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実力派・えすとえむが端麗な筆致で鮮やかに描く、異色のラブストーリー集。
ああ~買って良かった。読めて良かった。珠玉の一冊!いや「はたらけ~」と合わせてさらに倍!
この美しい装丁の表紙といい…ほんとに素晴らしい。タイトルが箔押しですよ、豪華!
カバー下も目次も、それぞれのお話の扉もすべて凝っていて美しい。
こちらを読んでしまうと『はたらけ~』の方は、えすとえむさんお試し用といった気がしてきました。
ケンタウロスの肉体の美麗さは、どちらでも堪能できますが、筆タッチのようなこちらのほうが圧倒的に質感に溢れ、ほんとに尻撫でたい(そこですか)
短編はどれも短いながらもドラマチックで、ため息のでるような余韻が残るし、良質の映画を観終わったような満足感です。
春駒のお話がいちばん好き。
千年ほど生きるらしきケンタウロス…人間との寿命の差がまたこの一連のお話の切ないところですが、当てはめて想像できるのは人間と犬や猫といったところでしょうか。
まあ犬や猫とは喋ることも恋愛することもできないけど、大切な友人や家族になってしまうわけで、ほんとに先立たれるのが辛いよね。だから私はもう二度と飼わない。
ケンタウロスも、あえて人間と接触しないタイプもいると作中で言っていました。
悲哀があって、どれも心に残る短編ばかり。ほんとうに素晴らしい作品でした。
生き続けるケンタウロスと、死にゆく人間たち。
異なる種族の、恋愛というより愛そのもののお話です。非常に切ない。説明しがたい空虚な切なさでした。
読後感がなにかに似てるなと思って考えたんですが、宇宙の果てしない広さと自分の小ささを引き比べたときの感覚に似てるなと思いました。
愛した人が死に、愛した人の子供が死に、その孫が死んでもなお自分は生きている。いつ死ぬかも分からない。
ここで語られるどの物語も、ケンタウロスの一生を描いたものではないです。ケンタウロスの長い長い一生の途中の一コマです。でもその「ケンタウロスの途中の一コマ」は「人間にとっての長い長い一生」なのだ。
文字で説明するとたったそれだけのことなんだけど、実際に読むともう虚しいというか、切ないというか、とにかくたまらない焦燥感みたいなものがわいてきてしまう。なんだろうこの感覚は。
悲しいのは、ここで描かれるケンタウロスは「ヒト」を好きになってしまう種族なんだよね。好きだからヒトと関わり、忠誠心をもってヒトに仕える。逆に、そうなるのがつらいからこそヒトと離れて暮らしたりもする。
なんだろう。
とにかくすごいものを読んでしまった気分です。
すべては途中なのです。
彼らは今もなお、そしてこの先もずっとずっと生きている。愛した人間たちの記憶を抱え持ったまま、ずっとずっと生きている。人間が骨の欠片まで塵になってもなお。
うああ!たまらん!!
『はたらけ、ケンタウロス!』と同じく、
ケンタウロスと人間が共生する世界でのオムニバスだが、
ギャグテイストのあちらとはかなり異なる雰囲気。
まず上質の絵本のような、非常に美しい表紙に目を奪われる。
良作ともアイデアやストーリーの秀逸さは勿論なのだが、えすとえむさんの高い画力あればこそ。
全8編、それぞれ馬の毛色の名前から取られたタイトルがついている。
ケンタウロスと人間が共存する日常の話から、
よりドラマチックな種族の違いによる切ない運命を描いた話まで。
美しく自由なケンタウロスに憧れる人間、差別する人間、焦がれて所有しようとする人間…
人とは違った途方もなく長い寿命を持つ事による哀しみ…
争い、別れ、主従、そして絆。
非常に官能的で魅力的な作品だった。
今月前半に出た「はたらけ!ケンタウロス」がちょっと愉快な切り口とケンタウロスの生き方みたいなものがが中心だったとすれば、このケンタウロスは同人誌作品を集約したものであるからか、ズバり”愛”の何者でもありません!!
ケンタウロスに恋をし、ケンタウロスが恋をし、そして愛し、その愛のナレノハテをケンタウロスが見守る。
彼等が人間より遥かに長生きな生き物であるからこその、その延々と続く愛に切なさを感じるよりも、それはそれは素晴らしく高貴なものに感じるのです。
ですからこの今回の単行本の表紙の装丁はとても美しく素敵なもので、ここで綴られているケンタウロス達にふさしい出来栄えです!!
内容については同人誌ですでにレビュをしているので余り言及はしませんが、未読の「1」そして未レビュの「4」が収録、および加筆修正されているので、同人誌が入手できない現在となってはこの単行本の価値はかなりあると思います。
ただ、皆さんがきっと疑問に思う、一番知りたいと思うケンタウロスの交尾(?)人間とのマグワイ(w)しっかりがっつりありますのでご堪能ください♪
獣よ、獣!!!
人間と共存するケンタウロスにはキュン
野生のケンタウロスにはエロスを
はるか昔からご主人様を慕う生きつづけたケンタウロスの忠誠心。
平和を愛するケンタウロス。
そして、、、ケンタウロスに魅せられた男の一生を!
それぞれに、それぞれが、とても素晴らしい形で、どれ一つ同じでなく表現されています。
十人十色というように、ケンタウロスもまたそれぞれ。
是非、是非、このケンタウロスを味わってください。
超オススメ作品ですっ!!!
ケンタウロスというギリシャ神話で生まれた半神半獣のBLということで、表紙を見かけた時にかなり戸惑いましたが、最初のエピソード「Dun Black」で思わず泣いてしまってから一気にこの作品の世界観へと引きずり込まれました。
とくに気に入ったエピソードが下の二つ。
「Dun Black」
大学生×大学生ケンタウロスの話。
ケンタウロスは長生きで中には鎌倉時代から生きているものもいるらしい。
だから人間の友達が死んでも彼らは生き続ける。その悲しみを避けるために人間に近付かないのもいるし、わざと忘れるようにする人もいる。
でも忘れたくないなぁ・・・しんどくても全部覚えてたいなあと答えるケンタウロス。
愛した人がやがて消え去っても生き続けなくてはいけない定め。
この大切なひとときを彩ったディテールの数々を、やがていつの日か何度も何度も反芻する時が来ることを思うと、穏やかな表情に隠れたそのせつない覚悟に涙が止まりませんでした。
「Gray」
お殿様と彼に仕えたケンタウロス(春駒)のお話。
主従関係にあった二人の絆と別れ、そして現在にまで脈々と繋がれた末裔に寄り添う姿。
そして今なお思い出すのはかつての主君。1000年近くに及ぶ絆と愛。
人間と異なる寿命の長さを持つケンタウロス。殺されるか悲しみに心が壊れない限り死は訪れてくれない。
残して逝くものと残されるもの、その別れや絆がなんとも切なく余韻の残る描き方で表現されていました。
時代設定も現代から昔、お話の舞台もさまざまに富んでいて、パーカーを羽織ったもの、甲冑を付けているもの、何も着衣をつけていない野生のもの、とバラエティ豊かなケンタウロスを見ることができます。
まさかの絡み、ケンタウロス二人と人間一人という3Pまであり(!)目が点!になりましたけど獣姦が地雷の私でも大丈夫でした。