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タイトル変更できなかったのでしょうか。


健気すぎる攻めと鈍感で頑張り屋な幼馴染の孤児院院長

既に詳しくレビューされているので、詳しくは他の方のレビューを参考にしていただいて、ちょっとだけ。

勇者としての武功を挙げ凱旋してきた幼馴染ジオ(攻め)に寄生しているとジオの仲間たちに思われてきた孤児院院長のレイル(受け)。
何度もジオを自由にしてやれとアドバイスされ、とうとうジオと結婚すると噂の王女から手切金を渡され旅に出ることを強要されたレイルは、その言葉に従い、初めて自由を得ます。
それを知ったジオは烈火の如く怒り狂い…


話は普通なら中盤あたりに出てくる当て馬に程よく追い出されるところから始まります。
激怒するジオに対して仲間達は自分たちの考えを訴えますが、それに対してジオの明かされることになかった恋情と気遣いに驚かされます。
報われなくてもいいレイルの負担を少しでも減らせれば、というジオの気持ちとレイルの置かれている立場に驚き、何も知らないで必死に子供たちを守っているレイルを傷つけたことを悔いる仲間達は本当はとてもいい人たち。
一言レイルに謝りたいと皆でレイルを迎えに行くことにするのです。


ジオの献身にはもう感動しました
レイルは一人での孤児院の経営により心身ともに疲弊していて子供たちを健康に育むことに精一杯でジオの気持ちに気づくことはありません。
ジオも気がつかれないように気をつけていて、二人の恋人でもない家族でもない、同士のような関係がとてもいいです。


本編最後の孤児院の一番の年長の片腕的存在のウィリー視点の独白で泣きそうになりました。
子供たちことでいっぱいいっぱいのレイルに自分の心配をさせたくなくて一生懸命言葉を尽くして勇者の仕事に危険はないというジオの献身を、幸せになった二人をずっと間近で見守ってきた様子がとてもよかったです。

あと、何度か出てくる誓句、これがとても心に沁みます。特に最後の「火神サラシネを抱く兄弟たちへ、変わらぬ愛を注ぎます」と言うところが好きです。
二人の手紙の最後に必ず書いてあることに、そして何かあった時にいつもそれを読んで心慰められることに泣きたくなるほど切なくなりました。

とても素晴らしい話だったのですが、一つ難点を言うとすればタイトルで絶対損してると思います。軽めの話と思っていたらずっと重くて深い話で嬉しい誤算でしたが、タイトルで敬遠する人がいるのではと思うのです。
もったいないなー。

朴念仁 vs 奥手


人を遠ざける王弟がその特性のおかげで声の出ない偽王子と縁を繋ぐ

友好のために隣国の王弟・レンフォード(攻め)に嫁ぐことになった末王子の身代わりに隣国に送り込まれてしまった公爵領の使用人シェイン(受け)。
喋ることができないシェインは怯え泣くことしかできません。
嗅覚の鋭いレンフォードはその匂いによってシェインが偽物であることを看破し、国家間の争いを避けるため、この事態を画策したのがどの勢力なのかを探ることになります。
言葉が発せずひたすら泣き怯えるシェインを匂いで判断のできるレンフォードが世話することになります。

猫獣人シェインは、母親に虐待によって声を失ってしまった捨て子でした。
命の火が消えそうになる寸前、公爵領管財人のマクガレンに保護され使用人として働かせてもらえるようになります。
領地には領主夫妻は滅多に来ないので、使用人たちは家族のように暮らしています。皆に可愛がられ、幸せに暮らしていたシェインでしたが、同じ名前を持つ末王子に拉致され末王子の代わりに隣国へと送られてしまいます。

狼獣人・王弟レンフォードは先祖返りで嗅覚が同族の誰よりも鋭く、他者の感情まで読み取ってしまうため人間不信気味です。
が、それが功を奏して声の出せないシェインの感情を正確に読み取り世話をすることを可能にするのです。


とてもとても良かったです。
自分勝手な末王子たちは酷い人たちでしたが、シェインの周りの人たちがいい人ばかりでした。
今まで不便な生活を余儀なくされてきた二人がやーっとくっついて安心しました。
周りで見ていた、医師や兄王の心労や如何ばかりだったか。

