甘食さんのマイページ

萌×2作品

エキスパートレビューアー2022

女性甘食さん

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2人の愛のゆくえは?

「聖なる黒夜」の続編。麻生×練のカップリングが気になりその目的のみで読みました。捜査一課のエリート警部だった麻生は色々あって私立探偵に転職しました。彼の新しい仕事の事件簿という形の短編集。2人は相変わらず付き合ってるようですが、麻生の「俺は警察やめたんだからお前もヤクザやめろよ」みたいな論法はちょっとな、と思う。練は麻生のせいでヤクザになっちゃったようなものだから、「そうしないと別れるよ?」みたいに脅す権利はないと思う。前作と違って具体的な性行為のシーンの描写はないですが、朝チュンみたいな事後報告のような表現はありました。まあ一般小説ですから仕方ないですね。

最後は別れそうな微妙な関係で終わってますが、先に発売されたけど時系列順だとこの話の後になるRIKOシリーズではまだ関係を続けてるようなので一安心。この2人中心の話ではないみたいだけど購入済みなので読書の楽しみが続きます。

誰かに恋をしている人を好きになる

A→B→Cのベクトルの方向の違う片想い。切なさMAXで大好きなパターンです。BLじゃない漫画でも映画でも好きでした。好きな人がいる友人を応援するうちに自分がその友人を好きになってしまうヤツ。リアルでも青春時代に絶対多いパターンだと思う。それがBLだとさらに萌え倍増。

シェフ×グラフィックデザイナーという職業もBLドリームな感じで良い。受けの宮本は顔が良く仕事もできる天才型で自分で自分を平安時代の貴族に例えるくらい人生に満足してる俺様キャラ。ちょっと傲慢キャラが努力だけじゃどうにもならない片想いの沼にハマってるのってイイ!攻めの関東が名前も変わってるけど無骨なのに料理のセンスも服のセンスもいいカッコいい人なのです。ギャップ萌え。

あとキーパーソンになる宮本の後輩、福原がまたいい奴。男前な柴犬タイプで若いのに洞察力のある良い子で周りの男達からモテモテなのも納得できるキャラです。中盤くらいで勘のいい方なら先が読めちゃうかもしれない展開ですが、出てくるキャラが皆個性があって魅力的なので最後まで楽しめた良作でした。

これは新装版で10年前くらいに書かれた作品みたいですが、ファンタジー設定無しで男の人達のラブストーリーを描いているのが最近では逆に新鮮です。ありふれたような設定でもついつい読まされてしまうのはやはり作家さんの腕だなって思います。

王道幼馴染みラブのはずなのにやはりストーカー

佐田三季さんの小説、やはり読み応えがあって面白いです。2カップル出てくる二本立ての小説ですが、2つの話はリンクしており、アラサーの主人公達4人は幼馴染みのような関係です。これはストーカーものではないけど、2作目の従兄弟同士の話は攻めの執着が相当強く、レイプして受けの体を奪ってるのでかなりヤバい人です。

表題作「ボーダー」は元高校同級生同士のノンケ×ゲイの恋。高校時代に片想いしていたのは受けの環の方だったけど再会して体の関係を持ってからは攻めの渡部の方が執着が強くなってしまい…やはりこっちもストーカー気味の人でした。

「ボーダー」で受けと攻めに差別的な態度を取り、かなり嫌な奴だった佐々木も環と渡部とは高校の時の同級生。一つ下の従兄弟の国見に子供の頃から執着されている事に気づいていて、牽制しながらも思わせぶりな態度を取る…という話が「揺れる境界線の上」。こちらの話は攻め受け2人共、同情すべき境遇でかなり拗らせているし、闇が深い気がする。まあ血が繋がってるしお似合いなんじゃない?と軽く言ってみる。

1話目の攻めと2話目の受けは、自分が男性同性愛者の気があるのかどうかボーダーギリギリの気がしていて、最初は世間体を気にして、悪気なくゲイへの偏見の塊のような言動や行動を繰り返します。でも間違いなくあの2人はゲイよりのバイなので最終的にはボーダーを完全に超えるのだろうなと思いました。

気の毒なのは当事者達の3人の両親が(2話めの攻めには両親がいない)、全て多様性を認めるような人格ではなく我が子の幸せより世間体を優先する人達だった事。リアリティがあるけど親との修羅場が痛すぎて辛かった。特に感情的になりすぎる母親とか…この話で母親は悪にしか描かれていません。1人くらい温かみのある親がいてもいいと思ったけど佐田さんの作品はそんなに甘くありません。でもまた胃のキリキリするような痛くて怖くて、これフィクションでよかったー!と思える中毒性のあるお話、読んでみたいです。

