藻とカレーさんのマイページ

レビューした作品

エキスパートレビューアー2024

女性藻とカレーさん

レビュー数44

ポイント数354

今年度24位

通算--位

  • 絞り込み
条件

指定なし

  • レビューした作品
  • 神作品
  • 萌×2作品
  • 萌作品
  • 中立作品
  • しゅみじゃない作品
  • 出版社別
  • レーベル別
  • 作品詳細
  • レビューした著者別
  • レビューした作画別
  • レビューしたイラスト別
  • レビューした原作別
  • レビューした声優別
媒体

指定なし

  • 指定なし
  • コミック
  • 小説
  • CD
  • 映像
  • ゲーム
  • 特典
発売年月
月 ~
レビュー月
表示モード

午後の光線 コミック

南寝 

すごいとしか…

や~すごい作品でした。
一言ではもちろん言えないし、全てのエピソードが秀逸でそれがつながっていく構成がすばらしい。
こんな複雑な人間のあれこれを読み応えも余韻も凄まじい1冊にまとめられる手腕が恐ろしいくらいです。
シュールな絵(村瀬なんてちびま〇子ちゃんのキャラみたい)にヘビーな内容だなと読んでいた前半ですが、後半とラストで打ちのめされました。

人(特に子ども)は環境や衝撃によって歪んでしまう。
「どうせ皆どこかしらオカシイよ」まさにそう思う。
おかしいとされる村瀬の日記は読書好きなだけあって感受性、情感、語彙力、表現力などが豊か。
人の内面って外からはわかりにくいものですもんね。
そんな村瀬の文才がクライマックスで活かされる場面が見事です。
淀井のかくれんぼのエピソードは切なく象徴的。

村瀬が駅のホームで哲郎を突き飛ばそうとした時、淀井の姿が浮かんで踏みとどまった。村瀬のトラウマが淀井によって上書きされつつあるということですよね。
そのトラウマのある電車の中での2人の会話がやさしく、村瀬のモノローグが少し軽くなり、2人の心の重みがましになっていればいいなと思いました。
この頃、村瀬の吃音はなくなっていた。

お互い相手の特別になりたい。
その気持ちや形はちぐはぐでヘン…それを自覚し共有する繊細さよ。
この後、告白大会をして村瀬が嬉し泣きしてこわくなって…
下に小さな景色の3コマ…最後のコマがこれまで何度か描かれてきた神社の鳥居のシルエットで、ここで、え!❔(嫌な予感しかない)と声が出ました。
次が「はい 飯田です」のページ。
場面転換が上手すぎる!とビビりました。

ここからがまたすごすぎて…飯田、柿沼と共に
淀井の乳歯を見つけた村瀬のスピーチが圧巻でした。
見開きで、踏切、海、フェンスと空を背景に…ここの言葉にこれまでの淀井との思い出が詰まっている。
「僕の行く景色には淀井くんが溶け込んでいて」←淀井は村瀬にとって神様ですもんね
「強く柔らかな午後の光線は いつも彼だけを差し照らしているようでした」←いつか見た日の村瀬だけの淀井で永遠なんだな(ここでのタイトル回収に震えました)

死は解放で憧れ。
村瀬にとって淀井は憧れで神様でもあった。

淀井は自ら選択したのでしょうか。
村瀬のため、村瀬から離れたくない自分のため、
「村瀬の目を借りて色んな場所を見てみたい」から?
自分が弾ける体を村瀬に見せたいのかもと淀井が言ったのもあって、村瀬は最期の淀井に会いたかったのか。
いろいろ考えてしまうラストでした。

周りの人物造形もとってもいい。
飯田と柿沼がいい奴で。
彼らの会話がすばらしい。
特に飯田の「こういう時だけ先生ヅラしやがって」が好きです。

淀井の母親は息子に愛情がないわけではない。
哲郎は悪100%でもない(逆に悪いだけの人間なんているのかとも思う)。
こういう人たち結構いますよね。
哲郎の「神も仏もねえな」が印象的。
何度も出てきた鳥居や道祖神に皮肉が込められているんでしょうか。

