一穂ミチさんのレビュー一覧

アロー 小説

一穂ミチ  金ひかる 

熱量の低そうな彼ら、に灯る灯

新刊のイラストが金先生だったので、同じ組み合わせのこちらを再読しました。
同人誌も精力的にお書きになっている一穂先生ですが、これは同人誌が出ていない作品。
比較的レビューも少ないですし、全体に変わった雰囲気の漂う地味な印象がある作品ですが、
読み終わってジワジワと沁みてくる、個人的には好きな作品です。

                   :

ふらりと出て行った前のオーナーから引…

13

バイバイ、ハックルベリー 小説

一穂ミチ  金ひかる 

性春のもやもや

小説の冒頭
「肯定を、したいと思った。強く。」
何ぞやっ?と、もうここで答えを知りたくて先を急いでしまう自分に、久し振りの一穂先生の小説、待て待てとブレーキを掛けてました。
でもやっぱり、ハッとさせられる一穂文を見付ける度、嬉しくなって急いでしまうんですね(笑)

小説は、大学1年同士の日常もの。
明るく朗らかで少し幼い感じの受け・三輪塁(るい)
幼い頃の寂しさから自立と気配りが目立…

5

バイバイ、ハックルベリー 小説

一穂ミチ  金ひかる 

勿論読んで良かった!……けれど

今回の物語は、今の季節にピッタリの春の大学の構内から始まる。
桜の中、入学したての塁は「ヒカリ」と人違いで呼び止められる……
翌日、再度出会った槙志は同じ心理の新入生で、離島の出身。
塁は彼が入るというオセロ研究会に一緒に入る事にし、あっという間に仲良くなっていく……

大学生同士の淡い物語。
BLというよりは、これまた青春小説のような色合いだ。

「肯定を、したいと思った。強く。…

7

meet,again. 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

やっぱり

一穂さんの作品らしいといえばらしいですよね
雪よ~ででてきた栫。
栫ってめちゃくちゃ気になってたんですよね雪よ~の時点で。
読み進めていくうちにやっぱり泣いちゃいます
栫にいらだったり、嵐がとってもかわいそうに見えたり
でも私は読んでて栫を嫌いにならなかったです
むしろ読んでいくうちに栫が好きになって
嵐も栫も重たい過去があるじゃないですか
読んでてつらいけど、読み終わってみると暖…

6

雪よ林檎の香のごとく 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

柔らかい執着が融かす凍った心

私がこの作品を読んで強く惹きつ付けられた部分、それはいろいろな形で表現されている「執着」です。

まず、高校生の時の桂先生の、葉子先生への情熱的な執着。
モノクロの世界に投じられた淡いブルー、桂先生の中に立った恋のフラグです。
「束の間の蜜月と嵐のごとき修羅場」という言葉で表現されていますが、当時の桂先生には葉子先生という存在だけが色を持ち、彼女を振り向かせることが自分の人生においての宿命…

24

アイズオンリー 小説

一穂ミチ  小椋ムク 

元盲目の攻×相貌失認の受

元々、一穂ミチさんの作品が好きなんですが、
この作品は設定も好きなのでかなりツボです。

盲目の少年・数馬と、一夏の間、親しくしていた縁。
縁は相貌失認(人の顔を判別できない)の障害をあることを数馬に隠していたんですが、とあることをきっかけに別れ、再会する。
数馬は目の手術を受け、目が見えるようになったものの、「ゆかりちゃん」のことは女の子との思い出だと思ってる。縁は数馬のことを気付いて…

3

meet,again. 小説

一穂ミチ  竹美家らら 

羽化、あるいは動き出した砂時計

「雪よ林檎の香のごとく」に出て来た非常に印象的な人物、栫(かこい)史朗。
彼は人並みはずれて整った容姿と明晰な頭脳を持ちながら、どこか空虚な
というより、底なし沼のような得体の知れない人物……
彼が主人公と知った時、まず思ったのは栫と恋愛ということのあまりの馴染まなさだった。

一方の町村嵐は、大学の生協でアルバイトをしながら
砂時計職人の父の仕事を手伝いつつ修行中の、ごく普通の青年だ…

16

街の灯ひとつ 小説

一穂ミチ  穂波ゆきね 

一途と執着の境界

27冊目のジャンクション。
口絵が素晴らしい!

一途と執着の境界は街の灯の曖昧さと似ているような気がします。

気乗りしないまま出かけた同窓会で酔いつぶれた初鹿野(受)は見覚えのない元同級生に持ち帰られます。
翌朝、土下座して「ずっと好きだった」と告白してきた相手は逢いたくなかった片喰(攻)だった。

このふたり、過去に親同士の因縁があって、その一件は初鹿野に真剣に恋愛に向き合えない傷を残しまし…

6

ぼくのスター 小説

一穂ミチ  コウキ。 

侑史みたいな子って

リアルに、いて欲しい。

ある時から不登校になって、
一日のほとんどの時間を、アイドル・ほたるんただ一人だけの事を考えて過ごしているようで、
実はちゃんと、卒業にぎりぎり間に合うように計算して学校にも行っているし、
試験もそれなりの成績を維持できるように自宅でお勉強もしている。
共働きで忙しい両親に、少しでも負担にならないように、トイレットペーパーの在庫を注意していたりもする。
そも…

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ぼくのスター 小説

一穂ミチ  コウキ。 

「らしさ」満載。

あ~これは一穂せんせいだから許される本だね。
ギリギリBLライン。だけれどそんなこと気にせずグイグイ読ませてくれる。
これよ!これなのよねぇ。
 
キラキラで切なくて、
何かに、あるいはどこかに届きそうで届かないもどかしい感じ…青春ってこんな感じだよねぇ。
そういうのが過不足なく、ことさらに青春崇拝されることなく、でも丁寧に丁寧に重なって紡がれるストーリー。
 
こういう書き方は一…

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