夢の卵

夢の卵
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神9
  • 萌×24
  • 萌2
  • 中立1
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
6
得点
68
評価数
17
平均
4.1 / 5
神率
52.9%
著者
鷺沼やすな 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
今市子 
媒体
BL小説
出版社
オークラ出版
レーベル
アクア文庫
発売日
価格
¥552(税抜)  ¥596(税込)
ISBN
9784775505816

あらすじ

モデルのような容姿のベストセラー作家、太夏志が強引に自分のものにした詩草。優しく綺麗なうえに秘書としても有能な詩草は、申し分のない恋人だ。ただ、常にクールでつかみどころのない性格は、同居を始めてからも変わることはなかった。ところが、伯父の葬儀のため出かけた詩草が、戻ってきた時には13年分の記憶をなくしていた。いつもと違い、無防備に寄りかかってくる少年のような詩草に、太夏志は戸惑いながらも新しい愛情を感じはじめて―。

表題作夢の卵

ベストセラー作家
秘書

評価・レビューするAIの精度がアップいたします

レビュー投稿数6

名作だと思います

ちるちるのBLソムリエでおすすめされたことをきっかけに、この作品と出会いました。本当に本当に感謝しています。この作品と出会えて良かった。

1998年に新書版で発売され、2005年に文庫化されたこちら。
最近の出版ではないせいか、あまり知名度の高くない作品に思います。
ですが、間違いなく素晴らしい作品です。個人的にはBLに関係なく名作だと思います。

主人公は小説家をしている太夏志。彼には公私を共にするパートナーに、詩草という青年がいます。
二人が恋人になるきっかけは太夏志の強引な行動によるものでしたが、すぐに二人は良好な恋人関係になり、気付けば付き合って三年。
そんなある日、詩草が親戚の葬儀で高崎の実家へとひとり帰省することに。二、三日で帰ってくると言っていたはずが四日も音信不通になってしまいます。
ようやく太夏志のもとに連絡が入り上野まで迎えにくと、そこにいたのは記憶と精神が11歳に退行した詩草でした。
そうして11歳に戻ってしまった恋人との暮らしがはじまります。

読みはじめてまず、鷺沼やすな先生の言葉選びや穏やかな文章に惹かれました。情景描写もとても美しく、描かれている情景を脳裏に想像しては思わずため息…。
そして、心理描写あるいは人物描写がとても素晴らしいです。
心に傷を負った内気な少年の心の揺れや、主人公をはじめとする周囲の人間の思考と言ったものが、表情の動きや会話の中で繊細に描写されています。
こんなに人の心の繊細さと向き合ったBL作品って、そうあるものではないと私は思います。

やがて少しずつ、なぜ詩草が退行してしまったのか核心に近づくのですが、そこにいたるまでの主人公の一連の動きがまた素敵でした。
詩草に対する深い愛情が、切なくなるほど伝わってくるのです。
はじめ、飄々としいて周囲を煙に巻くような印象を主人公に抱いていたのですが、実はすごく理性的で愛情深く器の大きい人でした。
多少強引だったり振り回されていたりしたとしても、この主人公と出会い恋人になったことは、深いトラウマを抱える詩草にとって一つの救済になったのだろうなと思います。
タイトルの意味もわかり読み終える頃には、温かい気持ちと切ない気持ちとで胸がいっぱいになりました。

この作品は詩草の心をめぐるミステリーではあっても、サスペンスではないのですよね。だから派手な仕掛けはありません。特別すごい悪役とか凄惨な事件とかもない。
だからこそ人間の心そのものが、リアリティを持って浮かび上がってくるようでした。
特別すごい悪役がいなくても、何か胸をえぐるような事件がなくても、人の心は疲弊し時には病んでしまう。その人間の脆さが、悲しいけれど愛しいんだ、そう思わせてくれる作品でした。

私の拙いレビューでは一体何がなんだか?といった感じだと思います。
ですので未読の方はぜひ読んでみてください。

この作品がこの先埋もれてしまうことのないのを、切に願うばかりです。(そしてBLソムリエさんありがとう。)

3

優しいおはなし

同居している恋人関係の太夏志と詩草。
そんなある日、詩草の育ての親である叔父がなくなり葬式に出向いた詩草でしたが、帰ってくると13年分の記憶がなく(後退してしまい)11歳の詩草になっています。

突然、恋人が自分が出会う前の11歳の記憶で現れたことに戸惑いながらもカウンセリングに連れていったり、病気になった原因を探したりと詩草のために力を尽くす太夏志が頼もしかったです。

「11歳の詩草を受け入れがら24歳の詩草に戻ってきて欲しいと願う自分」「11歳の詩草に消えてほしくないと願う自分」それぞれの詩草に対する自責の念で悩む太夏志が切なかったです。
太夏志は年齢に関係なく「詩草」という一人の人間が本当に好きで大切に思っているんだなぁと優しい気持ちになる作品でした。

1

文章がすごい好きです。

作品と作者を混合させてはいけないのだと思いますが、攻めの受けに対する労りを見る限り作者さんは本当に優しい人なんだと思います。根が思いやりの人ではないとああいうのはかけないでしょう。攻めの心情を追っていくだけでも温かい気持ちになれますね。

ただ私が悪いんですが、文章とセットで最初の受けに一目ぼれしてしまったので、あらすじで既に分かっていた事ですが、記憶喪失して人格が変わってしまいちょっと残念でした。記憶を失った理由も特別興味深いものでも、作品の核心というわけでもなかったのであまり気がそそられず。
始終恋人である攻めさまがしっかりしすぎている分、物語の盛り上がりと緊張感に欠けたかなという印象です。

1

みなさんのレビューを読んでいると

とても読みたくなります。まったく知らなかった本ですが、
必ず読んでみようと思います。読んだら、レビュー書きますね!

