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女性chikakumacoさん

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初恋の人は何処。

漢方薬の処方で、Ω特有の症状を和らげる⁈
これまた新説オメガバース。
アキラくんは、Ωのせいか、子供の頃から人にジロジロ見られている。正確には見られている様な気がしていて落ち着かない。なので、Ωっぽい外見を捨て、身体を鍛え上げ、周囲が引く様な厳つさを身に付けた。これはこれで衆目を集めてしまう気がするけども。そのせいか、ホルモンのバランスが崩れて、いつ発情してもおかしく無いほどの不安定な体調だ。そんなある日、気分が悪くなってしまい、発情の予感を感じたアキラくんは、路地裏で動けなくなったところ、変な男に絡まれてしまう。持ち前のガッツで逃げ出したものの、大事なキャップを落としてしまう。それは、初恋の人に貰った宝物だった…。
そうなのよ、その初恋の人が実は、という話になるじゃないですか、普通。
どうしたもこうしたも。よく分からんのですよ。謎の男、久世さんは実は腕のいい漢方薬の薬剤師。アキラくんの不調を一目で見抜き、効く漢方を調合してくれる。だけでは無い、どうやら執拗に執着している様なのだ。最初から惚れている。それならば、彼こそが初恋の人だろう。しかし、その記述は無い。様な気がする。え?再読してみたんだけど。私の見落としかしら。
久世さんを変な人だと思っていた筈のアキラくんも割と直ぐに久世さんを好きになってしまう。どうしてかしら。
久世さんはまた、簡単に「仮の番になろうよ。」などと言って、首の後ろを噛む。番がいる様な安心感(仮)を与えると言うのだけど。そんな不安定な事ありますか。っていう。
アキラくんはこのクセの強い久世さんに翻弄されてばかり。

何かとアキラくんに優しい肥村先輩も気になるし、アキラくんに執着してたクズらしい大石さんも。脇キャラも魅力的なのに空中分解したかの様な。宙ぶらりんにされては終わる。
描き下ろしには、アキラくんの巣作り。薬剤師である久世さんの白衣ばかりで作る真っ白なそれは何だか可愛い。

修正は白抜き。

オメガバースじゃない理由は何か。

悩ましい。すんごく悩ましい。本作が、オメガバースじゃダメだったのか、どうか。逆にオメガバースに出来ない理由を知りたい、などと思ってしまうのだ。

仕事に生きる花太郎は、母と祖母から連日見合いを勧められて閉口していた。
自分は今結婚したいと思わないし、女性と付き合うヒマも無いのだと。
見かねた要は、「俺が産もうか。」と、持ちかける。要は学生時代からの気の置けない友人で、今も仕事の面で花太郎を支えてくれている。
日常的では無いけれど、薬によって、男性が妊娠出来る様になった社会。偏見も無い。母親達は喜び、その提案を受け入れる。
フツーなら、要は学生時代から花太郎に恋をしていて、とか。ドライなフリして。ここで千載一遇のチャンス!とばかりに頑張ってくれそうなものだが。見せかけでは無く、本気でドライなのだ。要のそれは、真に友情以外の何物でも無い。むしろ『恋とは何なのか。』分からないという。どちらかと言えば不思議ちゃんそのもの。
薬の副作用で喘いでしまう要にハァハァしちゃう花太郎。副作用を治める為と言いながら、乱れる要を抱く花太郎。
最初、オメガバースだと、良くも悪くも本能に翻弄されるので。それを避けたいのかなぁ、とも思ってみたんだけど。薬の副作用に翻弄されるなら、オメガバースにした方が無理が無いような気もしてみたり。もしくは。男女に置き換えても無理のない「妊活もの」にも見える。薬を飲んでも最初は中々子供の産める身体になって行かない事に焦る要は、そのまま不妊に悩む女性たちと変わらないのだ。
なので、3話の終わり。母親たちが要の事を半ば諦めて、花太郎の妹に期待するという事にゾッとする。妹は高らかに笑って言うのだ。「子供を産めるのは、私しかいませんもの…。」これは、独身女や、子供の居ない女性たちにマウントを取る嫌な女の様で、滅入る。彼女は確かに妊娠しているが、夫は出て来ない。結婚しているのかどうかも不明だ。
大体後継者が欲しいだけなら、花太郎の子供で無くても良い筈なのだ。
そして、妹は男の子の双子を産み、要は女の子を産む。後継者に血筋をこだわる様な古き日本の様な家なら、妹の産んだ男の子を後継者に据えるだろう。色々謎なのだ。

