イラストあり
デカイ金が行き来するホスト業界を舞台にしたお話のレビューを書こうとしているのに冒頭から申し訳ないのですけれども、私はケチくさい人間です。
そして「愛は金では買えない」なんて、書いた自分が恥ずかしくなってしまう様なことを実は思っています。
大好きなくもはばきさんの新作がホストを主人公にしたものだと知ってから「なんでまた?私、最後まで読めるかしらん……」と、ひじょーに不安だったのですが。
イケたんですよ、これが。
っていうか、これ、くもさんが今まで書いて来た『仕事にプライドを持つ男たちの恋』の話じゃん!
上っ面だけで物事を判断しない方がいいという教訓をいただきましたぁー(これ、シャンパンコールみたいに読んで欲しいです 笑)。
デイトレーダーの政峻とホストの鷹愛の出会いは上記出版社あらすじの通りですが、ちょっと付け足したいのは、鷹愛が20歳になったばかりの枕営業をしないホストだということ。
彼がこの仕事を選んだのはお客である『姫』あるいは『王』たちが喜んでくれることに喜びを感じ、その中毒になったから。姫や王が落としてくれるお金は、ホストを『王子様』にしてくれるラブレターで、推しをキラキラさせる、そして叶うことならNO.1に押し上げる愛の形だっていう『約束』が成り立っている世界なんですね。
まぁ、綺麗事なんですけれども。
そして、それが綺麗事であることを鷹愛も分かっているんです。でも「そうありたい」と思っているんです。だから枕営業はしない。
いや、これを読んだ時、私、ちょっと解ったんですよ。
例えれば、競走馬と厩務員や騎手の関係。あるいはドッグショーに出る犬と飼主の関係。そんなものに近いのかも、って。
愛と信頼がある、っていうか「少なくともこのお話の2人は、それで結びつこうとしている」と解ったら、ケチくさいはずの私が一気にこのお話の世界へ!
性愛の欲求込みで鷹愛に一目惚れしてしまった政峻が、鷹愛がホストの仕事が好きで誇りを持って取り組んでいることと、前述の『ホスト遊びの真髄』を理解し、(下心はあるにせよ)鷹愛を自分のものにするためではなく応援するために行動するのを見て、最初は「男は無理」と思っていた鷹愛の気持ちも動いて行きます。
この辺が不自然じゃないんですよ、とても。
でも、今度は「自分の気持ちを伝えても営業と思われる」とか「実は政峻は自分のことよりも、自分にトップを取らせるというホスト遊びの方が気に入ってしまったんじゃないか」というこの仕事ならではの悩みにぶつかってしまうんです。
そんなこんなで、彼は政峻に気持ちを伝えるのはNO.1を取った時と決めます。
うん、くもさんのお話の登場人物は、相変わらずめんどくさい(笑)。
でも、そのめんどくささは、仕事に対するプライドがかかってるからなんだと思うのです。
だから、榊原という政峻の苗字も漢字では書けないし、クラゲは日に当たるとキクラゲになると思っていた「おバカさんで可愛い」と言われる鷹愛が、実はやたら男前なことに気づくんです。
この、めちゃくちゃカッコいいこと‼︎
何度も書いて恐縮ですが、ケチくさくて純愛主義者の私が、色と金のホスト業界のお話でこんなに盛り上がるとは思わなかった。
お仕事BLがお好きな姐さま方は読んだ方が良いんじゃないかと思うのですよ。
おススメです。
初読み作家さんです。
個人的に、打算等で付き合っていた相手に、いつの間にか本気になってしまうと言う設定が大好きなのです。
まぁそんなワケで、「きっと、しっとりした切ないお話なのね!」と読み始めたんですけど。
ところがですね、予想を良い方に裏切ってくれました。
これ、めっちゃ高揚するサクセスストーリーじゃん!
しっとりどころか、真逆のめっちゃ熱いヤツじゃん!!