最後は思わず泣きました。優しい家族と再会できて本当によかった。


それにしても、シェインの国は国のためとはいえなんの罪もないどころか被害者であるシェインに全ての罪を押し付けようとするなんて酷すぎる。
反省のかけらもしていない末王子はそれ以上に腹が立ちます。
そして自分がしたことの重大さを国王はちゃんと説明したのだろうか。
国のことをかけらも考えてない自分勝手な母国の末王子は、本当なら3回は首を切られてると言うことなので、ちゃんと制裁を受けてほしい。自分の息子には甘そうな王様なので、ひとめにつかないところに幽閉されながらもわがまま放題してるんじゃないといいのですが。

蝉の抜け殻 vs 深海魚



仕事をしていない時は「蝉の抜け殻」と評されるCAと「惰眠を貪る深海魚」と評される雑誌編集者のはじめての恋


雑誌編集者の奏(受け)は行きつけのゲイバーで、ゲイの友人に連れられてやって来たノンケの恒生(攻め)に出会う。
ヤバいくらいのイケメンなのに、今までの恋人と長続きしたことがないという。
恒生と離れがたく思った奏は早々に関係を持つのですが、これがとんでもなくSEXが下手な男でした。思わず「ヘタクソ」と叫んで逃げ帰ってしまいます。
その直後の取材相手がなんと恒生だったのです。
気まずい思いをしながらもお互い仕事と割り切って取材したのですが、話もあうし、仕事をしていない時はだらだらしているところとか似ているところが多いことに気づきます。
SEX以外は全部好みの男。
恋人になる条件に身体の相性が外せない奏は残念に思うのでした。


表題作にあるヘタクソというのはSEXがヘタクソという身も蓋もない話で、なかなかいない攻めでした。ヤバいくらいのイケメンなので奏にしてみたらびっくりでしょうね。
ガツガツと腰振るだけで相手を思いやらないSEXをする人だったので横暴な人かと思ったら、単に勉強不足なだけでちゃん教えたらできる人でした。

恒生からの告白に奏は頷きたいけど、相手はノンケだから勘違いかもしれないし、もし本気でも自分は今までいつも最後には呆れられて振られることが続いているしで中々頷けません。


最終的に、ドラマなんかで仕事ほっぽりだして恋人追いかける心理がわからないと言っていた恋愛音痴の奏が合コン会場に乗り込んで強奪するまでに成長して(してない)、本当に好きになったら変われるんですね。


後半はお互い好きすぎて空回りしてしまう2人の話。
付き合いだしてから、忙しすぎて、中々時間が合わない2人。
奏は恒生を逃したくないと今までの反省を生かして愛される男になるべく色々勉強し部屋の模様替えや服装、美容など変えていこうとするのですが、それを浮気と勘違いする恒生。
恒生はオフの時のダルダルの奏もひっくるめて好きなのに、このままではダメだと思ってしまう奏。恒生にために頑張ってるのに報われません。
最初にSEXが「ヘタクソ」だったことがここにきても恒生に自信をもたせません。
とにかくお互い忙しすぎて話をする時間がなくすれ違ってしまうのです。
どちらもとても忙しくて時間がない中なんとか会いたいと頑張るふたり。
「最愛の恋人に会うため懸命に水面を目指す深海魚」と自分を評する奏の姿が一生懸命泳ぐ深海魚の姿が思い浮かんでとても切ないやらかわいいやら。

お互いを思いやっていればきっと大丈夫。
2人で仲良くだらだらとオフの時間を過ごしてほしいです。


タマゴが先か鶏が先かの異世界転生


悪役令嬢(女装あり)かつ攻略対象に転生した受けの奮闘


廊下で滑った拍子に自分が生前姉にやらされていた乙女ゲームの悪役令嬢に転生していることに気付いたクロード(受け)。
クロードは女装悪役令嬢で隠し攻略対象も兼ねているという色物設定。
乙女ゲームのヒロイン・アリスを自分の娘と豪語しするクロードは推しの攻略対象で王太子のアルベルト(攻め)とくっつけようと画策します。
入学式で婚約者のいる女性に一目ぼれされたせいで決闘騒ぎになり、うんざりして女装して自分の美しい顔を封印しているクロードは
前世の記憶が戻ったことで早々に女装を辞めたいと思うも、アリスが美しい自分に惚れると困るということで二人をくっつけてから女装を解除しようと奮闘するのです。


