• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作触れて感じて、堕ちればいい

橘啓,27歳,穏やかな整体師
美郷尚晴,32歳,フリーの翻訳家でコミュ障

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

人付き合いが苦手で、会社勤めをやめて翻訳の仕事をしている美郷尚晴。
過度な緊張やストレスに弱く、常に安定剤は欠かせない毎日だ。
そんな美郷はある日、仕事の納期明けに激しい腰痛に襲われてしまう。
這うように飛び込んだ整骨院で出会ったのは、年下なのに落ち着いた
包容力のある、イケメン医師・橘啓。
人間関係を築くのが下手な美郷だけれど、橘にはなぜか警戒心を感じずに…!?

作品情報

作品名
触れて感じて、堕ちればいい
著者
すとう茉莉沙 
イラスト
みずかねりょう 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
ISBN
9784199009426
2.8

(45)

(4)

萌々

(15)

(10)

中立

(3)

趣味じゃない

(13)

レビュー数
7
得点
113
評価数
45
平均
2.8 / 5
神率
8.9%

レビュー投稿数7

橘先生萌え

うわ〜、また好きな感じの作家様と出会っちゃったな。今年に入り、『営業時間外の冷たい彼』が刊行されて、気になっていたのでデビュー作から手に取ってみました。

フリーランスの英語翻訳をメインに生計を立てている美郷と、彼が通う整体院を切り盛りしている橘がゆっくりと恋に落ちるお話。

出だしから、主人公の美郷があまりにも心身ともに脆いタイプに描かれていたので、読んでいて少し苦しくなってきた頃。美郷に激しい腰痛が出て、必死の思いで偶然たどり着いた整体院で橘に優しく施術してもらうと…あら不思議、彼の体も心も少しずつほぐれていく様子が心地よくて、読んでいるわたしも不思議とシンクロしていきました。橘先生、素敵すぎる♡

美郷には姉夫婦や友人の近藤、それに美郷の端麗なルックスきっかけで近づいてくる女子たちなど、気にかけてくれる人たちがいます。時に美郷にとっては彼らとの付き合いすらも苦痛で重荷に感じているのを知ると胸が痛みますが、美郷が一方的に遠慮したり敬遠しているだけで、彼は全くの孤独ではないし、逆に恵まれているんじゃないのかな?ってハタと思いました。彼の習性で誰かと比べるから苦しくなって、自分には何もないと思い込んでしまう。他の人から見たら、羨ましいものをたくさん持っているのに…。

周りに敏感すぎ、気を遣いすぎで疲れきってしまう美郷の性格は、身近にそういう人がいるのでとてもよくわかります。みんなに迷惑をかけてるんじゃないかと思いすぎて、自分を責めて身動きができなくなってしまう。そういう時に心を許した人に触ってもらうことで緊張が緩んだり、ハグで不安が落ち着いたりすることがあって…、人の優しいナデナデ、さすさすって実はものすごく威力がありますよね。美郷は橘にそうしてもらって、堕ちたのでしょうねぇ〜ムフフ。職業とはいえ橘先生、凄い。

治療者と患者から恋愛に発展していくパターンって、ものによっては個人的に生々しく感じることがあって難しいんですが、このお話には変ないやらしさがなかったので、なんの抵抗もなく萌えました。たぶん、橘がきちんと患者の話に耳を傾け、相手を安心させる会話ができるコミュ力に長けた人物だったからかも。だからか、ストーリーが進んでいって、橘が静かなジェラシーに燃えるシーンは反動でめっちゃエロくて、息を詰めすぎて呼吸困難寸だった…。攻め厨にはたまらんかもしれないです。(攻めは無自覚に嫉妬してナンボ)

後半の花火大会のシーンもすごく印象的で、攻めと受け、攻めの妹とその先輩女子の交錯する思いにハラハラ。からの、受けの乱れる浴衣姿にハァハァ…。花火観賞後のテッパンの流れは、期待を裏切られず地味に嬉しかったです笑

みずかね先生の美麗イラストもしっとりとしたお話の雰囲気に合っていて、ラブもエロもすっきりとした文章も、全体的に綺麗に調和のとれた作品だなと思いました。こういった作家様の素敵なデビュー作を一番乗りでレビューにあげてくださるレビュアー様、本当にありがたいです。