頭の中をぐるぐるするシーンが多すぎて、まとまりなくなってしまいました(いつものことですが)
当分余韻が抜けないだろうと思います。
すばらしい読書体験をありがとうごさいますという気持ちです。

本格美麗ファンタジーBL

先生のますます美麗な絵で描かれる本格ファンタジーBLは見応えありますね、
説明が多くゆっくりり進むなと思ったら1巻でまだ序章なんですね。
リタとイグナートの背景や立ち位置がわかり、次第に関係性を築いていく。
それぞれ孤独で、相手のあたたかさに絆されていく過程がよかったです。
特に、先生の「触れ合う」絵が大好きでして。
2人の仲はまだ手探りながら、触れるシーンが心の動きとリンクしていてすばらしい、

一緒に眠ったり、イグナートの大きな手でリタに触れたり、キスしそうになったり…見たい構図、表情をバッチリ見せて頂けるのがうれしい。
リタの「ありがとう」などにイグナートが無表情ながらグッときているのがわかる描写も好きです。
続編が楽しみです。

愛情としあわせいっぱい

本編から1年後、同棲している2人が千夏の兄の墓参りに行きます。
千夏の中で家族はあたたかくもあり影を落とす存在でもあり、兄に佳澄を紹介することでまた一つ千夏の心があたたかく、2人の絆が強くなるように感じました。
千夏の父も墓参りに来ていた気配があり父なりに何か思うところがあったんでしょうか。
それは千夏にとって少し安心できるというか、一区切りできることであるように感じます。
家族のことを思う千夏を佳澄なりに励まし、そんな佳澄が好きでしかたないとばかりに触れ、キスして抱きしめる←こういう描き方が大好き
佳澄に向ける千夏の瞳と言葉がやさしくて、きっと声もやさしいんだろうと思わせる絵がすばらしい。

佳澄の祖父の話や、2人で聡に会いに行ったり、佳澄の家族と関係性が良いのも安心します。
2人だけの逃避行などでは決してないですもんね。

その後の千夏の「恋人です」の照れた顔が萌え〜。
かっこいいのにかわいくて佳澄が大好きすぎてこんなになっちゃうのずるいー(大喜び)。

その後も、お互い好きで好きでたまらないと伝わってくる絵と描写でしあわせいっぱいで最高でした。

絵で伝わる美しき2人の世界

冒頭ではほの暗いお話なのかと思いましたが、私が感じたのは圧倒的な光の作品でした。
2人が出会い、友だちになりたい…と打ち解けていく過程…その瞬間ごとの空気、距感感、それぞれの佇まいから緊張感と心情が絵から伝わってくる。
瞳、手、触れ合い、絡む絵がすばらしく好みでテンション上がりました。
そう!そこが見たいのよー!という場面を描いて下さりうれしくなりました。
絵が美しいのはもちろん、色っぽく、戸惑いや、相手への好奇心、思いやりなども表現されていて。
佳澄が本棚から本を取る時、落ちてくる本を受け止める千夏…この距離、構図、表情がとてもいい。グッとくる。
惹かれ合っていくさまが説明的ではなく、絵でわかるのがすごい。
憔悴していた千夏がどんどんかっこよくなって、こんなに色っぽかったっけ?となったり、やさしい表情をしたり。
直接的な言葉はなくても触れ合うのが自然で、そうしたい気持ちや喜びが手にとるように伝わるのがたまりません。
ずっと一緒にいたい、離れたくない…2人の絆は強いとわかる描写が最高です。

それぞれ闇の中にいたけれど、相手との出会いによって光の世界へ進むことができた。
それがいかんなく絵で表現されていて感動しました。

確かに、千夏の殺し屋稼業はどうなるのか気になりましたし、佳澄が少女ぽいなと思う所はありましたが…2人の愛、絆が強く美しく描かれているので、その辺はもういいやとなりました。
時代設定についても、最初に千夏のスマホが出てきたので現代だとわかりますし、佳澄が和服を着ていてもそういう人いるよねくらいな感じでした。
佳澄の弟、聡がいい奴でよかったです。

