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藍染め工房を舞台に義兄弟の想いが巡る――えすとえむ待望の和テイストBL登場!
刺さる…セリフの1つも、セリフのないコマもとにかく刺さる。「藍」や「ズレちゃいけない」に込められた思いがびしびし伝わります。
・大青(藍染を営む実家の実子 兄)
・紺太(義理の弟)
大青の会社員時代に男性とホテルにいるシーンが妙に生々しくて好きでした。直接的描写はないのですが、あぁ大青はゲイなんだなぁというのが伝わってきて。
最終話のラスト、大青の穏やかな笑顔に胸が熱くなる。
BLらしいシーンはほんの少しですが、確かに愛がある事は伝わります。2人の今後の関係性は明確にされていませんが、きっと穏やかであってほしい。
久々に読み返して、幾分か自分も大人になったのかより好きな作品になっていました。仕事を辞める、職場を変えるって大きな決断ですよね。
待ちに待ったえすとえむさんの新刊!
日本が舞台ということで期待していたのですが。。。
内容はすごくよかったし、人間関係。リアリティ。
えすとえむさんの良さがすごく出ている内容だったのですが
なんせあっさり。。。エッチなシーンもありましたが
そこは軽~くって感じで。
まぁそれもえすとえむさんの良さなのですが(笑)
『やがて、藍になる』以外に
『泳ぐ、溺れる、泳ぐ』と『しんしんと雪の降る』
が入っていたのですがどちらもキスすらありませんでした!
でも、『泳ぐ、溺れる、泳ぐ』←これ好きでした(笑)
14歳少年とその少年が通う中学校の警備員のおじさんのお話なのですが、なんていうか全体的に暗いお話なのですがそこに見え隠れする人間同士の温かさというか。。。
とにかく言葉では表せないような感じでした。
少年のほうがおじさんに少し気になっているという感じで、幸せになってくれるといいな~と切実に思いました(笑)
『しんしんと雪の降る』はカップル(?)のお話。
これはなんというかゲイカップルの日常?というか
すごくほのぼのしていて憧れてしまいました(笑)
全部、一応ハッピーエンドですので安心して読めると思います
ただ、えすとえむさんの特徴というか
言葉が少なく、表情や独特の雰囲気がありますので
人によっては少し物足りないかなという感じです。
私も今回は少し物足りなさを感じてしまいました;
えすとえむさんといえば外国モノ。
しかもラテン系のノリを持った静かだとしても燃えるような情熱がこめられた作風というイメージをもっているのですが、
今作はすべてジャパニーズ。
そう呼んでみたいほどに「日本」という外国のお話。という印象を受ける。
だからといって、えせくさいというわけではなく、だからこその日本らしさが出ていると言う、よい意味でのジャパニーズなのです。
舞台が藍染め工房の紺屋であり、
登場人物は、その職人。
関係は義兄弟。
その作業の間合いと風景、職人気質と跡継ぎ、義兄弟であることの禁断関係。
全てが冷たい熱、おだやかでピンと張り詰めた空気の中に閉じ込められた熱い熱を表現するのにふさわしい背景だ。
それは幾分に、日本的特徴なのでもあると思うのだが・・・
大きな起伏がない分、緩急を求める人にはモノ足りないものがあるのだが、これがまた、かみしめるほどに味のある、まるで藍が染まって行くようにジワジワと入り込んでくる。
気が付くと何度も読み返したくなる、地味だけど”イイ”味わい深い作品なのは間違いがありません。
大人な一冊です。
義理の弟となった紺太への想いをもてあまし、家を出た兄の大青が突然帰ってくる。
昔から工房に入り浸り、迷いもなく藍染め職人の道を進む紺太に、自分も職人になるという大青。
兄の、弟の、それぞれの苦しい想いが同居と藍染め工程をとおして展開される。
彼等の心を藍染めになぞらえ、それは染めができなくなる藍の終わりの藍なのではなく、布に染まって色が定着して作品となった藍となって二人の気持ちが通じたと考えてもいいのだろうか?