花太郎が要と恋をして。エッチしたいという話なら。別に色んな謎設定は要らなかったかも。絵はとっても素敵だし、イケメンも麗しかったので、それだけに残念です。
修正はカタチに沿ってクッキリ白抜き。飛び散る液がエッロいです。

恋ってなんなの…⁈ 久志、お前こそ何なの⁈

ヤンキー風健気くんの、いじらしい恋。
作者が、久志を無骨な男に描こうとしていたのに、担当編集さんにそれは止められて、イケメンに変更したみたいなんだが。イケメンは単体ではもちろん見たいけども。これは作者が最初思い描いた様に、空手馬鹿の無骨なモッサリ男子として描いてみて欲しかった。久志は、せっかく女子に囲まれてモテモテ設定なのに、空手馬鹿過ぎて、人の心の機微も分からない。困ったちゃんなのだ。だから、一矢のドギマギの告白もよく分からないと言い放ち、流した挙句、突然意識し出して変な態度を取ってみたり。可哀想に、一矢は翻弄されっぱなしなのだ。
久志は、可愛い女子が好きだった(抱いていた。)のに、幼馴染としてしか意識出来なかったから別れたなどと綺麗事を言ってはいたが。その実、彼女が使用済みの下着を小遣い稼ぎに売っていたというのを知ってから、萎えている。
彼女はあざと可愛い清楚系女子で、もちろん悪気は無い。発覚して、親にも相当叱られて、以降止めている様なのだ。それでも許せないみたいで。人の過ちを許せない程、そんなに潔癖なのか?お前は。という嫌悪感は不穏だ。そしてラスト周辺で、私の不安は決定的になる。欲任せに一矢を抱き潰した久志は迂闊にも不用意な一言を言ってしまう。「一矢は強いからついヤリ過ぎてしまう。萌花(元カノ)なんて2回もしたら…。」さすがにあっ!と気付いて口ごもるのだが、好きな人と繋がれて幸せ一杯の一矢は、気付かない。「もっと聞かせてくれてもいい。」などと嬉しそうに言う。そう、今や久志の恋人は自分なのだから。
待って。一矢、その男はクズだよ⁈
高校生にして、このクズっぷりでは、先が思いやられるよ?
ゴリラ並みの性欲をぶつけられるから、なんて。たまったもんじゃない。男だから乱暴にして良いわけじゃ無い。
大人になってから。一矢は、視野が広くなって。ずっともっと素敵な人に出逢えて、久志が捨てられる展開になれば良いのに‼︎ なんて願ってしまったよ。

チョロカワ先輩がホントにチョロ過ぎて心配です!

分冊版の表紙が可愛くて。1冊に纏まるのを楽しみにしてたんです。
エッチくさい女装が趣味で、SNSにアップするのが趣味の佐々木は、酔っ払いの後輩、三和を介抱してやったばかりに、その趣味がバレてしまう。タイトル通り、「センパイ、いっかいだけ!」という懇願にほだされて、女装させられるわ、触りまくられるわ、ヤラレてしまうわ、と。チョロくも流されまくる先輩。こんなんで、この先大丈夫か⁈ 先輩‼︎
「我慢出来ないですっ!」と、ガツガツ貪られ、「メスれすぅっ。」と言わされ、飛びまくる。先輩の、焦点の合わない目が怖い。
一応ラブラブでメロメロなお話の筈なんですが、コレは怖い。
互いにリーマンの筈なんだけど、ほぼエッチしかしてない。まぁ、この2人にしては意外にもオフィスの何処かで事に及ぶ事は無く、ほぼ先輩の家に転がり込んでは、エチばかりしている。最終的には同棲してめでたし!なんだけど。
互いにノンケ。男同士の将来を思うと、ちょっとだけ悩んだりもする佐々木先輩だったりするので。そこはもうちょい踏ん張って欲しかった。エッチされるとワケが分からなくなってそうなんだもん。