いつも楽しいお話を書いて下さる作者さまなので作者買いです。
今回もめっちゃ楽しい話でした。
設定がまた面白い。異世界転生の話はいろいろな話を読んできましたが、悪役令嬢と攻略対象を兼務する話は初めてでした。

要所要所でアルベルト視点が入るので、二人のすれ違う想いがまた楽しかったです。
そして、攻略対象たち皆がクロードに振り回されてる感じがすごく楽しい。
特に、美しい兄に抱き着かれおろおろしてごまかすためにツンツンしてしまう弟のマリウスには同情を禁じ得ない。


そして、応援しているアリスとアルベルトが一緒にいるところを嫉妬するのに、嫉妬する相手を間違えるというポンコツぶりも笑えます。



酷い悪人はおらず、読んでいて常ににやにやするたのしい話でとても面白かったです。
年に一度選ばれる「光の乙女」という異世界(前世の世界)と繋がっていて、微妙につながっているといるので、いつかクロードが読み損ねた話の続きが読める日がくるといいですね。

「長かったねえ」


長い長い準備期間を経てやっとくっついた二人。

小学校から知り合ってかれこれ20年。
同居を始めて5年。
付き合ってはいない二人、和真(攻め)と那由多(受け)
なんとなく怪しげな雰囲気になったことはあっても頑なに友人付き合いを続け、性欲に突き動かされる年齢も過ぎ、このままずっと穏やかに二人で過ごしていけるといいと思っていた二人。
そんな毎日に一石を投じたのが、和真の甥っ子・世志輝。
和真の姉夫婦のごたごたで預かることになった世志輝の面倒を見ているうちに二人の心境に変化が・・・

表題作と書き下ろしの2編で、表題作は二人がやっと付き合うようになるまで、書き下ろしは付き合いだしてからの更なる心境の変化でこれからもずっとを誓い合うまで。


両視点で書かれているのでそれぞれの心境がわかります。
だからこそ、完全に両片想いだったんだとわかります。
和真の方は男同士に禁忌を感じていたこともあり躊躇するうちに女性と付き合いだし、頻繁に彼女が変わる経験をしたことで、那由多とずっと一緒にいたいと思うあまり何度もあった誘惑を乗り越え友人として適度な距離をもって接しています。
那由多の方は和真がヘテロだと思っていて友人としていることを選びます。
二人でいることが自然で年齢も重ねたことで性欲も落ち着いたしずっとこのままでいるだろうと思っていたのに、世志輝を預かり世志輝の成長を間近にみることで変わらない保証なんてないということに気が付いてしまいます。
二人そろって同じように焦って告白する時も一緒って本当に息ぴったりな二人でした。


書き下ろしでは、友人の破局を聞き、高校時代の友人たちを会い、お互いの元カノと再会したことで、ずっと和真が危惧していた恋人は別れたら気まずくなるということに那由多は改めて気付いて焦ります。
結局二人で話し合い、今までが今までだったからこの関係が終わるなんてことは絶対ないと確認して終わるというなんともラブラブな話でした。


二人の穏やかに流れる空気に新しい風を入れたのは甥っ子の世志輝でした。
元々の性格や環境やらの要素が絡まって言葉がなかなか出ない子でしたが、、一生懸命で賢くてとてもかわいい子でした。
固定観念にとらわれない自由な那由多が側にいることが、大人の思惑に振り回されている世志輝にはいい環境だったのだと思います。
そして、二人がずっと積み重ねてきた下地に世志輝が種をまいてやっと花を咲かせることができたんだなと思いました。
きっと二人がお互いを意識しだしたころに勇気をだして告白したとしたらきっとうまくいかなかっただろうと思うし、遠回りに見えてもこれが一番の近道だったのでしょう。

