茶鬼さんのレビュー一覧

いとし、いとしという心(2) 小説

かわい有美子  南田チュン 

狡さはコンプレックスの裏返しでした

一作目「いとし、いとしという心」で思いを遂げた攻め様と受けちゃんの、高校時代のお話と、本当の恋人になるまでの現在のお話の2編が入っております。

一作目で、兄・荘一が亡くなったことから実家の老舗旅館を継ぐことを条件に、幼いころから心を寄せていた幼馴染のユキを手に入れた千秋でしたが、
実は高校時代も、ユキの荘一に対する想いを逆手にとって、自分のものにしようとしていた腹黒な千秋。
でも、それは…

2

あいの、うた 小説

木原音瀬  宮本佳野 

二組のカップルのあれこれ

先日、宮本さんのマンガで出たのは田頭眞一と力の「The end of youth」ですが、巻頭の表題はその後の田頭が立ち上げた音楽雑誌のライター小菅とミュージシャン久保山のお話です。
二組の愛の形、それぞれに違うようでいて何気に近しいものを感じてしまう、そんなお話でした。

小菅は編集長の眞一はじめ編集部一押しのバンドのインタビューにピンチヒッターで出かけるのですが、好きでない音楽だったので…

3

絶頂のあいまいな瞬間 小説

鈴木あみ  極楽院櫻子 

エロ三昧の3流ポルノ

作者曰く「スーパーハードやおい企画本」とのこと。
しかし、出版が10年も前の作品の為確かにエロてんこ盛りではありますが、現在ではさほど目新しくもないのが実情。
きっと当時は画期的な作品だったのでしょう。
確かに全編エロまみれのものであります。
お約束の、縄・道具・強姦・凌辱・緋襦袢 など3角、4角関係の受けちゃんの体が壊れそうなほどの展開ではありますが・・・

千郁は母の愛人だった蓮見…

3

ささやくように触れて 小説

崎谷はるひ  緒田涼歌 

ヘタレた大人にヤンチャな子供でちょうどいいのかな?

この作品崎谷さんのデビュー一年目くらいの作品なんですね。
そう思って読むと、なかなかに興味深いものがあります。
しかし、自分的にこのカップル受けちゃんが子供すぎて、相手がヘタレた大人だからいいのかなとも思うのですが、余り好きになれませんでした。

専門学校の入学金を紛失して、バイト先のイラストレター執行に二週間の援助交際を条件に貸してもらう直樹。
こんな大事な事、親にも話さないで勝手に決…

0

夏服 小説

杉原理生  テクノサマタ 

胸キュンキュンのワンコ物語

こんな青い季節、もう遙か彼方の昔のことと懐かしく(?)新鮮に感じました。
それにしても、このワンコぶり、尻尾と耳が本当に見えるようだ。

一緒に暮らす社会人一年生の先輩・坂江と、就職活動中の真っただ中の大学4年の茅原の些細な喧嘩から、過去の回想を綴った形の物語です。

いつも行く朝のコンビニで気になった坂江、その背中を追いかけながら一生懸命な茅原。
その情景描写が、青春にふさわしい坂道…

2

欲望の犬 小説

中原一也  奈良千春 

大型の黒いドーベルマン犬登場

おやじの中原さんの、20代の男たちのお話です。
主人公が検事という固い職業なんですが、割とポジティブなゲイが欲望に溺れて、、などというお話なのでガッツリエロです。
奈良絵と併せてとても楽しめました。

検事の水上は今まで年上の男性と、しかも渇望を満たすといっても、あくまでもお上品なSEXしかしてこなかった人です。
そんな彼が雨の日拾った男に、欲情している目に誘われたといって犯られちゃうの…

7

秘書の嗜み 小説

鳩村衣杏  奈良千春 

こんな秘書なら傅かれてみたい、ちょっとヘタレのクールビューティーです

秘書と聞いて、かつて自分も体験した仕事であるだけに、この主人公・誉の苦労が手に取るようにわかって、少しばかし同化してしまいました。
しかし、ここまでの徹底した完璧さはなかったのですが・・・(汗)
それにしても、この攻め様及川にホレちゃいそうですよ。

誉は先代秘書の教えを忠実に実行する敏腕秘書。
片や及川は、社長の甥であるとともにモテまくりの広報部で、ガチガチに固い誉が苦手。
しかし、…

2

微笑(わら)う人魚姫 小説

河上桜子  橋本正枝 

怖いもの見たさ、精神的イタイ好きの方には絶賛・超お勧めします。

KAREN文庫Mシリーズは結構ドロドロ系があって好みなのですが、これが一番キました!!
禁断の”死”というアイテムが3編も入ってしまって、しかも憎しみ、嫉妬、後悔、人間の怖い暗い部分も、子供の無知がゆえの残酷さも、そんな暗い面をも暴きだした、イタイ一冊です。

表題作、嫉妬が生んだ究極の略奪愛ですが、これを行う少年の恐ろしいまでの執着と執念に背筋がゾっとします。
しかし、ある意味相手の男性…

0

囚われた極東の華 小説

バーバラ片桐  朝南かつみ 

冷たい日本の刀が色香を纏う

アルルノベルスでのバーバラさん軍服モノ2冊目は、明治時代のまだ富国強兵まっただ中の日露戦争前のお話、イギリスの大貴族と、日本の近衛軍人のお話です。
今回も朝南かつみさんの色気絵のなんと悩ましいこと!

日英同盟の大使として密命を帯びている英国貴族のアーノルドを迎えに来ているのが日本の軍人尾高。
彼の刀のような冷たさに惹かれた(どうも日本好きらしい)アーノルドがそのカチカチ頭の尾高を翻弄しま…

2

指先で辿る恋 小説

義月粧子  藤井咲耶 

本当にいてほしい時に、側にいてくれる人がいるのは幸せだよね。

絵が余り好みでないので、つい避けておりましたが、むつこさんのレビューで読むことを決心。
本当によかったですよー!!

何がよかったかって、仕事をする者同士、色々苦労はあるもののキッチリと仕事はしていて、ミラクルなストーリー展開もなくて、着実に主人公達が歩んでいく姿ですよね。
要は堅実な話の作りなのですが、主人公達の気持ちが痛いほどにストレートに自分の中に入って、訴えかける、現実感を伴った恋…

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