エッロエロの筈だけど、修正は真っ白抜き。

豊田、ズルい。豊田のくせに。

コレは。もぅ吉岡が可哀想過ぎる。恥ずか死ぬ。
空回り、激し過ぎ。
大体豊田が胡散臭過ぎる。そうそう見える様にして、自分のスマホのBL小説サイトの管理画面や意味深なページをワザとの様に晒して置き忘れる。
たまたま「受け」の名前を吉岡の名前にしていたという偶然。吉岡の様に美しい男の様に書いているのも偶然だというのか。彼の深層心理なのか。
吉岡は勘違いをして、豊田は自分を抱きたがっているのだと思ってしまう。
好きでも嫌いでも無かった男の良いところを見つけては、意識し始めてその気になってしまう。吉岡は素直で可愛い男なのだ。
2年も綿々と愛と劣情を書き続けた男をシャイなのだと思い、背が高くて寡黙で良い男なのだと決め付け。コレは自分がリードしなくてはならないと、タチ専の処女なのに抱かれてあげようとまでする健気さ。
…しかし。豊田はとんだヤリチン野郎だった。吉岡、可哀想過ぎる。
初めて、なのに痛みを労ろうともせず、思い切り突きまくる豊田。ただ痛みに耐えて、涙を流し、鼻水を垂らし、そんな汚らしい顔を晒してしまった事にひたすら自己嫌悪に陥る可哀想な吉岡。据え膳を喰いまくる豊田。
地味で、優しさのカケラも無い豊田がヤリチンだというのもムカつくし。
何なの⁈ 吉岡ばかりが好きでいて。豊田が絆されたカタチで堕ちるのもムカつく。
そんな空回りは、劇中劇の様に、飯塚という観客の居る事によって。BL内BLの様な定型にハマって行く。
いくら推し作家=豊田、と推しキャラ=吉岡、という憧れでも。寝たフリしてる目の前で生でおっぱじめられたらキツいんじゃないかと。
狂言回し的な役割に徹していた飯塚はともかく、もうちょい当て馬でも登場して頂いて。
豊田の本気度ターンを見せて欲しかったなぁ。

修正はトーン+シャーって白線。多分、吉岡はMなんだろうけど。やっぱり痛々しくて、
エロさは半減かな。

ハチャメチャに乱暴者の一途な恋。

古き因習に囚われた村の生贄、龍神の花嫁。という設定には惹かれたのですが。
100年に一度、龍女と呼ばれる金髪、金眼の子供は、必ず龍神の生贄とされる。
和歌は幼ない頃に親に捨てられ、村長の家で龍女となるまで育てられた。
儀式を数週間後に控えたある日から、花嫁修行と称して、和歌は村中の男共に犯され続ける。身体の自由は無く、抵抗も出来ず、監禁されて、毎日毎日犯され続ける。地獄の日々。
和歌の目が飛んでいて、意識が失くなるまで犯され続ける描写がしつこい程続くので。
ダメな人はダメだと思います。
村長も村の男衆共も狂っている。後に、こうまでしたのにはこの世で地獄を見れば、後々何があっても苦しまないとか何とか。聞いた風な口を聞く下衆村長には呆れます。

