、ジャックの印象が強すぎて影が薄く感じたりもしますが。
ただ、それを差し引いても個人的に好みの作品でした。

9

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