この勢いで番外編も読んできます。

飄々とした忍が男前すぎる

みよし先生作品初読みです。
飄々とした忍が戌峰にハマっていきベタ惚れになるさまが好みすぎました。
真逆の世界に生きる、普通なら出会うことがなさそうな2人…やっぱり運命ですね。
偶然何度も出会うことを、池袋は人口100人の村かよ!とギャグにしてしまうのがうまいっと唸りました。
戌峰のことを変な奴で面倒だと思っていた忍が気になり始めるのを無表情なコマで見せ、その後、少しずつ段階を経て惹かれていてくのが最高でした。

忍はやりたいことがなく、流れ上とは言え裏社会で生き続けるためにはうまくやらなくてはいけない。
頭が良く有能だからこそ軽い適当なノリなのだと感じました。
一般的にも戌峰は変わっていると思いますが、家庭や育った環境から世間知らずで思い込みが激しく無垢である。
裏稼業だけに様々な人間を見てきた忍には戌峰は新鮮で刺さる部分があったんでしょうね。
忍はヤバい世間を知っているので、逆説的に倫理観がしっかりしているとも思いました。
なのでそれまで周りに恋する人もいなかったのかな。
戌峰を大事にするあまり慎重になるのが純愛ですね。

ケジメとして仕込み屋をやめる←男前
仕込み屋の忍の「下手だったらごめんね」←こんな殺し文句あります!?
とにもかくにも忍が最高でした。

視野が狭いと苦しいよね

一樹先生作品初読みです。
中身の絵がとてもきれいで、表紙とイメージが違うと感じたのは私だけでしょうか。
柊月のちょっとした表情で東を意識して惹かれていく描写がよかったです。
東がただのコミュ力ポジティブ野郎ではなく彼なりの背景、理由にも納得。
だから東は柊月のことをよく観察して察していくのがわかりましたし。

柊月がゲイであることをそこまでネガティブに捉えているのは西郷からの性被害や刷り込み的なものがあったからですかね。
西郷が柊月に執着し悲観的に陶酔しているのは弱くて柊月に依存していたからか。
西郷の演技がオーバーでこっ恥ずかしく古く感じてしまいました。
西郷も柊月も若く視野が狭すぎたんでしょうか。ちょっと極檀だなと思いまして。

そんな西郷に立ち向かい、柊月のうじうじに東が突破口を開いてくれたのは痛快でした。
東のセリフが少し理屈っぽいと感じる部分があったのですが、柊月の本心を言い当てて心を動かすところはお見事でした。
柊月を特別に思うようになって初めて欲が出た東の今後がどれだけ魅力的になるのか楽しみです。

風邪で寝込んだ時、柊月の感情が溢れて東を帰した後「終わった……」とベッドに倒れ込むところ、その後、めちゃくちゃ落ち込む東がかわいかったです。

理想で希望のある物語

事故により大きな障害を持つことになる晴人と彼を支える晃のお話。
苦労や辛いこと大変なことがありながらも、私は理想的、希望的なお話だと感じました。
突然の事故で地獄のような日々を送ることになる晴人。
尊厳死に救いを求める気持ちはとてもよくわかる。
それが「お守り」というのも。
障害だけでなく、大病や持病や慢性疾患、人間関係や経済的なこと…人によってはさまざまな困難があるわけで、そんな人にとってはいつか死によって解放されると思いながら、晴人のようにそれまではしたいこと、できることをする…それが人生でもあると思います。

晴人は自分のことだけでなく晃の夢や人生を犠牲にしていると苦しむのもわかる。
前半の晃はやたらテンション高く、したくてしていることだろうけど少し無理していませんか?と思わせる演出にも感じましたし。
それでも晃が誰と何をして生きていきたいか…選択するのは本人ですもんね。
そんな晃を気遣い、晴人のことも理解してくれる芝先輩の存在が大きい。
芝先輩のような人がいるといないとでは全然違う。

晴人は小説家としての才能があり成功し、愛するパートナーと共に生き、夢を叶える。
決して悲劇ではない。
大変な苦労がありながらも努力して、しあわせな人生を送った物語だと思います。

BLとしては、パートナー制度や家族ではない見舞い者の病院での扱いがリアルでよかったです。

タクシーの運転手さんと晴人のエピソードが秀逸でした。
晴人はもともと引きこもりタイプだし、自分の大変さで視野が狭くなっていただろうからバリアフリー的なことが障害のある人にとって便利で当たり前であることがあるとこの時初めて知ったんですもんね。
障害だけでなくいろんな悩みを抱える人にとっていいヒントになるシーンだと感じました。

