イラスト入り
とても良かった。小説の書き方が好き。キャラの心理を説明しすぎない、全てを言語化しない、だがそのときどきの心理を想像するのに十分なエピソードや表情仕草等の情報は与えられるので、行間を読みながら楽しめる感じ。
特に、視点主でない悧惇の過去が序章で描かれていて、これが全体のストーリーに重要かつ二人のBL的関係の変化にも効いてくる構成が心地よかった。
売られることになった妹を守ろうと必死になる偲翠。という最初の認識は間違っていないと思うが、二人して売られた後は引っ込み思案乙女な兄とメンタル強めな妹という印象に。わりと妹の方が頼もしい。
そして妹の代わりにしろと懇願する偲翠は悧惇に抱かれることになる。エロは短編にしては多め、そこが売りの作品なのかな。
二人の会話から、悧惇の辛く複雑な葛藤が分かって、こちらも辛い。弟に殺されそうになった兄として、妹を命がけで守る兄を見るのはどんな気分だったのか。
悧惇の中の決定打はよく分からなかったけど、全てが収まりよく綺麗に整い、事の顛末も明かされすっきりさっぱり。一瞬、妹が一番犠牲を払った?と思う場面があったが、そこは悧惇がしっかり救済案を出して一安心。国の課題もさっと片付け、読後の満足度が高いと感じる作品だった。
エロシーンが合えば自分の中で神評価だったかも。作品中、結構な割合を占めるエロシーンがいまいち刺さらず、飛ばしたくなってしまった。ストーリーはとても好き。