えすとえむさんのレビュー一覧

エバーアフター コミック

えすとえむ 

えすとえむ版「(腐った)大人のための童話集」

「シンデレラ」「赤ずきん」「人魚姫」「美女と野獣」「かぐや姫」「カルメン」といった6つの有名なお話を、えすとえむ流の毒気やブラックユーモア、エロスを詰め込んでパロった作品集。
BLなので、カップリングはもちろん漏れなく男×男です。
桐生操さんの「本当は恐ろしいグリム童話」や倉橋由美子さんの「大人のための残酷童話」なんかを面白く読んでいた人なら好きなんじゃないかな。
そもそもえすとえむさん自身…

3

ハッピーエンドアパートメント コミック

えすとえむ 

“ハッピーエンド至上主義”に対するアンチテーゼ

なんて絶妙な皮肉を効かせた作品なんだろうか。
「いくつもの素敵なハッピーエンドが詰まった短編集」としても読めるところがなんとも巧妙で、読み終えて思わず唸ってしまった1冊。

「お前が書くような辛気臭い話は受けないからハッピーエンドを書け」と編集から言われた作家〔ルカ〕が、同棲していた恋人にフラれ部屋を追い出されてやってきたのは、フェリス通り(スペイン語で“幸せ通り”の意)の突き当たりに位置す…

3

生と死(合同誌)(表題作 LA SANGRE DERRAMAD) 小説

華藤えれな  えすとえむ 

闘牛シリーズの原点

華藤えれなさん、えすとえむさんの合同誌。
華藤さんの闘牛シリーズの元ネタとなるエピソードが散りばめられており、商業誌のパラレルワールドのような世界観を楽しめます。

本作で核となる存在は、亡き天才闘牛士ホセ=クルス。
彼の幻影を追って闘牛の道を極める者、彼らを側で支える者たちの生き様が儚く力強く描かれます。

■ LA COGIDA Y LA MUERTE(負傷と死)by えすとえむ

3

やがて、藍になる コミック

えすとえむ 

静かに音が響くような和の世界

非常に静かな和の世界。
職人さんが淡々と黙々と静寂の中、
一人でその何百年と継がれてきた技術を日々紡いでいくような、
そんな静かな世界が広がる世界でした。
お話自体は面白いと思うのですが、
あまり頭に入ってこない…。
すごく美しい世界だと思うし、
もっと心にじーんと響いてきてもおかしくないと思うのに、
なんでだろ。
ちょっと私には高尚な世界だったみたいです。
本当嫌いじゃないん…

1

愚か者は赤を嫌う コミック

えすとえむ 

モノクロで表現される鮮やかな「赤」と、死を軸に描かれる「生(=愛)」

エロティシズム表現が美しい一冊。
死と言っても、別に作中の誰かが死ぬわけではないのでご安心を。

これを手に取るきっかけになったのは、中村明日美子さんの「薫りの継承」を読んで視覚的にうっとり出来るような作品を求める熱が復活したからなのですが、いざ読んでみるとテーマ自体もなかなか近しいものがありました。
闘牛を題材に描かれる「死」と「愛」と「性」と「生」。
この手のキーワードをベースにして…

0

くぐもったドラム 小説

英田サキ  えすとえむ 

記憶喪失で擦れ違う恋人たちの切ない物語

超訳というのもには興味を持ったのですが、翻訳物のBLに惹かれずためらっていました。
けれど一度は読んでみようと好きな作家さんの作品を読んでみました。

19世紀のプロイセンの戦場での出会いです。
BL作品ではあまり馴染みのない時代背景に軍人同士のカップル。
先の見えない戦闘が続く中で愛するものとの逢瀬だけが幸せなひと時。
故郷には妻もいる貴族のルドルフ(中将)と身内との縁の薄い庶民マテ…

4

海に眠る 小説

葛城ちか  えすとえむ 

眠れる名作

5ミリ程度の期待で読み、完全にやられました。
「海に眠る」、2007年に発行されたものですね、表題作他三編が収められていて、それぞれ「小説イマージュクラブ」という雑誌にかなり前に掲載されたようです。
まず、「海に眠る」。攻めのリュウは孤児であり、自分を性的に虐待してきた牧師など二人を殺害して、海辺の町に逃げてきました。そこで受けの祐介と出会います。
祐介は心臓が弱く、繊細なガラス細工のような…

10

equus コミック

えすとえむ 

絵本のような…

実は発売当初からかなり気になってはいました。
でも突飛な設定に買うの躊躇うこと数年←
とうとう購入して読んでみました。
…うん、なんでもっと早く買わなかったかなー。

タイトルのequusってどういう意味なのかなー?って思って検索したら「馬」だったorz
それはさておき、表紙見ても分かるようにケンタウロスの恋物語です。
因みにケンタウロス=ギリシア神話中、上半身が人間で腰から下は馬の…

2

ショーが跳ねたら逢いましょう コミック

えすとえむ 

和と洋と。

七月に入るとすぐに京都市街では、「こんちきちん」のお囃子が聞こえてきて、ああ、夏が来たなと思います。えすとえむさんのデビューコミック『ショーが跳ねたら逢いましょう』の最終話は、そんな京都・祇園祭をモチーフにした短編です。

この短編集には厳密にいうと七編収録されていますが、五つの物語から構成されています。前半の三作(+一話)は海外を舞台にしたお話で、残りの一作(+一話)は猫ちゃんを擬人化したお…

2

くぐもったドラム 小説

英田サキ  えすとえむ 

ドラムは太鼓

2年分の記憶を喪失したルドルフが、記憶を取り戻そうとする時に、頭に鳴り響くのが太鼓(ドラム)です。表題の言葉そのものをページで見つけた時は「これか!」と思わず叫びそうになりました(笑)

ルドルフがエルンストという恋人と別れたことを覚えていなかったのが一番の不運ですね。最終的に、ルドルフはマティアスをちゃんと思い出しはしないものの、再び愛するようにはなるのですが、かなり終盤まで切ないです。

2
PAGE TOP