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表題作きっと優しい夜

堂上永貴 ディスプレイデザイン会社チーフ(31歳)
羽根理 恋人に裏切られ転職して来た契約社員

その他の収録作品

  • 焼き肉店の夜
  • あとがき

あらすじ

元恋人に裏切られ、恋に臆病になっている理に、厳しいが暖かく尊敬できる上司・堂上は、告白、体を繋ぐが……!?

作品情報

作品名
きっと優しい夜
著者
うえだ真由 
イラスト
金ひかる 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
きっと優しい夜
発売日
ISBN
9784344809666
3.9

(26)

(7)

萌々

(12)

(6)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
9
得点
102
評価数
26
平均
3.9 / 5
神率
26.9%

レビュー投稿数9

よ、良かった…

読み終わって、ほぅ…とため息が出てしまったほど、読み応えがありました。

お話は、仕事の話が絡められていて骨太な感じ。
軸になっている仕事についても、しっかりと描かれていて、感心させられました。
その分全体としては、地味だったかもしれないですが、私は好きです。
キャラも堂上、理ともに「華やかな容姿」というような形容が無いので、身近に感じられて、逆に新鮮でした。

仕事も恋も、過去の過ちを乗り越えて一所懸命努力する理に、どうしても同調してしまい、切なくて切なくて。
でも、ツラい時に、理は泣かないんですよ。
諦めきっていたり、自分ばかりを責めたりして。
その代わり(?)に私が何度も泣きそうになりました。

元上司であり元恋人は、本当に人として最低ですよ。
相応の報いを、と思わずにはいられない。

あと、↓で言っておられる方もいらっしゃいますが、私もこの無骨な攻め、堂上がたまらなく好きでした。
言葉よりも行動、というタイプのカッコ良さ。
でも、最後のあたりでほんのり覗かせる溺愛と執着に…うわーってなります。
理が羨ましい…。

2

切なくて、誠実。

久し振りのうえださんの新刊です。あえて言わせてください、いくらなんでも久し振り過ぎです。

すごく楽しみにしてた反面、同じくらい不安だったんですが(勝手に期待し過ぎて裏切られることが大変多いので)、杞憂でした。

こちらは、最初に予告が出てからもう4年?5年かな?随分待たされました・・・正直、一時はもう出ないものだと諦めてましたので、今回の予告が出たときは『また延期か中止になるんじゃ・・・』と実際手に取るまで半信半疑でしたよ(いえ、延期にはなりましたが、同じ月のうちなので)。個人的には出てくれただけでも嬉しいんですが、その上好みだったのでホントに嬉しい。

とにかく、うえださんと金さんという『大好きな作家さんの組み合わせ』で、否応なく上がった期待にもきちんと応えてもらったという感じです。待ってた甲斐は十分ありましたよ。

ストーリーもですが、メインキャラクターも2人とも結構地味です。
永貴(攻)は、仕事はできるけど特に完璧な人間というわけでもないし(←私は完璧な攻は好みじゃないのでそのほうがいいんですが)、理(受)も過去の苦い経験からも恋愛には懲りていて、恋愛の意味では別に好みじゃない・特別には思っていない上司に告白されて、謂わば交換条件を出してしまうような狡さを持ちながらも、決して開き直れず負い目を引き摺ってしまう。

そういう良くも悪くも『人間的』なところがとても丁寧に描写されていて、ただ綺麗なだけのキャラクター・ストーリーではないんですが、かえってそこがよかったです、私は。

そして、この永貴は私は好きだなあ。寡黙で武骨な男前。ぶっきらぼうだから一見『俺様』なんですが、その実ホントにいい男でした。身勝手な俺様攻は大キライですが、こういう攻は大好きだ!

