ボタンを押すと即立ち読みできます!
すっっごく面白かったです!
時代背景や設定的にストーリー運びに重点が置きすぎてBL味が薄い可能性を懸念しつつ読み始めたのですが、終始一貫して良い意味でBLの枠を外さない部分が非常に良かったです。殺さねばならぬ相手と恋に落ちてしまう物語は時に鬼気迫るものがあり、読み応えがありました。(400P越えで分厚いです)
作品の雰囲気はインタビュー記事のサンプルを参考に♪
背景や細部まで非常に丁寧に描かれていて、ドップリ世界観に浸かることが出来ます。
内容が内容なので血しぶきが飛び散る場面が多少あります。苦手な方はご注意下さい。
さてさて。
昔は暗殺を生業とし今は剣術の名人と名を馳せる間宮刀爾郎の元へ、和田一馬と名乗る者が弟子にして欲しいと押しかけてきます。弟子は取らないと門前払いするものの、一馬は弟子が無理なら下郎でもいいからと頼み込んで動かない。刀爾郎は根負けして下郎としてならと屋敷に入れることにしました。しかし和田一馬は偽名で本当の目的は父親を殺した刀爾郎に仇をなすこと。ですが下郎として働きながら機会を伺っているうちに、刀爾郎の人柄に触れ少しずつ情が移っていきます。
そんなある日、刀爾郎は一馬の本当の目的と出自を知り愕然。一馬こと曽我雄之進の父親は、かつて刀爾郎が恋い焦がれた相手であり、殺したのも刀爾郎自身でーーーと展開します。
あああッッ(;///;)もうね、お父さん!お父さんですよ。
出番少ないのにキャラクターの引力が強くて心が持って行かれた。
亡くなった後も慕われ愛されている人柄と豪快な笑顔がキュンとくるお侍さんでもぅもぅ…!
ヒゲ面のオッサンなんだけど大人の色気が堪らない(∩´///`∩)
妾さんの家で男妾とエッチするようなお人なんですけどね、それがスマートで。
妾さんも知っててそれを許してるのが時代ならではですかね。
(現代に当てはめるとクズ男なのに、お侍さんだとさもありなん的な)
で、刀爾郎は殺さねばならない相手だったのに惚れてしまい。。。
刀爾郎は生まれて初めて愛し愛された喜びの日々の中で、
恋しいと思えば思うほど失う恐怖が追いかけてくるようになっていくのが辛いです。
結果愛しくて失いたくないと思っている相手を、自分の手で殺めるのが何とも言えない(;ω;)
そして時は回り巡って、愛してる男の息子・雄之進が刀爾郎の命を狙う。
お家の存続と父親の命の尊厳を取り戻す為に、雄之進は刀爾郎を殺さなくてはならない。
しかし機会を伺っているうちに刀爾郎に惚れてしまって、仇討ちの気持ちが鈍り始めてーー。
殺す側から殺される側へと形はかわるけれど過去と同じ図式が出来上がるのですね。
お父さんが刀爾郎の刀を黙って受けた気持ちや、
冷淡に惨殺したように見えた刀爾郎の気持ちが、
雄之進の仇討ちのシーンとダブってきてもぉぉぉぉ感情の揺さぶりがッッ(;ω;)
仇討ちも見届け人がいるようなキチンとした場で行われるもんだから
どっちかが首を取らなきゃ終わらないような空気があってドキドキハラハラしぱなし。
本気で命の取り合いしているような鬼気の迫りように心臓が持たない。
バッドエンドかメリーバッドエンドの未来を覚悟しながら読んでました。
ほんと良かった…良かった(;///;)
雄之進の年下攻めはニヤニヤが止まりませんでした( ´艸`) スキー!
特に後日談で刀爾郎と父親の関係を知った時の反応が可愛くて可愛くて…!