目と空気が物語る

のき先生の絵、セリフ、心理描写が好きで全作読破したくて少しずつ読み進めています。
本作も目や横顔が心を表していたり、どうってことない会話に気持ちが滲み出る演出がすばらしい。
導入については正直ちょっと無理があるのでは…と感じたのですが、それは私の想像力や理解力が追い付いていないせいですね。
勉強を教えてもらうお返しが「なんでも言うこときく」はエロいことしかないだろうと思ってしまってすみません。
ただ、正反対な性格の2人が共に時間を過ごすうち惹かれていくさまはさすがのき先生作品だとじんわり響きました。
大滝かただの優等生というより、ズバズバ鋭いことを言いながら、いいところもあって柘植を認めたり好きになっていくところが好きでした。
柘植はチャラいヤンキーだったのが素直にがんばって大滝と親しくなるうちにかわいくなっていく。
2人のバランスが絶妙でした。

愛と奇跡の物語

三田先生作品初読みです。
高評価が気になりまして遅ればせながら手に取りました。
絵がめちゃくちゃ美しいですね。
物語も。
あらすじではどんなお話になるか全くイメージできず(想像力貧困)それが難しそうな擬人化BLをここまで美しく分かりやすく表現されるのがすばらしいです。

コッコは夢を叶えるために生きている。それは確固たるもので。だからコッコの生き方は変わらない。
そんなコッコに出会い、オットは180度変わり成長し本来のやさしさや強さや愛情に溢れ、しあわせになっていく。
だからタイトルがオット視点なのかと感じました。
コッコの名付け親であり、神様であり、コッコがかわいそうかはオットが決める…ですもんね。

卵が孵らないことを悲しみ、オットがいなくなると聞き「一人ぼっちはさみしいことを知っていますから」とコッコが言うシーンは胸を打ちましたし。
オットがあんな生き方をしていたのは辛い過去があったと思わせるセリフ、コッコを見て涙する姿が強く印象に残ります。
「その子はコッコと俺の子だった」←この時、オットの中に愛情が芽生えた。人生を変える深い悲しみ

オットは自慢の髪と有精卵を交換する。
髪はオットのこれまでの生き方の象徴、それを捨てて新しく命を得る。

コッコは卵を生むため、オットはしばらく身を潜めるために2人の生活は始まりましたが、アリちゃんが誕生し、子づくりではないセックスをしてからお互いが恋に落ちるラストもステキでした。

刷り込み、無知、打算、性や種族や住む世界の違い…などがあっても、血のつながりはなくとも、生まれてこなかった命だとしても、共に生きられる、家族になれると感じとれるお話ですね。

飛べないはずのニワトリ(コッコ)が空を飛べたのは、夢を信じ続けると奇跡が起きるとの比喩ですかね。
同じ場面で、オットは(ニワトリが)苦手な水(川)に「ままよ!」と飛び込み、アリを助けに向かったのがコッコと対照的な方法で、人によってはこういうやり方もあると見せて頂いた気がしました。

第一章

設定盛りだくさんながらミステリー要素とBLがうまく合わさっておもしろいわ〰︎と読んだ1巻で続編を楽しみにしていました。
2巻までが第1章とのことで何章まで続くのか…壮大な長編になるんでしょうか。
2人の両片思いが少しずつ進展しているようでいいですね。
夜泉の煮え切れなさにイラッとせずより気持ちを強く持つ陽名に好感が持てます。
夜泉は陽名が好きでたまらないのに隠さなければいけない理由があるんですもんね。
過去のこと、死神のルール、新キャラなど複雑になってきて私の頭ではちょっとついていくのが大変です。
サイコ野郎がもろサイコな表情をしていて、もっとスマートなタイプかと思っていたんですが違いました。
奴がいろいろ握りまくっていそうで早くとっちめて夜泉を楽にさせてあげてほしいです。
そうなってからやっと陽名と向き合えるし、陽名も安心して夜泉とらぶらぶできますもんね。