物凄く説明がすっ飛んで行くジェットコースター展開なのですが。
和歌の前にも100年毎に龍女は生まれ、生贄の花嫁となり、やがて死んでいった。
龍神は100年に一度、花嫁を娶るまで、何年も何年も孤独なのだ。ある時は、龍神の身体に怯えられ、拒絶され。ある時は、村に災いを起こす憎き敵だと恐れられ。
せっかくの花嫁に決して愛されることの無かった龍神、叢雲。
それでも叢雲は、輪廻転生しては必ず自分の元へと来てくれる様にと。自分の片目を与えて目印として来たのだ。
叢雲の、永きに渡る孤独には同情するのですが、これはちょっと生贄の花嫁となった和歌が可哀想過ぎる。
和歌は、下衆共に蹂躙され続けたせいで、自ら淫乱な身体になってしまったと言っては叢雲を欲しがるのだが。うーん。そんな酷い目に遭わずに、恋に落ちて欲しかった。
悪しき非業の連鎖を断ち切る為に。限りある命を手に入れる龍神ですが、人の寿命を得て、やっと孤独から解放されるというのも。辛い。
下衆共が制裁されないのも、まぁ辛い。
終わった事を気にしない和歌の男らしいところは素敵なんだけどね。
悪しき村では無く、別の場所で和歌と死ぬまで。ひっそりと暮らすんだろうな、というオチは想定通りだけど。
何もかもやり直して欲しい、と何となくモヤってしまいました。

和歌の周りをブンブン飛んで、お世話する蜜蜂の様な神使とか、叢雲の尻尾から生まれた分身、子供の様な七宝が可愛くて、唯一の癒し。

これは純愛なのか。

果たして純愛とは何か。カリカチュア(風刺)としたタイトルの意も良く分からない。
栢山さんが変態化した理由も、詳しくは書かれて無い様に思う。自分の気持ちを素直に吐露出来ないから。いたいけな螢田くんをブンブン振り回して、翻弄して、身体で物言わせて。栢山さんは一体何がしたかったのか。
分からないまま物語は急転直下。
螢田くんのバイク事故の一報を受けて、やっと。栢山さんは、彼を失いたく無い、という自分の気持ちに気付くのだ。
恋は。身体から堕として堕とされて、それから純愛というのもあるあるだけど。大切な何かを失ないかけて。ようやくその事に気付くのも、また純愛なのかもしれないね。
栢山さんのフワ黒髪+黒縁メガネ、は茶渡先生のド定番、フェティッシュみたいで。スタイリッシュだけど、このキャラデザは綿々と出過ぎなのも、愛を感じられる。
とってもカッコいいけどまた、くせものなのも定番化してるかも。
いつか素直でカッコいいイケメンも、このキャラデザで見たい。

修正は白抜きなんだけど。大事なところに丸めたティッシュを置かれている様で。何だか可笑しい。

表紙の零一は美しかったんだけど。パワーワードに呑まれます。

まず絵が、好みの分かれるところ。
これは、なかなか。表紙は鮮やかで、好み!と思ったのですが、扉絵でむむむ?と、感じて。さらに最後まで安定しない。テンポが良くて爆走して行くので、気にならないと言えば気にならないかもしれません。どちらかと言うと、ラブコメというより、これはもはやギャグでしょう。
『塞いで、僕のセキュリティホール…!』
『これが写経セックス!』
などと思わず吹いてしまうパワーワードが目白押し‼︎

システムオタクの円さんは、メガネを取ったらそれなりのイケメンで背も高いけど、とにかく偏屈で、思ったことをズバズバ言うので、社内でも嫌われ者。それなのに、2進法的な名前だというので、何となく「零一」を気に入っている。営業の零一はゲイで、円さんに惹かれているので、もっと近付きたいと焦れている。というか、円さんの持ちモノに惹かれているので、とにかく抱かれたい!突いて欲しい!と疼いてしまう。
人の気持ちが判らないという円さんに少しずつ人としての付き合い方を教えながら、円さんの懐に入って行く零一。零一の恋は届くのか。円さんは真っ当な人に成って行くのか。
というのが本作のテーマ。多分。
けれど、何も変わる事なんて無くて、そのままの君が好き!というのもテーマ。
この両極を時にアホアホバカップル全開に、時に勝手に切なくなってみたり。ドダバタしながら。とっ散らかって爆走して行く。
当て馬にはギリ抱かれちゃダメでしょっ!と思うけど、零一は何だかんだで流されてしまう。円さんは職権濫用のやり過ぎ魔なので、零一にGPSを着けるどころでは無い。これを「恋の管理」と言ってしまっている危なさ。両想いだから良いというモノでは無いだろう。

