茶屋町勝呂さんのレビュー一覧

帰宅 小説

剛しいら  茶屋町勝呂 

人と人が寄り添うことの尊さ

三つのお話が収められた短篇集。表題作「帰宅」と「一枚の遺書」には読了寸前に味わう、ある共通の感覚がある。最後の文章まで辿り着くと与えられる、するりとしのび寄ってくるような悲しみの感覚。それぞれのタイトルにもなっている「帰宅」と「一枚の遺書」というキィワードが、あざやかな真実を見せてくれる、巧緻に仕掛けられた鋭さがある。

中堅俳優の佐伯は爆発事故で妻を失い、ひとり息子の尚紀も火傷と、顔面に大怪…

4

魚住くんシリーズ(2) プラスチックとふたつのキス 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

名作・魚住くんシリーズの第二巻

かつて、魚住を診ていた、精神科医(の卵)の弟が登場します。
その精神科医は、魚住を救うどころか、魚住の闇の部分に引きずられて、最終的には心中をたくらみ、一人で死んでしまったらしい。
弟は魚住を恨んでいて、手錠で監禁する。レイプはありません。
精神科医のお兄ちゃんは自業自得だし、弟のは完全な逆恨みだと思うんですが、榎田尤利さんの筆は優しい。その弟が救われるようなストーリー展開になってました。

ラブ…

1

魚住くんシリーズ(1) 夏の塩 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

「墓場まで持っていく!」だの「この本で私は救われました」だの、あちこちのブログで紹介されてる名作

「墓場まで持っていく!」だの「この本で、リスカを繰り返してた十代の私は救われました」だの、あちこちのブログで紹介されてる名作、魚住くんシリーズの第一巻です。榎田尤利さんの処女作でもある。
神か萌えかで迷ったんですが、一巻は萌えで。(順番にレビューしますが、三巻と四巻は神です)
オークションに何回もチャレンジしてやっとこさ手に入れたんですが(絶版だしプレミアついてるし、高かったよぅ!涙)、近々新装版…

2

秘密 小説

木原音瀬  茶屋町勝呂 

何処か欠点があるふたり

主人公・啓太は自分の家に帰りたくなかった。何故ならそこには死体があるから。自分が殺した元恋人の柳沢が…

そんな風に始まるこの物語。啓太は家に帰りたくない一心で街をさまよう。誰でもいいから今夜泊めて欲しい。セックス込みで構わない。そんな時に出会ったのが杉浦充と言う男だった。子供のように喋る、少し間の抜けた不器用な男。最初は都合のいい相手だと思った啓太だったが次第に純粋で真っ直ぐ気持ちを伝えて来…

9

魚住くんシリーズ(5) リムレスの空 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

もっと読みたい、と思う!

魚住くんと久留米っていろいろあり過ぎて、5巻が「どういう風に終るのかな?」とページをめくらずにはいられない1冊でした。

あんなに弱々しかった魚住くんが見事なまでに成長してましたね。
結局、魚住くんの留学で二人の関係は途切れる…と二人とも思っていたのですが、ラストのラストで「ちゃんと続いてますよ」というような一行に、私の頬も緩んでしまいました。
離れ離れになるのに、どこかほのぼのとしたムー…

7

魚住くんシリーズ・メモリアル I'm home 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

これはすごいっ!

メモリアル、というだけあって盛りだくさんです。
A5サイズ P157 でも絶版…。
ファンブックとか解説本という感じがします。

最初に茶屋町さんのカラー漫画が4ページ、カラーイラスト6ページ。

アメリカにいる魚住とEメールで交信している内容から始まります。
魚住が誰にどんなメールを送ったのかが読めます。
マリちゃんやサリームともメールしてますが、やはり久留米に出してるメールに愛…

5

秘密 小説

木原音瀬  茶屋町勝呂 

木原作品は別格で好き

50歳のすすけたオッサンとかイヤミなデブとかを萌え対象に変えてしまう偉大な木原音瀬さん。
今回もパッとしない男が主人公の相手役です。でもやっぱり萌えた。
この作品はネタバレしたくないです。
あらすじにサクッと触れると、人を殺して冷凍庫に詰め込んでアパートに帰りたくない主人公の啓太が、セックスを条件にバーで知り合った杉浦の家に泊まることになる。愚鈍な杉浦に、少しずつ惹かれていく啓太。
一人の人間のな…

10

魚住くんシリーズ(4) 過敏症 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

やっと二人に幸せが♪

「魚住くんシリーズ」の4巻。
やっと二人はエッチします!
久留米にそれを決意させる事になった経緯もまた面白いです。
いろんな人に狙われている無防備な魚住くん。
それがまた彼の良いところなんだけど、魚住の貞操の危機に慌てた久留米の動向は、焦りに焦っていて、もう面白いくらいでした。
普段が割りとクールな彼なので、なりふり構わずセックスを迫る久留米は必見です。

ほんと、この作品に通して言…

7

魚住くんシリーズ(3) メッセージ 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

全5冊の中でもっとも悲しい話

魚住くんが受けで攻めが久留米、と書いてはいますが実際はこの二人ここまでは何ともない。
気持ちに自覚がでるのがこのあたり、でもまだエッチもない。

なのに何でこんなに萌えるんだろ?
この話ってBLの萌よりも人類愛に近い気がする。
私は久留米よりもマリちゃん好きだし、サリームもいい男(笑)

そしてこの話に至っては話のメインは「さちの」という女の子だったりする。
そしてBLの萌よりも、…

5

魚住くんシリーズ(3) メッセージ 小説

榎田尤利  茶屋町勝呂 

絶版なのが悔やまれる……

名作と名高く、熱烈なファンも多い【魚住くんシリーズ】。
読むとBLだ!萌えだ!!と言うより、人と人との繋がりや生き方を
真面目に考えてしまうこのシリーズが大好きです。

そしてファーストレビューを書かれた方の仰る通り、
シリーズ中で一番悲しいお話しがこの『メッセージ』。
私も作品中に登場する「メッセージ」にガツンとやられ、号泣でした。

個人的にはBLと純文学が融合した名作で、

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