1

沢山の人に読んでほしい

元々は新書版で出た作品が2005年にオークラ出版のアクア文庫として刊行されたもののようです。

あとがきと一緒に挿絵を担当された今市子さんが、この本を何度も何度も読み返したと言われているように私にとってもこの本は生涯手放せない1冊になりそうなそんな予感がしています、それくらい好きだと思える作品なのです。

詩草の記憶が退行してしまったのは帰省した叔父の葬式で彼にとってかなりショックな事を告げられたからなので記憶喪失ものというより、正確に言うと強度の心因的ストレスによる記憶退行という感じなのでしょうか。詩草は子供の頃かなり複雑な環境で育ってきたようであまり自分の感情を表に出す子供ではなかったようです。

後退してしまった原因を探るためカウンセリングを受けさせたり詩草の血の繋がらない叔母である上野蓉子と逢う事で太夏志は詩草が今まで自分からはあまり話そうとしなかった、また自分も聞こうとはしなかった彼の子供の頃の事を知ることになります。

24歳で彼の恋人である詩草はとてもクールで太夏志に甘えるような事は無かったのですが11歳の詩草は最初こそ態度がぎこちなかったものの次第に太夏志に心を許し始めて笑顔を見せるようになったり甘えてきたりするようになるのですね。

そんな詩草を見ているうちに元の彼に戻って欲しいと願いながら、でも今目の前にいる内面は子供の詩草にもとても愛しいものを感じ始めるのです。

同じ詩草ではあるけれどやはり違う、どちらも愛しい存在ではあるけれど大人の詩草と子供の詩草、双方に対する自分への気持ちはどこか少しだけ違う……。
突然起こった出来事に戸惑いながらも心が子供の詩草自身とそんな彼に感じる今までにない自分の中の感情を少しずつ受け入れて行く太夏志。

詩草の事を両親にも恋人だと紹介し、今までもそれなりに大切に思ってはいたでしょうが、11歳の詩草と接する事で得た想いは太夏志にとって詩草をそれまで以上に大きなものにしてしまったに違いありません。

ほんの一時だけ目の前に現れそしてまた太夏志の前からいなくなってしまった11歳の詩草を思う彼の言動が切なくてそしてとても私を優しい気持ちにさせてくれました。

胸に残る痛みはしくしくと私の心を刺すけれど、それは決して不快な痛みではなくて、読み終わった後は思い起こすたびに涙が溢れしばらくの間どっぷりと余韻に浸ってしまいました。

文庫で刊行される事が無かったらおそらく読むことも無かっただろうと思うので、この作品を埋もらせる事無く文庫化を実現してくださったオークラ出版さんに私は感謝をしなければならないでしょう。

沢山の人に読んで欲しい……心からそう思える本です。

4

夢の卵

記憶喪失のお話ですが単に記憶を無くしているのではなく、詩草(受・しぐさ)は今の年齢から13年間遡って11歳の少年となってしまいます。
いつも冷静で感情を顕にせず有能な秘書だった詩草を愛していた太夏志(攻・たかし)ですが、11歳になった詩草は頼りなく、自分に起きたことに戸惑い脅えた少年で、それまでめったに見ることのなかった甘えや笑顔を見せる詩草に、太夏志はだんだんと惹かれていきます。
詩草の抱えたトラウマを探すことと、それを治すことがお話の流れの中心ですが、
心に残ったのは太夏志の想いの方でした。。

詩草を元に戻すために奔走しながらも、太夏志は子供のままの詩草に愛情を感じはじめます。
詩草でありながら詩草ではなく、詩草ではないはずなのにそれは間違いなく子供の頃の詩草本人であるという、とても複雑なジレンマを太夏志は抱えることになります。
子供の詩草の「僕でいいの?」という問いに「どちらも好きだ」と答える太夏志ですが、子供の詩草を愛しおしく想いながらも、詩草が一瞬だけ元に戻った時には心からの安堵を感じてしまい、子供の詩草にたいして罪悪感を感じます。
そして詩草が完全に元に戻ったときには哀しい喪失感を感じ、
大人の詩草への罪悪感を覚える。
そのへんの戸惑いや葛藤なんかの心理面がとても上手く書かれていました。

詩草のトラウマを探るストーリーでありながら、この経験によって一番変わったのはやはり太夏志じゃないかな、と思います。
どちらかというと押し付けることが多かった太夏志の愛情は、
詩草の心理の深い部分に触れたことで、さらに相手を理解して
包み込むような暖かいものに変化したように思えました。
二人の関係もまた深いものになっていくだろうし、詩草の方も
この出来事と太夏志によって、心をもっと開いていくだろうと思います。
いなくなってしまった「子供の詩草」を愛おしむ太夏志の気持ちがちょっと切ないです。
どちらも「詩草」なんですけど…ああ、複雑。
そのへんの心理がホントに上手い。

綺麗な文章でしっとり淡々と語られています。
静かで不思議な感じのする読後感でした。
「夢の卵」って…誰もが抱え持っている大切な暖かいもの…
子供だったり、自分のやりたい夢だったり、愛する人だったり…そしてそれを
暖めて持ち続けている人や、壊れかけてしまった人、粉々に壊してしまった人、
破片が胸に刺さってしまった人…
そんな人たちのお話なのかな~と、ちょっと思いました。

5

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