藤たまきさんのレビュー一覧

天国までもうすぐ 小説

五百香ノエル  藤たまき 

ひりつくような若い二人の恋

五百香さんの初期作品でしょうか。文章がやや持ってまわっていて少し気になりますが、読み進めると気にならなくなります。

語り手はやはり少年で、実家でイケメンを預かることになる、というところから始まります。しかし、この語り手はメインカプを見守る役で、このイケメンとくっつくわけではないんです。そのためか、少年にしては賢く悟っている。

東北の地元で、りすという少年と付き合っていたが、親や学校にバ…

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ミスター・シーナの精霊日記 1 新装版 コミック

藤たまき 

NoTitle

妖精の出てくる作品は結構読んでますがこの作品に出てくるのは良くも悪くも人間臭い。
人型から離れた妖精はあまり出ないので余計そう感じるのかもしれません。

手違いで『男の妖精に惚れられる』呪いをかけられたシーナですが、本人は大変なんだろうけど周りから見ると結構楽しそうです。

ただ人と違う理や時間を生きてる故に相手の好意が必ずしも有り難いとは限らない、人同士でも同じだけど妖精相手だとより極…

1

縁側のレシピ コミック

藤たまき 

思いがけなくシリアス

可愛い表紙に裏切られました⁉︎
優しいお話だと思って読み始めたのに、
闇を抱えたとんでもない攻めでした^^;

太っちょ英太郎のダイエットを、
優しい恩が手伝う展開から始まります。
メールでレシピを送ったり近況報告したり、
英太郎が一生懸命で前向きで涙が出るくらい健気でした。

……なのに、実は英太郎はとんでもない束縛執着男でしたよ!
恩を縛って監禁してヤリたおすーー…‼︎

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この喝采を彼に 小説

T・A・ウェブ  藤たまき 

レスト・イン・ピース

電子での海外BL短編。

一読して。
あー…そうだったよね…と。
私は今50代なんで、この物語の語っている年代の、AIDSが恐怖の病だった時のこと、ものすごくリアルに知ってる。
そして私はその頃、興味半分面白半分にゲイカルチャーを野次馬として消費していた。
エイズがゲイにとっての天罰、と言われてたこともリアルに知ってて、完全に他人事で、それどころかエイズで死んでいくアーティストたちを、…

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蛇崩、交差点で コミック

藤たまき 

蓋をされた心が、蛇がうねるように崩れるようにほとばしる

こんなに詩的なストーリーを紡ぐ作品は、滅多に出て来ない。…と思う。
BLとしてある程度「売れる」市場があるとして、ならばこの作品のような「詩的な」作品は「売れる」のかというと非常に微妙なラインと言える。

さて、本作「蛇崩、交差点で」。
タイトルからしてすでに唯一無二。
蛇崩交差点はなんと実在。東京都内目黒にあります。「蛇崩」…なんとも不吉な地名ですよね。
2人の男の子が、恋して、近づ…

4

縁側のレシピ コミック

藤たまき 

それぞれの気持ち

ほのぼのと始まるお料理男子のお話です。
主人公の恩はカフェを営む母に似てお料理が好き。
気の強い姉の逆鱗に触れないように、いつも縁側に避難しています。
ある日、姉が振ったデブ男くん英太郎の、姉を見返すためのダイエットの手伝いをすることになるのですが、、、。

誰の心にもある、自分では埋められない秘密の空洞。

優しいかわいい絵で、ほのぼの始まったお話は、英太郎の心の空洞から、監禁凌辱…

1

Don't look back 小説

ジョシュ・ラニヨン  藤たまき 

薄い分、読みやすい

外国小説(翻訳版)を久しぶりに読んだので、「そういえばこんな感じだった」と思い出しました。言い回しとかちょっと癖があるように思えるんですよね。

昔読んだ本は、登場人物の愛称やミドルネームが出てきて何人いるの?状態でしたが、こちらはピーター(主人公)、グリフィン(刑事)、コール(上司兼大学のルームメイト)と友人くらいなので読みやすかったです。

ピーターの視点で進んでいくのですが、最後まで…

1

ミスター・シーナの精霊日記 1 新装版 コミック

藤たまき 

涙腺のお洗濯に

今となっては、ほぼほぼニアBLの、古典的名著ファンタジーの新装版です。
新装版といっても、この本の出版自体既に10年近く前ですが、

耽美とファンタジーが地続きで、まだBLって名前が付いていない頃の、
人間と、きれいな男の子の姿をした精霊たちの、妖しかったり危うかったりする淡い関係を描いた短編連作集。
主人公は、生まれた時の精霊の祝福の手違いで、出会う男の精霊を必ず魅了してしまうという設…

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寄せては返す波のように 小説

六青みつみ  藤たまき 

ピュアって最強

かなり前から読みたかったのですが、手に入らなくて。
電子で販売してくれてありがとう!一作目の『蒼い海に秘めた恋』と併せて、やっと読めました。
大人の身勝手さや狡さ、臆病さなどが、とてもお上手に書かれています。
それに向き合わないと幸せは掴めないよね。
だけど、それを自覚して更に立ち向かおうと決意するためには、かなりの犠牲が必要だった訳で。

今作の語り口もお伽噺風。藤画伯のイラストもそ…

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蒼い海に秘めた恋 小説

六青みつみ  藤たまき 

私も『人魚姫!』と思いました

私も「これ、人魚姫だよねー」と思いました!
ちらっと見た姿に憧れて、自分の住んだところとは全く違う価値観の場所に飛び込んじゃうとか、恋する相手に本当のことを言いたくても話すことが出来ないとか、決定的なのは『自己犠牲』ですよ!
結構シビアなことが繰り広げられる部分でも、文章がそれを煽らない語り口の『お伽噺テイスト』なので余計そう感じました。藤たまき画伯のイラストも絵本風だし。
そんな風なので、…

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