1

丁寧に綴られる、ごくごくありきたりな恋愛

年下整体師とトラウマ持ちの青年による、いい意味で平凡な恋愛です。
日常の中で二人が出会い、ゆっくりゆっくりと心を通わせ、少しずつ恋に落ちて行くー。
そんな、ごくごくありきたりだけど素敵な恋愛が、しっとり丁寧に綴られた作品でした。
こういう、いい意味で地味な作品が大好きです。
超好みなのです。
「神」でもいいくらいなのです。
が、個人的にどうにも引っ掛かる部分もあったりする・・・。
しかもこの引っ掛かる部分、私好みの展開に変えようものなら、ただのご都合主義になっちゃう気もするんだよなぁ。
評価が難し過ぎる・・・。

それとこちら、エブリスタ「BL合戦」のキャラ文庫賞・大賞受賞作との事です。
それぞれのレーベルから、続々と刊行(予定)されてますね。
これは私個人の勝手な解釈ですが、どこのレーベルに確保されるかで、作家さんの明暗が分かれそうな気がします。
大手で比較的体力がある所では、ちゃんと育てようと言う意欲が感じられますし、逆に二冊目を出す気があるのか疑っちゃう所もある。
実際問題、新人さんを育てるだけの余裕が無いと言うのが、業界全体の実情なんでしょうけど。
なんともやるせないなぁ。
ちなみに、キャラ文庫さんは、ちゃんと育てようと言う意欲が感じられました。(かなり加筆修正されてるそうです)
頑張れ、編集さん!
そして頑張れ、作家さん!!
応援してます。

内容ですが、年下のイケメン整体師・橘×人付き合いが苦手な翻訳家・美郷による、しっとり日常系のラブストーリーです。

ストレスや緊張に弱く、安定剤を服用している在宅の翻訳家・美郷。
激しい腰痛に襲われた彼は、近所の整骨院に飛び込みます。
人見知りで極度の緊張しいの美郷ですが、その整骨院の整体師・橘に対しては何故かリラックスが出来、心身ともに癒されるように。
治療の為に通い続けるうちに、二人はプライベートでも親しくなって行きー・・・と言うものです。

まずこちら、美郷がトラウマ持ちのアラサー美人。
身内を亡くした事から不安定になり、更に元々の性格もあって社会に適応出来ず、現在は在宅仕事と英語講師で生計を立てています。
こう、自分に自信が無く、内向的な感じでしょうか。

そんな彼が出会ったイケメン整体師・橘。
彼は包容力がある穏やかな青年です。
美郷の心身に寄り添うように、優しく彼を癒して行きます。

で、こう、特別派手なエピソードなんかは無いのです。
美郷の唯一の身内である姉が事故に遭って、と言うのが一番派手なエピソードで。
ただ、派手では無いのに、優しさやあたたかさ、そして時にほろ苦さや切なさが印象的なエピソードが繰り返され、二人の距離が徐々に徐々に近付いて行く。
整体師と患者として交わす会話。
友人としてプライベートで過ごす、ごくごくありきたりな日常。
そして夏祭りー。

主人公である美郷の心情がひたすら丁寧にじっくりと語られ、こう、恋に落ちて行く一瞬一瞬を、きらめきと共に味わえると言いますか・・・。
個人的に、こういう作品が大好きなんですよ。
読んでいて、じわじわと心を持っていかれると言うか。

で、ここからが問題。
実は橘には、美郷に言っていない、とある事実がありと分かります。
う~ん・・・。
この作品ですが、日常のリアリティーなんかが魅力なのです。
で、この件も、すごくリアリティーがあるんですよね。
いかにも現実でありえそうで。
これまで、大きな包容力でずっと美郷を包み込んでくれた橘。
その彼が、年下らしい弱さを初めて見せるのがここなのです。
これにもグッと来る。

が、どうしてもこの件に対する橘の対応に、納得が行かない部分もあったりする。
えっ、ここに来て?みたいな。
こうなる前に、これは決着を付けとくべきじゃないのみたいな。
何だろう・・・。
そのせいで美郷は深く傷付くんですよね。
ちょっとイラッとする。
いや、これがリアルだろうけど。

う~ん・・・。
そんなワケで、評価に迷いますが「萌2」で。
ご都合主義で終わって欲しくは無いのですが、やっぱり個人的にはどうにも割り切れない。
難しいですね。
ただ、人によってこのへんの解釈は全然違ってくると思います。
私は引っ掛かっちゃったけど、逆に心を打たれる方も多いのではないでしょうか。