年下ワンコ攻め大好きなので堪らなかったです////
刀爾郎は最初の方は雄之進に抱かれながらも雄之進の中にある父親の面影を重ね
雄之進を通じて恋した男を追っているかのような状態だったのですが、
気持ちに区切りをつけて雄之進を想う姿に変わっていったのが良かったです。
今度こそ愛する男と添い遂げて幸せになって欲しい。
またお父さんのお妾さんがとても素敵な女性でした。
描き下ろし部分、10話のラストでは粋なことをしてくれてウルリと(;///;)
本妻さんもキツそうな人だけど懐もあって、
なんてたってあの雄之進を育てた人だから素敵な女性だと思います。
お父さんは罪作りな男やで…。
お殿様を始めとする周囲も人情味があり、温かさも感じる作品でした。
1回読むだけで100m走ったようになりました。絵、セリフ、モノローグが必然で、読んでいくとどんどん話の世界に入り込んでいける感じです。
話の軸となっているのは親の仇を好きになってしまい葛藤するという不幸な話なんですが、主人公二人の立場、想い、性格が生き生きと描かれていて、重たいところも正面から描かれているので、作品の雰囲気はむしろ軽くて明るい感じがあります。また、江戸時代の家や庭や門の感じや、食事の風景なども情緒があって、二人が一緒に暮らしながら好きになっていく過程はじんわりします。
クライマックスとなるのは二人の仇討ちの試合のシーンなのですが、迫力がすごいです。剣を振る体の動き、感情の熱さ、傷つく体、流れる血、交わす言葉など。。。二人とも完全に集中しています。本気になる二人はここで初めて見れるのですが、剣を振るのも腕だけではなく体全体で振っていて、また二人の流派の違いも分かるし、達人と感じさせる凄みもあり、これを絵で魅せてくれるなんてすごいです。
試合ですべてをぶつけ合った後に、最後にようやく二人が結ばれてよかったです。そして二人が旅立って、一緒に歩いていく場面が幸せそうでうるっときました。さらにイチャイチャしている二人も見れてよかったです。強いて言えばもっと見たかったです。
「すごい」ばかりの感想ですが、このような作品が読めてよかったです、ありがとうございました!
木の手触りが伝わってくるような武士の住まい、旬のものを食べるつつましい暮らし。情緒あふれる江戸の描写に引き込まれました。
そして、一馬(雄之進)と刀爾郎が刀を交えながら自分たちの心を見つめる死闘に、胸が熱くなりました。刀は武士の魂。二人は魂をぶつけ合っているのだと思いました。
父の仇を討たねばならない。でも愛しい、と迷う一馬。
向かってくる者は討つだけ。そう思っていたのに、一馬に惚れていることに気付いてしまった刀爾郎。
激しく刀を打ち合いながらも揺れ動く心を、二人の表情と刀さばきが鮮やかに伝えてきて、グッときました。(作画が本当に素晴らしいです。)
刀爾郎が一馬に斬られる覚悟を決めたとき、呼び方が「雄之進」から「一馬」へと戻ります。続く「いざおいで」に、これで武雄を切った償いができるだろうか、という気持ちと、一馬への愛が伝わってきて、何度読み返しても胸に迫るものがあります。
命がけの死闘が描かれているからこそ、共に生きることを決めた一馬と刀爾郎の愛し合う姿が、より甘く感じました。死が身近だった江戸時代、愛や情は今よりずっと素朴で深いものだったのかもしれない、と思いました。
本当に分厚い。コミックス2冊分くらいあるのかな?
すごく読み応えがあり、かなり濃密なストーリーなので私もじっくり時間をかけて読みました。
親子二代と愛し合ってしまった人斬りの人生のお話です。
以下、ネタバレありです。
本当に目が潤むくらい、骨太感動ストーリーでした。
武雄(一馬の父)の熱視線に絆されていく刀爾郎や
父の仇の刀爾郎に心を開いていく一馬の過程が丁寧に描かれていて本当にすごかったです。
仇討ちのため修業し、せっかくターゲットの懐にもぐりこんだのに、どんどん恋心に変わっていく過程が見ていて切なく心が苦しくなりました。
刀爾郎が武雄を殺した理由が悲しい。妾のおりうさんや本妻の気持ちを考えるとやっぱり良くない…。他の者に殺されるくらいなら殺す、というのは、気持ちはわかるけどちょっと…。
でも、その分苦しんできたんだなと思ったし、武雄の刀で自分を切ってほしいと願う刀爾郎がさらに悲しかった。本当に好きだったんだなあと。
刀爾郎も一馬も、殺そうと思っていた相手に惚れてしまうという描写が同じで、残酷な運命だと思いました。
内容もさることながら、とにかく画力が高い。戦いのシーンも迫力があり、本格的なバトル漫画のよう。
ラストは刀爾郎と一馬がお互いに「愛している人を殺さなければならない状況」に陥り、刀を交えます。
息をのむような描写でした。
刀爾郎の片腕がもげるシーンでは驚いて声まであげてしまいました。
最後はハッピーエンドでした。
汚い一馬が風呂屋で現れてる最中にのれんから顔出して刀爾郎を見てるシーン(1コマしかないですが)最高に可愛かったので見てほしいです。
なんだか、漫画というより長い時代劇を見ていたような気分。
刀爾郎の人生の半分を見させてもらった感じです。
そしてこれからの幸せを願うばかりです。
吹屋先生の作品は時代物が多いですが、本作は江戸・寛永期に生きた侍たちの話。
6年かけて執筆し、大幅加筆修正&描き下ろしをした ”渾身” の一冊(※ほぼ二冊の分厚さ)!