テッペンを取ろうと、ホストと言う仕事に誇りと熱い思いを持つ主人公と、そんな彼を全力で応援して支える攻め!
職業はともかく、逆パターンなら何回か読んだ事があるのです。
夢を追う攻めと、支える受けみたいな。
でも、このパターンは初めてで、かなり新鮮な読後感なんですよね。
いやもう、ポジティブに頑張る鷹愛(受け)も格好いいんだけど、それを全力で支える政峰(攻め)が、これまた格好良すぎるんですよ。
そう、ホストと言う世界に1ミリの接点も無い私は、客とホストの関係をもっと違うものとしてとらえていたのです。
搾取する側と、される側ー。
もちろん、現実にはそんな関係もあったりするのでしょうが、今作では同志って感じなのです。
何だろう・・・。
主役と伴走者とでも言いますか。
自分に夢を見る客の為に、全力でトップを目指すホストと、そんな彼にトップを取らせる為、心血を注いで応援する客ー。
いやもう、目から鱗がポロポロですよ。
これ、完全にスポ根だよ!
また、そんな中で、二人の間に強い絆が出来てゆくのが上手い!
共に戦ってるも同然の二人に、恋が生まれるのは当然じゃないか!!
アホなので全然上手く言えないのですが、こう二人の熱い絆と、夢を共に叶えて行く様と、そんな中で芽生える恋にめちゃくちゃ高揚するんですよ。
もう本当に面白い!!
最高だよ!!!
ところでですね、ホストの世界を垣間見た私が感じた事は、「私もホストクラブに行ってお姫様になってみたい」では無く、「ホストの世界って(BL的に)なんて美味しい!」なんですよね。
自分が根っからの腐女子だと言う事も良く分からせてくれた作品でした。
*補足です。
こういう作品にぴったりの言葉があったんだけど、何だっけな。
と、思い出せなかったのですが、さっき出て来ました。
「痛快」です。
わざわざ補足するような内容でもないんですけど(^^ゞ
失礼しました。
もう最高でした!ホストの世界ってこんな熱い世界観だったの…!?と感無量です。
ただのホスト(受)に惚れた客(攻)が受けを口説き落とすストーリーと思ったら大間違いで、スパダリ攻めがラブ代という名の金で惚れた男をトップに押し上げるという愛とプライドをかけたサクセスストーリー(?)です。
攻めはもうひと目で受けに熱烈フォーリンラブし笑、受けは最初「自分をこんなに好いてくれる太客だし好感はあるけど、恋愛は・・・」という感じなのですが、ワンコな攻めにほだされ、「恋愛的な意味で見れるよう努力する!」と決意する律儀なやつで、営業用のチャラさは多少あるものの、根はチャラチャラしてません。仕事に対するプロ意識も高いです。
受けは実は好きになってたのに気づいてなかった系で、あるタイミングでビビッと恋に落ちるのですが、いままでの態度で好きと伝えたくても全部「営業トーク」だと誤解されるという、お互い切ないジレジレもありつつ…
とにかく文章が滑らかでテンポよく、すらすらと一気読みできました。
「推しを自分の力で押し上げる」というシチュエーション、腐女子を含めたオタク属性がある方なら読んでてかなり胸熱になることでしょう。さらに夜の世界ということで、世界観も相まって面白さ倍増です。
(作家さんがかなり気合を入れて取材したことが読み取れます。ものすごく酒の種類と値段がえげつないぶっ飛んだ世界…美味しい!)
ホストの世界、世界観としてかなり面白いので、もっとBLに取り入れてほしいですね。
キャスト同士の意地とプライドをかけた戦い、そしてそれをサポートする客(一番の太客はエースと呼ばれる)もう胸熱以外のなにものでもない…!