最後の最後に明かされる佐々木の秘密にはあっと脅かされました。1話目での態度の悪さにも少し納得というか同情しました。

お話がとてもよくできている

暗い暗い雰囲気のお話。BLとしてじゃなくても映画化したら映えるような良く出来た話です。暗すぎるので私は見には行かなそうだけど。ハッピーエンドではありますがそれまでの過程が重すぎるのです。攻めも受けもその元カノも元彼もそれぞれ色んなものを背負っている。人間って生まれた場所や環境で心も体も早く大人になってしまう事は確かにあるなあと考えさせられました。15で不良と…の歌は世代なので私もよく知っています。今聴いてもキャッチーな歌詞だと思います。物語みたいな。

というわけで物語としては面白かったけど、BLとしての萌えは今ひとつだったので神評価にはなりませんでした。ちょっとこの暗さが純文学みたいな感じだったので。でも菅野先生はこういう作風だなって他の作品でも感じた事があります。実力者だとは思います。

異世界ファンタジー

あまり恵まれない環境で育った金髪ヤンキー23歳。板金工として真面目に働いていたのに王様やエルフや魔術師のいるファンタジックな異世界にいきなり飛ばされ大変な目に遭ってしまう所から物語は始まります。

ファンタジーちょっと苦手なんですが、小中さんの文章は簡潔で回りくどくないので世界観が理解しやすいです。前作のラブコメファンタジーよりはダークで残酷表現もかなりあります。でも話が面白かったので一気読みしました。

受けを異世界で助けてくれたのが攻めのハイスペック・エロエルフ。受けより年齢がかなり年上である事を(見た目は若い)気にしてるのが可愛かったです。若くて可愛い恋人を得て精力増進しちゃったみたいです。美形長髪エロエルフ×短髪の金髪ヤンキーに萌えました。あと攻めの子ではないけどエルフと獣人2人の子育てシーンも可愛かったです。

小中さん作品の受けは健気な尽くし型が多いので、見た目ヤンキーでも可愛い受けでした。料理もDIYもお得意の素敵な奥様です。エルフが性欲強い設定も良かった。

受けと一緒に召喚されたちょっと性格悪い高校生達の末路が残酷すぎて気の毒でした。

あとがきで驚く

ボリュームたっぷりの大作でしたー。アメリカ大統領の息子とイギリス王子の一大ロマンス。どっかで聞いたような…ライラ・ベースさんの「ロイヤル・シークレット」といい、アメリカってヨーロッパと違い王族がいないから、イギリスの本物の王子様っていうのに憧れがあるのかもしれないですね。

こちらはBLレーベルではないからか挿し絵も一切ありませんが、可愛いどピンクの表紙からわかるようにがっつりアメリカのセレブと英国王子のロマンスものです。しかし主人公の親も初の女性大統領だし、有名セレブ同士でアメリカ⇄イギリスの遠恋って、試練与え過ぎなド派手設定だと思いました。

主人公達の年齢も両方20代前半でまだ瑞々しいピュアな感じで、大人のM/M小説というよりは家族愛の物語でもあり、攻めと受けのカッコ良くて優しい母親や姉が活躍しすぎのストーリーがちょっと鼻につきました。出会って結ばれるまでは回りくどいジョークがメールの文面で繰り返されましたが、恋人になってその後2人に降りかかる試練のパートになってからはストーリーのテンポもよく一気に読めて面白かったです。

プリンスの方が年齢も身長も少し上だけど誘い受けみたいな感じで始まりは積極的で逆ポジかと思いましたが、合体してからはポジ固定型・リバなし。金髪碧眼受け、いいよねー。こういうのはやっぱイラストがほしい。

あとがきで驚いたのが作者の年齢。まだ30歳の若さだそうです。これからたくさんM/MやBL小説書いてくれー。そして1番の驚きが…映画化するらしい。マジで。さすが2019年ベスト・ロマンス賞受賞作。すごいな絶対見たいな。王子はとびきりのイケメンで演技の上手い人でよろしくお願いします。

ライトなラブコメファンタジー

ファンタジーだけど中高一貫のお坊ちゃん校とかヤリチン同級生にずっと片想いしてた根暗とか、限りなく現代日本に近いなんちゃってファンタジーだと思います。小中先生の遊び心満載で楽しんで書いていらっしゃる雰囲気がします。

私も最近エログロ刑事物BL小説にハマってたので箸休め的に軽くて可愛いお話が読みたかったのでちょうど良かったです。でも小中先生のちょっと辛めのドロドロ恋愛系の作品も好きです。作者も読者も甘いのと痛いのとメリハリをつけて楽しめるのがBL界の良いところですね。

コメディーとはいえヤリチン攻めが見た目は王子様系なのにそれまでにやってきた事が本当にクズな所が小中さんの作品らしいと思いました。根は悪い奴じゃないしちゃんと改心するとはいえ。そして受けは自虐で自分は根暗だって言ってるけど性的にはとってもピュアな子でした。カラフルなキャンディーの色でその日の運勢を占うのが乙女ちっくで良いエピソードでした。

シヴァ犬の描写がやけにリアルで可愛いと思ったら小中さん飼っていらっしゃるみたいですね。いつかうちの子をなんらかの形で作品に登場させたいと思っていらしたんでしょうか(笑)