燃えるような激しい恋というのはないと思いますが、穏やかで温かい二人らしい関係がとても「らしい」と思います。

健気すぎる


父である龍王の鱗を引き取りに来た龍神と蔵元の話。


大学を卒業し、実家の酒蔵の蔵元を継いだばかりの八千穂(受け)は酒造りでの命ともいえる井戸水に変化を感じ不安に思っていた矢先、龍神・蘇芳(攻め)が現れ毎日酒を供えるという約束を違えたため井戸水の元となっている龍王の鱗を回収すると言われるのです。
龍王の鱗など聞いたことがない八千穂は驚くのですが、見つからなければ八千穂を生贄として天界へ連れていくと言われます。
地上は穢れているため長くとどまることはできないとしながらも、蘇芳はしばらくこの地にとどまり龍王の鱗の鱗を探すことにするのです。
代償は八千穂の精気。


龍王の鱗とは、昔雨ごいをしたおり生贄の女性の健気さに心打たれた龍王が自らの鱗をはがして与えたもので、そこから上質な水が湧き出るため、毎日必ずその水で作った酒を供えるようにという約束をしていたのですが、八千穂はその存在を知りませんでした。
初めは傲慢な感じだった蘇芳ですが、素の蘇芳は本当に優しく健気でした。
酒造りのためなら自らを犠牲にしても構わないと訴える八千穂に心打たれた蘇芳はわが身を犠牲にしてでも守ろうとしてくれます。

酒が供えられななかったため龍王の鱗は効力を失い、枯れかけている井戸水。
それを少しでも遅らせるため自分の鱗を使う蘇芳。

まだ未熟な蘇芳の鱗では一日持たすだけで精一杯で毎日鱗をいれなければいけません。はいだ鱗は自力で癒すことはできず、爛れ痛みに苦しむことになるのです。

探しても探しても見つからない龍王の鱗。
日に日にやつれていく蘇芳。
何も知らず蘇芳を心配し精気を与える八千穂。


八千穂は祖父もいない中初めての蔵元で忙しい中、見つからない鱗に弱っていく蘇芳のこと、鱗を持っていかれたら水が枯れるという現実、というたくさんの心配事を抱えながらも精一杯酒造りに販売にと精力的に動き回る姿が印象的です。


お約束ともいえる精気の取り込みですが、神は生殖活動をしないため性衝動がないとのことで、高めるだけ高めてほったらかしなのがちょっとかわいそうでした。
わざと弄んでいるのかとも思ったのですが、実際は本当にわかってなかったようで、性衝動を覚えるようになってしまってどうすればいいのかわからなくてじたばたしている姿は思春期の中学生のようでとても微笑ましかったです。


今回の騒動の原因は倒れてしまった祖父にあるのですが、龍王の鱗については当主のみに伝えられるという掟のおかげで今回の騒動が起きたのでした。
本来なら行われていた継承が行われなかったことで空白期間が生まれたことによる今回の騒動。
龍神の慈悲が再びあるのかと思っていたのですが、今回の騒動をなかったことにしてくれなかったのがちょっと意外でした。
でも、理から外れることをよしとしない龍王としては最大限の譲歩だったのでしょう。
何もかも捨てて八千穂と生きていくことを決めた蘇芳が幸せになることを願っています。


蘇芳だけが他の龍神と違う容姿なのにはきっと訳があると思っていたのですがそれに関しては全く触れられていませんでした。ただの突然変異だったのかな。
何かを達成して銀龍になるのかなとか想像していたのですが違う展開でした。


今作では悪い人は登場しません。
職人気質の杜氏や実家から出て滅多に帰ってこなかった叔父など口の悪い人はいますが、基本みながこの酒蔵のことを想っての行動です。

特に叔父は下戸だったことが実家に寄りつかなかった原因ではないかと思うのですが、仕事の傍ら無償で営業活動を手伝ってくれていました。皮肉気で上から口調だったので初めは乗っ取りとか考えているのかと思ったのですが、彼なりに実家のことを想っての行動のようでした。
彼の息子が酒蔵に興味がるということなので、跡取りとして頑張ってくれるといいなと思いました。

それにしても、八千穂も健気でしたが、蘇芳の健気さには頭が下がるというか驚きです。
健気な受けというのはたくさん読みましたが、これほど受けのために身体を張る
攻めは初めて読んだのではないでしょうか。
感動で泣きそうでした。
でも、実際に死んでしまっては元も子もないので自重してほしいものです。
大事なもののために命を張る健気な攻めに完敗です。