最後になっちゃいましたが、みずかね先生のイラストが最高ですね~。
キャラ文庫さんなので口絵カラーが2枚になりますが、マッサージ中のイラストが!
マッサージ中のイラストが・・・!!
美郷が色っぽ過ぎて悶絶ですよ。

※勘違いしてましたが、出版社側が作家さんを確保するのでは無く、作家さんがテーマに沿ってレーベルを選んで応募するみたいです。
大変、失礼しました。
どちらにしろ、作家さんの使い捨ては断固反対。

25

幸せを掴むために

今回は父親の鍼灸整骨院で働く柔道整復師と
婚活中のフリーランスの翻訳家のお話です。

人付き合いの苦手な受様が
攻様との付合いで前向きな生き方を選ぶまで。

受様は幼い頃に
両親を事故で亡くして以降、
10才上の姉を親代わりに育ちます。

法務系の英語翻訳を専門とする受様は
大卒後は上場企業に勤務しますが
対人関係など職場環境が合わず退職、
今はフリーランスの英語の翻訳と
英語講師で慎ましく生活していました。

会社勤務時代から対人ストレス等により
体力を消耗しては体調不良となる受様は
心療内科通いで投薬を続けていますが

ある日の朝、腰に激痛みが走り
痛み止めや精神安定剤ではどうにもならず
緊急事態と自宅マンションにほど近い
鍼灸整骨院の扉を叩くことにします。

実は受様は人に触られたり
身動きが取れない状態もとても苦手で
過去に受けた整体も身体に変な力が入り
出来れば避けたかったのですが
背に腹は代えられません。

そこで受様を担当した柔道整復師こそが
今回の攻様になります♪

その整骨院は攻様の父が経営者で
攻様は受様の苦手意識を和らげるべく
触る場所や理由を説明してから施術し
受様は今までにない心地よさを感じ
身体が軽くなったように感じます。

アラサーの受様は姉を安心させるべく
婚活も励んでいましたが
それもまたストレスとなる悪循環で

攻様は敏感質な受様に合わせて
施術されながら受様の話を聞き
受様の内向きな意識を変えていき

受様も薬に頼らなくても良い様に
体調管理に気を配るようになり
受様はせっせと整骨院に通います。

ある日、
施療が終わった時に受けた電話で
姉の事故の知らせを受けて
受様は頭が真っ白になりますが
機転を利かせた攻様の助けで
受様は無事に病院に辿り着きます。

その際のお礼として
攻様に手料理を振る舞った事から
受様は攻様と個人的に親しく
友人付き合いをする様になります。

そんなある日、
受様が買い物のために向かった
ショッピングモールのカフェで
たまたま攻様と顔を合わせて
ランチまでする事になり
受様の気分は急上昇します。

しかしその帰り道、
攻様の視線が通路にいた
男性に腕を絡めて幸せそうな女性を
見て呼吸を忘れたようになります。

攻様のただならない様子に
受様の胸は騒めくのですが
辛そうな悲しそうな攻様が語ったのは
受様には思いもよらない事情で!?

小説投稿サイトエブリスタ主催
BL小説新人賞『天下分け目のBL合戦 秋の陣』
キャラ文庫賞の大賞受賞作に
加筆修正してのデビューとなった本作は
恋に憶病な受様の等身大の恋物語です。

ちなみに今回のBL合戦の対象10社は
それぞれの募集ジャンルがあり
キャラはファンタジーかセンシティブで
自然に作風も知れるというものですが

あらすじからの私の第一印象は
内に籠りがちで翻訳家をする受様が
仕事柄の腰痛の治療で入った整体院で
イケメン整体師の攻様に触れられて
身体から心まで落とされるという
ダークな闇系かしら!?というものでした。

しかし、
受様も本中で妄想モードになるという
ミスリードぽい雰囲気はあるものの
攻様は極めて真摯にお仕事されていて
サワサワはいやらしくはなりません。

他人と比較して自分を卑下していた受様が
攻様との付き合う中で少しづつ惹かれ
迷い傷つきながら自分の良さを認めて
前を向く事で恋を成就させる様子が
丁寧に描かれておりました。

