金ひかるさんのレビュー一覧

スウィート・リベンジ(2) 小説

真瀬もと  金ひかる 

関係を表す言葉がみつからない

探偵事務所の駆け出し探偵とそのオーナーという関係のバートとアルジー。1巻は本格ミステリー仕立てで面白かったですが、今回は恋愛要素が強く、前回よりもさらにドロドロしています。
まさに愛憎劇と言ってもいいかも。

出てくる登場人物たちを愛と憎しみが吹き荒れている重たい設定です。
アルジーは家にバートとの関係がばれ、バートに手切れ金を渡して探偵事務所を閉め出て行きます。
なんて勝手な…というか…

1

スウィート・リベンジ(1) 小説

真瀬もと  金ひかる 

近世英国の本格ミステリ

舞台は19世紀のロンドンで、ミステリーって作品がとても似合う時代。
加えて同性愛は法律違反の時代です。
駆け出し探偵のバートと、その探偵事務所の出資者である准男爵のアルジーのちょっとゆがんだ関係がメインですが、それにプラスして本格的なミステリというジャンルが楽しかった。

バートはアルジーが持ってきたある婦人の遺体喪失事件の謎を解くためお屋敷に出かけます。
英国のお屋敷で起こる他殺事件、…

2

負けるもんか! 小説

榊花月  金ひかる 

空回り系主人公

スピンオフ作品だったのか~。道理で登場人物が多い上に脇キャラまでやたら細かい設定が用意されていたのね、と納得。
主人公のキャラが私はダメでした。一人で空回りして騒いでいるだけで喜怒哀楽のポイントも表現方法も可愛くない。微笑ましくもない。攻の寮長は一体この子のどこに、いつ、なんで惹かれたのか分かりません。
元の作品とのリンクを大事にした結果なのか、メインの二人にあまり関係ないと思われる周辺情報が…

1

ナルシストの憂鬱 小説

西江彩夏  金ひかる 

最初はダメだと思ったのに

丸ごと1冊表題作です。

最初読んでいくうち、私は本当に山田というキャラが嫌いでした。

ナルシストで傲慢な山田(攻め)に、隣人の藤中(受け)は振り回されっぱなしです。

山田は自分が冷蔵庫の使い方を間違えていたのに販売店にクレームをつけに来たのが二人の出会いで、それから山田が引越ししてきて隣人になったら、引越し荷物を運ばされる、暖房が利かないから直せ、直らないなら部屋に泊めろなど、何…

4

セーフティ・ゲーム 小説

砂原糖子  金ひかる 

攻めを許せるかがポイント

2014年に香坂あきほ様の著書で、コミカライズされています。そちらは未読なのですが、どこまで原作に忠実なのかが気になるところです。

表題作と、それよりちょっと短めの続編「デンジャラス・ゲーム」の、中編2本が収録されています。

両作品とも、香島(攻め)と友村(受け)の両方の目線で語られているので、心情の動きが分かりやすいです。それなのに、どうにも香島の思考には共感しづらかったです。友村は…

3

お父さんが恋したら 小説

御堂なな子  金ひかる 

年下攻め&お父さん!

表題作と、後日談22ページ「お父さんのクリスマス」の2作品が収録されています。

再婚した妻の連れ娘20歳と同居する32歳のお父さんの恋。
そんなお父さん・怜司の目線でストーリーは進んでいきます。

血が繋がっていない親子だから奇妙な親子だと見られる、と怜司は嘆いていましたが、ただでさえ若く見られる怜司なのだから異性関係にあるのではと邪推されても良さそうなのですが、そんな生々しさはスルー…

1

宵山に啼く恋し鳥 小説

絢谷りつこ  金ひかる 

全くこの時代である意味がないような。

京都物なので読みましたが、読み落としてました。これ、昭和7年なんですね。普通に現代物だと思って読んでいました。今、ここのあらすじ見てから最初のところを読み返したら、「昭和に年号が変わってから7年」とありました。
しかし、全くこの時代である意味がないような。
何故敢えて、昭和7年なのか?暗い時代に突入する前の独特な空気もなく、まあ、強いて云うならばこの時代なら現代よりは戸籍関係は誤魔化したり出来…

0

恋をするということ 小説

凪良ゆう  金ひかる 

ほのぼの、優しいお話です。

作家買いです。いつもの凪良作品と少し毛色の変わったお話だな、と感じました。特別事件が起こるわけでもなく、出てくる登場人物たちもどこにでもいそうな、ごくごく普通の人たち。それが凪良さんの手にかかると途端に生き生きとした、ふんわりと優しいストーリーになってしまう。さすがだなあ、と感心します。

特に受けの呂久さんがとても好き。ゲイであることから辛い経験もしたことがあるのに、それを周りに気づかれない…

4

臆病なサボテン 小説

安曇ひかる  金ひかる 

疑問の余地がない完成作品

丸ごと1冊表題作です。貴逵の目線でストーリーは進んでいきます。

銀行の審査部に勤める貴逵(攻め)にとって、柏邑(受け)は苦手で頭にくる上司。ところが、休日に犬と戯れる柏邑を見かけ、興味を抱きます。犬が死んで弱って甘えてくる姿に惹かれていき…。

冷酷な上司の意外な面を発見して、惹かれていくのはよくあるパターンなのですが、そこに、柏邑の同期・堺と、融資先の関係者・水島が強引な追加融資を柏邑…

3

ブラックボックス 小説

秀香穂里  金ひかる 

なんとSF!

表題作と続編、中編の2本立てです。シンプルですが、内容にリンクしていて、秀逸な題名だと思います。「1か月30円で売ります」という出会い方もインパクトがあり、序盤からストーリーに引き込まれていきます。森里の目線で進んでいくのですが、徐々に感情が豊かになっていくのが読んでいて感じられ、クローンが人間らしくなるのが嬉しくなりました。

ところで、レビューされた皆様がご指摘されている帯ですが。
私は…

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