とても深い義兄弟のこだわり関係だが、彼等の迷いと苦しみが大半を占める部分に、彼等の静かな進展がしっくりと馴染む。
『泳ぐ、溺れる、泳ぐ』これはBLというより、人間物語。
多分に人と接触することへの恐怖症を持っている少年が、用務員のおじさんと出会い彼の過去を知ることで、人として成長するお話なのだと思った。
『しんしんと雪の降る』誕生日が同じ日の二人の男性の一昼夜の風景。
何でもない男二人のがやがやだけど、この何でもない日常風景が萌えを醸すのだという、典型的なニヤリ物語。
表題にちょっとだけ、キスとエチ風景があるのみで、エロ描写はあと2本には全くありません(キスすらも)
この本は、心を読むことがメインディッシュの一冊だったな~と、非常に雰囲気を間合いを読む、小説的・映像的作品だと思いました。
えすとえむさんは、とにかく絵が素敵。
自分的にはそれだけで話は二の次になっちゃう感じは否めない。
この作品は、いつものスパニッシュ〜スタイリッシュ〜って感じとは一転、和物。
父母に相次いで死に別れた紺太(って狐の名前みたいだ、と思ったのは私だけ?
音声化しないで読もう!)は
父が職人として働いていた家の養子になり、幼い頃から一緒に育った大青と
同じ年の兄弟となる。
しかし、大人になるにつれ血の繋がらない兄が弟に抱く思いは
家族の枠には留めておけなくなり、理性に自信が持てなくなった兄は、家を出て行く。
年月が経って、その兄が仕事を辞めて戻って来て自分も職人になると言う…
一ミリたりとズレてはいけないと繰り返される、藍染めの技術、
ある日突然使命を終えたように染まらなくなるという、藍の寿命、
互いの関係も気持ちもはっきりとは語られない中、それらがほのめかす彼らの世界。
底の見えない藍甕の中に写しとられる、あるいは沈んで見えなくなってしまう思い。
やがて、愛になる…のだろうか。
明るくない世界ですし、いわゆるはっきりとしたハッピーエンドとも言えないのだけれど
指先が藍に染まっているのがエロティック。
藍染めのように、渋くて深みのある独特の世界でした。
表題作の他に、味わい深い短編が二本納められています。
藍染めを家業とする一家に生まれた大青と、そこの養子になった幼馴染の紺太。
義兄弟となった二人が、藍染を通して交わす思い……。
言葉少なく淡々と道を極める職人の世界が描かれていますが、言葉少なめな分、モノローグが光るんです。
「1mmでもズレたら 先には大きなズレとなる」という藍染の型紙制作の教えを自分たち義兄弟に当てはめている二人。
「兄弟」という枠から1mmでもはみ出さないようにしていたけれど、それに耐えきれなくなって家を出た大青と、家に残って藍染職人の修行を続けている紺太。
そして藍と愛がかかってるんです。
この気持ちは藍で紺太を染める事もないというところ、切ない。
長年藍染職人を続けてきて、爪だけではなく指や手のひらの皺にまで藍が染み込んでいる職人さんの手が登場しますが、かっこいい。
そんな職人である父が言う「手を見ろ 俺たちをつないでいるのは血よりも濃い藍だ」という言葉が染みます。
【泳ぐ、溺れる、泳ぐ、】
これはBLではないです。
夜に学校のプールに忍び込みこっそり泳ぐ14歳の中学生と、中学の警備員さんとのお話。
【しんしんと雪の降る】
野郎二人が誕生日に集まって鍋つつきあうとか、「寒くて寝付けないからそっちの布団入れろや」「やだよ、うわっおまえ足冷てぇなぁ!!」みたいな何気ない日常が描かれた短編。
カップルではないと思うけど、こんな二人がいたら「なんなのコイツら♡」的に限りなくニヤニヤしてしまうやり取りが描かれていて萌えます。