分厚いからこそ電子待ちをしていたのですが、ちるちるBLアワード2019のディープ部門にノミネートされているのを見て、読みたい気持ちが抑えられなくなりました。
ページ数もさることながら、ストーリーが重厚で、これは本の重みを感じながら読むのが正解だったと思いました。
剣術指南の間宮の暮らしぶりは無頓着で、周りから敬われていても全く気にかけていない。達観しているというか、どことなく生きることを半分あきらめているような気配が漂っています。
そこに一馬が弟子入り志願をしてきて、下郎(召使い)でも良いからと懇願され、間宮は一馬をそばに置くことにした。
一馬は明るく家事をこなし、間宮も主人として情がわいてきたものの、剣術はやったことがないと言っていた一馬の動きは武芸をたしなんでいたようにしか見えない。
それに一馬を見ていると、真宮はふと昔のことを思い出す…
間宮の父は謀反を犯し、一族は殺され、間宮だけは命を助けられたが、裸同然で何も持たずもう死ぬしかないような状況だった。
でも、父の遺言で家に伝わる刀を手にすると、なぜか間宮は死ぬ気が失せ、道場破りに暗殺、名刀で人を斬って生きてきた。
そして間宮は、武雄という藩士の暗殺を引き受けたが、ならず者にからまれて怪我したところを助けてくれたのが、暗殺対象の武雄だった。
武雄は朗らかで豪快で、間宮を愛しく想う気持ちも隠さず、間宮は武雄を拒めずに受け入れ…
朗らかな大人の男に訳ありな男が抱かれる、男同士の関係もさほど珍しくない時代、二人は仲睦まじい恋仲に見える。
でも、、、人を斬って生きてきた間宮は、武雄に愛おしく思われることが、自分が武雄に惹かれていくことが怖くてしかたがなく、暗殺の依頼を遂行してしまう。
もう少し時間があったなら、生まれ変わった間宮は、武雄に愛され、武雄を愛し、人らしく生きられたかもしれないのに…
でも間宮は武雄を斬った。だからって非情な人斬りに戻れるわけじゃない。
大事な者を斬り捨てた、その痛みで心に血を流しながら生きていくしかない。
そんな間宮の元にやってきたのが一馬。
一馬は、間宮が愛した武雄の息子、
父の敵である間宮に仇討ちするためにやってきた。
一馬の大きな手が武雄にそっくりで、武雄の手が自分の肌を撫でたことを、間宮は思い出す。
間宮は武雄を忘れてなんかない、武雄を斬った時に心は死んで、身体だけが生きてきたように思えて胸が締め付けられました…
でも、一馬も父同様に間宮に惹かれ、間宮はまたしても拒めない。
そうして二人は身体を貪りあうように愛し合い続ける。
一馬は武士らしく父の敵を討って、お家を再興するのか?
それとも間宮を愛して生きていくのか?
間宮は一馬に出会って、また一馬を愛し、本心では一馬と共に生きたいと願っているはず。
でも、一馬に殺されることは、間宮にとって武雄を斬り捨てたことへの贖罪。
自分を殺すことで、一馬は武士として誇らしげに生きていける。
愛し合っているのに、殺すか殺されるかの、殺伐とした選択をしなければならない江戸の侍たち…
私は現代人だから、お家のためだとか、武士の誇りとか、そんなことより命のほうが大事だろうと思ってしまうけれど、矜持のために命をもかける男達の生き様は尊くて美しいとも思う。
武雄を愛したのに殺すことしか選べなかった間宮は悲しい。
そして愛するがゆえに一馬に殺されることを選んだ間宮は悲しいけど美しい。
この物語は、一馬と間宮の話ですが、武雄と間宮の話でもあると思うのです。
愛した男に斬られた武雄は血だらけの手で、間宮を掴み「行くな」と懇願した。
それに応えるかのような粋なエピソードに、それを叶えるに至った武雄を愛した女たちの心意気にも涙しました。
分厚い本だけど、悲しくて美しい男達の生き様を勢いをもって描き出しているので、物語の世界観に引きこまれたまま、一気に読み終えました。
読後感は、ただ、ただ、この世界観に圧倒されます。