黒沢要さんのレビュー一覧

水の春 コミック

黒沢要 

男の母を気遣う優しい少年

珍しい視点で展開する物語。
父と父の恋人=後妻(♂)の穏やかな生活を守りたい為の秘密保持を願う、息子視点で描いた話。
表紙絵を見て、小学生か中学生が主人公かと勘違いしてしまった。高校生でした。

春原の家庭は、父親と二人の父子家族、母は小五で病死。作家の父が選んだ後妻は元担当編集者、母の面影を持つ優しい男性。春原君は、父と父の恋人を守るために、ひたすら秘密を隠している。

同級生の四宮…

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ユレカ コミック

黒沢要 

出会いと別れの間を生きる不死の人

贖罪のために生きる吸血鬼のステフと、吸血鬼の亜種であるシュクの、二人が旅先で出会う人達のエピソード。
抒情的な作品です。「体温」のエドが子供なのに大人のように諦めていて、哀しくなってしまった。

「ユレカ」-体温-
王立聖歌隊に所属して、三年ぶりに故郷に来た少年、エド。寮を逃げ出してきたエドをかくまう二人。
でも、エドが行きたい場所に着くと、エドが居た孤児院は無い。会いたい人も、帰る場所…

1

水の春 コミック

黒沢要 

切なくも美しい良作

何度読んでも良いものはいい!
大好きな作品です。
ふわっとしているようでしっかりしている2組のカップル。

高校生の四宮と澄、そして澄の父とパートナーの基。
とくに大人カップルのエピソードは切なくて美しくて泣けます。
シンプルに、素敵なカップルで素敵な家族だと思える。
高校生カップルは、初々しいですね。
言葉使いとか行動が男らしいのは澄だけど、内面の男らしさは四宮にこそ感じました。…

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水の春 コミック

黒沢要 

水面に輝く春のような恋

初めて読んだ黒沢要先生の作品です。

こちらは、表題作の他に4作品が同時収録されています。
全て、表題作に繋がるお話です。
『花の雨』『春日和』『6月が来る』『凌霄花』

『水の春』
高校生の四ノ宮 吉野くんと同級生の春原 澄くんのお話。

吉野くんには「ホモらしい」という噂がありました。
でも、その噂も曖昧で、彼はいつも友人たちに囲まれています。
同じクラスの澄くんは、ある…

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水の春 コミック

黒沢要 

タイトルそのまま

収録作どちらとも、タイトル通りかつ表紙の雰囲気通り、さらさら流れる水のような雰囲気の作品です。

◾︎表題
◾︎四ノ宮吉野(バイを公言)×春原澄(二面性) 高校生
高校生と高校生、男と男、人と人の関わり合いの瑞々しいところを静かに描いた作品。穏やかな青春。
大学生になった2人も収録されてますが、変わらない温度が心地よいです。

◾︎春原泉(作家)×結城基(担当編集)
表題の前日譚か…

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ねえ、触らないの? コミック

黒沢要 

“例えがたい気分”

独特なタッチの黒沢さんの作品、好きです。
人って誰しも心の奥底までわからないものですけど
距離感がリアルというか、
あまり饒舌に語るタイプじゃないのに目は口ほどにものを言う的な…。
高校からの両片想いこじらせ系でしたが
なんとも言えない雰囲気がありました。
各務が四井に「触るな」と言ったのは四井を嫌いどころか好き過ぎたせいでも
四井にしてみれば拒絶として受け取ってしまうのは当然です。…

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ねえ、触らないの? コミック

黒沢要 

高校時代の後悔を引きずる両片想い

高校時代、親友の四井への気持ちがコントロールできず
四井に自分の気持ちがバレるのを恐れた各務は咄嗟に
『触るな』と言ってしまう。
それから数年経った未だに四井は各務に触れない。

うわーもぉこの時点で尊い!
好きな人の傍に親友として居続けてるのに
決して触れてはこない。。。(泣)

しかし尊いのはここで終わらない!!

「面倒見がいいな」と各務が言えば
四年生に慕われて頼り…

3

ねえ、触らないの? コミック

黒沢要 

穏やかで落ち着いた話

大きな盛り上がりはなく、きっとなんてことない話なんだけど、絵の雰囲気と言葉のセンスがさすがとしか言えず、いつ読んでも好きだなあと思える作者だと再確認した。
平気な顔して平気じゃない、感情なんかない顔をして誰かを愛してる、読んでいるこちら側にもなにも察せない(わたしが鈍いだけかもしれない)からこそ、風船が割れるように感情が表情、言動にあふれた瞬間のコマにたまらなくなる。
やきもちをやいたり、些細…

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お医者さんのお引っ越し 小説

椹野道流  黒沢要 

終の棲家づくりを通して、深く寄り添っていく二人が素敵

人生のビッグイベントは数々ありますが、パートナーと過ごす家を建てるのは最大級のイベントではないでしょうか。二人の好みや何を大切にするかなど、様々な場面で歩み寄りや妥協が必要になり、本当に一緒にやっていけるかが試されるからです。九条と甫は、家に求めるものは実用性が第一という点で一致していましたが、一人分しか作れない書斎スペースを九条が甫に譲ろうとしたことで揉めてしまいます。

今は甫の弟・遥がパ…

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お花屋さんに救急箱 小説

椹野道流  黒沢要 

一歩ずつ確かめるように関係を深める二人が、とてもいい

表題作「お花屋さんに救急箱」を読んで、おや?と思いました。作中に救急箱は一度も登場しませんし、花屋の九条を医者の甫が手当てするような場面もありません。うーん…と考えて、思い至ったのは、救急箱で手当てするのは深刻ではない軽いけがということ。甫は九条を想うがゆえに、昔のバンドの相方とやり直すよう勧めて、九条の心を傷つけてしまいます。でも、そんな九条を癒したのも甫の不器用で正直な告白。二人にとって、終わ…

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