もちろん人付き合いが苦手な受様が
婚活してまでも結婚を目指す理由や
攻様の家庭環境等には
ひと捻り加えられているので

受様の恋がめでたく成就するまで
受様と一緒にぐるぐる、ハラハラしながら
楽しく読めました♪

受様は人付き合いのストレスで
会社勤めを辞めたり薬漬けになったりしますが
自分の出来る範囲で慎ましく暮らしながら
姉を安心させるためにと
無駄であろうと思いつつも婚活をします。

「人並み」とか「普通」という評価は
周りの大多数派と比較しての評価であり
普通である事が幸せとは限りません。

攻様を待った受様の選択の正誤は
2人の未来でのみ証明される事でしょう。

登場人物はみな等身大ないい人で
攻様の家庭環境にはちょっとムムッ!?
とはなりましたが

それが2人の関係を大きく変える起点となり
最後の山場への流れとしては
それほどあり得ない事情ではなく
私はけっこうすんなり読めました。

ただこの設定とその後の攻様の
行動の印象によって評価は割れそうです。

次のお話に期待したいです (^-^)/

今回は鳩村衣杏さんの
『リフレイン~君の心を眠らせないで~』を
ご紹介作としたいと思います。
切なく繊細な恋物語です♪

7

主人公のパニック障害が、息苦しい~

絵師買い。表紙がとてもきれいです。

「天下分け目のBL合戦」キャラ文庫賞で 「その指がほぐすのは」のタイトルで大賞受賞した作品。
その加筆編集と改題をした作品。

コミュ障の主人公は、どこに行っても、苦しく感じてしまう超デリケート。
大手食品会社に入社したのに、体調不良で退社して、
通勤ラッシュが無い仕事=翻訳の仕事と週二回の英語教師で糧を得ている。

早く亡くなった両親の代わりに育ててくれた10才年上の姉を安心させたくて、
結婚相手を探そうと婚活パーティに行って、大疲れ。

心の疲弊が酷い腰痛となって、整体治療院に行くと、そこの地猟師・橘が名人なのか、問診と軽く触れられただけで、美郷は初めて楽になる。

美郷に向ける橘の問診は、読者に向けているように感じて、一つ一つがドーンと重く感じてしまう。
前半は、美郷の「心ほぐし」を橘が取り組む件が続いて、重苦しい展開。

美郷は、今世で生きにくい繊細過ぎるタイプになった原因は、姉の夫との拗れ。
美郷の痛む所を、体も、心も、問診でピタッと当てる橘。
橘への信頼が、徐々に依存に近い愛になっていく。

橘にも人に言えない悩みがあって・・・美郷に話すことで解決していく。

ハピエン。心の治療薬のような展開だった。
橘は、年下の焼きもち焼きの恋人。

2

デビュー作おめでとうございました

ジャケの大人の雰囲気がたまらず、
攻めが整体師で受けを優しく心までほぐしてくれるんだろうなぁとあらすじで思ったので読ませていただいたら
こちらがデビュー作だそうですね、おめでとうございました。

美郷がフリ―の翻訳家というだけで確かに肩とか腰とか凝りそうだと思いましたが
メンタル面でも相当生きづらそうで気の毒になってしまいました。
精神安定剤を飲みながら高校の英語講師をしなければならないとか
しんどさしかないでしょうに…。
でもひらく鍼灸整骨院の先生は決して無理強いせず美郷に寄り添った施術とトークをしてくれて
人間としてもとても信頼出来る男性で安心しました。
映画を好きだという共通点でプライベートでも会うようになって
どんどん惹かれていったところに先生がまさかの……。
ちょっと美郷同様、裏切られたような気持ちになってしまいましたが
結婚したら幸せになるとは限らないです。本当に。
だからお姉さんを安心させたい美郷が婚活へ費やす時間もお金も勿体ないと感じましたし
余計なお世話ながら個人的な経験談から説教したくなりました。すみません。

自分に自信が持てない美郷があまりにも自虐的でネガティブ過ぎたので
先生くらいの包容力が無いとうまくいかないでしょうから
バランスは良かったんだろうなとは思います。
先生も最後はしっかり誠実に向き合ってくれて結果オーライですが
美郷に寂しい想いをさせたのはよろしくなかったかな。
けじめを付けるつもりでも連絡くらいはしてほしかったかな。
ちょっとおまけの萌です。

5

この作品が収納されている本棚

ちるちる評価ランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP