孤高の天才・源義経と、運命を共にした弁慶。日本歴史上、最も有名な主従愛がBLで登場! !

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表題作桜花 咎の契

武蔵坊弁慶,義経の家来
源義経(牛若丸),源氏の御子

同時収録作品第一話 鬼ノ島

俊寛,島流しにされた僧
有王,俊寛の侍童

同時収録作品番外編 詠う青山

行慶,修行僧
平経正,平家の公達

その他の収録作品

  • 第一話 鬼ノ島
  • 第二話 鞍馬の天狗と花義経
  • 第三話 義経と頼朝
  • 最終話 船義経(描き下ろし)
  • 番外編 詠う青山
  • 後記(描き下ろし)

あらすじ

五条大橋の上で出会ったふたりは、互いに惹かれあい、主従の契りを交わす。深い絆で結ばれながら、その身を挺してまで自分を護ろうとする弁慶の強い想いに、義経が選んだ未来とは…。日本史上最も著名な主従愛をもとに圧倒的スケールで華やかに紡がれる、歴史“恋"絵巻。

作品情報

作品名
桜花 咎の契
著者
吹屋フロ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
Jパブリッシング(ジュリアンパブリッシング)
レーベル
G-Lish Comics
発売日
ISBN
9784864570961
3.9

(74)

(30)

萌々

(22)

(15)

中立

(3)

趣味じゃない

(4)

レビュー数
17
得点
286
評価数
74
平均
3.9 / 5
神率
40.5%

レビュー投稿数17

運命の歴史絵巻

まずはじめに。この作者さまは2次創作で作品を描いてた人です。
なので、多分そこで描いてたジャンルの影響もあるのかな?
と思いながら読みました。 趣向などが随所に出てたもので(笑)

作画は少年漫画っぽい印象です。線が太めでしっかりしてます。
私は、そこがいい!と 逆に萌(燃)えたのですが。(^^;)
そこは、好き嫌いのシュミが分かれるかもしれませんね。

この作品は『平家物語』を題材に描かれています。
歴史ものですが、読みやすくファンタジー要素も取り入れて下さっているので夢中になって読みました。
キャラも魅力的で、義経(受)や弁慶(攻)の愛し合う様が熱烈すぎて眩暈がします。 これは主従萌え♡というやつでしょうか。
作画やセリフは見事!で圧巻!!です。グッとくるものがあるんです。
隅々まで読み応えがある作品です。じっくり読ませて頂きました。
表現方法やセリフがイキイキと輝いて躍動感があります。

ラストでの、弁慶(攻)「貴方へのこの執着は私の咎・・・」のくだりから 
義経(受)「未来永劫共にいよう」と誓い合う場面はもう号泣・・・。
まるで、映画でも観てるようでした。心に深く刺さり残りました。

最近読んでるBL本がマンネリだなー。と思ったあなた!
ぜひ、これを読んでみてはいかがでしょうか?
違う世界観で楽しめるのに、ちゃんとBLしてる歴史物語。 神作品です。

7

歴史物好きにはたまらない!

代表作である弁慶×源義経のお話も素敵でしたが、他の2作品も読んでて楽しかったです。
歴史物なので内容が固めでしたが、繰り返し読むことで理解が深まりより作品の良さが伝わってくると思います。負けるとわかっていても戦に立ち向かっていく主人に感動もしました。歴史もののBLが好きな方は楽しんでいただけるのではと思います。

2

切ない主従関係に涙します!

時代に翻弄される2人がどうしようもなく儚くて辛いです。
源氏、平氏が争っていた平安時代のお話で、歴史が分からないわたしには政治情勢の話はさっぱりでしたが、それでも感動モノです。

ハッピーエンドとはいかず結末に胸が痛くなります。ストーリーメインなので、濡れ場は薄めですかね?
タイトル、絵が気になった方は迷わず読んだ方がいいです!

2

源平時代の美少年は平家に多かった

労力を評価したい歴史BL
和ものは、調べることも、描く作業も大変。
特に、鎧は時代時代の流行りが異なるので、考証や衣装の資料集めが大変だったと思います。途中で力尽きたのか、画風がガラッと落ちている部分がありました。疲れちゃったみたい。

全て源平時代の有名な美丈夫が主役の悲劇で、歌舞伎や能や舞台の演目になっています。
「滅びの美学」の無常観が、描かれています。

当時の士族の死生観は「良く生きること=良く死ぬこと」で、平家物語で語られる出来事は士族なら当たり前、でも士族以外には憐れを感じる生き方だったみたいです。
誰かが命を捨てなければ立ち行かない状況で、主を守るために自分を盾にする。敬愛する人の為に義を貫く「滅びの美学」を幼少時から洗脳教育されていた武士は、大儀がある死を受け入れ、抗わない。

武運知力が足りないから敗ける、死を潔く受け入れる。戦国時代の士族は、強い者が生き残る「淘汰」を与えられていました。武士の生き残りゲーム「合戦」によって、統治を委託する武士の「資質を上げて数を減らす」為に、仕掛けた当時の天皇や朝廷の考えはむごたらしい。