お仕事ものの要素も入っていますが、個人的には『仕事ばっかり』ではないところもよかったです。
ただ、メイン2人のラブに加えて仕事に理の過去にとあれこれ盛りだくさんなので、すべてを深くしっかりとは行っていません。予想通りに落ち着いたと言えばその通りでしょう。まあ、ちょっとあれどうなったの?というところもありますが・・・(理の過去の男に関わる顛末がね)。

それでも私は物足りないとまでは思いませんでした。少なくともまるきり放置といった部分はなかったと思うし、それなりにはきちんと纏まっていたんじゃないかな。

『ああ、うえださんだ』という感じの、確かに地味だけど静かで素敵な作品でした。好きですね。

9

面白いです

珍しい設定や、奇想天外な発想、アッと驚く展開などとは無縁のお話ですが、面白さの要素は決してそういうところにあるのではないと、しみじみ思います。

あとがきに、「ずいぶん遅くなった」とあり、完成までに何度も見直し、推敲を重ねられたのではないかと推察しました。
さらりと書かれているように感じられるのも、うえだ先生の優れた力量によるものなのでしょう。

私は、うえだ先生の代表作を読んでから、その面白さと誠実な作風にひかれて、これまでに先生の本を、新旧とりまぜ20冊ほど読んでみました。

どの時期の本も、シンプルな筋立てであることは共通していますが、年を経るごとに洗練され、面白さが増しているように思われました。

先生がデビューされてから今日までずっと、研鑽を積まれ、努力を重ねてこられたことが伝わってきて、その素晴らしい実りをただ享受できる幸せに、感謝するばかりです。

面白い本を求めている、わりと一般的な趣味の人なら、読まないのはもったいないと思います。

6

お仕事描写がいい

「元恋人に裏切られ」が浮気されてとかではなく、恋人だと信じていた男に知らぬうちに横領の片棒を担がされ失職というハードモード。

就職難の中、なんとか再就職できたのは3ヶ月更新の契約社員という不安定な立場。
正社員になりたいと必死に仕事を覚え頑張る姿に好感がもてるだけに、その後の初エッチに至る展開に少々がっかり……。

攻めはそんな受けを二年間ずっとじっと見守ってきたけど、なんせ無骨すぎるもんで、まったく好意が伝わっておらず……。

ずっと厳しい上司モードで接してきたため、受けにとってはずっと「とっつきにくい上司」でしかなく、ようやく「尊敬すべき先輩」に変化してきた頃に、突然の告白をしちゃう攻め。
受けにとっては、青天の霹靂でしかなく……。

下手するとパワハラでは……?とすら思ってしまう。

というのも、小さい会社だし上司の告白を断った後も一緒に働き続けることができるのか?
契約更新に影響がでるのでは?
とそりゃ悩みますよねぇ……。

せめて攻めは、好きを小出しにしていれば良かったのに……とか、攻めはなんで「正社員になる気はないのか?」とか言ってあげなかったんだろう?とか読んでて思わず悶々。

で、受けは悩んだ挙句に、「ぼくを正社員にしてくれるなら」と交換条件を出しちゃう……

正直、どっちもどっちだわ……と思ってしまいました。

と、厳しいことを書いてしまいましたが、萌評価どまりではなく、萌萌評価にしたのはお仕事描写がとっても興味深くて読んでいて楽しかったから。

それと銀座和光の時計台のシーンがとても印象的だったから。
地方から出てきた受けの過去と現在が交差して、自分が夢見ていたのはドラマのような大恋愛でも、誰もが羨む純愛はなく‥‥と思うあの一連のシーンの描写がとても映像的で、心理描写と相まって胸に迫ります。

そして年末年始が一番の繁忙期で大変だけどやめたいと思わなかったのは、「裏方に徹して街を華やかに飾るのが好きだったのだ。」というところがなんかハッとさせられました。
クリスマスシーズンって街がどんどん華やかになって歩いているだけでウキウキするのですが、このウキウキした気分は大勢の人の手によって作られているんだなぁと、今まで思いを馳せることがなかった人たちへの感謝が湧きました。

1

イラストぴったり

静かにやんわり優しさがある中に、しっかりとした内容の作品で、ぐいぐいと引き込まれてしまいました。

0

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