リアル社会で、システム管理課が冷遇されているとは思って無いけども。結果を出せているのかどうかは社によりけり。この会社に於いて、円さんの会社に対する不満は大きい。ストーリーに色々盛り込み過ぎて、物語全体もとっ散らかって見える。幾つかのテーマを分解して深掘りしたら、それぞれに素敵なエピソードが作れそうなのに。
ちょっと勿体なかった気がしています。

修正は白抜き。そのモノよりもグズグズになっている零一がとにかくエッチ。

手放しの無警戒に手を伸ばしたら。

ちるちるのインタビューを読む限り、このモノローグ多めの主人公、七種のキャラクターは意識されて、そう設定されているみたい。本っ当ーに、よく喋るのだ。心の中で。
自分が新内に心惹かれている様子を、時に焦れったく、時に冷静な傍観者のフリをして。
淡々と虎視眈々と。そこに、男子高校生のワチャワチャは無い。え⁈ 無いの⁈ってなもんである。
相当ソレを期待してたものだから、少々残念に思う。
ザックリと高校生のワチャワチャは排して、七種はただ新内だけを見つめていて。
ただ2人だけの日常を静かに過ごして行く。
新内の、手放しの無警戒(無防備な、と言い換えた方が穏当だろう。)に手を伸ばして。
易々と手に入れてしまった様にも見える。
宇宙工学という夢を追って、受験に四苦八苦する受験生という。ただ青春を楽しんでばかりもいられないという時期でもあって。トーンも少し重い。
3年生の途中という、中途半端な時期に転入して来る新内の、理由もまぁまぁ重い。(親が甘いとも言う。)
そんなこんなで、ラブそのものも。DKワチャワチャも。何だか宙ぶらりんに感じました。
表紙の爽やかさには惹かれたのにな。

寄る辺ない子供たち。

とにかく子供達が不憫で。不憫で。
寄る辺ない子供たちが、寄り添いあって生きて行く、ささやかで温かい物語の様に、粉砂糖をまぶしているいるかの様だけど。
結構不穏な、ネグレクトのお話なのだ。
巴は、ほんの幼ない頃に「出来損ない」の烙印を押されている。後継者には優秀な兄が居るので、そもそもお呼びではない。しかも巴を迎えに来る途中で、優しい母が亡くなった。父の悲しみは幼ない巴に向けられる。
巴は広い敷地内の離れで独り、暮らす事になる。世話をするのは施設から連れられて来た、14歳の子供・南雲だった。
衣食住は与えられたから、これはネグレクトではない。とする向きもあるだろう。母の死を悼む巴は、そっとしておいて欲しかったかもしれない。それでも。これは子供に対してすることか。鬼か。
施設で普通に育った南雲は当初、ろくに料理も出来ないただの子供だった。クールで冷めた子供だったけれど、いじらしい巴を、自身の寂しさと投影したのか。憐憫の情が湧いたのか。お世話係をきちんと全うして行こうとする。南雲が優秀な青年に育った事に目を付けた父は、巴が成人して、養育の義務を免れたと思い、今度は自分の事業を継ぐ長男の秘書にと南雲に言いつける。
引き離される2人。されど。もう心は慕いあっている2人。互いの幸せを願い合う2人の健気さやいじらしい気持ち。
そこからはもぅ、怒涛の、いえ、優しさの展開なんですけども。
いやはや。仕打ちがね。もちろんハッピーエンドをきちんと予想させてくれるだろうとしているんです。分かるんです。
でもなぁ。辛いよ。幼なき者に、これはいかん。その間の、人非人的父や、当たり前の様に傲慢な兄も。普通の弱い人であったかと思うので。色々もやりました。
いっそ巴が、実の子じゃ無いから、憎いとか。あるある昼メロドロドロ展開ならば。スラッと読めていたかもしれません。いやそれも酷いけどねぇ。

巴の誕生花がクリスマスローズというのも、如何にも不穏。この花には毒がある。作中に書かれている一見いじらし気な花言葉の他に、「中傷」なんて言葉もあって。なかなか不幸なのだ。

細っそりしていて、顔は小さいのに、頭の大きな南雲が転ばないかどうか、途中とっても気になってしまったのも、ポイント。