水商売ジャンルの普及を希望しますw
ばき先生の作品はどれも好きなのですが、こちらの作品はとても読みやすかったです。
先生の良さでもあるのですが、感情がこもっていてエネルギッシュであるが故に、少しばかり読みにくさがあったように思うのですが、こちらの作品は熱量はそのままで、すんなりと言葉が入ってきました。
ホス狂いになってしまったデイトレーダーと、20才のホストのお話で、私はホストは行ったことがないですがとてもリアリティーがありました。
ばき先生はいつも綿密に取材をされてから作品を書かれているようなので、もしや…と思ったら、やはり取材されていたようです。
聞いたこともない高い酒の名前。ググりました。
推しホストを一位にすべく、湯水のように溶けては吐き出される酒という名の金(これはラブ代なんですけど)、ホス狂したことない私には到底理解し得ないことですが、
同じ本を何冊も買ったり、ブラインドでグッズ買い込んでるオタクと桁が違うだけで、稼ぎ全ぶっ混みなところは同じかな?と思いました。
マウント取り合う客の姿も心当たりがあります。
本当におすすめ!
みずかね先生のイラストも美麗です。
これが気に入ったら、別の作品も読んでみてください。
芸人の話と、ガンダーラに行く話があります。
電子での単話買いの作品もあります。
あと、こちらの作品はスピンオフというか、別のキャラクターで2巻が出てもいい。
ナンバーワンとオネェ。
オネェの井原さんがどうなっているのか気になりました。心配。
鷹愛くんがまだ自分の過去のこと話してないので、まだまだ次行ける気がします。
まさたかさんって童貞ではないんですよね?それなりに場数は踏んでるのか、めっちゃ勉強したのかどっちかだと思う。
この作家さんの前作はノリやギャグが合わなかったんですが、今作は評判どおり面白かったです。
今作はキャラが立ち、テンポが良く引き込まれます。最初のページから最後のページまでダレる事なく、キラキラ感が持続され楽しめました。
ビジネスとしてのホスト業界の構造が初心者でも分かりやすく描かれていました。ホストにハマる女性心理は遠い話のように思っていたのですが、恋愛ゲームやバトルのようなもので、推しメンが出来て一度算入したら、引き下がれないような煽られ心理が働く所の恐ろしさは、課金ゲームやオタクコンテンツの複数買いに通じるものがあると感じました。投入する金額が桁違いなだけで…。
この小説からはゴージャスなホスト業界の楽しい活気のあるムードがしきりに伝わってきますが、あくまでBLファンタジーで完全に性善説に立った爽やかBL仕様なので、リアルとの混同はくれぐれもご注意を!それでもこの本を読めば、到底一般ピープルには算入出来ない世界の話だと実感するので、反面教師になりますね。。高級品って不動産や車や貴金属しか知らなかったボキャ貧一般ピープルには、お酒の世界もスゴイんだなーと感嘆しか無かったです。それにホストクラブの付加価値プラスのプライスだもんね…。
攻めの政峻の性格にツッコミ所があり、二人のやり取りも面白くてニヤニヤしながら読み進めました。医者の不養生とよく言われますが、この小説を読んでホストの恋愛での誠実性というのも考えさせられるものがあるなー思いました。よく出来た業界ものBLの一冊でした。この二人にならリキュールくらい奮発したい気持ちになるかも(笑)
ネットの記事などでホストに溺れた女性の末路が取り上げられたりと、ネガティヴなイメージもあるホスト業界でも、ホストと客との関係は、(当人同士の間では)疑似恋愛とお金(対価)の交換という単純な関係で割り切れる訳でもなく、多くの営業マンと取引先との関係のように、時には支え合う人間関係で成り立っているし、推しのホストが売れっ子になるまでのサクセス・ストーリーの過程で、客とホストが一体感を感じてホットになれる部分がある事も知れた事が、この本を読んで良かったと思う点でした。場所が何処であっても、人間同士知り合えば、何らかしらの縁や絆ができるのは必然で、目から鱗でしたww 余談ですが、ホストクラブでの支出を経費(接待費)としておとせる会社の経営者は最強だなーと思ってしまった…。