原作を壊さない範囲のアレンジなので、読後に原題の作品や歌舞伎や能に関心を持つ人が出たらいいな、と思いました。
綺麗な作品でした。労力を評価して、神。
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▶「有王」と「俊寛」: ★能/歌舞伎「俊寛」
「赦文 俊寛赦免されず 足摺」舞台は、長月重陽の頃  (舞台では、「足摺岬」などで上演)
★治承元年(1177年)6月1日に発覚した「鹿ヶ谷の陰謀事件」の咎で、流刑された俊寛。
有王は、法勝寺の俊寛僧都に兄と共に仕えた童。
★鬼界が島へ流罪となった3人のうち、 藤原成経と平康頼は赦され帰京する。
大赦を聞き、有王は鳥羽に迎えに行くが、俊寛は戻らない。
有王は両親に告げず、俊寛の娘の手紙を元結いの中に隠して、独り鬼界が島に苦労を重ねて渡り、ついに再会する。
俊寛は有王と再会した後、食断ち、師の死を有王は看取る。師の骨を抱いて持ち帰り、俊寛の娘に届け、娘は出家。有王は、高野聖となり行脚中に客死した。

▶「義経」と「弁慶」・・有名すぎるので省略。

▶「行慶」と「経正」;能「経正」
平曲では経正は二度主役として出てくる。一つが「竹生島詣」二つ目はが「経正都落」
★経正は、平清盛の甥で歌人。平経盛の長男で、超美少年で有名な「平敦盛」の兄。経正もやはり有名な美少年。
★仁和寺の「青山(セイサン)」という琵琶の名器にまつわる哀切なエピソードが残って居る。
★平経正は、平経正は幼い頃に仁和寺で稚児として仕える。藤原俊成や仁和寺五世門跡覚性法親王等の文化人と親交が深く、覚性に楽才を認められ、琵琶の銘器『青山』を下賜されるほど寵愛を受けた。
★寿永2年、平家都落ちの日、平経正は仁和寺を訪れ、和歌を残し、賜った琵琶「青山」を守覚法親王に返上する。
  「あはれなり老木若木も山桜 おくれ先立ち花は残らじ」
返歌「旅衣 夜な夜な袖を片敷きて 思へば我は遠く行きなん」

★能「経正」あらすじ
御室御所・仁和寺で、一の谷で討ち死にした琵琶の名手・経正の法要が行われた。仏前には愛用の琵琶「青山」が供えられ、僧(ワキ)が管弦講を催すと、そこに現れる経正の霊(シテ)が現れる。
「風枯木を吹けば晴天の雨。月平沙を照らせば夏の夜の。霜の起居も安らか・・」と白楽天の詩を詠う。
そして愛用の「青山」で「諸行無常の響き」を奏でる。
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▶稚児
平安時代頃から、真言宗、天台宗等の大規模寺院において、剃髪しない少年修行僧(12~18歳くらい)が現れはじめ、これも稚児と呼ばれるようになった。
皇族や上位貴族の子弟が行儀見習いなどで寺に預けられる「上稚児」、頭の良さを見込まれて世話係として僧侶に従う「中稚児」、芸道などの才能が見込まれて雇われたり腐敗僧侶に売られてきた「下稚児」がいた。 禅宗では喝食と呼ばれた。

戦国時代の侍の主従関係の男色は「強い信頼関係を生むための手段」で、中国にあった契兄弟と似ています。裏切らない愛を部下との間に育む方法として情を交わしていたことは、武田信玄の恋文が残っているので、有名です。信玄の恋人 春日源助は、その後有名な猛将になっています。
 武田四天王(四名臣)の一人『春日虎綱』(高坂昌信)

2

誰もが知っているアノ人がどんな風に料理されているのか?

誰もが知っているであろう「平家物語」からのそれぞれの登場人物達。
謀反の罪で島流しになった俊寛僧都と侍童であった有王。
敦盛の兄で琵琶の名手とされた経政と、仁和寺の行慶。
そして、言うもがな弁慶と義経、同時に景時と頼朝。
これらの物語を読む時、非常に原点のようなものを感じずにいられなかった。
萌え妄想を覚えずとも、本能が感じていたその絆の底にある腐の原点。
改めて、作品として出されると様々な作家さんが題材として取り扱ったであろう彼等の話が、フロさんの決して美麗ではないもののふを感じる荒削りな筆から息づいて感じ取られ、それは新鮮なのです。

属性とか何とか自分にはどうでもいいです。
確かに3作品通して主従の繋がりがありますが、すでに物語として知っている身にはそれらをどう料理表現するのか、それが大事でした。
弁慶と義経に至っては、義経ってビッチ?
結構緩さがある関係の中、そこにどうして生死をともにする決意が生まれるのか、義経に誰もが魅力を感じて惹かれるという、その点ももう少し欲しいとか、色々読み終えて見れば、あります。
しかし、すでに知っている物語であるがゆえに、その既知という点で補完されるという有利な部分もあるかもしれません。

ただ、非常に魅力的に描かれていたのが頼朝でした!
面白い!食えない男というか、深く考えているんだかいないんだか。
きっと多くの人が驚く頼朝じゃないだろうか?
この作品を見て、こういうキャラの頼朝もアリだよな、と密かに関心するのでありました。

経政と行慶の物語は能の題材にもなっていますが、これはなかなかに雰囲気のある、まとまった作品になっていたと思います。

この世界の話にはバッドエンドはね~とか、恋愛の機微はね~とか、史実に沿ったとか、そんなこだわりを一切捨てて、既知のキャラクターが作家によっていかに生き生きと描かれ、どんな創作がされているのか、愉しむのが一番いいな、と思った次第でありました。
敢えてこの題材で一冊を構成した出版社と、侍もので活躍されているフロさんに期待を込めてちょっぴり割増の評価です。

8

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