最後は溺愛・甘々と言っても良い作風で犬好きにもおすすめの小説です。

ぶっ飛びすぎ(笑)

主人公達が破天荒でぶっ飛んでいます。ツッコミ所は多々あれど話は面白いです。今時のBLっぽくはないけどエロエロだしね。そもそもゲイ向け雑誌に掲載されていた作品らしいし。男性同性愛を絡めた刑事物ミステリーです。

95年作。90年代は映画やドラマで猟奇的な事件物が流行っていたせいか善良な市民がスプラッタな殺され方をする事件ばかりです。まさにエログロ。

攻めの風巻刑事はマッチョで優秀な刑事で超絶倫。受け以外の男にも誘われるとすぐ寝てしまうくせに受けには「1番はお前だけ。他の奴はグ◯コのおまけみたいなもんだ。」とか黒人美青年と寝た後で「俺はステーキより和食が好きなんだ」とか言っちゃう最低ヤロー。でもこんなヤツなのにリバの時はオネエ言葉で雄叫びもあげててなんだか憎めないのです。

受けの冬木刑事は気弱な美青年でいつも「僕は警察のお荷物だ」が口癖だけどゴメン本当にその通り。いつも犯人に拉致され痛いことやエロいことをされます。でも次回の話までにはケロっとしてるので相当メンタル強い。体は男だけど精神は昭和の女、みたいな優しくて攻めに浮気されても結局許してしまうお人好し。

古い作品ですがキャラが立ってて話も面白いので2巻以降のシリーズも購入してしまいました。楽しみだー。

幸せになろうね

物凄く楽しみにしていた作品、堂々の完結です。前巻では不穏で悲しい所で終わっていたけど奥嶋先生は「幸せになれ」と思いながら描いてたらしいのでそのような結末で本当に良かったです。

怖そうな悪の親玉っぽいおじさん達は確かに悪いんだけど、セブンやエイトに対しては割と寛大で良かったです。エイト父は最低な奴だったけど。赤松とセブンはハッピーエンドでしたが、エイトの闇の深さとその理由を考えると切ないです。2巻では最低な奴だったけど親からは捨てられたり酷い目に遭わされたりで兄弟だと思ってたセブンからも捨てられた気がしてあんなに怒っていたんだね。セブンの墓場まで持ってく秘密の方も重いものでしたが。

2巻でのおぞましい(虫)事件にあったおじさんは亡くなったようです。絶対にそうはなりたくない死に方だと思った。2巻は事件の重さと水族館デートの明るい萌えの対比が良かったけど3巻の温泉デートはメルヘンすぎてちょっと乗り切れませんでした。本編終了後の番外編とかだった方がバランス良かったかも。

嬉し恥ずかし初夜のシーンは萌えました。しっかり心も体も結ばれました。赤松が初めての時は痛くてもセブンの為に頑張っちゃうのが健気で良かった。最初はふざけてたけど最後は蕩けて色っぽい表情でした。

少年漫画の絵のガチBL、素晴らしい企画でとても楽しかったです。原作と作画の両先生には感謝です。またタッグを組んでやってほしいな。

兎の森 (2) コミック

苑生 

母親の呪い

幼馴染み愛のBLというキラキラしたテーマと思いきや受け(多分)の環の心の傷はかなり深い。かなり複雑な相手を好きになった1つ年下の志井。でも見た目の明るさの中にデリケートな内面を持つ環の全てをひっくるめて愛する攻めとしての懐の大きさ。「呪われた姫を救い出す王子様になってあげて」みたいな気持ちで全面的に応援してしまいます。

1巻に出てきた環の小学生の時の呪いのノート。絶対にしないこと、の項目に必ずあった「セックスすること」。子供の目の前で性行為をするのは虐待だとつくづく思いました。環の心の傷の核になるこのノートをいち早く見つけてしまう志井。環が恋愛相手としてかなり難しい事は感じとったはずだけど、それでもずっと好きだった人の事は簡単にあきらめられるはずもない。寧ろ環を幸せにできるのは志井しかいないんじゃないか?とも思います。

少し病んでる風の母親は環を男として見だして今度は性的虐待に走らないかすごく心配。志井にはそれだけは阻止してほしい。環は性行為に興味のないアセクシャルかと思ったけどそういう訳でもないらしい。環の「僕はあの母親の息子だよ」みたいなセリフは母を愛しつつも自分にも淫乱の血が流れている、と思い込んでいるようで切なかったです。

母親から物理的にも精神的にも決別しなければ、環の幸せは無いと思うんだけど、なかなか一筋縄ではいかず痛い展開になりそうだけど続きが気になって目が離せない作品です。たまに見せる昔通りの志井のアホさがかなり環にとって救いになっているんだろうなあとしんみりします。早く幸せになっちゃえYO!と思いますが環にはちゃんと心に決着をつけた上で前に進んでほしいです。